驚異の5000m自己ベスト13分18秒51!青学4年・鶴川正也選手の軌跡に迫る。サッカー少年から日本記録に挑む長距離ランナーへ。怪我を乗り越え、世界への挑戦が始まる。
鶴川正也選手のプロフィール
鶴川正也選手は、青山学院大学陸上競技部に所属する4年生の長距離ランナーです。2002年6月2日生まれの22歳で、熊本県熊本市出身です。身長172cm、体重58kgのコンパクトな体格ながら、驚異的なスピードと持久力を持つ選手として注目を集めています。
鶴川選手の特徴は、5000mを得意種目としており、その自己ベストタイムは驚異的です。また、大学駅伝でも活躍が期待される選手の一人です。
陸上競技との出会いと中学時代
鶴川選手の陸上競技との出会いは、意外にも中学時代のサッカー部での経験がきっかけでした。熊本市立託麻中学校に通っていた鶴川選手は、2年生までサッカー部に所属していましたが、3年生で陸上部と兼部することになります。
この決断が、鶴川選手の人生を大きく変えることになりました。中学3年生の時、わずか数週間の練習で陸上のジュニアオリンピック熊本県予選1500mに出場し、4位入賞という快挙を成し遂げます。
さらに、全国大会では3位に入賞し、自身も「マジか!」と驚くほどの才能を発揮しました。この経験が、鶴川選手に陸上競技の魅力と自身の可能性を気づかせ、高校では陸上に専念する決意につながりました。
高校時代の輝かしい実績
高校進学後、鶴川選手は九州学院高校に入学し、本格的に陸上競技に打ち込みます。九州学院高校は、陸上競技の強豪校として知られており、ここで鶴川選手の才能が開花していきます。高校時代の主な実績は以下の通りです
- 高校1年生:国体少年男子B3000mで優勝
- 高校1年生:アジアユース3000mで4位入賞
- 高校3年生:全国高校駅伝「花の1区」で区間賞獲得
特に、高校3年生時の全国高校駅伝での活躍は、鶴川選手の名前を全国に知らしめる大きな転機となりました。「花の1区」と呼ばれるエース区間で区間賞を獲得したことで、大学からの注目を集めることになります。
青山学院大学での成長と挫折
高校での輝かしい実績を持って、鶴川選手は青山学院大学に進学します。青学を選んだ理由は、小学校6年生の時に見た箱根駅伝で青学がトップで走っている姿に感動したからだそうです。
しかし、大学生活は必ずしも順風満帆ではありませんでした。入学当初は期待のルーキーとしてデビューしたものの、疲労骨折やケガに悩まされ、練習や試合に参加できない日々が続きました。
特に、2023年10月〜11月頃には大腿骨の疲労骨折という深刻な怪我を負い、出雲駅伝後にパフォーマンス向上を目指してトレーニング負荷を高めた結果、発生したものでした。この時期、鶴川選手は「故障後も無理をして走り続けたが、自分らしい走りとはほど遠く、全く思うように動けなかった」と語っており、怪我による苦悩が見て取れます。
驚異の自己ベストタイム
しかし、鶴川選手は挫折を乗り越え、大学4年生となった2024年、驚異的な自己ベストタイムを更新します。
鶴川選手の自己ベストタイムは以下の通りです
- 5000m:13分18秒51
- 10000m:27分43秒33
- ハーフマラソン:1時間02分44秒
特に注目すべきは5000mの記録です。2024年6月28日に開催された日本陸上競技選手権大会男子5000mで、鶴川選手は13分18秒51という驚異的なタイムを記録し、当時の屋外レース日本人学生歴代最高記録を更新しました。
この記録は、オリンピックの参加標準記録(13分05秒00)にわずか13秒51差まで迫る素晴らしいものでした。
2024年シーズンの快進撃
2024年、大学4年生となった鶴川選手は、怪我から完全に回復し、素晴らしい活躍を見せています。
主な実績は以下の通りです
- 日本陸上競技選手権大会男子5000m:4位入賞(13分18秒51)
- 出雲駅伝:1区区間賞(23分40秒)
- 全日本大学駅伝:2区区間賞(31分04秒)
特に、全日本大学駅伝での活躍は印象的でした。初めて伊勢路を走った鶴川選手は、トップを走る創価大の選手に食らいつく走りで2区区間賞を獲得し、チームの優勝に大きく貢献しました。
今後の目標と展望
鶴川選手は、さらなる高みを目指しています。具体的な目標として以下が挙げられます
- 5000mの日本記録(13分08秒40、2015年・大迫傑)の更新
- 5000mで13分を切り、12分台を記録すること
- 2025年の東京世界陸上への出場
- 2028年のロサンゼルスオリンピックでの日本代表としての活躍
原晋監督(青山学院大学陸上競技部監督)は、「日本人初の12分台を狙ってもらいたい。その力があります」と鶴川選手の潜在能力の高さを評価しています。
鶴川正也選手の魅力
鶴川選手の魅力は、その驚異的な記録だけではありません。172cmという比較的小柄な体格ながら、持ち前のスピードと粘り強さで世界と戦える潜在能力を持っていることが大きな魅力です。
また、鶴川選手は「イケメン」としても知られており、Instagramのフォロワーは1.4万人を超えています。競技以外での人間性や親しみやすさも、ファンを魅了する要因となっています。
まとめ
鶴川正也選手は、中学時代のサッカー部での経験から陸上競技に出会い、高校時代に才能を開花させ、大学では怪我との闘いを乗り越えて驚異的な記録を打ち立てました。5000mで13分18秒51という日本人学生歴代最高記録(当時)を更新し、世界で戦える潜在能力を示しています。
今後は、日本記録の更新や世界大会での活躍が期待されており、日本の長距離界を牽引する選手として注目を集めています。鶴川選手の今後の活躍が、日本の陸上競技界に新たな風を吹き込むことは間違いないでしょう。