まずは作品の全体像
社会派ミステリーの旗手・芦沢央の『夜の道標』(中公文庫)が、WOWOW「連続ドラマW」として連続ドラマ化。
窓際に追いやられた刑事・平良正太郎(吉岡秀隆)が、逃亡を続ける殺人容疑者・阿久津弦(野田洋次郎)の足取りを2年以上追い、点と点がつながる先に“ただ一つの真実”へ辿り着く。
脚本は倉光泰子×森淳一、監督も森淳一。9月14日(日)22:00スタート(第1話無料配信の案内あり)という編成です。
作品テーマは“正しさは変わり得る”という倫理観への静かな挑戦。原作者インタビューでもこの着想が語られています。
【確定】判明しているロケ地
ここは“現地自治体の広報・公式SNS・媒体記事”により撮影実施が明言されている場所のみを掲載します。
東京都日野市・南平「ほほえみ公園」
日野市内でも人気のロケ地で、本作の撮影が行われたと自治体系メディア(号外NET 日野市版)および広報アーカイブで告知。
公園のカラフルな大型遊具が特徴。作品中で“日常の場に潜む断層”を描く場面に相性が良い景観です。
千葉県八千代市役所(庁舎)
八千代市の公式サイト/公式Facebook/市公式Instagramで、「市役所庁舎で撮影が行われた」と明言。
行政施設らしい硬質な質感は“取調・記者発表・手続き”系シーンに最適。ドラマの骨格である「事件の追跡」パートと親和性が高いロケ地です。
原作に登場する地名・生活圏(舞台背景ガイド)
「ドラマ=実際のロケ地」と「原作の舞台(地名)」は一致しないことが多いので、ここは“原作に出てくる場所”として別立てにします。現地巡りの“文脈理解”に役立つ読み物としてどうぞ。
横浜市 旭区・二俣川(相鉄本線)
書店ブログの販促記事で「二俣川駅」「四季美台ふれあい公園」「南本宿」など、作中に登場する地名が紹介されています。
原作の生活圏の肌ざわりを掴むなら、相鉄沿線の高低差と住宅地の密度、商店の並び、バス動線などを歩いて体感すると良いです。
※ここは“原作舞台”であり、ドラマの撮影が行われた確証は未取得です。(現地巡礼の際は「作品の背景地」としてお楽しみください)
シーン別・景観の観察ポイント
公園(南平・ほほえみ公園)で見るべき3点
- 色彩と距離:カラフル遊具と灰色の舗装面/フェンスの無機質が同一画面に入る瞬間、人物の孤立や齟齬が浮き上がる。
- 音の抜け:高架や幹線からの環境音が薄く、生活音(子どもの声、風、鳥)が強い“生活のノイズ感”が、ドラマの静かな緊張に寄与。
- 導線:ベンチ—遊具—出入口の三角形を人物が横切る構図は“選択”や“分岐”の暗喩として使いやすい。
(※撮影が事実として行われた公園=日野市・ほほえみ公園)
行政施設(八千代市役所)で見るべき3点
- ガラスと反射:昼夜で映り込みが変化。夜の反射は“自分自身”や“社会の視線”を重ねる。
- 直線の圧:廊下や階段の直線・矩形反復が、捜査の粘りや硬直を可視化。
- 掲示物・サイン:情報過多の壁面は“制度”的な重力を象徴。
(※市役所庁舎での撮影、自治体が明言)
1日で回れる“確定ロケ地+原作舞台”ハイブリッド巡礼モデル
対象:公共交通派・半日〜1日
順路:①八千代市役所(千葉)→②南平・ほほえみ公園(東京・日野)→③原作舞台の二俣川(神奈川・横浜)
ねらい:ドラマで“撮った場所”と、原作で“生まれた空気”を一筆書きで体験
1.八千代市役所(AM)
- 平日午前は庁舎内の動線が比較的読みやすい。敷地外・公開エリアから外観主体に静かに鑑賞(庁舎内撮影・商業利用は原則不可、見学も案内に従って)。
- 近隣で休憩(八千代中央・村上方面)。
