現役ドラフトとは?通常ドラフト・トレードとの違い!2025年の事例と比較

現役ドラフトとは?通常ドラフト・トレードとの違い!2025年の事例 スポーツ

まず、いきなり結論からいきます。

現役ドラフトとは、今いるチームで出場機会が少ない選手を、他の球団が指名して獲得できる制度のことです。

目的は、

「塩漬けになっている実力者に、新しいステージでチャンスをあげよう」

というもの。日本野球機構(NPB)が2022年からスタートさせた新しい仕組みで、毎年12月に実施されています。

もともとアメリカ・メジャーリーグの「ルール5ドラフト」という制度を参考に作られていて、
「2軍でしっかり結果を出しているのに、1軍の枠やチーム事情で使ってもらえない選手」に光を当てる狙いがあります。


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通常ドラフトとの違い

「これから入る人」か「すでにプロで戦っている人」か

まずは分かりやすいところから、「普通のドラフト(新人ドラフト)」とどう違うのかを整理しておきましょう。

対象となる選手が違う

  • 通常ドラフト
    • 高校生・大学生・社会人など、まだプロに所属していない選手
    • 「これからプロに入る人」を各球団が指名するイベント
  • 現役ドラフト
    • すでにNPBの球団に所属している現役選手
    • 「今プロにいるけど、出番が少ない人」を他球団が指名する

つまり、

「入口を決めるのが通常ドラフト」
「席替えをするのが現役ドラフト」

というイメージです。

実施されるタイミングが違う

  • 通常ドラフト:シーズン終盤(10月頃)に行われる
  • 現役ドラフト:シーズン終了後、12月に行われる

シーズンが終わり、来年の戦力を考えはじめるタイミングで、
「ウチでは出番を作りにくいけど、他球団ならチャンスがあるかも」という選手を動かすわけですね。

目的が違う

  • 通常ドラフト:
    • 将来を見据えた戦力補強
    • 「いい素材を早く囲い込む」がテーマ
  • 現役ドラフト:
    • 出場機会の少ない選手の救済
    • 選手のキャリアを動かし、各球団の戦力を“ならす”狙い

どちらも「戦力補強」であることには変わりませんが、
新人ドラフトは“将来への投資”、現役ドラフトは“今いる人材の再配置”という違いが大きいです。


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トレードとの違い

「球団同士の交渉」か「共通ルールのドラフト」か

次に、よく比べられるのがトレードです。

トレードも、現役ドラフトと同じく「移籍」の一種ですが、仕組みはかなり違います。

誰が動かすのか

  • トレード
    • 球団同士が直接交渉して、
      「ウチの○○をそっちの△△と交換しない?」
      と話をまとめる。
    • 1対1、2対1、金銭トレードなど形はさまざま。
  • 現役ドラフト
    • NPBが決めたルールのもとで、
      12球団が一斉に「ドラフト会議」のような形で指名する。

選手側からすると、トレードは「水面下で話が進んで、ある日いきなり発表される」のに対し、現役ドラフトは「リストに入る可能性があり、当日まとめて発表される」という違いがあります。

主な目的の違い

  • トレード
    • 足りないポジションを補強する
    • お互いの“ニーズの交換”
  • 現役ドラフト
    • 出場機会の少ない選手にチャンスを与える
    • 移籍によって選手のキャリアの停滞を防ぐ

もちろん現役ドラフトも「補強」であることには変わりませんが、
“ベンチで眠っている選手を起こす”という色がかなり濃い制度です。


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現役ドラフトの具体的なルール(2025年時点)

2025年の情報をもとに、できるだけシンプルにルールをまとめます。

いつ行われる?

  • 2025年は12月9日に実施
  • 2022年のスタートから数えて第4回目の現役ドラフト
  • 会議はオンライン・非公開で行われ、結果だけが公式サイトなどで発表されます。

どんな選手が対象?

各球団は、2人以上の「現役ドラフト対象選手」をリストアップします。
ただし、以下のような選手は対象外です。

  • 新人選手(ドラフトで入ったばかり)
  • FA権を持っている、または過去に行使した選手
  • 複数年契約中の選手
  • 育成選手
  • 外国人選手
  • シーズン終了後に育成→支配下になった選手
  • シーズン終了後に移籍した選手
  • 来季年俸5000万円以上の選手

ざっくり言うと、

「一軍の主力級ではなく、ベンチや二軍にいることが多い日本人現役選手」

が中心になります。

12球団の義務

  • 全12球団が、対象選手を2人以上リストアップする
  • そして、必ず1人以上は指名して獲得しなければならない

つまり、

「出ていく選手が必ず1人以上いて、入ってくる選手も必ず1人以上いる」

という“出入りセット”の仕組みです。

2巡目ルールの変更(2025年のポイント)

