「ブラディミール・ゲレーロ・ジュニア(以下:ゲレーロJr.)」という名前を最近よく見るけど、この人ってそこまでスゴいの?大谷翔平クラス?将来のレジェンド候補?
結論からいうと、彼はもう「ただの期待の若手」ではなく、トロント・ブルージェイズの顔であり、球団の未来そのものとして扱われている主砲です。すでに“伝説級”と言っていい要素もかなりそろってきています。
まずプロフィール:どこの誰?ポジションは?年齢は?
ゲレーロJr.は、カナダ生まれ・ドミニカ共和国ルーツのプロ野球選手。現在はメジャーリーグ(MLB)のトロント・ブルージェイズで、主に一塁手(ファースト)として出場しています。身長は約183cm、体重は約111kg、右投げ右打ちのパワーヒッターです。生年月日は1999年3月16日で、2025年時点では26歳。
意外と知られていないのが「生まれがカナダ・モントリオール」ということ。これは、当時メジャーリーグにいた父親がモントリオール・エクスポズ(今はワシントン・ナショナルズ)でプレーしていた時期に生まれたからです。そう、実は父親が“あの”ブラディミール・ゲレーロSr.(ゲレーロ・シニア)。父はMLB殿堂入りのスーパースターで、首位打者級の打撃とレーザービームのような強肩で有名でした。つまりゲレーロJr.は生まれながらに“メジャーのサラブレッド”なんです。
幼いころから「メジャーの未来の4番候補」として注目され、ブルージェイズが2015年に国際FA(海外アマチュア選手との契約枠)で獲得。マイナーリーグ時代から打撃センスは別格で、2018年には打率.381・20本塁打という常識外れの成績を残し、アメリカの有名メディアから“マイナーリーグ年間MVP”に選ばれるほどの評価を受けました。
MLBデビューは2019年4月26日。デビューした瞬間から「リーグでもっとも将来が楽しみなバッターの1人」という扱いでした。
バッターとしてどれくらいヤバいの?
とにかくバットコントロールと飛距離がすごい。わかりやすくいうと、「芯でとらえるのがうますぎて、強い打球を量産できるタイプ」です。三振ばっかりのホームランバッターではなく、ちゃんとミートして打率も残す“芸術系のパワーヒッター”というのが特徴です。
実績としては、2021年シーズンにメジャー全体トップタイ(同数1位)となる48本塁打を放ち、メジャーのホームラン王になりました。この年は打率、出塁、長打力どれも非常に高い水準で、ア・リーグMVP投票でも2位に入っています(1位は当時投打二刀流で歴史的な成績を残した大谷翔平)。つまり「大谷とMVPを争った男」という肩書きを若い頃から持っている選手です。
しかも彼はただのレギュラーではなく、オールスターに5年連続で選出されているスター選手です(2021〜2025)。さらに、2023年にはMLBのホームランダービー(オールスター前夜祭でスターのホームラン競争)で優勝。父ゲレーロSr.も2007年に優勝しているので、史上初の“父子二代でホームランダービー王”という記録もつくりました。これは話題性がとんでもなくて、アメリカのファンからも「親子で伝説」と呼ばれました。
守備のほうも、ただ一塁に座っているだけではありません。2022年には一塁手としてゴールドグラブ賞(守備の一流選手に贈られる賞)を受賞していて、「デカいスラッガー=動けない」という先入観が当てはまらないタイプです。
2025年レギュラーシーズンの成績も、打率.292、本塁打23本、打点84、出塁率.381、OPS.848(出塁+長打の総合力を表す数字)と、安定してチームの中心打者として働いています。これはリーグでも上位クラスの打撃力といっていい内容です。
ここまででわかるのは、「ホームランだけの人」ではなく「打てる+選べる+勝負強い+守れる」オールラウンド型の強打者ということです。メディアも普通に“球団の顔”“フランチャイズプレーヤー”と呼ぶレベルになっています。
ポストシーズン(短期決戦)でのヤバさ:10月になると別人化?
