2025年12月22日。
「H3ロケット8号機、みちびき5号機の軌道投入に失敗」
「え、また失敗?」「日本のロケット大丈夫?」
そしてトレンドには、
- H3ロケット
- みちびき5号機
- 種子島 ロケット打ち上げ
- JAXA 打ち上げ
- H3ロケット 失敗
などがズラッと並びました。
この記事では、
- 今回の「H3ロケット打ち上げ失敗」で何が起きたのか
- そもそも「みちびき5号機」って何なのか
- 次の打ち上げはいつになりそうか?しばらく先送りなのか?
- 私たちの生活(スマホの位置情報など)への影響はあるのか
を整理していきます。
今回の「H3ロケット打ち上げ失敗」で何が起きたの?
まずは、事実をシンプルに整理しましょう。
- 日付:2025年12月22日(月)
- 場所:鹿児島県・種子島宇宙センター
- ロケット:H3ロケット8号機(日本の新しい主力ロケット)
- 積み荷(衛星):準天頂衛星システム「みちびき5号機」(QZS-5、日本版GPSの一部)
打ち上げ自体は予定どおり行われましたが、2段目のエンジンが予定より早く止まってしまい、衛星を狙った軌道に載せられなかったとJAXAが会見で説明しています。
ポイントはここです。
- ロケットは飛んだ
- でも「みちびき5号機」を“狙った場所”に届けられなかった
- 「軌道投入に失敗」と表現されている
つまり、ロケットそのものは上がったけれど、目的地にちゃんと荷物を届けられなかった宅配便みたいな状態ですね。
JAXAと文部科学省は「極めて遺憾」とコメントし、原因を調べるための対策本部・タスクフォースを設置しました。
H3ロケットってそもそもどんなロケット?
ニュースでは「日本の新型主力ロケット」「H2Aの後継」とよく言われますが、少し整理しておきます。
H2AからH3へ「世代交代」
- H2Aロケット
- 2001年から活躍してきた、日本の主力ロケット
- 成功率が非常に高く、「優等生ロケット」として有名
- H3ロケット
- H2Aの後継として開発された新しいロケット
- 特徴は「コストダウン」と「打ち上げ回数の増加」
- 世界の商業打ち上げ市場(スペースXなど)と戦うための“新しい切り札”Reuters+1
JAXAはH3について、
- 安くて
- たくさん飛ばせて
- いろんな衛星や探査機を載せられる
そんな「令和版の主力ロケット」を目指してきました。
H3ロケットのこれまで:実は「失敗ばかり」ではない
「また失敗か…」という声もありますが、これまでの流れをざっくり振り返ると、こんな感じです。
- 1号機(2023年3月)
- 2段目エンジンが点火せず、途中で破壊信号(自爆指令)を送ることになり、打ち上げ失敗。
- 2号機(2024年2月)
- 再挑戦の試験機。
- 小型衛星などを予定どおり軌道に投入し、重要な2回目の打ち上げが成功。
- 3号機(2024年7月)
- 地球観測衛星「だいち4号(ALOS-4)」を搭載。
- こちらも予定どおり軌道投入に成功。
- 4号機(2024年11月)
- 防衛省の通信衛星「きらめき3号」を搭載し、こちらも成功。
その後、5〜7号機まで含め、1号機の失敗後は6回連続で成功していたと海外メディアも報じています。
そして今日の8号機で2回目の失敗。
イメージとしては、
- デビュー戦:大失敗
- その後のリーグ戦:6連勝
- 今日:久しぶりに黒星
という感じです。
「連勝が止まったから全てダメ」と考えるより、
「なぜ今回ダメだったのか」をつぶせるかどうかが本番といったところですね。
「みちびき5号機」って何?日本版GPSへの影響は?
次に、今回の“荷物”である「みちびき5号機」についても簡単に触れておきます。
「みちびき」は日本版GPSを支える衛星
- 正式名称:準天頂衛星システム(QZSS:Quasi-Zenith Satellite System)
- ニックネーム:みちびき
- 役割:
- アメリカのGPSを補強し、日本やアジア・オセアニア地域の位置情報の精度を上げる
- ビル街や山に囲まれた場所でも、できるだけ安定して位置情報を届ける
現在すでに5機体制で運用されており、将来的には7機体制 → 11機体制まで拡大する計画です。
今回の「みちびき5号機」は、そのうちの1機として、
ネットワークをもっと安定・高精度にするための増強要員といえる存在です。
生活への影響は?
ここが気になるところだと思いますが、
- すでに複数の「みちびき」衛星が稼働している
- 位置情報サービスの多くは、アメリカのGPSと組み合わせて使っている
このため、いきなりスマホの地図が使えなくなる、といった深刻な影響は基本的にありません。
ただし、
- 将来予定していた「さらに精度の高いサービス」
- 自動運転やドローン物流など、安全性が超重要な分野
こういった“次の段階”へ進むスピードが少し鈍る可能性はあります。
で、本題:「次の打ち上げはいつ?しばらく先送り?」
一番気になるのはここですよね。
今の時点で「次のH3打ち上げ日」は決まっている?
