夏木マリさんが主演のNHKドラマ『照子と瑠衣』、タイトルだけ見ると「どんな話?」「何役なの?」と気になりますよね。
この記事では、
を解説していきます。
夏木マリは何役?どんなキャラ?
まず一番気になる「何役?」から。
役名は「森田瑠衣(もりた・るい)」
夏木マリさんが演じているのは 森田瑠衣(もりた るい)。ドラマのタイトルにも入っている、もう一人の主人公です。
- 年齢:70歳前後
- 職業:元シャンソン歌手(いまも歌の仕事はしているが、下り坂)
- 性格:自由でちょっと破天荒、でも傷も抱えている
- 立ち位置:専業主婦だった照子の“相棒”であり、“親友”
ドラマ版のキャスト一覧でも、
瑠衣(現在)…夏木マリ/元シャンソン歌手、照子を支える親友
と紹介されています。
つまりこのドラマは、
「家族のために生きてきた照子」と
「自分勝手に見えて、実はたくさん傷ついてきた瑠衣」
という、タイプのちがう70代女性2人の「逃避行+第二の青春」の物語です。
ドラマ『照子と瑠衣』ってどんな作品?
基本情報をサクッと整理
- 放送局:NHK BS・BSプレミアム4K
- タイトル:プレミアムドラマ『照子と瑠衣』
- 話数:全8話の連続ドラマ
- 原作:井上荒野『照子と瑠衣』(祥伝社)
- 主演:
- 音無照子役…風吹ジュン
- 森田瑠衣役…夏木マリ
原作小説は、「70歳の専業主婦・照子」と「同じく70歳のシャンソン歌手・瑠衣」が、夫や老人マンションから逃げ出し、長野の別荘地で新しい暮らしをはじめる物語です。
ドラマはこの原作をベースにしつつ、
- 2人の“逃避行”の過去
- 八ヶ岳での共同生活
- 由奈(ゆな)という女子高生と出会う現在
を、行き来しながら描いていきます。
あらすじをやさしく解説(※ここからネタバレあり)
ここからはストーリーの流れを、ざっくり3つのステップで説明します。
- 二人が「逃げる」決心をするまで
- 八ヶ岳での新しい生活
- 由奈と出会うラストまで
① どうして「逃げる」ことになったのか
まずはそれぞれの「今がイヤになった理由」から。
照子の場合
照子はずっと“良い妻”“良い母”として生きてきた専業主婦。
しかし夫は、彼女をほとんど家政婦扱いしてきました。
- 家事はやって当たり前
- 感謝もねぎらいの言葉もない
- 70歳になってもなお「妻だから我慢が当然」という空気
長年ガマンを重ねてきた照子は、ついに心がポキッと折れてしまいます。
瑠衣の場合
一方の瑠衣は、若いころから自由に恋をして、歌を仕事にしてきた元シャンソン歌手。
でも年齢を重ねてからは仕事も減り、高齢者向けマンションの「住み込みの歌手」として暮らしています。
ところが、そのマンションの人間関係が最悪。
- 陰湿な嫌がらせ
- 子どもじみた派閥争い
- 「あんたの歌は昔ほどじゃない」的な嫌味
ついに我慢の限界になった瑠衣は、親友の照子に「助けて」と電話をかけます。
二人の「逃避行」が始まる
SOSを受け取った照子は、「夫のいる家には戻らない」と決意し、車に荷物を詰め込んで瑠衣を迎えに行きます。
2人は車に乗り込み、途中で『夢で逢えたら』を歌いながら高速道路へ。
このシーンは、
- 元プロ歌手である瑠衣(=夏木マリ)の歌
- 照子と瑠衣の“女子高生みたいなノリ”
が合わさって、とても印象的な場面になっています。
② 八ヶ岳での「共同生活」
2人が向かったのは、長野県・八ヶ岳近くの別荘地。タロット仲間の先生が持っている別荘に、半ば「居候&勝手に住みつき」状態で暮らし始めます。
- 電気・水道・ガスも止まっている
- 近所のスーパーで買い物しつつ知恵と工夫で生活
- 仕事を探したり、地域とも少しずつつながっていく
ここで2人は、「もう妻でも、老人マンションの住人でもない、自分として生きる」という感覚を、少しずつ取り戻していきます。
過去の“傷”も少しずつ明らかに
八ヶ岳で暮らすうちに、2人の過去も少しずつ語られます。
- 瑠衣には、若いころ生き別れた娘・冬子がいる
- 照子には、かつて片思いしていた大学教授・椎橋がいた
このあたりはドラマでも回想シーンやタロット、会話を通じて描かれます。
③ 由奈と出会うラストへ(長崎編)
物語の終盤、2人は長野を離れ、さらに旅を続けます。行き先は、2人の故郷・長崎県佐世保。
そこで出会うのが、女子高生の由奈(ゆな)。
由奈ってどんな子?
