この記事では、
- どんな試合だったのか(点が入りすぎ問題)
- 南野拓実は何をしたのか
- 「幻のゴール」って何?
- この試合はモナコと南野にとってどんな意味があるのか
を整理します。
(試合はフランス1部リーグ「リーグ・アン」のナント対モナコ。スコアはナント3-5モナコ。モナコがアウェーで勝利し、リーグ2位まで上がる大きな意味のある勝ちになりました。)
この試合、まず何がそんなにヤバかったの?
結論からいうと、「点の取り合いすぎてジェットコースターみたいだった」という試合です。
普通のサッカーって、1-0とか2-1とか、合計3点くらいで終わることも多いですよね。でもこの試合は合計8ゴール。最終スコアはナント3点、モナコ5点。つまり3-5です。
8点ゲームって、トップリーグだとそうそうありません。守備が崩壊しているとも言えるし、攻撃が噛み合いすぎているとも言えます。今回はその両方でした。
- 先に動いたのはモナコ。開始6分あたりでモナコが先制(クーベリバリ/ママドゥ・クリバリ名義で1-0になったという扱いが入っており、早い時間からゲームがバタつき始めます)。
- そのあとナントもすぐ反撃して同点。さらに逆転ムードまでつくる。
- モナコもやり返す。前半からもう「点入った!また入った!いや追いつかれた!」の繰り返し。
- 後半はモナコの総攻撃タイム。55分、75分、そして後半アディショナルタイム(90+4分)にも決めて、とどめを刺します。得点者としてはフォラリン・バログン、マグネス・アクリウシュ、アレクサンドル・ゴロヴィンなど、複数のアタッカーがしっかり決めているのがポイントです。
つまりこの試合は「1人のヒーローがハットトリックで全部持っていった」というタイプじゃなくて、モナコの攻撃陣が次々とゴールして“押し切った”試合でした。
で、ここに南野拓実も深く関わっています。そこが日本のサッカーファン的に一番大事なところです。
南野拓実はスタメンで出た?目立ってた?
はい。南野拓実はこの試合で先発出場し、前線からどんどん関与していました。
南野は今シーズンのモナコで「攻撃のつなぎ役」「ラストパスを出せる人」「前から相手にプレッシャーをかける人」としてすごく信頼されています。もともと南野はリバプール時代から、走る・追い回す・ボールを奪う・一瞬でゴール前に顔を出す、という“泥臭いけど決定的な動き”が得意なタイプです。これはモナコでも同じで、監督やチームから「この人がいると前線がサボらないし、相手DFが落ちつけない」という評価を受けやすいポジションなんですね。
実際、モナコの試合を見ていると、南野がボールを持っていない時間でも相手センターバックやボランチにガンガン寄せていき、無理やりズレを作り出す場面が多いです。そのズレから別の味方がゴールする、という形もよくあります。今回のナント戦でも、そういう「目に見えにくい貢献」がかなりありました。これは記録にはアシストとして残らなくても、監督はちゃんと評価する部分です。
そして、南野本人ももちろんゴール前に入っていきました。実はネットを揺らしたシーンもあるんです。ここが「幻のゴール」につながります。
「幻のゴール」ってなに?南野は本当は決めてたの?
