競馬ファンのあいだで、
「戸崎って、ほんと“いい人”だよね」
という声をよく見かけます。
・レース後の落ち着いたコメント
・馬を責めないスタンス
・後輩や仲間に向けたさりげない一言
こうした姿から、「腕がいい」「上手い」だけでなく、人柄まで含めて応援したくなるジョッキーとして知られています。
この記事では、
「戸崎圭太『いい人』と言われるのは、どんな根拠があるの?」
「具体的なエピソードや関係者の証言を知りたい」
という人向けに、公開されているインタビューやコラムなどの“事実ベース”の情報だけを使って、
- 「いい人」と言われる3つの根拠
- 実際に戸崎騎手をよく知る関係者の証言
を整理していきます。
※噂話や出どころ不明の“ネットのネタ”には触れず、
公式メディアやインタビューで語られた内容のみをもとにしています。
戸崎圭太ってどんな騎手?かんたんプロフィール
まずはごく簡単に、戸崎圭太騎手の歩みをおさえておきましょう。
成績面だけ見ても「トップジョッキー」ですが、
今回はその裏側にある人柄・考え方にフォーカスしていきます。
「いい人」と言われる3つの根拠
この記事では、公開されたインタビューやコラムを読み解きながら、
- 馬と人へのリスペクトが徹底している
- 自分に厳しく、感謝と反省を口にする“謙虚さ”
- 弟弟子・後輩・仲間が語る「裏表のない兄貴分」
この3つを、戸崎騎手が「いい人」と言われる主な根拠として整理してみます。
順番に見ていきましょう。
根拠1:馬と人へのリスペクトが徹底している
「馬も人間と同じ。性格をいちばん大事にする」
スポーツ誌『Number Web』のインタビューで、
戸崎騎手はこんな考え方を語っています。
- 「馬も人間と同じで、性格は一頭一頭まったく違う」
- 「僕は、馬の“走る力”よりも“性格”を大事にしたい」
さらに、競馬ラボの対談では、
“馬のリズムを崩さない”ことをデビュー当時から意識してきた
と話し、
- 性格が良い馬は、騎手の言うことを聞いてくれる
- 性格が悪い馬は、指示どおり動いてくれなかったり、我慢できなかったりする
- だからこそ「性格」を重視して、馬の気持ちを尊重したい
というスタンスをハッキリさせています。
ここから見えてくるのは、
「勝つための“道具”として馬を見るのではなく、
ひとつの“人格”を持ったパートナーとして見ている」
という視点です。
「リズムを守る」=自分だけでなく、馬にもファンにも誠実
同じ対談のなかで、戸崎騎手は「リズム」についてこう説明しています。
- 自分の中に“リズム”はあるが、馬のリズムを崩しそうなら無理をしない
- 「これはダメだな」と思ったら、ポジションを下げてでも馬のリズムを守る
- 行き過ぎた競馬をしてしまった時は、自分で「ダメなレース」とハッキリ反省する
つまり、
- 馬に負担をかけて無理に前へ行くより、馬が気持ちよく走れる形を優先する
- それでもうまくいかなかったら、自分のミスとして受け止める
という、かなり“馬ファースト”な価値観です。
レースは「勝てばいい」という世界に見えますが、
その裏側でこういう考え方を持っているからこそ、
- 「無茶な仕掛けで馬を壊さない」
- 「制裁点ゼロでリーディングを獲るような、クリーンな騎乗」
という結果につながっているとも言えます。
関係者の証言①:「馬のことを第一に考えている」
大井時代の弟弟子・山崎良騎手は、
戸崎騎手の騎乗について、競馬ラボのインタビューでこう語っています。
- 「競馬に行っても、馬のことを第一に考えている」
- 「道中のコンタクトがすごくて、常に馬を前に出しながらコントロールしている」
また、
- 「自分の努力を怠らないタイプ」
- 「木馬やトレーニングのやり方が、他の騎手とはまるで違う」
とも話しており、馬を大事にしながら、自分も徹底的に鍛え続ける姿勢が伝わってきます。
馬へのリスペクト+自分の努力
このセットで成り立っているところが、
「馬にも人にも誠実な騎手」というイメージに結びつきやすいポイントと言えるでしょう。
根拠2:自分に厳しく、感謝と反省を口にする“謙虚さ”
「僕は勝負弱い。騎手向きの性格じゃない」
意外に思うかもしれませんが、
戸崎騎手は『Number Web』のインタビューで、こんな自己評価をしています。
- 「僕は勝負弱い。騎手向きの性格じゃない」
- 「野球をやっていた頃もずっと補欠だった」
