2025年11月9日朝、
「NHKから国民を守る党(NHK党)」の立花孝志氏が、
元兵庫県議・竹内英明さんへの名誉毀損(めいよきそん)容疑で
兵庫県警に逮捕された、と各メディアが速報しました。
同じタイミングで話題になっているのが、
静岡県・伊東市長選挙(2025年12月14日投開票予定)です。
田久保眞紀前市長が「学歴詐称(さくしょう)疑惑」をめぐる不信任可決で失職し、
その後の市長選に立花氏が出馬の意向を表明したことで、
一気に注目度が上がっています。
そこでこの記事では、
- そもそも今回の逮捕容疑は何なのか
- 伊東市長選挙の背景で何があったのか
- 逮捕報道で選挙はどうなる可能性があるのか
を整理していきます。
※この記事は、2025年11月9日時点で報じられている内容をもとに書いています。
今後、新しい情報が出る可能性があります。
立花孝志とはどんな人物?
まず、登場人物の整理からいきましょう。
元NHK職員から政治家へ
- 1967年生まれの政治家。
- もともとはNHKの職員で、その後、NHKの内部告発などをきっかけに退職。
- 2013年ごろから「NHKから国民を守る党」(現在は略称NHK党/みんなでつくる党など名称変更もあり)を立ち上げ、
「NHKのスクランブル放送」や「受信料問題」を前面に出して活動してきました。
選挙に何度も挑戦してきた
- 国政選挙だけでなく、地方選挙・首長選挙にも何度も立候補。
- 2019年の参議院選挙では、比例代表で当選し、一時は国会議員にもなっています。
「とにかく目立つ」「YouTubeやXなどのSNSをフル活用する」
というスタイルで、賛否は大きく分かれるものの、
話題づくりが非常に上手い政治家と言えます。
名誉毀損容疑での逮捕報道を整理
次に、今回の逮捕容疑について、
報道ベースで分かっている範囲を整理します。
どんな容疑?
報道によると、兵庫県警は2025年11月9日、
立花孝志氏を名誉毀損の疑いで逮捕したと発表しました。
ポイントは以下の通りです(あくまで報道ベース)。
- 名誉毀損の対象となっているのは、
2024年に兵庫県議を辞職し、2025年1月に死亡した竹内英明・元県議。 - 立花氏が2025年1月ごろ、自身のSNSなどで
「元兵庫県議は逮捕される予定だった」などの趣旨の虚偽とされる情報を発信し、
竹内氏の名誉を傷つけた疑いが持たれている、と報じられています。
すでに「刑事告訴」されていた
実は、2025年8月の時点で、
竹内元県議の妻が、立花氏を名誉毀損容疑で刑事告訴し、受理されたと報じられていました。
- 立花氏は、選挙演説やYouTubeなどで
「警察の取り調べを受けているのは間違いない」などと発言したとされています。 - さらに、竹内氏が亡くなった後も、
「逮捕する予定だった」などの情報をSNSや動画で発信し続けたと、告訴状で指摘されています。
今回の逮捕は、
この告訴を受けて兵庫県警が捜査を進めた結果の一つ、
と見ることができます。
元兵庫県議・竹内英明さんをめぐる経緯
ここも少し整理しておきましょう。
- 竹内英明さんは、兵庫県議会の「百条委員会」で
県の文書問題などを追及していた元県議です。 - その後、2024年11月に県議を辞職し、2025年1月に亡くなりました。
妻や代理人弁護士の説明によると、
- 立花氏の発言やSNSをきっかけに、
竹内氏に対する中傷的なコメントも広がり、 - 竹内氏本人が「犯罪者扱いされている」と不安を口にしていた、
という話も報じられています。
もちろん、
「立花氏の発言と竹内氏の死との因果関係がどうなのか」
といった点はとてもセンシティブで、
現時点でははっきりした結論が出ているわけではありません。
ただ一つ言えるのは、
選挙や政治の場での発言が、誰かの名誉や人生に大きな影響を与えうる、
ということです。
伊東市長選挙とは?田久保前市長の「学歴問題」
次に、今回のもう一つの主役である
伊東市長選挙の背景を見ていきます。
なぜ市長選挙が行われるのか?