- 長崎に住む高校3年生
- 東京の大学に合格したけれど、
地元に残る彼氏との関係で進路に迷っている - 最近街に来た「元歌手」と「占いをする女性」の噂を聞く
もちろん、その2人は旅の途中の照子と瑠衣です。
照子のタロットと「バカヤロー!」
由奈は、進路に悩んだ末に、占いをしてもらいに2人の元を訪ねます。占いをするのは照子。
照子はタロットカードを通じて、由奈にこうメッセージを送ります(要約):
「あなたを縛っているもの全部に、心の中で『バカヤロー!』って言いなさい」
由奈は卒業式のグラウンドで、「バカヤロー!」と叫んで走り出します。まるで、照子と瑠衣が車で走り出したときのように。
ドラマのメインビジュアルにあるキャッチコピー
「人生、まだこれからよ バカヤロー」
は、このラストの流れともつながっています。
夏木マリ演じる「瑠衣」の見どころ
ここからは、「夏木マリファン視点」での見どころをまとめます。
① “元シャンソン歌手”としての説得力
原作でも瑠衣はシャンソン歌手という設定ですが、そこに夏木マリさんが入ることで、説得力が何倍にもふくらみます。
- 車内での『夢で逢えたら』
- 劇中での歌のシーン
- 歌から一度逃げようとしてしまう怖さ
「歌うことが好きだった人が、歌えなくなる怖さ」「それでも、もう一度歌に向き合おうとする勇気」
こういう細かい感情が、表情と声のトーンでじわっと伝わってきます。
② 70代なのに“女の子”っぽい可愛らしさ
瑠衣は、見た目もファッションもかなり個性的。
- 髪型も服装も、70代とは思えないほど攻めている
- でも、どこか無防備で、愛嬌のあるしぐさ
- 照子に対して甘えたり、拗ねたりもする
「かっこいいおばあちゃん」だけじゃなく、「ちょっと子どもっぽい部分を残した人」として描かれているのがポイントです。
③ やさしさと“身勝手さ”の両方を引き受ける演技
瑠衣には、過去に「娘を手放してしまった」という大きな傷があります。
- 自分の恋を選んで娘と離れた
- その後もシャンソン歌手として自由に生きた
- でも本当はずっと、娘のことを気にしていた
この「身勝手にも見えるし、でも放っておけない」という矛盾した人物像を、夏木マリさんがしっかりと抱えこんで演じているので、視聴者も「責めきれない」「憎めない」という気持ちになります。
原作小説との違いをやさしく整理
「ドラマを見る前に原作を読むべき?」「どこが違うの?」と気になる人向けに、主な違いをまとめます。
① 物語の流れ:原作は“視点が交互”、ドラマは“時系列がすっきり”
原作小説は、
- 「照子」
- 「瑠衣」
それぞれの視点で章が分かれていて、2人の目線が交互に入れ替わりながら話が進みます。
一方ドラマは、
- 現在の逃避行
- 過去の回想(中学時代、若いころの恋、冬子とのこと など)
を、映像で分かりやすく見せてくれるので、「ストーリーの流れはドラマの方が把握しやすい」という感想も出ています。
② 由奈(女子高生)の扱い方
原作でも、ラスト近くで 由奈 という少女が登場します。
- 由奈は、照子が昔好きだった男性・椎橋の孫
- 「照子と瑠衣が次に住み始めた町にいる少女」として描かれる
- ただし、ラストだけ由奈視点になり、やや“とってつけた感”があると感じる読者も
ドラマではこの由奈を、最終回の主人公級にまでふくらませています。
- 冒頭から由奈の進路の悩みを描く
- 街にやってきた「元歌手」と「占いをする女性」の噂を聞きつける
- タロットを通じて照子から直接メッセージをもらう
- 「バカヤロー!」と叫んで、新しい一歩を踏み出す
原作では“ほのかなつながり”として終わる由奈の存在を、ドラマは「次の世代へバトンを渡す」象徴として、かなり前面に出していると言えます。
③ テーマの見せ方:映画『テルマ&ルイーズ』へのオマージュ
原作・ドラマともに、1991年の映画『テルマ&ルイーズ』のオマージュであることがよく指摘されています。
- 車で旅立つ二人の女性
- 男性優位社会からの脱出
- 「まだこれから」というメッセージ
ただし、映画のようなバイオレンス色の強い展開ではなく、原作もドラマも、もっと穏やかで「人生賛歌」に振れています。
特にドラマは、
- 青い空と山々、ドライブシーン
- メインビジュアルのキャッチコピー「人生、まだこれからよ バカヤロー」
など、映像と音楽で“第二の青春感”を強く打ち出しているのが特徴です。
どんな人におすすめのドラマ?
最後に、「このドラマが刺さりやすい人」のイメージをまとめておきます。
① 50〜70代の女性(もちろん男性もOK)
- 子育てや介護がひと段落して、「この先の人生どうしよう」と思っている人
- 夫や家族のために生きてきて、「自分のための時間」をあまり持てなかった人
にとって、照子と瑠衣はかなりリアルな存在に映るはずです。
② 「今から新しいことを始めたい」と思っている人
年齢に関係なく、
「本当はこう生きたいけど、今更もう遅いかな…」
と感じている人には、2人のセリフや行動が、そのまま励ましの言葉になります。
③ 夏木マリさんのファン
- 歌
- ファッション
- 視線やしぐさの細かい演技
など、「夏木マリの魅力」がこれでもかと詰まった作品です。
まとめ
もう一度ポイントを整理すると――
「身勝手な女」と言われても、1ミリも後悔しない。そんな強さと、娘を手放してしまった弱さ。
その両方を抱えた瑠衣というキャラクターは、夏木マリさんだからこそ成立する、かなり“濃い”ヒロインです。
これからドラマを見る人も、原作を読んでから見比べたい人も、
ぜひ「照子」と「瑠衣」、そして「由奈」の関係に注目しながら楽しんでみてください。