- 「チャンスがあると思って家族を呼んだレースで、一度も勝てなかった」
リーディングジョッキーが、
ここまであっさり「自分は勝負弱い」と言ってしまうのは、なかなか珍しいですよね。
そのうえで彼は、
- 「自分が騎手としてやってこられたのは、
馬が走ってくれて、周りの人に恵まれているから」
と語り、
- 地方時代にお世話になった調教師
- 中央移籍を後押ししてくれた関係者
などへの感謝を、何度も繰り返しています。
「今できることをやるしかない」大怪我からの復帰でも前向き
2019年のJBCでの落馬事故で大怪我を負ったときも、
TENTIALのインタビューで、こんなふうに振り返っています。
- 手が握れないほどの大怪我で、「復帰できるか分からない」状態だった
- それでも「今できることをやるしかない」と毎日リハビリを続けた
- 「続けること」自体は、それほど苦ではなかった
さらに、子どもの頃から、
- 補欠でも「絶対にレギュラーになれる」と信じて野球を続けていた
- 「プロ野球選手になれる」と信じていたほど楽観的な性格
だとも話しています。
ここから見えるのは、
「自分を過大評価しない、でも“今やれること”から逃げない」
という、かなり地に足のついた前向きさです。
緊張しやすい自分を受け入れ、プレッシャーと向き合う
同じインタビューで、戸崎騎手は、
- 「大レースじゃなくても、ゲートに入った瞬間に心臓が飛び出しそうになる」
- 「それでも少しずつ受け入れられるようになってきた」
とも話しています。
強がったり、カッコつけたりせず、
- 緊張する自分
- 勝負弱いと感じている自分
をそのまま受け止めながら、
「それでもやる」「今に集中する」と言い切るところに、
人としての“素直さ”や“誠実さ”を感じる人も多いはずです。
関係者の証言②:「努力を怠らない」「競馬オタクみたい」
先ほどの弟弟子・山崎良騎手は、戸崎騎手について、
- 「常日頃から考えていることが深い」
- 「生活は“家族と競馬”くらいなんじゃないかというくらい、競馬に打ち込んでいる」
- 「言ったことに重みがある」
と語り、
「競馬オタクみたい」という表現で、そのひたむきさを表現しています。
また、大井時代に同じ厩舎にいた調教助手は、
別の記事で「圭太がいなかったら今の自分はない」とまで語っており、
周囲の人たちからも信頼され、頼りにされている存在であることがわかります。
努力家でありながら、
自分を“すごい人”として見せようとしない。
このギャップが、
「いい人」「謙虚な人」というイメージを作っていると言えるでしょう。
根拠3:弟弟子・後輩・仲間が語る「裏表のない兄貴分」
「あんまり自分から言わない人」でも、要所では強く背中を押す
先ほど紹介した、
競馬ラボの「唯一の弟弟子が明かす素顔」という企画では、
大井の山崎良騎手が、戸崎騎手との関わりをかなり具体的に話しています。
- 成績が伸び悩んでいた山崎騎手が今後を相談したとき、
戸崎騎手は「どこでもいいから“乗りに行く場所”を増やせ」とアドバイスした - そのなかで、高崎(境共同トレーニングセンター)に行くことを強くすすめた
- 普段はあまり強く言わない人なのに、そのときは本当に強く言ってくれた
山崎騎手は、これをきっかけに高崎へ通い、
「乗り馬も増えて、行ってよかった」と振り返っています。
ふだんは
- 「あまり人に強く言わない」
- 「笑顔で“あんまり深く考えないで、適当にやればいいんだよ”と言うタイプ」
なのに、
本当に大事な場面ではハッキリと背中を押してくれる。
この“オン・オフ”のバランスが、
後輩から見て「頼れる兄貴分」と感じられるポイントでしょう。
裏表がなく、上下で態度を変えない
同じインタビューのなかで、山崎騎手は戸崎騎手について、
- 「裏表が本当にない」
- 「上の人にも下の人にも、話し方が変わらない」
- 「家族以外で、あそこまで信用できる人はいない」
とまで言っています。
また、戸崎騎手は、
- 弟弟子や若手騎手と一緒に競馬を見ながらアドバイスをする
- 自分の通うジムを紹介し、一緒にトレーニングをする
など、
“稼いでいるトップジョッキー”と“まだ結果を出せていない若手”という差を気にせず、
対等な人間として付き合っていることもわかります。
グルテンフリー生活にもにじむ「周囲への気づかい」
TENTIALのインタビューでは、
