『ドラゴン桜』『インベスターZ』『アルキメデスの大戦』など、
三田紀房(みた・のりふさ)さんの名前を目にする機会は多いですよね。
- 週刊連載を複数持つ
- 情報量も多い
- しかも、徹夜ナシ・残業ナシの“9時〜5時”スタイル
という話まで出てきます。
多くの人がイメージする「売れっ子漫画家」は、
徹夜続き、締切ギリギリ、常に修羅場…
という世界なのに、
なぜ三田紀房は複数連載を掛け持ちしながらも、規則正しく仕事ができるのか?
この記事では、
- 三田紀房の「仕事の仕組み」
- 複数連載を可能にする“分業”と“削る力”
- 私たちの仕事や副業にも応用できるポイント
を整理していきます。
三田紀房はどれくらい「掛け持ち」してきたのか?
まずは事実確認から。
代表的な連載作品
- 『ドラゴン桜』
- 『インベスターZ』
- 『アルキメデスの大戦』
- 『エンゼルバンク』
- 『砂の栄冠』 など、ビジネス・教育・歴史と幅広いジャンルを担当しています。
特に、
- 『インベスターZ』
- 『アルキメデスの大戦』
を週2本同時連載していた時期は、かなりの情報量と作業量だったはずです。
にもかかわらず、現場は
- 朝9時半出社
- 夕方6時半退社
- 徹夜ゼロ、残業ゼロ
- 締切に遅れたことはない
という、まるで「普通の会社」のような働き方になっていると言います。
ここにこそ、「掛け持ちできる理由」が隠れています。
理由1:徹底した「分業制」とアウトソーシング
三田紀房の仕事術で、一番わかりやすいポイントが分業制です。
① インベスターZは「完全デジタルで外部制作」
あるインタビューで、三田紀房はこう語っています。
- 自分たちの事務所(社員5名)は手を動かさない
- 『インベスターZ』の作画は完全に外部のデジタル制作会社に委託
- 三田側は
- キャラクター設定
- ストーリー作り
- ネーム(コマ割り・セリフ・ラフ)
までを担当し、その先の「作画〜仕上げ」は外注
つまり、漫画制作を
「考える仕事」と「手を動かす仕事」
に分けて、
考えるほうだけ自分たちで、それ以外はプロの外部に任せているわけです。
② ドラゴン桜2も「作画は外注」
『ドラゴン桜2』でも、同じように作画を外部会社に委託していることが話題になりました。
- 三田紀房:ネーム・構成・ストーリーの担当
- 外部会社:線画・仕上げ・デジタル処理など
「漫画家が自分で全部描かないなんて…」という声もあったそうですが、
本人は、
「作画を任せるために事前に技術指導をし、クオリティを担保している。
まずスタートして、続けながら足りないところを補っていけばいい」
と、かなり割り切った意見を語っています。
③ 手描きが必要な作品だけは社内+アシスタントで
もちろん、なんでもかんでも外注ではありません。
- 軍艦の迫力が重要な『アルキメデスの大戦』
- 甲子園の臨場感が大事な『砂の栄冠』
などは、手描きの質感が必要だと判断し、社内のアシスタントと一緒に制作。
つまり三田紀房は、
「どこまでを自分でやるか」「どこからを外部に任せるか」
を作品ごとにきちんと決めているのです。
理由2:「自分のやることを絞る」という考え方
分業制のベースにあるのが、「自分のやるべきことを徹底的に絞る」という思考です。
① 資料読みも“自分でやらない”
ある仕事術のインタビューで、三田紀房はこう話しています。
- 自分で1から本を読み、資料を集めていたら時間がいくらあっても足りない
- だから、
- 「自分は何に特化するべきか」をまず決める
- そのうえで「何を誰に任せるか」を考える
実際、『インベスターZ』のような投資マンガは本来ものすごい資料量が必要ですが、
- 資料集め・下調べのかなりの部分はスタッフや外部に任せる
- 三田は「話の骨組み」「面白く伝える構成」に集中する
というスタイルをとっています。
② 打ち合わせも「2点だけ」
別のインタビューでは、編集者との打ち合わせについて、
「話す内容はいつも2点だけ」と語っています。
- 次回の内容
- その話の“山場”になる部分
