スピードスケートのトップ選手、高木美帆さんには、「アトピーで肌がつらいらしい」という噂があります。
一方で、リンクの上ではオリンピック金メダリスト。いったいどんな素顔で、どうやって悩みと付き合っているのでしょうか。
この記事では、
- 高木美帆さんがアトピーについて語った“本音”
- その背景や、ヘアドネーションなどの行動
- トップアスリートとして、悩みとどう向き合っているのか
を整理していきます。
高木美帆はどんな選手? ざっくりプロフィール
まずは「人となり」を簡単におさらいしておきましょう。
- 生まれ:1994年生まれ、北海道幕別町出身
- 種目:スピードスケート
- オリンピック出場:2010年バンクーバーから、複数大会に出場
- 2022年の北京オリンピック2022では
- 1000m 金メダル(しかも五輪新記録)
- 1500m 銀
- 500m 銀
- 団体パシュート 銀
平昌五輪のメダルと合わせると、通算7個の五輪メダルを獲得。日本女子選手として歴代最多のメダル数を誇る“レジェンド級”の存在です。
2026年のミラノ・コルティナ冬季五輪でも、1000mのタイトル防衛を目指して調整していると報じられていて、「まだまだ現役のトップ選手」という立ち位置にいます。
そんな“日本女子史上最強クラス”のスケーターが、実はアトピー性皮膚炎という悩みを抱えていた──ここに、多くの人が心を動かされているのです。
「アトピー性皮膚炎」を公表したきっかけは?
インスタストーリーでの“告白”が話題に
2020年ごろ、高木さんが自身のインスタグラムのストーリーで、アトピー性皮膚炎に悩んでいることに触れたとされています。
その時期のX(旧Twitter)には、
「美帆さんのインスタストーリー、アトピー大変そう…」
といった投稿が複数残っており、ストーリーを見たファンが「大変だね」「応援したい」という気持ちをシェアしていました。
また、2025年には、この“アトピー告白”についてまとめた解説記事も出ており、
- 2020年のインスタストーリーでアトピーに言及したこと
- 肌荒れや見た目に関する心ない声が気になっていたこと
などが整理されています。
もちろん、インスタのストーリー自体は時間が経つと消えてしまうため、今は公式のアーカイブで確認できません。
それでも、当時のSNSの反応や、その後の本人のコメントを見ると、「自分はアトピー性皮膚炎を抱えている」とオープンにする選択をしたのはほぼ間違いない、と考えられます。
「肌荒れ」「老けた」などの心ない声も…
北京五輪後、高木さんの活躍が注目される一方で、
- 「肌荒れが気になる」
- 「前より老けた?」
といった外見だけに注目した声も、ネット上には一定数あったと言われています。
こうした“ひとことコメント”は、書いた本人に悪気がなくても、当事者にとってはグサッとくるもの。しかもアスリートは常に人前に出る仕事ですから、なおさらプレッシャーは大きかったはずです。
その中で、
「それなら、きちんと本当のことを伝えよう」
と、自分からアトピーのことを公表した。
これは、単なる“カミングアウト”ではなく、「同じ悩みを持つ人たちの力になりたい」という思いも込められていたのではないでしょうか。
ヘアドネーションを通して語った「アトピーの本音」
アトピーについての決定的な「肉声」は、2022年9月のヘアドネーションのニュースで、はっきりと表に出てきます。
ロングヘアをバッサリ切って寄付
2022年9月、高木さんはインスタグラムで、背中の中ほどまで伸ばした髪をショートカットにした写真を公開しました。
それは単なるイメチェンではなく、「ヘアドネーション」という活動への参加を報告するものでした。
ヘアドネーションとは:
- 病気や事故などで髪を失った子どもたちのために
- 寄付された髪の毛でウィッグ(かつら)を作る活動
のことです。
記事で紹介された「アトピーがつらい時の気持ち」
このときのニュース記事では、高木さんのインスタ投稿の内容として、こんな趣旨の言葉が紹介されています。
- アトピーがひどい時は、自分の顔や肌を見ると気分が落ち込むこともあった
- そんなときは、髪をコテで巻いておしゃれをして気分転換していた
- 自分は髪で「救われた」部分もあるから、髪のことで悩む人の力になりたい
つまり、
「アトピーで肌がつらい → 自分の見た目に自信が持てない」
「でも、髪をアレンジして気分を上げることで、心が少しラクになった」
という、自分自身の“しんどさ”と“工夫”を、かなり正直に言葉にしているんですね。
悩みを“社会貢献”に変える姿勢
髪の毛は、アトピーの症状そのものとは関係ありません。
それでも、
- 肌のコンプレックスで気分が落ちるとき
- 髪型を変えることで、自分を好きでいられた
という経験があったからこそ、
「今度は自分の髪で、誰かの支えになりたい」
という発想にたどり着いたのでしょう。
実際、このヘアドネーションのニュースには、
- 「行動が本当に美しい」
- 「見た目だけじゃなく、中身もカッコよすぎる」
といった声が多く寄せられました。
「自分のつらさ」をただの不幸で終わらせず、「誰かのためになる行動」に変える。
これこそが、高木美帆という人の“強さ”を象徴していると感じます。
アトピー性皮膚炎ってどんな病気?
