伊礼彼方が演じたマノゴローとは何者?モデルになった実在の人物は?
朝ドラ「あんぱん」に登場するミュージカル演出家・マノゴロー(マノ・ゴロー)。
ヒロインたちが手がけるミュージカル「怪傑アンパンマン」の演出を任される“大物演出家”として登場し、物語の終盤を一気に盛り上げてくれる存在です。
この記事では、
- マノゴローはドラマの中でどんな人物なのか
- どんな場面で活躍するのか
- モデルになったと言われる実在の人物は誰なのか
- 演じている俳優・伊礼彼方さんはどんな人なのか
を解説していきます。
マノゴローってどんな人物?
まずは、ドラマ「あんぱん」に登場するマノゴローの基本情報から整理してみましょう。
職業:一流のミュージカル演出家
作中のマノゴローは、ミュージカル「怪傑アンパンマン」の演出を任される、売れっ子の舞台演出家です。
のぶ(今田美桜)や嵩(北村匠海)たちからも「有名な演出家」として紹介され、のぶの母・羽多子まで知っているほどの存在として描かれています。
稽古場では、舞台セットを前にして、
- どう動けばお客さんに一番伝わるか
- 限られた予算の中で、どうやって工夫して面白く見せるか
などを細かく考えながらスタッフと話し合っています。演出家という仕事が、「頭の中で舞台全体をイメージしながら、俳優やスタッフを導く役割」だと、視聴者にも伝わる描かれ方です。
性格:ユーモアがあって、仕事にはシビア
マノゴローは、登場シーンからちょっとしたジョークを飛ばす、ユーモアのある人物として描かれます。
たとえば、セットを見ながら「このセット、うちのミュージカルでも使いましょう。その方が安く上がる」と笑いながら話す場面は、視聴者からも「こういう現場、ありそう」とクスッとされたところです。
一方で、作品づくりに対してはとてもシビア。
- 舞台のクオリティ
- 観客にどう届くか
- キャストの演技の完成度
などには妥協しない雰囲気を持っています。のぶや嵩にとっては、少しプレッシャーを感じるほどの“大物”ですが、その存在が物語の緊張感を高め、アンパンマンのミュージカルを「本物の舞台作品」として成立させる役割を担っています。
「あんぱん」と「怪傑アンパンマン」の中での役割
マノゴローを理解するには、ドラマ「あんぱん」自体のテーマや、第25週「怪傑アンパンマン」の流れを知っておくと分かりやすくなります。
ドラマ「あんぱん」とは?
「あんぱん」は、「アンパンマン」を生んだ漫画家・やなせたかしさんと、その妻・小松暢さんの半生をモデルにした朝ドラです。何者でもなかった二人が、戦争や貧困、挫折を乗り越えながら、「逆転しない正義」を体現したアンパンマンにたどりつくまでが描かれます。
物語の後半では、嵩が描いたアンパンマンをもとにした絵本や、雑誌「詩とメルヘン」の編集、そしてミュージカル「怪傑アンパンマン」の制作が描かれます。
マノゴローが登場する第25週「怪傑アンパンマン」
マノゴローが本格的に登場するのは、第25週「怪傑アンパンマン」。
- 音楽家のたくやが、「怪傑アンパンマン」をミュージカルとして舞台化しようと提案する
- その演出を、舞台演出家・マノゴローが引き受ける
- のぶやメイコたちも稽古場や宣伝で関わり、舞台を成功させようと奔走する
という流れの中で、マノゴローは中心人物の一人として描かれます。
舞台は無事成功しますが、嵩の中には「何かが足りない」というモヤモヤが残る――というのも、第25週の重要なポイントです。マノゴローの演出はプロとして完璧に近いものの、嵩が求めていた「アンパンマンに込めた思い」との間に、微妙なズレがある。その「ズレ」も含めて、マノゴローというキャラクターは、作品づくりの難しさを象徴している存在だと言えます。
モデルになった実在の人物は?キノ・トール説を解説
視聴者の間で特に話題になっているのが、
「マノゴローって、実在の誰かがモデルなの?」
という点です。
結論から言うと、公式が「この人がモデルです」とはっきり明言しているわけではありません。
しかし、多くのメディアやファンの考察では、
マノゴローのモデルは、演出家の キノ・トール(木下徹)さん だろう
という説が有力視されています。
ここからは、なぜ「キノ・トール=マノゴローのモデル説」が濃厚なのか、その理由をわかりやすく整理していきます。
理由① 名前の雰囲気がよく似ている
まず分かりやすいのが「名前の雰囲気」です。
- ドラマ:マノ・ゴロー(マノゴロー)
- 実在の人物:キノ・トール(本名:木下徹)
どちらもカタカナ表記で、言葉のリズムや響きが似ています。
朝ドラでは、実在の人物をそのままの名前で出すのではなく、
- 名前を少し変える
- 苗字や下の名前のどこかをもじる
といった形で、モデルと分かるけれども完全に同一ではない登場人物にすることがよくあります。
マノゴローも、「昭和の演出家キノ・トール」を連想させるように作られた名前だと考えると、しっくりきます。
理由② 「怪傑アンパンマン」の演出家という共通点
モデル説を一気に強めているのが、「怪傑アンパンマン」との関係です。
- ドラマ内のマノゴロー
