「札幌の住宅街で、中国籍の男が包丁を持っていて逮捕」
「しかも室外機の上に立っていた?」
ニュースの見出しだけ見ると、ちょっと現実感がなくて、ドラマのワンシーンのようにも感じますよね。ですが、これは2025年12月1日夜、実際に札幌市豊平区の住宅街で起きた出来事です。
この記事では、
- 事件はいつ・どこで・どうやって起きたのか
- そもそも「包丁を持ち歩く」と何が問題なのか(銃刀法のポイント)
- なぜ室外機の上に立っていたのか、考えられる理由
- 私たちが同じようなニュースから学べる「防犯の視点」
を解説していきます。
札幌・住宅街で何が起きたのか?事件の概要
まずは、報道でわかっている事実を整理してみましょう。
いつ・どこで起きた?
- 時間:2025年12月1日 夜11時半すぎ
- 場所:札幌市豊平区の住宅街(男の自宅ではない家の敷地内)
すでに多くの家庭では、子どもも寝ている時間帯。
そんな時間に、住宅街の敷地内で見知らぬ男が立っていたら…ちょっと怖いですよね。
どうやって発覚したのか?
警察に通報したのは、たまたまそのあたりを車で通っていた人でした。
- 「車に乗っていたら、男にジロジロと見られた」
- 「住宅の敷地内の室外機の上に勝手に立っている」
という内容で警察に110番通報が入ります。
この「通行人の違和感」がきっかけで、警察官が現場へ向かうことになりました。
警察が駆けつけたときの様子
警察官が到着したとき、男はまだ住宅の1階に取り付けられたエアコンの室外機の上に立っていました。
警察官が声をかけて職務質問をしたところ、男が「刃体約12センチの包丁のようなナイフ」を持っていることがわかり、その場で 銃刀法違反(刃物の不法な携帯) の疑いで逮捕されました。
逮捕された男の供述
報道によると、この男は
- 中国籍の44歳
- 「自分の身を守るために持っていた」
- 「包丁を持ち歩いてはいけないという法律が日本にあるとは知らなかった」
といった趣旨の話をしていて、容疑を一部否認しているとのことです。
もちろん、「知らなかった」「護身用だった」という言い訳が、法律的にどこまで通用するのかは、後ほどくわしく解説します。
なぜ男は室外機の上に立っていたのか?
ニュースの中でも、とくに目を引くのがここですよね。
「住宅の敷地内の室外機の上に立っていた」
報道では、室外機の上に立っていたこと自体は事実として伝えられていますが、「なぜそこに乗っていたのか」という理由までは、まだはっきりしていません。警察も、その経緯を調べている段階とされています。
そのため、「○○が目的だったに違いない」と決めつけることはできません。
ここから先は、あくまで「一般的に考えられる可能性」の話として読んでください。
考えられる可能性①:中の様子をうかがおうとした?
1階の窓のすぐ下に室外機が付いている家は多いですよね。
- 部屋の中をのぞこうとした
- 窓やベランダに手を伸ばしたかった
などの理由で、室外機を「踏み台」のように使うケースは想像できます。
とはいえ、これも 推測の域を出ません。
考えられる可能性②:逃げようとしてよじ登った?
通行人と目が合ってしまい、あわてて隠れようとして中途半端な場所に乗ってしまった、という可能性もゼロではないでしょう。
ただ、室外機の上というのは、隠れるにはかなり中途半端な場所です。
むしろ、外からはかえって「目立つ」位置でもあります。
考えられる可能性③:酔っていた・冷静でなかった可能性
夜の11時半すぎという時間帯から考えると、
- お酒を飲んでいた
- 強いストレスや混乱状態にあった
といった可能性もありますが、これも今のところ公式な発表はなく、単なる想像でしかありません。
大事なのは「理由を決めつけない」こと
私たちがニュースを読むときに気をつけたいのは、
- 「中国籍だからこうだ」
- 「○○人は危ない」
といった、国籍や属性だけで人をまとめて決めつけないことです。
今回の事件で問題なのは、
- 住宅街の敷地内に無断で入り
- 包丁を持った状態でいた
という行動そのものであって、国籍そのものではありません。
ニュースは「何が起きたか」を知るための情報ですが、同時に「偏見を強める材料」にもなりやすいので、ここは意識して分けて考えたいポイントです。
そもそも「包丁を持ち歩く」と何が違法なのか?