ここで一度、アトピー性皮膚炎そのものについても、簡単に整理しておきましょう。
厚生労働省や日本皮膚科学会などの資料では、アトピー性皮膚炎は次のような特徴を持つ病気だと説明されています。
- かゆみの強い湿疹(ぶつぶつ・赤み)が、良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性の皮膚病
- 皮膚の「バリア機能」が弱くなっていて、乾燥しやすく、外からの刺激にも弱い
- 乾燥、汗、ストレス、アレルギー物質など、いろいろな要因で悪化しやすい
- 子どもに多いけれど、大人になっても続く人もたくさんいる
症状がひどいと、
- 夜、かゆくて眠れない
- 衣服が当たるだけで痛い・かゆい
- 顔や首の赤み・腫れで、人前に出るのがつらい
といった、生活全体に関わる悩みにつながります。
つまりアトピーは、
「ちょっと肌が弱いだけ」
というレベルではなく、
生活の質(QOL)を大きく下げてしまうこともある病気
だということです。
トップアスリート×アトピー──何が大変なのか?
では、スピードスケートのトップ選手である高木さんにとって、アトピーはどんな負担になり得るのでしょうか。
直接すべてが語られているわけではありませんが、一般的なアトピーの特徴と、スケーターとしての生活を重ねると、いくつか想像できるポイントがあります。
乾燥したリンクと“保湿問題”
スケートリンクは、基本的に空気が冷たく乾燥しています。
アトピー性皮膚炎の皮膚は、もともと乾燥しがちなので、
- 冷たく乾いた空気に長時間さらされる
- 練習で汗をかいて、その後また冷える
といった環境は、それ自体が肌へのストレスになります。
さらに、試合前後の保湿や薬の塗布も、「汗で流れないか」「滑るときに気にならないか」など、いろいろ工夫が必要になってくるはずです。
紫外線や汗、遠征生活のストレス
アトピー性皮膚炎は、
- 紫外線
- 汗
- ストレス
- 睡眠不足
- 食生活の乱れ
で悪化することが知られています。
スケーターの場合、
- 夏場の陸上トレーニング
- 海外遠征での時差・食事の変化
- 大会続きによるプレッシャー
など、悪化要因になりやすい環境がどうしても多くなります。
実際、高木さんは紫外線対策として、
- キャップ
- サングラス
- マスク
などで顔を覆っている姿も、たびたび目撃されています。こうしたスタイルも、単に「ファッション」ではなく、アトピー肌を守るための工夫でもあると言われています。
見た目とメンタルの問題
もうひとつ、見逃せないのがメンタル面への影響です。
- 顔や首に赤みや腫れが出る
- メイクがのりにくい
- 写真やテレビに映る自分の姿が気になる
こういった悩みは、一般の人でもつらいものですが、常にカメラや観客に囲まれるアスリートにとっては、さらに大きなプレッシャーになります。
高木さん自身も、「アトピーがひどいときは、自分の顔や肌を見るだけで気分が落ち込むことがあった」と語っており、これはまさに“見た目と心”が深く結びついてしまうアトピーの典型的なしんどさだと言えます。
高木美帆流・悩みとの付き合い方
では、高木さんはこうした悩みと、どう向き合ってきたのでしょうか。
インタビューや記事から見えるヒントを、分かりやすくまとめてみます。
「落ち込む自分」も認める
まず印象的なのは、
「アトピーがひどいときは、自分の顔や肌を見て気分が落ちることもあった」
と、正直に口にしている点です。
「そんな自分じゃダメだ」と打ち消すのではなく、
- つらいときは、ちゃんと“つらい”と認める
- そのうえで、どう気持ちを立て直すか考える
というスタンスが伝わってきます。
これは、アトピーに限らず、どんな悩みにも通じる大事なポイントです。
“ポジティブ思考”を無理に押し付けるのではなく、「落ち込むのも自分の一部」と受け入れているからこそ、次の一歩が踏み出せるのだと思います。
小さな「気分転換」を自分に許す
高木さんは、アトピーで気分が落ちるときに、
- 髪をコテで巻いておしゃれを楽しむ
ことで、自分を励ましていたと話しています。
ここで大事なのは、「たいしたことじゃないから」と我慢しないこと。
- 新しいリップを塗ってみる
- ちょっと良い服を着て出かける
