中村直幹選手の「SDGsマインド」の原点には、
“気象の仕事をしていたお父さん”の存在があります。
「小さい頃から、父親が気象系の仕事だったこともあり、環境問題に興味関心があった」
と本人も公式プロフィールで語っています。
さらに、新聞記事では、
お父さんは防災科学関連の研究者だったとも紹介されています。
この記事では、
- お父さんの「気象の仕事」とはどんな内容なのか
- その仕事からどんな影響を受けて、SDGsへの関心につながったのか
- そして今、中村直幹選手がどんな“SDGs行動”をしているのか
を解説していきます。
まずはおさらい:中村直幹ってどんな人?
スキージャンプ日本代表&「空飛ぶCEO」
中村直幹さんは、
北海道札幌市出身のスキージャンプ日本代表。1996年生まれで、北京オリンピックにも出場した現役トップ選手です。
成績も一流で、
- アジア冬季競技大会で優勝
- ユニバーシアード金メダル
- ワールドカップで表彰台入り
など、世界の舞台で活躍してきました。
そして何より特徴的なのが、
自分で会社をつくり、その会社に所属して飛んでいるジャンパー だということ。
- 大学卒業後、実業団には所属せず起業
- 合同会社 Flying Laboratory を設立
- 自分のチーム「Flying Laboratory SC」でW杯に出場
このスタイルから、メディアでは「空飛ぶCEO」「起業家ジャンパー」と呼ばれています。
SDGsに本気で取り組むアスリート
ただの「自営業の選手」ではありません。
彼の会社のコンセプトには、SDGs(持続可能な開発目標) ががっつり入っています。
- 「世界で一番スポーツを楽しめる場所をつくる」
- 「SDGsを意識し、持続可能な社会に貢献する」
さらに、競技活動でも、
- 遠征で出したCO₂をオフセット(埋め合わせ)する
- 飛んだ距離に応じて、環境や社会に取り組むNPOへ寄付する
などの取り組みを続けています。
ここまでSDGsを“ど真ん中”に据えて動いているアスリートは、正直かなりレアです。
その「原点」が、お父さんの仕事にある——というのが今日のテーマです。
父親の職業「気象系・防災科学の研究者」とは?
「気象系の仕事」=ただの天気予報ではない
本人のプロフィールには、こう書かれています。
小さい頃から、父親が気象系の仕事だったこともあり、環境問題に興味関心がありました。
そして新聞記事では、
好奇心が旺盛な性格は、防災科学関連の研究者である父譲りかもしれない。
つまりお父さんは、
- 「天気予報の会社で働く人」レベルではなく
- 気象や防災を科学的に研究する仕事 をしていた可能性が高い、ということです。
気象や防災の研究者の仕事には、例えばこんなものがあります。
- 台風や大雨、豪雪などのデータを集めて分析
- 異常気象や気候変動の傾向を調べる
- 地震や津波、土砂災害が起こったときの被害の広がり方をシミュレーション
- どうすれば被害を減らせるか対策を提案する
簡単に言えば、
「天気や地球の変化を研究して、
人の命や暮らしを守るためのヒントを探す仕事」
です。
家の会話がすでに「SDGsっぽかった」?