静岡県伊東市では、
田久保眞紀市長(当時)が、
学歴詐称疑惑をめぐる騒動の末、
2度目の不信任決議案が可決され、
失職することになりました。
- 学歴の記載内容に疑義が出て、
- 議会との対立がエスカレートし、
- 最終的に「2度目の不信任可決 → 自動失職」という流れです。
その結果として、
2025年12月14日に伊東市長選挙が行われる予定になりました。
伊東市長選の争点になりそうなもの
- 学歴問題を含む「市長の説明責任」
- 市政運営の透明性
- 伊東市八幡野地区のメガソーラー計画をめぐる市と事業者の対立
- 観光地としての伊東市の将来像(観光、環境、住民生活のバランス)
こうしたテーマに、
今回の立花氏逮捕報道がどう絡んでくるのか、
というのが多くの人の関心事になっています。
なぜ立花孝志は伊東市長選に出馬表明したのか
報道によると、立花氏は11月初めごろ、
伊東市長選に出馬する意向を明らかにしています。
立花氏が挙げている主な理由(報道ベース)
- 伊東市八幡野のメガソーラー計画をめぐる、
市と事業者の係争問題への関心。 - 自身が全国的に知られていることを生かし、
伊東市の問題を「国政級のテーマ」として扱いたい、という狙いとも受け取れる発言。 - 「当選を目指して立候補する」と述べており、
いわゆる“話題づくりだけ”ではない、と強調しているとも報じられています。
一方で、ネット上では
- 「伊東市民が実験場にされるのでは」
- 「市政の安定性が心配」
- 「でも、既存政治への不信感もあるし…」
といった、賛否入り混じった声も出ています。
逮捕されたら立候補できない?日本のルールを確認
ここが、
今回の記事タイトルの本題にも関わるポイントです。
逮捕されたら、もう伊東市長選には出られないの?
と不安に思う人も多いですよね。
ここで一度、日本の法律の基本ルールを整理しておきます。
公民権停止って何?
日本では、「選挙権」「被選挙権」が
一時的に失われることを公民権停止と呼びます。
ただし、
- 逮捕された瞬間に、自動的に選挙権・被選挙権がなくなるわけではありません。
選挙権や被選挙権が制限されるのは、
原則として、
- 有罪判決が確定し、一定の刑(禁錮以上など)を受けた場合
- あるいは選挙犯罪など特定の犯罪で有罪になった場合
などに限られます。
つまり今回どうなる可能性が高いか
現時点(逮捕直後)では、
- 立花氏はまだ有罪判決を受けていない状態であり、
- 名誉毀損は選挙犯罪ではありません。
そのため、
という整理が妥当です。
逮捕 = すぐ立候補不可
ではない
ここを押さえておくことが大事です。
※もちろん、今後の捜査・裁判の行方によっては状況が変わる可能性があります。
あくまで2025年11月9日時点の一般的なルールの話です。
逮捕報道で伊東市長選はどう変わる可能性がある?