この2つだけを決めて、打ち合わせは30分ほどで終わらせる。
長く話すと、
- 余計なアイデアが増える
- 何でも盛り込みたくなって、話が散らかる
- 結果として、作業も増えてしまう
からです。
ここにも、
「やることを絞る」「余計なものは削る」
という徹底した考え方が見えます。
理由3:「マンガ家の公務員化」——徹夜しない働き方
三田紀房は、自分の理想の働き方を「マンガ家の公務員化」と表現しています。
① 9:30〜18:30、残業ゼロ・徹夜ゼロ
公式サイトやインタビューによると、三田プロダクションのルールはこうです。
- 朝9時半始業
- 夕方6時半終業
- 残業なし
- 徹夜なし
- それでも締切に遅れたことは一度もない
漫画家の世界では、
「徹夜して原稿を上げてこそプロ」
という空気がまだまだ強い中で、
これはかなり珍しい働き方です。
② なぜ「公務員化」を目指すのか?
本人は、その理由をこう説明しています。
- 徹夜続きの現場では、アシスタントがすぐ辞める
- 教えて育ったころに辞められると、また一からやり直し
- 自分も年齢を重ねると徹夜が体力的に無理になる
- これでは「長く続ける仕組み」になっていない
だからこそ、
- 毎月安定した給料
- 規則正しい勤務時間
- 健康を守りながら働ける環境
を用意することで、スタッフも自分も長く働ける体制を作ったのです。
結果として、
「無理な根性論で一時的に頑張る」のではなく、
「安定して仕事量をこなせる組織」になったからこそ、複数連載も可能になった
と言えるでしょう。
理由4:完璧主義を捨て、「80点を出し続ける」
複数連載を回すうえで、もうひとつ重要なのが完璧主義を手放していることです。
① 「常に100点」は自己満足
他のベテラン漫画家との対談で、
作画外注についてこう話しています。
- 作画は事前に技術指導してクオリティを決めておく
- 不十分なところがあっても、まずはスタートさせる
- 連載を続けながら少しずつ改善すればいい
- 「常に100点満点を目指すのは、ある意味自己満足。締切を守るには、クオリティと時間の折り合いが大事」
つまり、
100点の1本より、80点を締切通りに出し続けるほうがプロの仕事
という考え方です。
② 本質は「マンガを描き続けること」
公式サイトのマンガ論では、
「マンガを描き続けることが最優先。些末なこだわりは持たない」とも語っています。
- 手描きにしか出せない良さがある作品もある
- でも、新しい連載のチャンスを逃さないことを優先して、デジタル化・外注も迷わず使う
- 「仕事のチャンスをつかむこと」が最優先
だからこそ、
- 「全部自分でやりたい」というプライド
- 「このやり方じゃないとイヤだ」というこだわり
をいったん脇に置き、
「連載を続ける」「読者に届ける」ことに集中しているのです。
理由5:「徹夜しないで人の2倍仕事をする技術」
三田紀房の仕事術は、ビジネス書としてもまとめられています。
タイトルはまさに、
『徹夜しないで人の2倍仕事をする技術』
そのエッセンスとして紹介されているのが、次のような考え方です。
① すべての工程で「時短セオリー」を作る
- 資料探しは自分でゼロからやらない
- 打ち合わせは「次回の内容」「山場」の2点に絞る
- 作画や仕上げは分業・外注でライン化
- 手描きにこだわる作品も、「どこまでを手描きにするか」を決める
要するに、
仕事を「流れ」として見て、1つ1つの工程に“時短のルール”を作っている
ということです。
② 仕事を「ゲーム」としてとらえる
『エンゼルバンク』の副読本では、
「仕事は“自由”を獲得するゲーム」という表現も出てきます。
- 会社員でも、工夫すれば「お金・時間・場所」の自由度は高められる
- 書かれたルールの中で、どうやって一番得をするかを考える
これは、三田紀房自身が
- 「お金のために漫画家になった」
- そこから仕組みと工夫で稼ぎ方を最適化してきた
という生き方そのものです。
私たちの仕事・副業に応用するには?