この記事を書いている2025年12月22日夕方の時点では、
- JAXAは8号機失敗を認め、対策本部を設置
- しかし、次のH3ロケットの具体的な打ち上げ日や機体番号は、まだ公式には発表されていません。
つまり、
「次の打ち上げはいつ?」
→ 今のところ“未定”が正直な答え
という状態です。
過去の「失敗後」のパターンから見えること
ただし、過去にH3が失敗したときの動きを見ると、ざっくりとした「傾向」はあります。
- 2023年3月の1号機失敗のあと
- JAXAは原因調査と対策にかなりの時間をかけた
- 2号機が飛んだのは約11か月後(2024年2月)
そして、ロケットの世界では、
- 一度失敗すると
- 原因調査 → 再発防止策 → 評価 → 試験
と、どうしても数か月〜1年レベルでスケジュールが押すことは珍しくありません。
今回も、ロイターが「日本のロケット失敗時は、通常、数か月に及ぶ調査によってその後の計画が遅れる」と伝えています。
「しばらく先送り」の可能性は?
現時点で言えるのは、こんなイメージです。
- すぐ次の打ち上げ、というより
→ まずは原因究明が最優先 - その結果次第では
→ 数か月〜1年近い調整期間が入る可能性も「あり得る」
ただし、ここはあくまで“過去の例からの予測”です。
- ロケットの設計やシステム
- すでに積み重ねた成功(2〜7号機)
- 対策のしやすさ・難しさ
によって、次の打ち上げまでの期間は大きく変わります。
なので、
「来年の○月○日に次のH3が飛びます!」
と断言している情報があれば、それは現時点ではちょっと怪しいと思っておいたほうが安全です。
JAXAの今後の課題:「信頼」と「スピード」の両立
今回の失敗で、日本の宇宙開発にはこんな課題が突きつけられています。
- H3ロケットの信頼性をどう立て直すか
- デビュー戦で失敗
- その後6連続成功
- そして今回の8号機失敗
“安定して飛ぶ”という実績の積み上げがどうしても必要です。 - 打ち上げスケジュールの遅れをどう取り戻すか
- H3には、防衛・観測・探査など、重要ミッションが次々と控えています。
- ここで長期の停止が続くと、
- 防衛衛星
- 月探査(LUPEX)
- 火星衛星探査(MMX)
など、日本の宇宙計画全体にブレーキがかかる可能性があります。
- 国民の「モヤモヤ」にどう向き合うか
- 「また失敗か…」
- 「税金の無駄じゃない?」
という声が出てくるのは、どうしても避けられません。
だからこそ、
- 失敗の原因
- それに対して何をどう直すのか
- どのくらいの期間が必要なのか
を、できるだけわかりやすく・正直に説明していくことが、今のJAXAに求められていると言えます。
それでもロケットは「失敗込み」で前に進む
ここで少し、視点を変えてみましょう。
世界のロケット開発を見てみると、
- アメリカのスペースX
- 新型ロケット「スターシップ」は、試験打ち上げで何度も爆発
- それでも「データが取れたからOK!」というスタンスで改善を続けている
ロケットは、
- 「完璧に準備して、一発で成功」
というより、 - 「失敗 → 原因をつぶす → さらに強くする」
というサイクルを何度も回して、ようやく“安定運用のステージ”にたどり着きます。
もちろん、
- 人命に関わる危険
- 国の安全保障
- 衛星のコスト
などを考えると、「失敗も勉強だから仕方ない」とは簡単に言えません。
それでも、宇宙開発というのは、失敗と改善の歴史の上に積み上がっているのもまた事実です。
今回のH3ロケット8号機の失敗も、
- なぜ2段目のエンジンが途中で止まったのか
- システム設計の問題か
- 製造・検査のプロセスか
- 地上設備との連携に課題があったのか
など、たくさんの「問い」を投げかけています。
ここからどれだけ学べるかが、H3が真の主力ロケットになれるかどうかの分かれ目になりそうです。
私たちにできることは「正しく知って、静かに見守る」こと
H3ロケットの話になると、どうしてもSNSでは、
- 「税金返せ!」
- 「やっぱり日本の技術はもうダメだ」
- 「全部スペースXに頼めばよくない?」
といった、極端な意見が流れやすくなります。
でも、もう少しだけ冷静に考えると、
- ロケット開発は、どの国も失敗をくり返して大きくなってきた
- H3も、すでに6回連続成功という実績を持っている
- 今回の失敗が、次の“もっと強いH3”につながる可能性もある
という側面も見えてきます。
私たちにできることは、
- 「失敗した」という結果だけで判断しない
- JAXAや関係機関が出す情報をチェックする
- 感情的なデマや陰謀論に流されない
このあたりかなと思います。
…とはいえ、
楽しみにしていた打ち上げライブを見ていた人からすると、
「え、またダメだったの…?」
というガッカリ感は、正直かなり大きいですよね。
まとめ
ここまでの内容を、簡単にまとめます。
JAXAはこれから、
- 原因の徹底調査
- 再発防止策の検討
- 関係機関との調整
と、かなり地味で大変な作業を粛々と進めていくはずです。
いちばん「打ち上がった」のは?
今回のH3ロケット8号機の打ち上げ失敗で、
ニュースもSNSも一気にざわつきました。
ロケットは空に向かって打ち上がり、
衛星は予定軌道に届かず、
日本の宇宙開発はまた課題を抱えることになりました。
でも、よくよく眺めてみると——
- SNSでは感情的な投稿が一気に“感情ロケット”のように打ち上がり
- テレビではコメンテーターのテンションが軌道を外れて飛び回り
- 視聴者の血圧と心拍数だけが予定よりも高い軌道に投入されていく
という、なんとも不思議な光景になっています。
今回の「H3ロケット打ち上げ失敗」で、
結局いちばん高く打ち上がったのは——
ロケットでも衛星でもなく、
私たちの“感情”だったのかもしれません。
…というわけで、
H3ロケットの次の打ち上げを心配しつつ、
まずは自分の血圧と感情だけは、ちゃんと軌道修正しておきたいものですね。