逮捕容疑は「銃刀法違反(刃物の不法な携帯)」です。
ここでいう「銃刀法」は、正式には 「銃砲刀剣類所持等取締法」 といいます。
銃刀法が禁止していること
警視庁などの説明によると、銃刀法22条では、ざっくりいうとこんな内容が定められています。
- 刃の長さが 6センチを超える刃物 は
- 仕事などの正当な理由がない限り、持ち歩いてはいけない
ここでいう「刃物」には、
- 包丁
- 果物ナイフ
- カッターナイフ
- 一部のナイフ類
などが含まれます。
「正当な理由」があればOKなこともある
たとえば、
- 買ったばかりの包丁を、家に持ち帰る途中
- 料理人が自分の包丁を、職場に持っていく途中
- キャンプ場に行くときに、調理用のナイフを持っていく
などは、一般的には「正当な理由がある」とみなされやすいケースです。
もちろん、「どういう持ち方をしているか」「どこに入れているか」など、細かい事情によって判断は変わります。
「護身用だから」は正当な理由にならない
法律の解説をしている弁護士サイトなどでは、よく次のように書かれています。
- 「護身用にナイフを持っていただけ」という言い訳は
- 正当な理由として認められないことが多い
もし「護身用だからOK」としてしまうと、誰でもナイフや包丁を持ち歩けることになってしまい、かえって危険が増えてしまいますよね。
今回の札幌の事件でも、男は「自分の身を守るために持っていた」と話していると報じられていますが、これが 法律的に認められるかどうかは別問題 です。
「日本の法律を知らなかった」は通用するのか?
男は「日本に包丁を持ち歩いてはいけない法律があるとは知らなかった」とも話していると報道されています。
ここで、素朴な疑問が出てきます。
「法律を知らなかったなら、仕方ないのでは?」
残念ながら、法律の世界では
「知らなかったから」は基本的には言い訳になりません。
これは日本人でも外国人でも同じです。
なぜ「知らなかった」が言い訳にならないのか?
理由はシンプルで、
- 「知らなかった」と言えば、どんな法律違反も逃げられてしまう
- それでは社会のルールが成り立たない
からです。
もちろん、
- 日本に来たばかりの外国人が
- 日本語もあまり読めない状態で
- 細かい法律まで完璧に理解するのは難しい
という現実もあります。
でもそれでも、「銃や刃物」「麻薬」「飲酒運転」など、危険度が高い分野のルールは、やはり自分で確認しておく必要がある、というのが法律の考え方です。
この事件から私たちが学べること
ニュースをただ「怖い話」として終わらせてしまうのは、ちょっともったいないですよね。
ここからは、私たちが日常生活で意識しておきたいポイントを整理してみます。
「あれ?おかしいな」と感じたら通報してよい
今回の事件は、通行人の
「車に乗っていたらジロジロ見られた」
「住宅の敷地内の室外機の上に立っていた」
という違和感から通報され、発覚しました。
- 「自分の勘違いだったらどうしよう…」
- 「こんなことで通報していいのかな…」
と、ためらってしまう人も多いと思います。
でも、もし今回通報がなかったら、この男は今も包丁を持ったまま、どこかの住宅街にいたかもしれません。
「何か変だな」「危ないかも」と感じたら、遠慮せず110番してよい、ということを改めて教えてくれるケースです。
刃物の持ち歩きには、本当に気をつける
このニュースを「他人事」として終わらせないために、私たち自身も気をつけたいところがあります。
たとえば、
- 引っ越しやキャンプで、うっかり刃物をむき出しで車に積んでしまう
- 仕事用のカッターやナイフを、普段のバッグに入れっぱなしにしてしまう
など、「悪気はなくても銃刀法や軽犯罪法に引っかかる」ケースは意外と多いと指摘されています。
ポイントは「むやみに持ち歩かない」「使わないときは厳重にしまう」こと。
これだけで、トラブルになる可能性はぐっと下がります。
防犯グッズは「法律に触れないもの」を選ぶ
「世の中物騒だから、身を守る何かを持ち歩きたい」と思う人もいるかもしれません。
ただ、ナイフや包丁は先ほど見たとおり、法律的なハードルが高くなります。
- 防犯ブザー
- 大きな音が出るアラーム
- スマホで家族や友人とすぐにつながる設定
など、人を傷つける道具ではなく、「助けを呼ぶ」ための道具の方が、現実的で安全な防犯対策 です。
まとめ
最後に、今回の「札幌住宅街で中国籍男が包丁所持逮捕」のニュースから、押さえておきたいポイントを振り返ります。