- 好きな音楽を聴きながら散歩する
こうした“小さなごほうび”が、心のガソリンになることは少なくありません。
それをトップアスリートが実践している、という事実は、多くの人にとって心強いメッセージになるのではないでしょうか。
自分の経験を、誰かのために使う
そして何より象徴的なのが、ヘアドネーションへの参加です。
- アトピーで見た目に悩んだ経験
- 髪型を工夫することで救われた経験
これらを、自分の中だけに閉じ込めず、
「今度は自分の髪で、誰かを支えたい」
という行動に変えている。
これは、
- “弱み”を“強み”に変える生き方
- 個人的な悩みを“社会貢献”につなげる姿勢
の見本のようなエピソードです。
私たちが高木美帆から学べる5つのこと
最後に、アトピーに限らず、肌の悩みやコンプレックスを抱える私たちが、高木さんから学べるポイントを5つにまとめてみます。
① 病気やコンプレックスは「隠すしかないもの」ではない
もちろん、誰もが自分の病気を公表する必要はありません。
ただ、高木さんのように、
- 必要に応じて、信頼できる人や場で
- 自分の状態をオープンにする
ことで、理解者や共感してくれる人が増えることもあります。
「一人で抱え込まなくてもいい」と思えるだけで、心はずいぶん軽くなるものです。
② 「見た目」だけで他人を判断しない
北京五輪後の「老けた」「肌荒れがひどい」といった声は、アトピーという背景を知らないからこその発言でもあります。
- その人が、どんな事情や病気を抱えているかは、外見だけでは分からない
- 一言コメントが、相手にとっては大きな傷になることもある
このことを、あらためて意識させてくれる出来事でもあります。
③ 小さな「自分を大事にする時間」を持つ
髪を巻いたり、メイクをしたり、好きな服を着たり。
どれも一見ささいなことですが、
- 「今日はちょっと自分をいたわろう」
- 「少しでも気分を上げてみよう」
という“セルフケア”の一種です。
高木さんのように、忙しくても、つらくても、「小さなごほうび」を自分に許してあげる。
これは、誰でも真似できるメンタルケアと言えます。
④ 悩みを「誰かの役に立つ経験」に変えられる
ヘアドネーションのように、
- 自分が苦しかったからこそ
- 同じように苦しむ誰かのために行動できる
というケースは、意外とたくさんあります。
アトピーであれば、
- 自分の経験をブログやSNSで共有する
- 支援団体や啓発キャンペーンに参加する
といった形もあり得ます。
完璧でなくても、「誰か一人の気持ちがラクになればいい」という気持ちで動くことが、大きな意味を持つのです。
⑤ それでも「自分のやりたいこと」をあきらめない
何よりすごいのは、アトピーを抱えながらも、高木さんがスケートという夢を追い続け、「日本女子最多メダル」という偉業を達成していることです。
- 病気があるからといって、夢をあきらめなければならないわけではない
- もちろん無理は禁物だが、「やりたいこと」に向かって一歩ずつ進むことはできる
その背中は、アトピーに悩む人だけでなく、さまざまな困難を抱えるすべての人にとって、大きな励ましになっています。
まとめ
ここまで見てきたように、高木美帆さんは、
- オリンピックで歴史的な結果を出した“超一流アスリート”でありながら
- アトピー性皮膚炎による肌の悩みを抱え
- ときには自分の顔や肌を見るのもつらい、と感じることがある
という、とても人間らしい一面を持っています。
それでも彼女は、
- 落ち込む自分も認める
- 小さな工夫で気分を立て直す
- 自分の経験を、ヘアドネーションなどの社会貢献に変えていく
という形で、悩みと丁寧に向き合い続けています。
アトピーは、治療に時間のかかる「つきあい方の難しい病気」です。
だからこそ、
「つらいけど、自分なりのペースで付き合っていけばいい」
「落ち込む日があってもいい。少しずつ前に進めばいい」
という、高木さんの生き方そのものが、何よりのメッセージになっているのではないでしょうか。
あなたが今、肌や体、心のことで悩んでいても、
“完璧じゃなくていい”“弱い自分も抱えたままでいい”と教えてくれるのが、高木美帆というトップアスリートの「素顔」なのだと思います。



