ミラノオリンピックのマスコットをテレビやネットで見て、「あの細長い動物、いったい何?」と思った人も多いはずです。結論から言うと、ミラノオリンピックのマスコットは「オコジョ」という動物がモデルになっています。
この記事では、
- ミラノオリンピックのマスコットはどんなキャラクターなのか
- オコジョってどんな生き物なのか
- どうしてオコジョがマスコットに選ばれたのか
を解説していきます。
ミラノオリンピックのマスコットは「オコジョ」
まずは一番知りたいところから。
2026年にイタリアで開かれる ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック の公式マスコットは、「ティナ(Tina)」と「ミロ(Milo)」という2匹のオコジョです。
- ティナ(Tina):白い毛のオコジョ。オリンピックのマスコット
- ミロ(Milo):茶色い毛のオコジョ。パラリンピックのマスコット
2匹とも、実在するオコジョを、少しデフォルメしたキャラクターデザインになっています。
ちなみに、この2匹は
- ミロ:Milano(ミラノ)
- ティナ:Cortina(コルティナ・ダンペッツォ)
という、開催地2つの名前から付けられたと言われています。
そもそもミラノ・コルティナ2026ってどんな大会?
マスコットの話に行く前に、簡単に大会のイメージも整理しておきましょう。
- 開催国:イタリア
- 開催地:ミラノ と コルティナ・ダンペッツォ を中心とした複数エリア
- 開催時期:2026年2月前後に実施(冬の大会)
特徴は「1つの都市だけでなく、広いエリアに分かれて開催される」こと。ミラノでは開会式や氷上競技、コルティナや山岳エリアではスキーやスノーボードなどが行われます。
この「いろんな場所で盛り上げる」というコンセプトも、山の動物であるオコジョをマスコットに選んだ理由の一つと考えられています。
マスコット「ティナ」と「ミロ」のプロフィール
ここからは、2匹のキャラクター設定を、もう少し詳しく見ていきます。
誰がデザインしたの?
ティナとミロをデザインしたのは、なんとイタリアの小中学生です。
- イタリア中の6〜14歳の子どもたちが、1,600以上ものマスコット案を応募
- その中から候補が選ばれ、一般投票でティナ&ミロが1位に
つまり、「子どもたちが考えたマスコットを、大人たちが本気で採用した」という、ちょっと素敵な経緯があります。
ティナ(Tina)の設定
- 種類:オコジョ
- 毛の色:真っ白(冬のオコジョの色)
- 役割:オリンピックのマスコット
- 性格:好奇心が強くて、都会で新しいものをどんどん吸収していくタイプ
- 住んでいる場所:山から街へ出てきて、コンサートやショーなど“文化”に触れることが大好き
白い毛は、「雪」「純粋さ」「新しいスタート」のイメージも重ねられています。
ミロ(Milo)の設定
- 種類:オコジョ
- 毛の色:茶色(夏のオコジョの色)
- 役割:パラリンピックのマスコット
- 特徴:生まれつき片足がなく、その代わりにしっぽを使って歩く設定になっている
- 性格:夢見るタイプで、雪遊びや音楽が大好き
ミロは、“障害があっても、工夫と力で自分らしく生きていく存在”として描かれており、パラリンピックの理念を象徴するキャラクターでもあります。
「初のZ世代マスコット」とも言われている
大会側は、ティナとミロを「最初の“Z世代”マスコット」と紹介しています。
- 行動的で、前向き
- 柔軟で、変化を楽しむ
- 多様性を自然に受け入れる
こうした特徴は、まさに今の若い世代のイメージそのもの。主催者は、ティナとミロを通じて「若い世代と同じように、オリンピックも新しい価値観を大切にしていく」というメッセージを出しているのです。
そもそも「オコジョ」ってどんな生き物?
さて、本題の「オコジョってどんな動物?」というところを、ここからしっかり見ていきましょう。
オコジョの“正体”:イタチの仲間
オコジョは、イタチ科の小さな肉食の哺乳類です。
- 学名:Mustela erminea
- 英語名:Stoat / Ermine / Short-tailed weasel(ストート、エルマイン、ショートテイルド・ウィーゼルなど)
- 分類:ネコ目(食肉目)イタチ科イタチ属
つまり、フェレットやカワウソ、テン、イタチなどと同じ“イタチ一族”の一員です。
日本語では「オコジョ」「ヤマイタチ」「クダギツネ」など、地域によっていくつか別名もあります。
どこに住んでいるの?
