2025年12月9日、「現役ドラフト2025」で阪神タイガースの井上広大外野手が、千葉ロッテマリーンズから指名され、移籍することになりました。
阪神ファンにとっては「将来の4番候補」としてずっと名前が挙がってきた選手ですし、ロッテファンにとっては「右の大砲候補を格安で拾ったのでは?」と期待がふくらむニュースですよね。
この記事では、
- そもそも井上広大ってどんな選手?
- 阪神時代の1軍・2軍での成績はどうだったのか
- ロッテに移籍して本当にチャンスが増えそうなのか
- ファン目線での「今後の予想」
を整理していきます。
井上広大ってどんな選手?ざっくりプロフィール
まずは基本情報から。
- 名前:井上 広大(いのうえ こうた)
- 生年月日:2001年8月12日(24歳・2025年シーズン終了時点)
- 出身:大阪府大東市
- 出身校:履正社高校(強豪校として有名)
- ポジション:外野手
- 投打:右投げ右打ち
- 入団:2019年ドラフト2位で阪神に入団
高校時代から「右の長距離砲」として期待されてきた選手で、プロに入ってからも「阪神の将来の4番候補」「未完の大器」と呼ばれ続けてきました。
体格もガッチリしていて、見るからに長打を打ちそうなタイプ。実際、2軍(ウエスタン・リーグ)では早い時期から4番を任され、若いうちからクリーンナップを背負ってきた“打つ人”です。
阪神時代の1軍成績をやさしく整理
「将来の4番候補」という言葉だけ聞くと、「じゃあ1軍でガンガン打ってたんでしょ?」と思うかもしれません。
ですが、実際の1軍での数字を冷静に見ると、かなり“物足りない”のも事実です。NPB公式の成績をもとに、ざっくり整理してみます。
1軍通算(2020〜2025年・阪神時代)
- 試合:45試合
- 打席:111
- 打数:106
- 安打:20
- 打率:.189
- 本塁打:3
- 打点:16
- 盗塁:2
「45試合」という数字は、6年在籍した割にはどうしても寂しく映りますよね。フルシーズン出るレギュラーなら、1年で120〜140試合くらい出る世界ですから、それを考えると“チャンスは細切れ”だったことがわかります。
2024年シーズンだけを見ると…
スポーツ紙のまとめや詳細データを見ると、2024年の1軍では23試合に出場し、打率.212、本塁打3本という成績でした。
- 打率:.212
- 試合:23試合
- 本塁打:3本
数字だけ見ると「そこまで悪くはないけど、レギュラーを任せきれるほどではない」というラインです。特に阪神のように優勝争いをするチームでは、“少しでも不安要素がある若手”より、“計算できるベテランや実績組”が優先されがちです。
2025年は、まさかの「1試合だけ」
2025年は、4月1日に1軍で1試合出場したものの、3打数ノーヒット。その後はシーズンを通してほとんど2軍暮らしだったと報じられています。
ここまでくると、「このまま阪神にいても1軍での出番はほとんどないのでは…?」という空気が、球団にも本人にもあったはずです。
実は2軍ではバリバリ打っていた:ウエスタン首位打者&タイトルだらけ
1軍の数字だけ見ると、どうしても地味に見えてしまう井上選手ですが、2軍ではむしろ“タイトルコレクター”でした。
2軍での主な実績(ウエスタン・リーグ)
報道や公式記録をまとめると、2軍ではこんなタイトルを取っています。
- 2021年:打点王
- 2022年:最多安打
- 2024年:首位打者(打率.308、8本塁打、52打点)
特に2024年は、
- 打率:.308
- 試合:83
- 安打:95
- 本塁打:8
- 打点:52
と、規定打席に到達した中で唯一の打率3割の打者として首位打者になっています。
「2軍では無双しているのに、1軍では結果が出ない」
──これは、プロ野球でよくあるパターンですが、井上選手もまさにこの壁にはばまれてきた選手です。
「5年以内に本塁打王&打点王宣言」までしていた
2024年のNPBアワードでは、自ら「5年以内に、1軍で本塁打王と打点王を狙いたい」と宣言していました。
このコメントからもわかるように、本人は「1軍でタイトルを狙うつもり」で野球を続けているし、その自信の根拠が2軍の成績だったわけです。
それでも阪神で出番が限られた理由
「2軍でこれだけ結果を出しているのに、なんで阪神では出番がなかったの?」
ここが、阪神ファンにとって一番モヤモヤするポイントかもしれません。
理由はざっくり言うと、次のようなものが考えられます。
① 外野のレギュラー争いがとんでもなく激しい
阪神は近年、外野に有力選手がひしめいています。
- センター:不動のレギュラー級
- 両翼:若手・中堅・助っ人が激しく競争
という構図で、「ちょっと打てない期間がある若手」にはかなり厳しい環境です。
井上選手は“将来の4番候補”として期待される一方で、守備面や走塁面で「安心して使えるレベル」にまではなかなか到達できなかった、という見方もされています。
② 三振の多さと“波の大きさ”
2軍のデータを見ると、井上選手は長打力がある反面、三振も多いタイプです。
- 長打を打てる
- その代わり空振りも多い
という打者は、爆発したときの破壊力は魅力ですが、「優勝争いの真っ最中」というチーム事情の中では、「どうしても我慢して使い続ける余裕は少ない」ものです。
③ チームとして「即戦力」を優先せざるを得なかった
阪神はここ数年、優勝やAクラスが当たり前の球団になっています。そんな中で、
「来年からの数年間を考えると、今すぐ計算できる選手を優先したい」
という判断があったとしても、不思議ではありません。
実際、今回の現役ドラフトでは、阪神はヤクルトから濱田太貴外野手を指名しています。同じ右の外野手を入れ替えた形で、井上選手を“環境を変えてあげる”決断をしたとも言えます。
ロッテが井上広大を指名した理由:足りなかった“右の一発”
では、ロッテ側から見てみましょう。
ロッテのここ数年の課題:「長打力がちょっと物足りない」
ロッテはここ数年、「守りはいいけど、もう少し一発がほしい」「得点力をどう上げるか」が課題と言われてきました。
もちろん、ポランコのような長距離砲や、安田・山口といった若手もいますが、
「右打ちの大砲候補」
というタイプは、まだまだ数が足りません。
そんな中で、
- 2軍では“打撃タイトルを総なめ”に近い活躍
- 24歳とまだ若い
- 右の長距離砲タイプ
という井上選手は、ロッテにとっては「リスクが比較的少ない、伸びしろだらけの素材」に見えたはずです。
実際、ロッテのサブロー監督も「パンチ力がある選手。大いに期待している」とコメントしていますし、ファンからも「大勝利」「こんな選手もらっていいの?」という声が上がっています。
ロッテ移籍でチャンスは増えるのか?