→ ミュージカル「怪傑アンパンマン」の演出を担当。 - 実在のキノ・トール
→ いずみたく・やなせたかしコンビによるミュージカル「怪傑アンパンマン」の脚本・演出を手がけた人物として知られています。
同じタイトルの作品で、同じ「演出家」というポジションを担っていることから、「ほぼ間違いなく、ここを意識しているだろう」と多くの解説記事が指摘しています。
理由③ 昭和の笑いとテレビ文化を支えた人、という背景
キノ・トールさんは、戦後日本の演劇、ラジオ、テレビの世界で活躍した脚本家・演出家です。
- 日本大学芸術学部で演劇を学ぶ
- 学徒出陣で戦争を経験
- 戦後、「独立劇場」や「東京青年劇場」で劇団活動
- ラジオ番組『日曜娯楽版』などで脚本家として人気に
- テレビ番組『光子の窓』『夢であいましょう』『11PM』などで構成作家・演出家として活躍
という経歴を持ち、「昭和の笑い」や大衆文化を作った一人とも言われています。
ドラマ「あんぱん」自体が、「戦争をくぐり抜けた世代が、どうやって戦後の文化を築いたか」を描く作品なので、その文脈の中にキノ・トールの人生を重ね合わせるのは、ごく自然な流れです。
ただし「公式発表」ではない点に注意
ここまで見ると、マノゴロー=キノ・トール説はかなり納得感がありますが、あくまで
- NHKの公式サイトや広報資料が「キノ・トールさんがモデルです」と断言しているわけではない
- 複数のメディアやブログが「モデルと考えられる」「可能性が高い」と表現している
というレベルであることは、押さえておきたいポイントです。
そのため、ブログなどで紹介する場合は、
「モデルと考えられている」「可能性が高い」
といった表現にとどめておくと、事実ベースの記事としても安心です。
モデルとされるキノ・トールってどんな人?
では、そのモデル候補とされるキノ・トールさん本人について、もう少し詳しく見てみましょう。
キノ・トールのプロフィール
若い頃は日本大学芸術学部で演劇を学びますが、戦争によって一度その道を中断。学徒出陣で海軍航空隊の将校として出征し、終戦後に生きて戻り、再び演劇の世界へ戻ってきました。
戦後の演劇とテレビを支えたクリエイター
戦後のキノ・トールさんは、
- 劇団「独立劇場」「東京青年劇場」での活動
- テアトル・エコーでの脚本・演出
- NHKラジオ『日曜娯楽版』でのヒット
- テレビ番組『光子の窓』『夢であいましょう』『11PM』など、バラエティ・歌番組の構成や脚本
などを通して、演劇と放送の両方で、日本の大衆文化の土台を作っていきました。
特に「怪傑アンパンマン」のミュージカルに関わったことは、やなせたかしさんとの重要な接点でもあり、その縁が今回の朝ドラ「あんぱん」にも反映されていると考えられます。
マノゴロー役・伊礼彼方とは?プロフィールと魅力
マノゴローというキャラクターの魅力を語るうえで欠かせないのが、演じている俳優・伊礼彼方(いれい かなた)さんの存在です。
伊礼彼方のプロフィール
- 名前:伊礼 彼方(いれい かなた)
- 生年月日:1982年2月3日
- 出身:神奈川県(アルゼンチン生まれ)
- 身長:178cm
父は沖縄県出身、母はチリ出身で、幼少期をアルゼンチンで過ごした多文化ルーツの俳優さんです。
中学生の頃から音楽活動を始め、ライブ活動を続ける中でミュージカルと出会い、2006年の「ミュージカル『テニスの王子様』」で本格的に舞台デビュー。
その後は、
- 「エリザベート」ルドルフ皇太子役
- 「レ・ミゼラブル」ジャベール役
- 「ミス・サイゴン」エンジニア役
など、ミュージカル界でも難役・重要キャラクターを数多く演じてきました。
舞台を中心に活躍しながら、コンサート、朗読劇、ラジオドラマなどにも幅広く出演している“歌えて芝居もできる”実力派俳優です。
朝ドラ出演は「あんぱん」で2作目
伊礼さんは、2023年前期の朝ドラ「らんまん」で、元薩摩藩の実業家・高藤雅修役を演じ、「モラハラ気味の恋敵」として“ヤバ藤”の愛称で話題になりました。
「あんぱん」はそれに続く2作目の朝ドラ出演。今回のマノゴロー役では、
- 髭をたくわえた落ち着いた雰囲気
- スーツ姿で現場を仕切る“大人の男”の色気
- ユーモラスだけどプロとしての厳しさもにじませる演技
などが視聴者の注目を集めています。
もともとミュージカルで鍛えられた表現力と歌唱力を持つ俳優ですから、「ミュージカル演出家」という役どころとの相性もぴったり。キャラクターの説得力をぐっと高めていると言えるでしょう。
まとめ
最後に、この記事のポイントを簡単に整理しておきます。
マノゴローというキャラクターは、単なる“脇役”ではありません。
アンパンマンという作品が生まれ、広がっていく過程で、
- 舞台という新しい表現の場を用意した人たち
- 背景で作品を支えたクリエイターたち
へのリスペクトが込められた存在だと考えることができます。
ドラマを見返すときは、
「このマノゴローの後ろには、キノ・トールさんをはじめとした本物の演出家たちの歴史があるんだな」
という視点で見てみると、物語がさらに深く味わえるはずです。