2.南平・ほほえみ公園(PM前半)
- 日差しの向きで色彩の出方が変わる。人物の動きが途切れる合間を狙ってベンチから景観観察。子ども優先、安全第一。
3.(参考)二俣川駅エリア(PM後半〜夕方)
- 原作に登場する生活圏の“気温・湿度・夕刻の匂い”を歩いて掴む。住宅街は住民優先・写真配慮。
移動のコツ
・千葉→日野は乗換回数が多いので、時間短縮ならレンタカー併用がおすすめ。
・三都県をまたぐので、事前に滞在時間配分を把握(役所は平日、公園は夕方の混雑回避など)。
ここが“映える”:スチルの構図メモ
庁舎の“直線×人影”:低い位置から見上げ、ファサードを画面2/3、歩行者の影を1/3。被写体は匿名で。
公園の“無人の遊具”:午前逆光でフレアを軽く入れ、彩度はやや抑えめ。説明キャプションは20–30字に統一(SEOの“キャプション過多”を避ける)。
舞台地の“距離と時間”:二俣川周辺は坂道が多い。坂の屈曲点に人物(同行者)を置くと“迷い→決断”の寓意が出せる。
禁止&配慮:庁舎内の撮影・人相が判別される写真・公園の子どもは写さない/写る場合は必ずモザイク・加工。各施設規約を必ず順守。
作品理解を深める“制作サイドのヒント”
編集・演出の温度
倉光泰子の脚本は、硬度のある事件線の中に“静かな温情”を差し込むのが巧み。森淳一監督は“間”の扱いで心象を浸透させるタイプ。ロケ地の空白や余白をどう音響・カット割で埋めているかに注目。
ラストシーンの雪
インタビューで言及の“想定外の積雪”は、画面の色温度と空気密度に影響。寒色系の現場音(靴音・息・衣擦れ)が強調されていれば、その日の天候由来の“現実の粗さ”が意図せず作品の肌理を増している可能性。
Q&A:よくある疑問と注意点
- Q“二俣川”はドラマでも撮ってる?
- A
現時点で“撮影実施の一次ソース”は未確認です。原作に登場する生活圏として紹介されているため、舞台背景としての「参考」扱いに留めています。確定ロケ地は本記事の「【確定】」章をご参照ください。
- Q追加のロケ地情報は出てくる?
- A
放送開始前後で自治体広報・フィルムコミッション・番組公式の“撮影協力”欄が更新されるケースが一般的。放送週〜翌週の自治体HP/SNSを定点チェックすると上がりやすいです(八千代市“フィルムコミッション”の更新履歴が参考)。
- Q公園や庁舎での撮影・掲載はOK?
- A
営利目的の撮影は必ず事前許可。来訪レポや風景写真でも、人物の特定が可能な写真は避けるか、ぼかし処理。各自治体の利用ルールに従ってください。
放送スケジュールと視聴の入口まとめ
WOWOWプライム/オンデマンド
初回:2025年9月14日(日)22:00(第1話無料配信案内あり/期間限定)。番組ページから随時更新を確認。
作品公式ページ:ストーリー・キャスト・スタッフ・最新動画。
メディア記事:番組紹介・特集・インタビュー(TVガイド、各ニュース)。
さいごに:このドラマを“ロケ地”から味わう理由
『夜の道標』は、事件の事実を追う刑事と、社会の影に追い詰められた人々の複層を静かな筆致で描く物語です。
ロケ地として選ばれたのは、“普通の生活”が流れている場所。きらびやかな観光名所ではないからこそ、カメラが拾うのは、午前の空気の薄さ、夕方の影の長さ、庁舎のガラスに映る自分の小ささ――。そこにこのドラマの倫理と情感が宿ります。
日野の公園で“色と距離”を、八千代の庁舎で“直線と反射”を、そして原作の二俣川で“暮らしの気配”を。
ロケ地を歩くことは、物語の温度をあなたの身体で測ること。その一歩一歩が、暗い夜に立つ“道標”になるはずです。