こういう仕事をしている父親が家にいると、
家庭内での会話も、自然とこんな方向に寄っていきます。
- 「今年は雪が少ないね。温暖化の影響が…」
- 「この前の大雨、観測史上○番目の強さなんだよ」
- 「災害は“たまたま起きた”じゃなくて、データを見るとちゃんと理由がある」
実際にどんな会話をしていたかは公表されていませんが、
「天気=今日の傘」だけで終わらない視点 を、子どものころから聞いていた可能性は高いでしょう。
中村選手本人も、「小さい頃から環境問題に興味があった」と振り返っているので、
家の中で、
- 環境
- 地球温暖化
- 災害
といったキーワードが、他の家庭よりずっと身近だったと考えられます。
「気象の仕事」がスキージャンプとつながるまで
雪とスポーツと、気象のリアルな関係
スキージャンプは、「雪」がなければ成り立たないスポーツです。
しかし最近は、地球温暖化の影響で、
雪が減っている・雪の降り方が極端になっている というデータが世界中で報告されています。
中村選手は、札幌で育ち、ジャンプ台のすぐそばで子ども時代を過ごしました。
- 冬に当たり前のようにあった雪が、年によって少なかったり
- 急にドカ雪が降って、練習や試合日程が変わったり
そうした日々の出来事と、
父から聞く「気候変動」や「異常気象」の話が、頭の中で自然と結びついていったはずです。
「雪がなくなったら、自分の競技もなくなる」
環境問題のニュースを見ても、
多くの人にとっては「地球全体の話」で、どこか遠くに感じてしまいがちです。
でも中村選手にとっては違いました。
- 自分は雪の上で飛ぶスポーツをしている
- 雪が減る=自分の競技ができなくなるかもしれない
という、ものすごく“自分ごと”としての危機感 があるからです。
インタビューでも、
- 「雪は自分の競技の“フィールド”であり、守るべき資源」
- 「雪を守ることは、自分の大好きなスキージャンプを守ること」
という考え方が紹介されています。
ここに、父親の仕事で培われた「地球を見る視点」と、
自分の競技人生が、きれいにつながっていきます。
SDGsってそもそも何?なぜ“気象”と相性がいいのか
ここで一度、「SDGsってなんだっけ?」を簡単におさらいしておきます。
SDGsは「世界のみんなで決めた17個の目標」
SDGs(エスディージーズ)は、
Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標) の略で、
「2030年までに、世界のみんなで達成しよう」と国連が決めた17個の目標
のことです。
中にはこんな目標があります。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
気象・気候・環境の話は、特に
- 「気候変動に具体的な対策を」
- 「陸や海の豊かさを守ろう」
と直結する分野です。
気象の仕事=「SDGsを現場で支えるデータの仕事」
気象の研究や防災科学の仕事は、
- 「地球が今どうなっているか」
- 「これからどうなりそうか」
を、数字やデータで見える化していく仕事とも言えます。
それはそのまま、
- 気候変動が本当に起きているのか
- どれくらいヤバいのか
- どんな対策が効果的か
を考えるための“証拠”になります。
つまり、父親の仕事は、
「SDGsの目標を、科学の面から支える仕事」 だった、とも言えるわけです。
その背中を見て育ったからこそ、中村選手は、
「社会問題や環境問題は、“なんとなくのイメージ”ではなく、
データや現実を見て向き合うもの」
という感覚を自然と身につけていったのではないでしょうか。
父から受け継いだ「3つの視点」
具体的に、父親の職業からどんな“考え方”を受け継いだのかを、3つのポイントで整理してみます。
「地球の変化は“自分とは別世界”じゃない」という視点
気象・防災の仕事は、「遠くのどこかで起きている出来事」ではなく、
- 台風
- 大雨
- 豪雪
- 熱波
など、自分の生活に直結する現象を扱います。
だからこそ、
「環境問題=ニュースの中だけの話」
ではなく
「自分の生活・自分のスポーツにも直接関係している」
という感覚になりやすい。
中村選手の場合それが、
- 雪が減る → 競技ができない
- 異常気象 → 試合の開催自体が危うくなる
という形で、よりリアルに結びついていきました。
「データで考える」クセ
防災科学の研究者は、感覚や気分ではなく、
数字・データ・記録 で物事を判断します。
- 「なんとなく暑くなった気がする」ではなく
→ 過去〇十年の平均気温の変化を見る - 「最近雪が少ない気がする」ではなく
→ 積雪量の推移をグラフで確認する
こうした“理系の考え方”は、
アスリートとしての成長にも大きな武器です。
- 体重・体脂肪率の変化
- ジャンプの踏切タイミング
- 風の読み方
など、細かい数字を積み重ねて、より良いジャンプを追求する姿勢にもつながっているはずです。
「自分の仕事は誰の役に立つのか?」という問い
防災科学の研究者は、
最終的には「人の命や暮らしを守る」ために働きます。
- 予報の精度が上がれば、避難が間に合う人が増える
- 被害予測が正確になれば、備えるべき場所もわかる