2025年は、第4回目にして2巡目のルールが一部変更されました。

  • 従来:
    • 「2巡目で指名する意思がある球団だけ」参加
  • 2025年から:
    • 自分は選手を獲得しなくても、所属選手を他球団に移籍させる目的だけで2巡目に参加することも可能

つまり、

「ウチでは出番ないから、誰か取ってあげて」

と手を挙げることもやりやすくしたわけです。

…ところが。
2025年も2巡目の指名はゼロ。
移籍した選手は、1巡目の12人だけという結果に終わりました。

制度の「活性化」という意味では、まだまだ改善の余地があると言われています。


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過去の「大当たり」事例

細川成也・大竹耕太郎・水谷瞬・田中瑛斗…

「本当にチャンスになるの?」という疑問に答えるうえで、過去の成功例は欠かせません。

細川 成也(DeNA→中日)

  • 2022年、第1回現役ドラフトでDeNAから中日へ
  • 移籍後、3年連続20本塁打の主砲に成長
  • オールスター出場、ベストナイン獲得と完全に“看板選手”へ

大竹 耕太郎(ソフトバンク→阪神)

  • 同じく2022年の現役ドラフトでソフトバンクから阪神へ
  • 阪神で2年連続2ケタ勝利を挙げ、優勝にも貢献
  • 「現役ドラフト成功例」として必ず名前が挙がる存在に

水谷 瞬(ソフトバンク→日本ハム)

  • 2023年の第2回現役ドラフトでソフトバンクから日本ハムへ
  • 移籍後、交流戦で最高打率をマークするなどブレイク

田中 瑛斗(日本ハム→巨人)

  • 2024年の第3回現役ドラフトで日本ハムから巨人へ
  • 2025年シーズンに大ブレイクし、ローテーションの一角に定着

このように、

「元チームでは“伸び悩み”扱いでも、環境が変わった途端、大化けする選手」

が現役ドラフトから何人も出ています。

一方で、「指名されたけれど、翌年には戦力外通告…」という厳しいケースも少なくありません。2回目の現役ドラフトで移籍した選手の約半数が1年で退団・戦力外になったというデータもあり、「制度として本当に選手のためになっているのか?」という議論も続いています。


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2025年の現役ドラフト結果

第4回・12人の移籍で見えた“傾向”

では、2025年の現役ドラフト(第4回)では、どんな選手が動いたのか。
NPB公式発表をもとに、ざっくり整理してみます。

2025年・第1巡目指名選手(抜粋)

  • 巨人 → 松浦 慶斗 投手(元・日本ハム)
  • ヤクルト → 大道 温貴 投手(元・広島)
  • DeNA → 濱 将乃介 外野手(元・中日)
  • 中日 → 知野 直人 内野手(元・DeNA)
  • 阪神 → 濱田 太貴 外野手(元・ヤクルト)
  • 広島 → 辰見 鴻之介 内野手(元・楽天)
  • 日本ハム → 菊地 大稀 投手(元・巨人)
  • 楽天 → 佐藤 直樹 外野手(元・ソフトバンク)
  • 西武 → 茶野 篤政 外野手(元・オリックス)
  • ロッテ → 井上 広大 外野手(元・阪神)
  • オリックス → 平沼 翔太 内野手(元・西武)
  • ソフトバンク → 中村 稔弥 投手(元・ロッテ)

特徴を一言で言うと、

「外野手・内野手・中継ぎ投手といった“即戦力候補”がバランスよく動いた」

という感じです。

「実質トレード」のような動きも

  • 日本ハム ⇄ 巨人(菊地大稀と松浦慶斗)
  • オリックス ⇄ 西武(茶野篤政と平沼翔太)

といった、“実質トレード”のような入れ替わりもありました。

一方で、

  • 阪神の将来の4番候補・井上広大がロッテへ
  • ヤクルトの長距離砲・濱田太貴が阪神へ
  • ソフトバンクのドラ1外野手・佐藤直樹が楽天へ

など、ファンから見てもインパクトのある移籍が目立ちました。

「完全な戦力外候補」ではなく、まだまだ伸びしろがある“未完の大器”が動きやすくなっている印象です。


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2025年の事例から分かる「現役ドラフトらしさ」

出場機会の“ミスマッチ”を埋める制度

たとえば:

