「身長160cmで、世界初の“6回転半”!?
そんなの本当に可能なの?」
スノーボードをあまり知らない人からすると、
荻原大翔のニュースを見たとき、思わずこう感じると思います。
この記事では、
- 荻原大翔のプロフィール(身長・年齢・実績)
- そもそも「6回転」「6回転半」ってどれくらいヤバい技なのか
- なぜ身長160cmという“小柄な体”でも世界レベルの大技ができるのか
(物理的な理由+技術・メンタル面の理由)
を解説していきます。
まずは基本情報:身長160cmの“スピンマスター”
プロフィールと身長
荻原大翔は、スノーボードのビッグエア/スロープスタイル種目で世界的に活躍している日本の若手選手です。
- 2005年7月19日生まれ
- 茨城県牛久市出身
- 3歳でスノーボードを始め、中学生の2017年にプロ資格を取得
- 主な種目:ビッグエア/スロープスタイル
そして多くのメディアや公式プロフィールによると、
身長はおよそ160cm。
スノーボーダーには180cm近い選手も多い中で、
160cmというのは「やや小柄」といっていい体格です。
にもかかわらず、
- 2022年:世界初のバックサイド2160(6回転)成功
- 2025年:X Games Aspenでバックサイド2340(6回転半)を世界で初めて決めて優勝
という、とんでもない記録を持っています。
この事実だけでも、
「背が高くないと大技は無理」というイメージは、
きれいにひっくり返されている
と言っていいでしょう。
「6回転」「6回転半」はどれくらいヤバい技なのか
ビッグエアってどんな競技?
荻原大翔が主に戦っている「ビッグエア」は、
簡単にいうと、
巨大なジャンプ台を 一発 飛んで、
空中でどれだけ難しい技を、どれだけ美しく決められるか
を競う競技です。
- 助走でスピードをつけて
- 大きなキッカー(ジャンプ台)から飛び出し
- 空中で回転+ひねり(縦・横)
- ボードをつかむ「グラブ」も入れつつ
- 最後にきれいに着地
この一連の動きを、たった数秒のうちにやり切ります。
数字で見る「6回転」「6回転半」
スノーボードの回転数は、度数(°)で表します。
- 360°:1回転
- 720°:2回転
- 1080°:3回転
- 1440°:4回転
- 1800°:5回転
- 2160°:6回転
- 2340°:6回転半
以前は「1440(4回転)」でも十分に超大技でした。
それが今は、2160(6回転)や2340(6回転半)の世界になっています。
荻原大翔は、
- 2022年「THE NINES」で世界初の2160成功
- 2025年X Games Aspenで、
世界初の2340をコンテストで成功させ金メダル
という、「世界の回転数を一段引き上げた人」です。
このレベルになると、
- 空中にいる時間はほんの数秒
- その間に6回以上回らないといけない
- しかも途中でグラブを入れ、スタイルも出す
- 最後には板をフラつかせず、ピタッと着地
という、人間の限界に近い領域になってきます。
一般論:背が高い方が有利そうに見える理由
まず、「なんとなく背が高い方が有利そう」と感じる理由から整理しておきます。
① スピードと飛距離
体格が大きい=体重も重い選手は、
- 斜面を滑り降りるときの「慣性」が大きい
- 同じ斜面・同じ姿勢なら、スピードが出やすい
と言われることがあります。
スピードが出ると、その分だけ飛距離や高さも出やすい。
② 空中での安定感
体重がある選手は「ズシッ」とした安定感が出やすく、
- 横風にあおられにくい
- 少しバランスを崩しても体の重さでねじ伏せやすい
といったメリットも考えられます。
こういう理由から、
「大きい体 → 高く飛べる → 難しい技に有利」
というイメージを持ちやすいわけです。
ではなぜ、身長160cmの荻原大翔が6回転半を決められるのか?
ここからが本題です。
身長160cmという“小柄な体”が、
むしろ武器として働いているポイントを整理してみましょう。
体がコンパクトだからこそ「回転スピード」が出せる
物理的な話をなるべく簡単にいうと、人間の体も「コマ」と同じです。
- 手足を広げて回る → 回転は遅くなる
- 体をギュッと丸めて回る → 回転は速くなる
体が小さいほど、
- もともとの「半径」が小さい
- ギュッと縮こまったときの「回転の軸」がさらにコンパクト
になります。
そうすると、同じ力で回しても 回転スピードが出やすい のです。
荻原大翔は、小柄な体を最大限に使って、
- 膝を深くたたむ
- 胸の近くまでボードを引きつける
- 体全体を「一本の軸」に近づける
ことで、2160や2340に必要な回転スピードを生み出しています。
着地の衝撃をコントロールしやすい
ジャンプの後半、回転を止めて着地するときには、
- 体重×スピード
による大きな衝撃が足首・膝・腰にかかります。
体重が重いと、その分だけ衝撃も大きくなり、
- 着地でバランスを崩しやすい
- ちょっとしたズレが大クラッシュにつながる
というリスクもあります。
小柄で軽い選手は、
- 衝撃の絶対量が少し抑えられる
- 体全体を一気に「クッ」とまとめやすい
といったメリットがあり、
高回転のあとでも 着地のブレを抑えやすい と考えられます。
実際、X Gamesの2340でも、
6回転半しているとは思えないほど、
着地がスッと決まっているのが印象的でした。
細かい体のコントロールがしやすい
体がコンパクトだと、
- ちょっと肩をひねる
- 少しだけ膝の角度を変える
といった小さな動きが、
回転のスピード調整や姿勢の微調整に直結しやすい という側面があります。