戸崎騎手が「グルテンフリー(小麦抜き)の食生活」を続けているエピソードも紹介されています。
- 体調不良や蕁麻疹がきっかけで、小麦を抜くようになった
- 調味料まで含めて小麦を避ける時期もあり、一番苦労したのは奥さんだった
- 競馬場の寮では、自分で調味料を持ち込み、
食堂のスタッフに「小麦を使わないでください」と丁寧に相談していた
さらに、
- グルテンフリーを続けることで、「イライラすることも減った気がする」
とも話しており、
自分の体調管理のためだけでなく、
「周りに当たらないようにする」「いつも穏やかでいる」
という、人付き合いの面でもプラスになっていることがうかがえます。
関係者の証言③:「身内のように縁を大事にしてくれる」
山崎良騎手は、戸崎騎手との関係について、
- 「これは縁なんだから」と、身内のように接してくれる
- 自分の成績が悪くても、態度を変えず対等に話してくれる
- 「家族以外で、あそこまで信用できる人はいない」と言い切れる存在
と語っています。
また、過去の同シリーズでは、
大井時代の調教助手が
- 「圭太がいなかったら今の自分はない」
とまで話しており、
仕事を通じて関わった人との縁を長く大事にしていることがわかります。
こうした具体的な“関係者の証言”を並べていくと、
「後輩や仲間から“利用される”のではなく、“心から信頼されている先輩”」
だということが、かなりハッキリ見えてきます。
「いい人=甘い人」ではない
ここまで読むと、
「やさしそうだし、すごく“いい人”なのは伝わった。
でも、勝負の世界で“甘い”だけじゃ生き残れないのでは?」
と感じるかもしれません。
実際、戸崎騎手は、
- リズムを守る
- 馬の性格を大事にする
- 後輩には普段は優しく、要所では厳しく言う
というスタンスで、
やさしさと厳しさを両立させているタイプです。
さらに、
- 制裁点ゼロでリーディングを獲るほど、ルールを守るフェアな騎乗
- 大怪我からもコツコツとリハビリを続けて復帰した粘り強さ
- 競馬が「楽しくてしょうがない」と語るほどの情熱
こうした要素を合わせて見ると、
「単に“優しいだけの人”ではなく、
厳しい勝負の世界でも、自分の信念を曲げずに戦っている人」
という姿が見えてきます。
だからこそ、
- 実力でリーディングを獲りながら
- 人柄でも多くの関係者から慕われる
という、ちょっと珍しいタイプのトップジョッキーになっているのかもしれません。
まとめ:戸崎圭太が「いい人」と言われる3つの理由
最後に、この記事の内容をあらためて整理します。
① 馬と人へのリスペクトが徹底している
- 「馬も人間と同じ。性格が一頭一頭違う」と語り、性格を重視する
- 「馬のリズムを崩さない」ことを身上とし、無理な競馬をしない
- 制裁点ゼロでリーディングを獲るなど、クリーンな騎乗スタイル
② 自分に厳しく、感謝と反省を口にする“謙虚さ”
- トップジョッキーでありながら「自分は勝負弱い」と語る
- 「馬が走ってくれて、周りの人に恵まれただけ」と何度も感謝を口にする
- 大怪我からの復帰でも「今できることをやるしかない」とコツコツ歩み続けた
③ 弟弟子・後輩・仲間が語る「裏表のない兄貴分」
- 普段はあまり強く言わないのに、大事な場面では本気で背中を押してくれる
- 上下で態度を変えず、弟弟子から「家族以外で一番信用できる」と言われる
- 縁を「身内みたいなもの」と表現し、後輩や仲間との関係を長く大切にしている
こうした“中身”があるからこそ、
ネット上のイメージや一部の成績だけではなく、
「人としても応援したくなるジョッキー」
「負けても、また次も買いたくなる騎手」
として、多くのファンや関係者に愛されているのだと思います。
もちろん、人間なので完璧ではありませんし、
レース内容について批判されることもあります。
それでも、
- 馬を大切にする姿勢
- 周りへの感謝を忘れない言葉
- 後輩や仲間へのさりげない気づかい
こうしたものが積み重なって、
「戸崎圭太=いい人」という評価が自然と広がっていった――
それがこの記事で見えてきた結論です。
競馬を見るとき、
「このレース、戸崎はどんなリズムで乗っているんだろう?」
「この馬の性格をどう汲み取っているんだろう?」
そんな視点でレースを見ると、
また一段と競馬が面白く感じられるはずです。