  • 井上広大:
    • 阪神では外野の層が厚く、1軍出場はわずか
    • しかし2軍では首位打者を獲得するなど、「下では無双」のタイプ
    • ロッテ側から見ると「右の長距離砲がほしい」というニーズにぴったり
  • 佐藤直樹:
    • ソフトバンクで104試合出場と、それなりに出番はあった
    • とはいえ、層の厚い外野陣の中でレギュラーを完全に掴むまでには至らず
    • 楽天では「守れて走れる外野手」が欲しい状況とマッチ
  • 中村稔弥:
    • ロッテでは左の中継ぎとして一定の役割
    • ソフトバンクは「左腕リリーフの補強」が課題

こうして見てみると、

「今のチームだとポジションがないけど、別のチームなら需要がある」

という選手が、現役ドラフトで動いていることがわかります。

「名前だけ聞くと惜しい選手」も対象になる

2025年のリストを見ると、

  • 元ドラフト1位
  • 1軍で100試合以上出ている
  • 若くしてタイトル経験あり(2軍含む)

といった、“それなりに実績のある選手”も少なくありません。

制度スタート前は、

「どうせ戦力外一歩手前の選手ばかりじゃないの?」

という不安もありましたが、実際には

  • 球団としても「ちゃんと使ってくれるなら、移籍させた方がいい」と判断した選手
  • 新天地でスタメン争いに食い込めそうな選手

が多く含まれるようになってきています。


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現役ドラフトのメリット・デメリット・課題

メリット

  1. 選手にとってのセカンドチャンス
    • 2軍でくすぶっていた選手が、一気に1軍のレギュラーへ、という物語が現実に起きている。
  2. 球団にとっての“低コスト補強”
    • FAや大型トレードほどリスクやコストをかけずに、即戦力候補を獲得できる。
  3. プロ野球全体の“流動性アップ”
    • 特定の球団に選手が溜まりすぎるのを防ぎ、リーグ全体の戦力バランスを調整しやすくなる。

デメリット・課題

  1. 「1年で戦力外」が少なくない
    • “チャンス”のはずが、そのまま引退・戦力外につながってしまうケースも目立つ。
  2. リストの質次第で「制度の形骸化」の恐れ
    • 本当にチャンスを与えたいのか、単なる“整理”なのか。
    • 各球団がどういう選手をリストに入れるかで、制度の価値が大きく変わる。
  3. 2巡目がなかなか機能しない
    • 2024年に1件だけ実施された2巡目指名。
    • 2025年はルール変更までしたのに、結局2巡目ゼロ。
    • 「もっと動いてほしい」というNPBの思惑と、球団側の慎重さのギャップが浮き彫りに。

制度としてはまだ発展途上で、

「選手にとって本当にプラスになる仕組みにできるか」
「球団が“本気の選手”を出し続けられるか」

が、今後の大きなテーマになりそうです。


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ファン目線での「現役ドラフト」の楽しみ方

最後に、この記事を読んでいる“プロ野球ファン目線”での楽しみ方も少しだけ。

  1. 「なぜこの選手が動いたのか?」を考える
    • ポジション、年齢、年俸、チーム事情…
    • 移籍の意味を考えると、その選手を見る目が一気に変わります。
  2. 2軍成績や過去のドラフト順位を見てニヤニヤする
    • 「実は2軍の打点王だった」
    • 「元ドラ1がここで再スタートか」
      など、背景を知ると応援したくなります。
  3. “第2の細川・大竹・水谷・田中瑛斗”を探す
    • 毎年、「今年の大当たりはこの人だ!」と予想するのも現役ドラフトの醍醐味です。

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まとめ

ここまでのポイントを、サクッとまとめます。

  • 現役ドラフトは、出場機会に恵まれない現役選手に新しいチャンスを作る制度
  • 通常ドラフトは「入口」、現役ドラフトは「席替え」
  • トレードと違い、12球団共通ルールのもとで一斉に行われる
  • 2025年で4回目。12月9日に開催され、12選手が移籍
  • 細川成也・大竹耕太郎・水谷瞬・田中瑛斗など、大成功した例も多数
  • 一方で、1年で戦力外になるケースや、2巡目が動かない問題など課題も残る
  • それでも、「眠っていた才能が花開く可能性」を見るのは、ファンとしてとても楽しいイベント

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最後に

ふと自分の部屋を見回してみました。

  • 使っていないダンベル
  • 3年前に買って開いてない英語テキスト
  • ダイエットしようと思って買ったストレッチポール

……どう見ても、出場機会に恵まれていない戦力だらけです。

「よし、オレも“家庭内現役ドラフト”をやろう。
 使ってくれる人のところへ、この子たちを移籍させてあげよう!」

と決意して、メルカリを開いたその瞬間――

出品する前に、久しぶりにダンベルを持ち上げてみたら、
腕がプルプル震えて10回でギブアップ。

どうやら、
一番新天地に出されるべきなのは、出番のない道具ではなく、
「動かない自分自身」だったようです。

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