はい。南野はこの試合中、ゴールネットを揺らして「やった!」という場面がありました。ところが、そのあとビデオ判定(VAR=ビデオ・アシスタント・レフェリー)のチェックが入り、「オフサイド」と判定されて、ゴールは取り消しになってしまったんです。
これがいわゆる「幻のゴール」です。
サッカーのオフサイドをざっくり言うと、
- 攻撃側の選手がボールよりも前で、
- かつ相手DFよりもゴールに近い位置にいて、
- なおかつその選手がプレーに関わった
場合はダメ、というルールです。
細かくてややこしいんですが、「守備陣より前に抜け出して“有利すぎる位置”で受けて決めたら、それはズルだよね?公平じゃないよね?」という考え方だと思ってください。
今回の南野のケースも、「そのボールの受け方や位置関係がオフサイドだった」とVARに判断されて、いったん喜んだゴールがノーゴールになりました。表示としては“VAR: ゴール取り消し(オフサイド)”という扱いで、だいたい前半30分台(34分前後)の場面として記録されています。
これ、選手からするとすごくメンタル的に揺さぶられます。ゴールって、得点そのものも大事だけど、流れも変えるし、自分の評価や自信にも直結します。だから「入った! → 取り消し」は正直きつい。でも南野はそこで落ちず、その後も走り続け、プレッシャーをかけ続けました。
つまり南野は、
- ちゃんとチャンスに飛び込めていた
- 実際に決めるだけの位置に入り込めていた
- VARに止められるくらいギリギリの駆け引きができていた
ということです。得点として公式には残らなかったけど、プレーの質は高かったと言えます。
南野の「幻のゴール」が意味すること
南野の「幻のゴール」は、単なる不運で終わらせてしまうにはもったいないシーンです。なぜかというと、これは彼が今のモナコの攻撃にどれだけフィットしているかを示す証拠だからです。
モナコは今シーズン、複数の点取り屋タイプを並べて、波状攻撃で相手を押しつぶすスタイルになっています。実際、この試合だけ見てもバログン、アクリウシュ、ゴロヴィンなど、いろんな選手がゴールを奪いました。
この“誰でも点を取れる状態”って、裏を返すと「DFは誰を捕まえればいいのかわからない」ということです。南野はその混乱を利用するのがうまいんです。
- 味方が相手DFを引っ張る
- そのスキに南野がスッとエリア内(ゴール前の危険地帯)に入り込む
- こぼれ球やクロスに合わせる
こういう泥臭い形で、南野はゴールを重ねてきました。実際、南野は別の試合でも、試合終了間際(90分を過ぎた後のいわゆるアディショナルタイム)に頭で押し込んで決勝ゴールを奪う、という“決めてほしいところで決める男”をやっています。ストラスブール戦では後半アディショナルタイムに決勝ヘッドを叩き込み、モナコを3-2の劇的勝利に導いています。
だから今回のナント戦で取り消されたとはいえ、同じように「ゴール前にしれっと現れる南野」という形がまた出た、というのは、チームから見ると“予定どおり”。監督からしたら「OKOK、その動き続けて」というサインになります。
5. モナコはこの勝利で何が変わったの?
この5-3の勝利でモナコはリーグ戦2連勝となり、順位を一気に2位まで押し上げています。
これはかなり大きいです。理由は3つあります。
- 上位争いに残れたこと
フランス1部リーグ(リーグ・アン)は毎年パリ・サンジェルマン(PSG)が優勝候補の最上位ですが、そこに近い位置でついていけるチームは限られます。モナコが2位につけるということは、「今シーズンも優勝やチャンピオンズリーグ出場圏にしっかり絡めるぞ」というメッセージです。実際、順位表ではモナコが勝ち点20、パリが勝ち点21という並びになっており、まだまだ射程圏にいるのがわかります。 - 新しい監督体制・新しい形がハマってきたこと
モナコはシーズン中に監督交代も経験しています。チームは「どういう攻撃スタイルでいくのか」「どこまでフルスロットルで前から行くのか」を再調整している最中ですが、ナント戦では“攻撃で押し切る形”がはっきり成功しているのが見えました。これは新しい戦術プランがチーム全体に浸透してきた証拠だと考えられます。
(南野自身もモナコでの役割が安定し、契約延長を勝ち取るなど、クラブ内で「主力」として扱われています。モナコは南野との契約を2027年まで延長したと発表しており、クラブは彼を今後も攻撃の中心メンバーとして考えていることがわかります。) - “点は取れるけど守備は不安”という課題がハッキリしたこと
正直にいうと5点取って3失点というのは、見方によっては「守備大丈夫?」でもあります。ナントは下位寄りの順位にいるチームですが、そのナントに3点を取られてしまったというのは、上位争いを続ける上でのリスクでもあります。
ただ、逆に言うと「相手が打ち合いに来ても、それ以上に点を取り返せる」ことが証明された試合でもあります。タイトルを目指すうえで、“多少失点しても前線でねじ伏せられる火力”はかなり大きい武器です。
南野拓実の現在地:モナコでの立ち位置はどうなってる?