では本題です。
「ロッテに移籍して、井上広大の出場機会は本当に増えそうなのか?」
これは、完全には誰にもわかりません。
…が、阪神に残るよりは、チャンスが増える可能性は高いと考えられます。
ポイント①:「現役ドラフト」で取った=計画的な補強
現役ドラフトは、「使い道がよくわからないけど、とりあえず取っておこう」という場ではありません。
- 出場機会が少ない選手を
- 必要としている球団が
- きちんとリストアップして指名する
という制度です。
つまりロッテは、
「右の長距離砲候補がほしい。
その中で、井上広大に賭けたい」
と、ある程度決め打ちして指名しているはずです。これは大きなプラス要素です。
ポイント②:若手主体の打線に“ハマりやすい”タイプ
ロッテは若手・中堅が多い打線で、「この選手を絶対に外せない4番」という存在は、まだ固定しきれていない印象があります。
そこに、
- 2軍で打率.308&8本塁打&52打点の井上
- 右のパワーヒッター
- まだ24歳
というプロフィールの選手が入ってくるわけですから、
「当たればデカいギャンブル」
としては、かなり魅力的です。
ポイント③:ラストチャンスと自覚している本人のコメント
本人も、
「心機一転、ラストチャンスだと思って結果にこだわって頑張る」
とコメントしていて、かなり腹をくくっている様子が伝わります。
この「ラストチャンスだ」という危機感は、いい意味でのプレッシャーになり得ます。
今後の活躍を“勝手に予想”してみる
ここからは、あくまで個人の予想です。
でも、こうやってシナリオを考えると、プロ野球は何倍も楽しくなるので、少しだけお付き合いください。
シナリオA:2026年までにレギュラー定着&2ケタ本塁打
- 2026年シーズンあたりから、外野の一角またはDHでスタメン出場が増える
- 年間10〜15本の本塁打を打ち、「ロッテの中軸候補」として扱われる
- 阪神ファンが「なんで出したんや…」と本気で頭を抱えるパターン
このシナリオの鍵は、「三振の多さをどこまで許容してもらえるか」です。
多少三振しても、「一発があるから使おう」と思われれば、一気にチャンスは広がります。
シナリオB:代打・対左投手専門として価値を高める
- 左投手が先発・リリーフで出てきた時の“切り札”的な役割
- 試合終盤の代打要員として、年間5本〜前後の代打ホームランを量産
- フル出場は少ないものの、「いてくれると助かる選手」枠に定着
2軍での実績と長打力を考えると、この役割でも十分価値があります。
シナリオC:2軍では打つけれど、1軍では数字が伸びないまま…という可能性も
現実的には、こういう可能性もゼロではありません。
- 2軍では相変わらず打つ
- でも1軍では、変化球への対応やインコース攻めに苦しむ
- 「ファームの主」として数年が過ぎる
そうなってしまうと、本当に“ラストチャンスを逃した”形になってしまいます。
だからこそ、ロッテでの最初の1〜2年は、ファン以上に本人が勝負どころを強く意識しているはずです。
ファンとして「どこを見て楽しめばいいか?」
せっかくなので、井上広大をロッテで見るときに、どこに注目すると楽しいかも書いておきます。
注目ポイント①:打球の質
- 「角度のある大きなフライ」が増えてきたら、覚醒のサイン
- ラインドライブ(低い弾道のライナー)ばかりだと、まだ本来の長打力を出し切れていない可能性
テレビやハイライトでも、「打球の伸び」はわかりやすいです。
注目ポイント②:三振の“仕方”
- 同じ三振でも、「ストレートに押し込まれているのか」「変化球でタイミングを外されているのか」
- 見逃し三振より、空振り三振が多いタイプなら、「振れている」とポジティブに見ることもできます
もちろん、三振しないに越したことはありませんが、
「振り切って三振しているか」
も、長距離砲を育てるうえでは大事な視点です。
注目ポイント③:ベンチでの表情や立ち振る舞い
現役ドラフトで移籍した選手は、どうしても「前の球団でくすぶっていた」というイメージがつきまといます。
その中で、
- ベンチでの雰囲気づくり
- 打てなかったときの表情
- チームメイトとの距離感
こうした部分をポジティブに変えていけるかどうかも、新天地で成功する大きな要素です。
井上選手自身も「心機一転」と話しているので、ここがガラッと変わると、案外一気に流れが向いてくるかもしれません。
まとめ
ここまでの話をざっくりまとめると、
という状況です。