荻原大翔は、
- 空中での体の向き
- ボードをつかむ位置(グラブ)
- 上半身と下半身のねじりのバランス
などを、細かくコントロールしていると考えられます。
その「細かさ」を支えているのが、
160cmというコンパクトな体格でもあるわけです。
小柄だからこその「技術」と「練習量」
もちろん、体が小さいだけで6回転半ができるわけではありません。
ここからは、「技術」と「練習」の話です。
1年の半分はクエストでジャンプ練習
インタビューによると、荻原大翔は
「1年の約半分は“クエスト”というジャンプ練習施設で、
定休日以外ほぼ毎日滑っている」
と話しています。
残りの半分は海外での練習。
つまり、
- 日本では東北クエストなどの施設で
エアマットや人工ジャンプ台を使って反復練習 - 海外の雪山では、本番と同じような大きなキッカーで調整
という「ほぼ一年中ジャンプ漬け」の生活です。
筋トレより「滑る量」
同じインタビューで、本人は
「筋トレは大嫌い。筋トレする元気があるなら滑ります」
と笑いながら話しています。
もちろん、実際には競技レベルでの体づくりはしているはずですが、
それ以上に大事にしているのは、
- 実際に飛ぶ回数
- 飛んだ後の映像を毎回チェックし、修正を繰り返すこと
といった、“技術そのものを磨く練習”です。
この「滑る量」「飛ぶ回数」が、
小柄な体を最大限にいかした 完成度の高い6回転・6回転半 を生んでいます。
3歳からの「積み重ね」がコンパクトな動きを作る
荻原大翔は、両親の影響で3歳からスノーボードを始めています。
- 子どものころからボードが体の一部のような感覚
- 9歳ですでに3回転(1080)を決めて話題に
- 中学生でプロ資格、10代前半から世界のトップと同じ舞台へ
という「積み重ね」があるからこそ、
- 体が小さくても
- 板・雪・空中での動きが、全て“慣れきっているレベル”
になっていると考えられます。
環境の力:ネコマ マウンテンと東北クエスト
小柄でも世界トップレベルに到達できた背景には、
練習環境の存在も大きいです。
ホームゲレンデ:ネコマ マウンテン
荻原大翔のルーツとしてよく語られるのが、
福島県のスキー場「ネコマ マウンテン」です。
星野リゾートが運営するこのゲレンデで、
子どもの頃から地形を使ったジャンプやパークライディングを重ね、
技術を磨いてきました。
のちに本人は星野リゾートと契約し、
“ホーム”として練習を続けています。
ジャンプ特化施設:東北クエスト
宮城県村田町にある屋外ジャンプ施設「東北クエスト」も、
荻原大翔の成長に欠かせない場所です。
- 人工ジャンプ台+エアマットで、
実際の雪山よりも 安全に高難度トリックを試せる - 失敗しても大怪我のリスクを減らせるため、
6回転・6回転半のような“人類の限界技”の練習にも向いている
身長160cmの体で、
ここまで回転数を上げられるようになったのは、
「身体のポテンシャル × 環境 × 練習量」
が、うまくかみ合った結果と言えそうです。
メンタル面:小柄だからこそ「攻める覚悟」が強い?
体格がハンデと見られがちな世界で、
小柄な選手がトップに立つためには、
メンタル面の強さも欠かせません。
インタビューや記事を読むと、荻原大翔には
- 子どものころから動画を見ては「もっと回したい」と思ってきた
- 6回転を成功させたあとも、「次は6回転半、その次は7回転」と上を見続けている
という、“常に限界の少し先を狙うタイプ”の気質があります。
これは裏を返せば、
「自分は背が高くないから、このくらいでいいや」
と妥協しない性格とも言えます。
小柄であることを言い訳にせず、
- 回転数で世界を驚かせる
- 誰もやっていない技を自分が最初に決める
という方向に、気持ちを振り切っているからこそ、
6回転半という“あり得ない境地”にまで到達したのでしょう。
「小柄な人は不利」はもう古い
ここまでの話をまとめると、
身長160cmでも、世界で6回転半を決められるだけの
物理的・技術的・メンタル的な理由がそろっている
と言えます。
小柄なアスリートに共通するポイント
荻原大翔に限らず、
最近のスポーツ界では 小柄なスター選手 がたくさん活躍しています。
共通しているのは、
- 自分の体格の「強み」を理解している
(スピード・回転・スタミナ・柔軟性など) - それを最大限にいかす技術・フォームを作り上げている
- 「体格のせいにしない」メンタルを持っている
という点です。
荻原大翔の場合、
- コンパクトな体 → 回転スピード・着地のコントロールに有利
- 子どものころからの積み重ね → 体の使い方が洗練されている
- 異常なまでのジャンプ練習量 → 6回転・6回転半を“当たり前化”している
- 「もっと回したい」という貪欲さ → 6回転半の先の7回転まで視野
こうした要素が、160cmの体格とガッチリかみ合っています。
まとめ:身長160cmだからこそ生まれた世界初の6回転半
最後に、この記事のポイントを簡単におさらいします。
が組み合わさり、
世界初の6回転半という快挙につながっています。
もしあなたが
- 「背が低いから不利なのかな」
- 「体格に恵まれてないしな」
と感じているなら、荻原大翔の存在は、
「体格は“制限”ではなく、
使い方次第で“武器”にもなる」
ということを、ものすごく分かりやすく教えてくれるはずです。
今後、ミラノ・コルティナ五輪やその先の大会で、
- 6回転半を“普通の技”にしてしまうのか
- さらに上の「7回転」を狙ってくるのか
小柄な“スピンマスター”の挑戦から、
まだまだ目が離せません。