南野はモナコ加入当初こそ「期待されたけど結果が出ない」「フィジカルで苦しんでる?」と厳しい声もありました。しかし、ここ1〜2シーズンで完全に評価を持ち直しました。クラブの公式発表レベルでも“チームのキープレイヤー”“MVPクラス”という扱いを受けていますし、実際に重要な試合で決定的ゴールやアシストを記録してきました。
たとえば今シーズン序盤のストラスブール戦では、終了間際のヘディング弾でチームを3-2の劇的勝利に導きました。これは「試合を決める男」として大きく注目された瞬間でした。
その後のアウェーのオセール戦(オーセール戦)でも、南野は先制点を決めて勝利に貢献し、チームの連勝・上位キープに繋げています。
さらに、南野はモナコと契約を延長し、2027年までの契約になったことが発表されています。これは「このチームのコアとしてこれからも頼る」というクラブ側のメッセージそのものです。
外から見ても、南野は“途中出場で流れを変えるスーパーサブ”と“スタメンで走り回って攻撃をつなぐ司令塔タイプ”の両方をこなせる存在になっていて、監督からすると非常に使いやすい選手です。
今回のナント戦での「幻のゴール」は、もちろん公式スタッツには残りません。でも、エリア内で良い形を作れていた=南野がまだまだゴールを狙える位置にちゃんと入っている、という証拠です。
これは彼が“守備的にハードワークするだけの人”ではなく、“点に直結する怖い存在”であることをもう一度示したと言えます。
VARで取り消されたゴールって、ファン目線ではどう考えればいい?
サッカーファンあるあるなんですが、「VARで取り消されたゴール」ってすごくバズりやすいんです。
理由はシンプルで、
- 一度は決まって大盛り上がり
- その後に“え、ちょっと待って確認中…”
- そして「やっぱり取り消しです」ドーン
という、感情のアップダウンがエグいから。
南野のシーンもまさにこれで、日本のファンからすると「南野決めた!? → え?取り消し? なんで!?」という流れになるので、SNSや検索で一気に「南野 拓実 幻のゴール」「VAR 取り消し」「ナント モナコ 5-3」といったキーワードが回りやすい構図です。
そしてもう1つ大事なのは、“VARで取り消される”というのは、つまり「そこまで決定的な位置に入っていた」ということ。たまたまペナルティエリアの外でシュートを遠くから打って外した、みたいな話ではないんです。ゴール真正面、決定的なゾーンで、相手にとって本当に嫌な形を作れていたからこそ、オフサイドぎりぎりの駆け引きになって、ビデオで線を引かれるようなシーンになるわけです。
これはFWや攻撃的MFにとっては“いいサイン”です。たとえ取り消されても、「そこに入れる」というのは攻撃の嗅覚(においをかぎ分ける力)がある証拠だからです。南野がそこに立てている限り、今後もゴールやアシストが増えるチャンスは十分ある、と言えます。
この試合のあと、モナコと南野はどこへ向かうの?
モナコにとってナント3-5の勝利は「勢いを取り戻した証拠」であり、「得点力はリーグでもトップクラス」という自己紹介でもあります。実際、モナコはこの勝利で2連勝となり、順位表でも2位につけてパリ・サンジェルマンを追いかける形になっています。これは“優勝争いに名乗りを上げた”と言っていい位置です。
そして南野個人で見ると、
- スタメンでの信頼は維持
- ゴール前での決定力はまだまだ健在(実際にネットも揺らした)
- 実績も評価されて契約延長済みで、クラブに「これからも必要」とはっきり言われている
という状態です。
さらに、今季の南野は“結果が欲しい時間帯”で決める力を見せてきました。ストラスブール戦のラストミニッツ決勝ヘッドなんて、あれはクラブ側もサポーターも「この人いなかったら勝ち点2失ってたよね」となるレベルのインパクトです。
そういう選手はリーグ優勝争いでも、ヨーロッパの大会(チャンピオンズリーグなど)でも絶対に必要とされます。だからこそモナコは南野を手放さず、逆に長く引き止めようとしているわけです。
まとめ
ナント戦のスコアだけ見ると「守備ザル同士の打ち合い?」とも思えますが、内容としては「モナコは攻撃でリーグ上位を押し切れる」「南野はその攻撃の中でまだまだ主役を張れる」ということを証明した試合でした。
このあと南野拓実のゴール数・アシスト数がどれくらい伸びるか。そしてモナコが本当に優勝争いの最後まで残れるのか。ナント戦は、その2つを本気で期待していいんじゃないか?と思わせる一夜だったわけです。

