また「後ろから鉄砲?」石破茂はなぜ高市首相を批判するのか?

また「後ろから鉄砲?」石破茂はなぜ高市首相を批判するのか? 国内

高市早苗さんが首相になってから、まだ日が浅いのに、早くもネットではこんな声が飛び交っています。

「石破、また後ろから鉄砲撃ってるじゃん」
「前首相なんだから、もうちょっと静かにしててよ…」

実際、石破茂・前首相は、中国新聞のインタビューなどで、高市内閣の「連立の組み方」や「コメ政策の転換」にかなり辛口のコメントをしています。

この記事では、

  • そもそも「後ろから鉄砲」って何のこと?
  • 今回、石破さんは高市首相の何に怒っているのか?
  • それは“ただの足を引っ張っているだけ”なのか、“必要な苦言”なのか?

を整理していきます。


  1. 今、何が起きている?ざっくり時系列まとめ
    1. 高市内閣が誕生
    2. その一方で「公明党との連立解消」や「コメ政策転換」
    3. そこに、前首相・石破茂が苦言
  2. そもそも「後ろから鉄砲」って何?
    1. 安倍政権時代から言われ続けてきた言葉
    2. 石破本人はどう考えているのか
  3. 今回、石破茂は高市首相の“何”を批判しているのか?
    1. ① 日本維新の会との連立への「違和感」
    2. ② コメ政策の“方向転換”への怒り
    3. ③ 政権運営の“右寄り化”への不安
  4. なぜ「また後ろから鉄砲」と言われるのか?
    1. タイミングが“早すぎた”
    2. 「前首相」の立場だからこそのハードルの高さ
    3. 過去のイメージが“色眼鏡”になっている
  5. 石破茂は“なぜ”あえて批判するのか?
    1. ① 「与党の中でも、ブレーキ役が必要だ」という信念
    2. ② 自分の「レガシー」を守りたい
    3. ③ 「高市一強」にならないようにしたい
  6. 「後ろから鉄砲」か「必要な苦言」か――私たちはどう見ればいい?
    1. プラス面:与党内の“異論”には価値がある
    2. マイナス面:タイミングと“言い方”の問題
    3. 結局は「見たいものが見える」
  7. 今後、私たちがチェックすべきポイント
    1. ① 高市政権の政策は、ちゃんと説明されているか
    2. ② 石破茂の批判は、「ただの文句」で終わっていないか
    3. ③ メディア・SNSの「盛りすぎ」にも注意
  8. まとめ
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今、何が起きている?ざっくり時系列まとめ

まずは最近の流れを、ニュースをもとにサクッと整理しておきます。

高市内閣が誕生

2025年10月21日、高市早苗さんが第104代内閣総理大臣に就任しました。戦後初の「女性首相」として、かなり大きな話題になりました。

高市内閣の特徴としてよく言われるのが、

  • 自民党と日本維新の会による新しい連立政権
  • 「責任ある積極財政」を掲げた、かなり攻めた経済・財政運営

という2点です。

実際、経済財政諮問会議や成長戦略会議に「リフレ派(積極財政&金融緩和を支持する経済学者)」を次々と起用し、
「アベノミクス再び?」と金融市場でも注目されています。

その一方で「公明党との連立解消」や「コメ政策転換」

一方で、高市政権は長年続いた公明党との連立を離れ、日本維新の会との連立に舵を切りました。

さらに農業、とくにコメ政策についても、高市内閣で方向転換が始まっています。
石破内閣時代に作った政策が、早くも見直されつつあるわけです。

そこに、前首相・石破茂が苦言

そして10月30日、石破茂・前首相が中国新聞デジタルのインタビューでこのような発言をしました。

  • 維新との連立は「すごく違和感がある
  • 自民党がさらに保守に傾くことを「懸念している
  • コメ政策の方向転換については「不愉快な話だ

これが報じられると、SNSでは、

「また後ろから鉄砲かよ」
「前首相が10日でこれ言う?」

という批判が一気に広がりました。


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そもそも「後ろから鉄砲」って何?

「後ろから鉄砲を撃つ」
この言葉は、石破さんにつきまとってきた“レッテル”のようなものです。

意味としてはざっくり言うと、

「同じ政党にいながら、
表で味方っぽい顔をして、
裏では批判ばかりしている人」

というニュアンスです。

安倍政権時代から言われ続けてきた言葉

石破さんは、安倍政権の時代から、安保法制や森友・加計問題などで、かなりハッキリと批判的な発言をしてきました。

そのたびに、

「同じ自民党なのに、なんで野党みたいなこと言うんだ」
「後ろから鉄砲を撃つような真似はやめろ」

と、党内外から批判されてきた歴史があります。

石破本人はどう考えているのか

しかし石破さん自身は、この「後ろから鉄砲」批判に対して、こう反論しています。

  • 同じ政党だからこそ、
    おかしいと思うことは遠慮なく言うべきだ
  • 誤りは誤りだと指摘することが
    政権を守ることにもつながる
  • だから、党内で異論を唱えるのは
    むしろ義務だと考えている

つまり石破さんにとっては、

「後ろから撃っているつもりはない。
正面から、ちゃんと問題点を言っているだけだ」

という自己イメージなんですね。


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今回、石破茂は高市首相の“何”を批判しているのか?