ここからは、
「逮捕報道が選挙にどう影響しうるか」を、
できるだけ中立的に整理してみます。
立花氏サイドにとっての影響
(1)イメージダウンの可能性
- 「名誉毀損で逮捕」というニュースタイトルだけを見ると、
多くの人はマイナスの印象を持ちやすくなります。 - 伊東市民の中には、
「市長にはもっと落ち着いた人にやってほしい」と感じる人も出てくるかもしれません。
(2)逆に“被害者意識”で結束する支持層も
- 立花氏を以前から支持している人の中には、
「既得権益側からの圧力だ」「言論弾圧だ」と感じ、
逆に応援する気持ちが強まる人もいるかもしれません。 - 立花氏自身も、これまでの選挙で
「メディアや権力と戦う」という構図をよく使ってきました。
(3)物理的な選挙活動の制限
- 勾留が続くと、
実際に街に出て演説したり、
有権者と直接コミュニケーションを取ることが難しくなります。 - ただし、選挙期間中に保釈されれば、
残り日数で一気に話題をさらう、という展開もありえます。
他の候補や市政全体への影響
(1)「モラル」や「言葉の重さ」が争点に
- 今回の名誉毀損容疑は、
「政治家の発言がどこまで許されるのか」というテーマにもつながります。 - 他の候補者が
「市長は、市民の名誉や人権を大事にする人物であるべき」
といったメッセージを強調する可能性もあります。
(2)選挙の「話題」は増えるが、論点がぼやけるリスクも
- 立花氏の逮捕報道によって、
伊東市長選は全国ニュース級の話題になりました。 - 一方で、本来の争点である
- 学歴問題・説明責任
- メガソーラー問題
- 観光・防災・子育てなど市民生活
から、視線がそれてしまう危険もあります。
(3)「伊東市民かわいそう」という外野の声
- ネット上では、
「伊東市民がかわいそう」「絶対に拒絶したい」など、
立花氏の出馬を否定的にとらえる声も紹介されています。 - ただし、これはあくまで「外から見た人」の声であり、
実際に投票するのは伊東市民です。
投票率への影響
- 大きなニュースがあると、
「政治に興味がなかった層」が逆に興味を持つこともあります。 - 一方で、
「なんだかゴタゴタしていて嫌だ」と感じて、
投票に行くのをやめてしまう人も出てくるかもしれません。
どちらに転ぶかは、
今後の報道のトーンや、各候補の訴え方次第と言えます。
有権者として、どうニュースと向き合えばいい?
最後に、私たちがニュースを見るときの
「心構え」的なポイントをまとめます。
逮捕=有罪ではない
まず大前提として、
- 逮捕は「疑いが強いから、身柄を確保して捜査する」段階
- 裁判で有罪が確定するまでは無罪推定
というルールがあります。
感情的に「逮捕された=悪い人」と決めつけてしまうと、
大事な事実を見落とす危険があります。
元の発言や動画を自分の目で確かめる
今回のような名誉毀損の話は、
- 実際にどんな言い方をしたのか
- どんな文脈で話したのか
- どこまでが事実で、どこからが推測や憶測なのか
といった細かい部分がとても重要です。
可能であれば、
- 元になった動画や投稿
- 裁判で扱われる可能性のある一次情報
に、自分の目で触れてみることをおすすめします。
「人柄」と「政策」を分けて考える
市長選挙で投票するときに、
多くの人が気にするのは
- 人柄・信用できそうか
- 実行力がありそうか
- 自分の生活が良くなりそうか
といったポイントだと思います。
今回の逮捕報道は、
確かに「人柄」「言葉の使い方」という面に関わるニュースです。
しかし同時に、
- その候補者がどんな政策を掲げているのか
- 伊東市の将来像をどう描いているのか
- 他の候補者との具体的な違いは何なのか
も冷静に見比べたいところです。
「炎上」だけを追いかけない
SNSやネットニュースは、どうしても
- 強い言葉
- ショッキングな出来事
- 「〇〇が逮捕」「〇〇が炎上」
のような情報に注目が集まりがちです。
でも、
自分の一票は、自分のこれから数年の生活につながる選択でもあります。
- 一度深呼吸して、
- 感情的な言葉から少し距離を置き、
- できれば複数の情報源に目を通す
そんな姿勢が、
これからの日本の民主主義にはより大事になっていくのかもしれません。
まとめ
改めて、ポイントを整理します。
選挙は、本来
「誰が一番炎上しているか」ではなく、
「誰にまちの未来を預けたいか」
を決める場です。
ニュースやSNSでは、
これからも“強い言葉”や“センセーショナルな話題”が飛び交うはずです。
そんな中でこそ、
- 事実と意見を分けて考える
- 一次情報に近づこうとする
- 自分の頭でゆっくり判断する
この3つを意識しておくと、
今回の伊東市長選だけでなく、
これからのあらゆる選挙やニュースにも、
落ち着いて向き合えるようになるはずです。