中村選手もまた、
「自分の好きなスキージャンプで生きていく以上、
自分の好きなことで誰かや未来が不幸になるのは嫌だ」
と語っています。
この言葉には、父親の仕事への尊敬や、
「自分の仕事もちゃんと誰かの役に立ちたい」という意識が、はっきり表れていますよね。
気象の仕事が、具体的なSDGsアクションに変わるまで
では、その意識は、どんな具体的な行動になっているのでしょうか。
CO₂オフセットと「1m10円」の寄付
中村選手は、起業した2019年から、競技活動で出した環境負荷を自分なりに“精算”する取り組みを続けています。
たとえば、
- 試合や合宿のために飛行機や車で移動
- → そこで排出したCO₂を計算する
- → その分をカーボンオフセット(植林などに投資)で埋め合わせる
という行動です。
さらに、
- 「試合で飛んだ距離 1mにつき10円」を
- 持続可能な活動をしているNPOなどに寄付する
という仕組みもつくっています。
これは、
「自分が飛べば飛ぶほど、地球や人のためにもプラスになる」
という、すごくわかりやすい形のSDGsアクションです。
会社のミッションそのものがSDGs志向
合同会社FlyingLaboratoryの公式サイトを見ると、
「世界で一番スポーツを楽しめる場所を作る」とともに、
「SDGsを意識し、持続可能な社会に貢献する」とはっきり書かれています。
- スポーツを楽しむ
- 地球も、次の世代のことも大事にする
この2つは、別々のことではなく、
同じゴールに向かう“両輪”だという考え方ですね。
まさに、気象・防災の世界でよく言われる
「安全で持続可能な社会をつくる」
というキーワードと、地続きの発想です。
オンラインコミュニティで「SDGsを一緒に学ぶ」
中村選手は、オンラインコミュニティ「FLYING LABORATORY」も運営しており、
その中でSDGsの勉強会やディスカッションも行っています。
- 選手だけが頑張るのではなく
- ファンや仲間と一緒にSDGsを考える
というスタイルは、
「防災は行政だけの仕事ではなく、住民一人ひとりも関わるべき」という、防災の考え方にもよく似ています。
ここにも、父親の仕事から受けた影響が、間接的に表れていると言えるでしょう。
私たちがマネできる「父の職業→SDGs」のつなげ方
ここまでの話を聞いて、
「うちの父は気象の仕事じゃないし、
そんな環境意識なんて育たなかったけど…」
と思った方もいるかもしれません。
でも大事なのは、
- 職業が何か、という“ジャンル”ではなく
- そこにある“考え方”や“価値観”をどう受け取るか
です。
中村選手のケースをヒントに、
私たちがマネできそうなポイントを3つ挙げてみます。
家族の仕事から「社会とのつながり」を考えてみる
例えば、
- 介護の仕事 → 高齢化や福祉の問題
- 建設の仕事 → 防災や街づくり、住みやすさ
- ITの仕事 → 情報格差、デジタル教育
など、どんな仕事にも、社会問題との接点があります。
中村選手は、
父の「気象・防災」という仕事
= 気候変動や環境の問題に向き合う仕事
というふうに、自分なりに整理して受け取っていました。
自分や家族の仕事も、
「この仕事は、社会のどんな問題とつながっているかな?」
と一度考えてみるだけで、
SDGsが一気に“自分ごと”として見えてくるはずです。
「自分の好きなこと × 社会の課題」というセットで考える
中村選手が凄いのは、
- 「気候変動が心配」と言うだけで終わらず
- 「スキージャンプ × SDGs」という形に落とし込んだこと
です。
私たちも、
- 自分の好きなこと・得意なこと
- 興味のある社会の問題
を掛け合わせてみると、
“小さな一歩”のアイデアが見えてきます。
例:
- 料理が好き → フードロス問題に関するレシピ発信
- イラストが得意 → SDGsをわかりやすく漫画で説明
- 旅行が好き → 環境に配慮した旅のしかたをブログにまとめる
など、やれることはいくらでもあります。
完璧を目指さず、「できる範囲で続ける」
CO₂オフセットや寄付の仕組みも、
最初から完璧にできたわけではなく、少しずつ形をつくっていったはずです。
大事なのは、
- いきなり地球を救おうとしない
- 「自分が無理なく続けられること」から始める
という姿勢です。
これはSDGsだけでなく、勉強や仕事、健康づくりにも共通する考え方ですよね。
まとめ
最後に、この記事のポイントを整理します。
一言でまとめるなら、
父親の「気象・防災の仕事」が、
中村直幹というアスリートの 「生き方の軸」 をつくった
ということです。
職業そのものをマネすることはできなくても、
そこにある「考え方」や「社会とのつながり方」は、
私たち一人ひとりの人生にも応用できます。
- 自分や身近な人の仕事は、社会のどんな課題とつながっているのか
- 自分の好きなことと、SDGs的な視点をどう掛け算できるか
そんな問いを、この記事をきっかけに、
あなた自身の生き方にも重ねて考えてみてください。
中村直幹選手のジャンプは、
これからも「ただ遠くへ飛ぶ」だけではなく、
地球と未来に向けたメッセージを乗せて、空へと飛び続けていきます。