では、今回の高市政権に対して、石破さんは具体的に何を問題視しているのでしょうか。
ポイントは大きく3つあります。

① 日本維新の会との連立への「違和感」

石破さんはインタビューの中で、日本維新の会との連立に対して、こんな趣旨のことを語っています。

  • 維新は「新自由主義的」である
  • その維新と連立することで、
    自民党がさらに「保守」側に傾くことを心配している

ここで言う「新自由主義的」とは、

「自己責任を強く求める、小さな政府志向」
「市場原理を重視し、弱い立場への公的な支援が弱くなりがち」

というイメージです。

石破さんは、

「自民党があまりにそちら側に寄りすぎると、
中間層や弱い立場の人を置き去りにするのではないか」

という危機感を持っている、と考えられます。

② コメ政策の“方向転換”への怒り

2つ目は、コメ政策です。

石破内閣は、農家の安定と食料安全保障を両立させるため、コメの生産や価格を支える政策を進めてきました。

ところが高市政権では、財政負担の見直しなどもあり、コメ政策の方向転換が始まっています。

これに対して石破さんは、

  • 自分たちが一生懸命つくった政策が
    あっさり変えられたことへの不満
  • コメを単なる「コスト」として扱うような発想への怒り

から、「不愉快な話だ」とまで言ったとされています。

③ 政権運営の“右寄り化”への不安

3つ目は、政権全体の「右寄り化」です。

高市首相は所信表明演説などで、強い安全保障政策や、積極的な財政出動を打ち出しています。

もちろん、これ自体は「強い日本をつくる」という意味で、支持する人も多いでしょう。

しかし石破さんは、

維新との連立+積極財政+強い安保路線
→ 自民党がかなり右側に寄り過ぎてしまうのでは?

と懸念しているように見えます。


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なぜ「また後ろから鉄砲」と言われるのか?

とはいえ、ここで出てくるのが、
例の「また後ろから鉄砲かよ」という声です。

なぜ、ここまで叩かれるのでしょうか。

タイミングが“早すぎた”

まず一つはタイミングです。

  • 高市内閣が発足して、まだ10日足らず
  • 高市首相が、ようやく組閣と国会対応で走り始めたタイミング

その時点で「違和感がある」「不愉快だ」と前首相が言えば、

「いやいや、せめてもう少し様子見してから言えよ」
「自分で推した後継じゃないの?」

と感じる人が多いのも、自然です。

「前首相」の立場だからこそのハードルの高さ

しかも今の石破さんは、

  • ついこの前まで総理大臣だった
  • まだ与党・自民党の重鎮の一人

という立場です。

その人がメディアで新政権をバッサリ批判すれば、

「だったら自分の政権の時に、
もっときちんとやってから辞めろよ」

と、ツッコミたくなる人もいるでしょう。

過去のイメージが“色眼鏡”になっている

そして何より大きいのは、
過去の「後ろから鉄砲」のイメージです。

安倍政権時代から、メディアでもネットでも、

  • 「また文句言ってる」
  • 「党内野党だ」
  • 「ずっと批判してばかり」

という語られ方をされてきました。

一度ついてしまったイメージは、簡単には消えません。

だから今回も、

「高市首相になっても、
結局やってることは同じじゃん」

と、過去と同じパターンに見えてしまうわけです。


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石破茂は“なぜ”あえて批判するのか?

ここまで読むと、

「いや、それでも今は黙って応援しとけばいいじゃん」

と感じる人も多いと思います。

では、それでも石破さんが発言する理由は何なのか?
考えられるポイントを3つに分けてみます。

① 「与党の中でも、ブレーキ役が必要だ」という信念

石破さんは、先ほどのインタビューでも、過去の文章でも一貫して、

「同じ党だからこそ、
間違いは間違いと言うべきだ」

というスタンスを取っています。

つまり、

  • 野党から批判するだけでは、政策は変わらない
  • 与党の中から「それは違う」と言える人がいないと、
    暴走してしまう

という危機感を持っている、とも読めます。

彼にとっては、高市政権の「保守色の強さ」や「連立の組み方」は、
それくらい危ない匂いがするテーマなのかもしれません。

② 自分の「レガシー」を守りたい

もう一つの側面として、
前首相としてのプライド(レガシー)もあるでしょう。

  • コメ政策など、自分の政権で苦労して作ったものが、
    あっさりひっくり返される
  • さらに、それが「前より良くなった」と評価されると、
    自分の政権は“失敗だった”と見なされかねない

人間として、これはなかなかつらい状況です。

だからこそ、

「ちょっと待て、それは違うだろ」

と言いたくなる気持ちは、理解できる部分もあります。

③ 「高市一強」にならないようにしたい

そして3つ目は、
高市政権の一強化を防ぎたいという思惑です。

  • 高市首相は、就任直後からかなり高い支持率
  • 女性首相という“新しさ”
  • 積極財政や強い安保路線という“分かりやすさ”

これらが組み合わさると、「高市一強」体制になりやすい土壌が整います。

そこに、

党内からも何も文句が出ない
→ ますますブレーキが効かなくなる

という流れを、石破さんは警戒している可能性があります。


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「後ろから鉄砲」か「必要な苦言」か――私たちはどう見ればいい?