ここからは、読者である「あなた」の話です。
- ブログを書いている
- 副業をしている
- 会社の仕事が忙しくてヘトヘト
- 「時間がない」が口ぐせになっている
そんな人にとって、三田紀房の仕事術はかなりヒントになります。
① 「自分がやるべき仕事」と「やらなくていい仕事」を分ける
まずやるべきは、これです。
- 自分にしかできない仕事は何か?(企画、文章、判断など)
- 他人に任せられる仕事は何か?(調べもの、画像作成、入力作業など)
ブログや副業なら、
- 記事のテーマ決め・構成:自分
- 画像探し・装飾・入稿:外注やツール・AIに任せる
というふうに分けていくと、
「複数のプロジェクトを回す余裕」が少しずつ生まれます。
② 完璧な1本より、「80点の記事を出し続ける」
- 1本の記事に何週間もかけて疲れ切る
- 結局、更新が続かない
- 「私は向いてない…」と落ち込む
というパターンは、よくあります。
でも、
「プロは100点ではなく、締切通りに80点を出し続ける」
という三田式の考え方に切り替えると、
- まずは3〜5時間で1本書き上げる
- 次の記事で少しだけ改善する
- そのサイクルを回す
という戦い方ができます。
③ 働き方を「公務員化」してみる
副業や創作をしていると、
- 仕事後にダラダラ夜更かし
- 休日に一気に徹夜モード
になりがちです。
そこであえて、
- 「平日は21:00〜23:00までの2時間だけ作業」
- 「それ以外の時間は、意識的に“やらない時間”」
のように、“自分なりの9時〜5時ルール”を作るのもアリです。
限られた時間の中で、どうすれば成果を最大化できるか?
を考える癖がつけば、
自然と「やらなくていいこと」を削れるようになり、
複数の仕事・連載・プロジェクトを回せるようになっていきます。
まとめ
最後に、ポイントを整理します。
- 徹底した分業制・アウトソーシング
- 作画や仕上げ、資料集めの多くを外部やスタッフに任せ、
- 自分は「ストーリー・ネーム・構成」に集中している。
- 「自分のやることを絞る」仕事術
- 資料読みや細かい作業を自分でしない。
- 打ち合わせも「次回の内容」と「山場」の2点だけに絞る。
- マンガ家の「公務員化」——9:30〜18:30、徹夜ゼロ
- 規則正しい勤務時間と安定した給料。
- それでも締切に遅れない仕組みを作り、スタッフも自分も長く働ける環境にしている。
- 完璧主義を捨て、「80点を締切通りに出す」考え方
- 作画外注も、まずはスタートして走りながら修正。
- 「常に100点」は自己満足、プロはクオリティと時間のバランスを取る。
- すべての工程に“時短セオリー”を作る
- 『徹夜しないで人の2倍仕事をする技術』という形で仕事術を体系化。
- 仕事をゲームとしてとらえ、「どうすれば同じ時間で2倍の成果を出せるか」を考え続けている。
三田紀房は、特別な“超人”だから複数連載ができるわけではありません。
・やらないことを決める
・人に任せる
・完璧を捨てる
・仕組みを作る
という、誰でも真似できる「仕事の設計」を徹底しているからこそ、
売れっ子でも無理なく複数連載を回せているのです。
あなたの仕事や副業にも、
「三田式・掛け持ち仕事術」を、ぜひ一つでも取り入れてみてください。
その小さな一歩が、
“忙しいだけで終わる毎日”から抜け出すきっかけになるかもしれません。