ここが最近いちばん熱いポイントです。
正直、レギュラーシーズンだけ見れば「スター」どまりの選手はMLBに山ほどいます。でも、プレーオフ、つまり短期決戦の10月になると化ける選手は“伝説級”扱いされます。野球ファンはそこをすごく重視します。
ゲレーロJr.はまさにそこが光っていて、2025年のポストシーズン(地区シリーズ・リーグ優勝決定シリーズなど)で打率.422/ホームラン8本/15打点/OPS 1.350という、とんでもない成績を残しています(OPS1.000で超一流と言われる世界で1.350は異常値)。
特にア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS、ア・リーグの“決勝”)では打率.385、ホームラン3本と大暴れし、シリーズMVP(最優秀選手)に選ばれました。ブルージェイズはこのシリーズに勝って、1993年以来となるリーグ優勝=ワールドシリーズ進出を決めています。つまり、球団が30年以上待っていた「再び世界一へ挑戦できる舞台」に彼が引っ張り上げたというわけです。
さらに、ヤンキース相手のシリーズではチーム史上初の“ポストシーズン満塁ホームラン(グランドスラム)”まで打っていて、これはファンにとって完全に「あの瞬間は一生忘れない」クラスの出来事として語られています。父のゲレーロSr.もSNSなどで「誇りで胸がいっぱいだ」と息子を称賛していて、親子のストーリーとしても注目されました。
アメリカのメディア目線だと、こういう「10月の勝負どころで試合を決める一発を打てる若い主砲」は、のちに“レジェンド扱い”に育っていく典型パターンです。ゲレーロJr.はすでにその線にしっかり乗っています。
お金の話をすると、本気度がわかる
メジャーリーグって、お金のかけ方が正直すべてを物語ります。球団は「これは絶対に逃したくない」という選手には、桁違いの年数と金額を積みます。そこがわかりやすい“看板選手”の証明です。
ブルージェイズは2025年4月、ゲレーロJr.と14年・5億ドル(約500億円超)規模の超大型契約延長で合意したと報じられました。これはMLBの歴史でもトップ級の金額で、平均年俸ベースでも超一流帯。しかも基本的に「先に払うべきお金をあと回しにする」ような“分割の工夫”や“抜け道”がほとんどない、ガチの大型契約と言われています。
この契約は2026年からスタートする形とされていて、つまり球団は「これから10年以上、チームの中心はゲレーロJr.でいく」とはっきり宣言したことになります。
これってどういう意味かというと、
- 他球団に「将来的にFAで取れるチャンス」をほぼ与えない
- ブルージェイズというチームのブランド=ゲレーロJr.というイメージを固める
- 「このチームで優勝して伝説になる」というストーリーを長期で作る
ということです。
つまりゲレーロJr.は、単なる「打てる若手」ではなく、球団の未来の顔として、球団ごと物語にしていく存在に正式に格上げされた、ということなんですよ。
大谷翔平の契約(総額7億ドル級)や、超大型スーパースターたちの契約と並べて語られるレベルの金額が動いていることからも、北米の野球界では「もうゲレーロJr.は“次世代の主役級”としてカウント済み」という空気になっています。
なんで「伝説級なの?」今どこまで来てるの?