では、私たち有権者は、この構図をどう見ればいいのでしょうか。

プラス面:与党内の“異論”には価値がある

まず、プラスの面から見てみます。

  • どんなに優秀な政権でも、
    すべての判断が正しいわけではない
  • だからこそ、同じ与党の中からのチェックは、
    民主主義にとって重要な役割

これは、原則として間違っていない考え方です。

とくに高市政権のように、
「積極財政+強い安保+維新と連立」という、
かなりドラスティックな路線を取る内閣については、

「本当にそれで大丈夫?」
「どこかで歯止めはかかるの?」

と疑問を持つ声が、党内にあること自体は自然です。

そういう意味で、石破さんの存在は、

「与党の中のブレーキ」
「もう一つの保守」

としての意味も持ち得ます。

マイナス面:タイミングと“言い方”の問題

一方で、やはり問題として見られやすいのは、

  • タイミングがあまりに早すぎる
  • 表現が「違和感がある」「不愉快だ」など、
    感情的に聞こえやすい

という点です。

同じ内容でも、

  • 内々の党内会合で、
    データを示しながら冷静に説明する
  • 公には、「こういう点が心配なので、丁寧に検討してほしい」
    くらいのトーンに抑える

という形であれば、
ここまで「後ろから鉄砲」とは言われなかったかもしれません。

結局は「見たいものが見える」

政治家への評価は、結局のところ、

こちら側が、その人に何を期待しているか

によって、大きく変わります。

  • 元々石破さんが好きな人
    → 「よく言ってくれた。これくらい言える人がいないと困る」
  • 元々石破さんに不信感がある人
    → 「ほら出た。また後ろから撃ってるよ」

今回の一件も、
多くの人が自分の“元々持っていたイメージ”を
そのまま重ねて見ている、という面は否めません。


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今後、私たちがチェックすべきポイント

最後に、「なんとなくモヤモヤする」で終わらせないために、
今後どこを見ていけばいいのかを整理しておきます。

① 高市政権の政策は、ちゃんと説明されているか

  • 維新との連立で、どんなメリット・デメリットがあるのか
  • コメ政策の変更で、農家と消費者に何が起きるのか
  • 積極財政の結果として、将来の負担はどうなるのか

これらについて、高市政権がどれだけ丁寧に説明するかは、
大事なチェックポイントです。

② 石破茂の批判は、「ただの文句」で終わっていないか

一方で、石破さん側にも、私たちはこう問うべきでしょう。

  • 具体的に、どの政策のどこが問題なのか
  • それに対して、代わりにどんな案を出すのか
  • 党内の場で、どの程度きちんと議論しているのか

もし単に、

「違和感がある」「不愉快だ」と言って終わり

なのであれば、それはやはり“文句”に見えてしまいます。

しかし、

「こういうデータがあるから、このやり方は危ない。
だから、こう修正すべきだ」

と具体的に提案できているなら、
それは「後ろから鉄砲」ではなく、
健全な党内批判と言えるはずです。

③ メディア・SNSの「盛りすぎ」にも注意

そしてもう一つ。

  • 見出しのために、発言の一部だけが切り取られる
  • SNSで、元発言を読まずに引用と感情だけが増幅される

こうした現象が起きるのは、今や日常茶飯事です。

だからこそ、私たちとしては、

「見出し」と「まとめ記事」だけで判断しない
→ できるだけ元のインタビューや会見の全文に近いものを読む

という姿勢も、大事になってきます。


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まとめ

改めて、この記事のポイントをまとめます。

  • 高市政権は、維新との連立や積極財政など、
    大きな路線転換を進めている
  • それに対して石破前首相は、
    「違和感がある」「不愉快だ」とかなり強い言葉で批判した
  • そのタイミングと言い方、そして過去のイメージも重なり、
    「また後ろから鉄砲」と叩かれている
  • 一方で、与党の中から批判する存在にも、
    民主主義的には一定の価値がある
  • 大事なのは、「誰が言ったか」ではなく、
    何を、どんな根拠で言っているのかを冷静に見ること

「後ろから鉄砲」という言葉は、分かりやすくて便利ですが、
時に“思考停止の合言葉”にもなります。

  • 本当に“後ろから”なのか
  • 本当に“鉄砲”レベルの攻撃なのか
  • それとも、必要な苦言なのか

一つひとつの発言を、
できるだけラベル抜きで見ていくことが、
これからの政治を考えるうえで大事なのかもしれません。

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