ここまでを、3つの視点でまとめます。
(1) 成績とタイトル
- すでにメジャーでホームラン王。2021年は48本塁打でメジャー最多タイ。MVP投票でも大谷翔平と競るレベルだった。
- オールスター5年連続出場、ホームランダービー優勝(父とあわせて史上初の父子制覇)。
- ゴールドグラブ賞やシルバースラッガー賞など、守備・打撃の両方で賞を受けている。
- 2025年のポストシーズンでは、打率.422、8本塁打、15打点というバグったような数字を叩き出し、リーグ優勝決定シリーズMVP。チームを30年以上ぶりのリーグ制覇=ワールドシリーズ進出に導いた。
ここまですでに「看板どころか、もう球団史に名が残るやつ」っていう評価が現実的になります。
(2) ドラマ性
- 父が殿堂入りのスーパースター。息子もその道を歩んでいる。親子でホームランダービー制覇という“物語性のある記録”まである。
- チーム史上初のポストシーズングランドスラムを叩き込み、ヤンキース戦で球団の歴史を書き換えた。「あの満塁弾は一生忘れない」というファンの記憶になるプレーを、もう20代半ばでやっている。
- 大谷翔平らトップスターとの直接対決で勝負強さを見せ、「尊敬してる。でも勝負は勝負」という、ヒーロー同士のライバル物語としても語られ始めている。
スポーツの世界では、「物語の濃さ」はそのまま“伝説になれる下地”です。彼はすでにこの条件を満たしています。
(3) 球団からの扱い
- 14年・5億ドル級という、MLBでもトップクラスの超長期・超高額契約。これは「うちの球団の顔は君だ」と公式に宣言されたのと同じ。
- この契約は2026年から本格スタートする予定で、つまりブルージェイズは「これから15年近く、ゲレーロJr.を中心に優勝する物語をつくる」と腹をくくった、ということになる。
メジャーリーグで“伝説”と呼ばれる人って、ただの成績マシーンではありません。
- 「チームの顔」
- 「10月のヒーロー」
- 「その街の希望」
- 「長期的に残り続ける物語」
この4つがそろうと、本当に後世まで語られるようになります。
ゲレーロJr.はもう、ほぼこの4つを押さえています。特に「10月のヒーロー(ポストシーズンの主役級)」と「この街で優勝したいという宣言を契約で形にした」という2点は、過去のメジャーのレジェンド(デレク・ジーター、デビッド・オルティーズなど)と同じタイプのストーリーラインです。これはかなり特別です。
じゃあ、もう伝説って呼んでいいの?
まだ26歳なので、「すでに殿堂入り確定」とまでは言い切れません。ここは冷静に言っておきたいところ。
伝説級のスーパースターと呼ばれるには、ふつうは10年以上つづく安定したトップ成績+優勝の中心人物としての実績が必要になります。たとえば父のゲレーロSr.は長い期間にわたって高打率・強肩・強打を続け、最終的に殿堂入り(野球殿堂は“野球界の神殿”みたいなもの)になりました。
ただし。
ゲレーロJr.は26歳の時点で
- ホームラン王
- オールスター常連
- 守備賞・打撃賞の受賞
- ホームランダービー優勝(父と合わせて歴史的)
- 球団初のポストシーズングランドスラム
- リーグ優勝決定シリーズMVP
- 球団史に残る超大型契約の“象徴”
- チームを30年以上ぶりのリーグ制覇&ワールドシリーズ進出に導く主役
という、普通なら30代後半〜引退間近の大物がやっとそろえるような勲章を、すでに積み上げています。
これって異常なスピードなんですよ。
わかりやすくたとえると、少年漫画でいう「1部のラスボス級の強さを、もう第3巻の時点で出してきた主人公」みたいな感じです。まだ物語は続くのに、すでに“伝説級イベント”をいくつも起こしてしまっている。
まとめ
- ゲレーロJr.は、トロント・ブルージェイズの主砲で、若くしてチームの顔に固定された選手。
- 成績だけでなく、プレーオフで試合を決める“10月のヒーロー力”がすでにある。これは「伝説になる選手」に欠かせない条件。
- 球団は14年・5億ドル級契約で「この男と心中する」と宣言しており、街もファンも“彼を中心に優勝して歴史を塗り替える”モードに入っている。
- 父も殿堂入りの大スターで、親子でホームランダービー王。物語性が桁違いで、すでに「球史に残る親子」の一組と見なされている。
だからこう言えます。
ゲレーロJr.は“将来レジェンドになる可能性のある若手スター”じゃない。もうすでに、物語レベルではレジェンド扱いが始まっている選手です。
あとはこのまま、ワールドシリーズで「最後の1勝」を取りにいけるか。そして、それを何回積み上げられるか。
そこが彼を“本物の伝説”に押し上げる、次のステージになります。