オコジョは寒い地域が好きな動物で、北半球の広い範囲に分布しています。
- ヨーロッパ中北部
- アジアの北部〜中部
- 北アメリカ北部
- そして、イタリアや日本もその分布域に含まれます
日本では、
- 北海道
- 本州の中部〜東北地方の山岳地帯
などに生息していて、特に標高1,500m以上の高い山でよく見られます。
オコジョの見た目:小さくて細長い「山の妖精」
写真やイラストを見ると、オコジョはとても愛らしい姿をしています。
体の大きさ
おおよその体のサイズはこんな感じです。
- 体長:だいたい15〜30cmくらい(定規1〜1.5本分くらい)
- 体重:100〜300gほど(スマホ〜ペットボトル1本くらいの重さ)
イタチ一族の中でも、かなり小型の部類です。
顔の特徴
- 丸い耳
- つぶらな黒い目
- ちょこんとした鼻
全体的に“ぬいぐるみのような顔”をしているため、日本では「山の妖精」と呼ばれることもあります。
体つきとしっぽ
- 胴が長くて、足が短い
- 細長い体のおかげで、岩のすき間や雪のトンネルの中もスルスル進める
- しっぽは体長の3分の1〜半分くらいで、先端だけ黒くなっている
ミロの「しっぽで歩く」という設定は、この“しっぽの存在感”をうまく生かしたアイデアとも言えますね。
一番の特徴:「夏は茶色、冬は真っ白」に変身する
オコジョの一番わかりやすい特徴は、季節によって毛の色が変わることです。
夏のオコジョ
- 背中や頭:茶色
- お腹:白
という、ツートンカラーになっています。
冬のオコジョ(エルミン)
冬になると、
- 全身がほぼ真っ白
- しっぽの先だけは黒いまま
という姿になります。
この白い冬毛を、英語では特に「エルミン(Ermine)」と呼び、ヨーロッパでは王族のマントにも使われてきました。
なぜ色が変わるの?
毛の色が変わるのは、
- 雪の中でも目立たないようにするため(カモフラージュ)
- 気温の変化に合わせて、体温を守るため
と考えられています。色が変わるきっかけは「寒さ」よりも「日照時間の変化」で、秋に日が短くなると、ホルモンの働きで毛が白くなっていくと言われています。
ティナ(白)とミロ(茶色)の色の違いは、「夏毛のオコジョ」と「冬毛のオコジョ」の両方を同時に表現しているとも解釈できます。
オコジョの暮らし:かわいい顔して超ハンター
見た目は可愛いのですが、オコジョの本性はかなり優秀なハンターです。
何を食べているの?
- 主なエサは、ネズミなどの小型の哺乳類
- 場合によっては、自分より大きなウサギや鳥を狙うこともある
雪の中を走り回って獲物を追いかけ、時には雪にトンネルを掘ってネズミを捕まえることもあります。
性格と行動パターン
- とても活動的で、よく動き回る
- 基本は単独で暮らす(群れをつくらない)
- 夜行性寄りだが、日中にも姿を見ることがある
体は小さくても、スピードと俊敏さはかなりのもの。「森の妖精」という可愛い呼び名の裏で、実際は生態系の中で重要な肉食動物としての役割を担っています。
日本のオコジョ事情:どこにいる?守られている?
日本にも、ちゃんとオコジョが暮らしています。
日本の2つのオコジョ
日本には、亜種として2タイプのオコジョがいます。
- ホンドオコジョ:本州中部〜東北地方の山岳地帯に生息
- エゾオコジョ:北海道に生息
どちらも、冷涼で雪の多い山岳地帯を好みます。
絶滅危惧種に近い存在
日本では、オコジョは
- 生息地の開発や環境変化
- 外来種との競合
などの影響で個体数が減少しており、環境省のレッドリストでは「準絶滅危惧(NT)」に指定されている地域もあります。
そのため、登山者や地元の人たちの間では、オコジョは「山で出会えたらラッキーな存在」として、大事に見守られています。
なぜオコジョがミラノオリンピックのマスコットに選ばれたの?
ここまで読んでくると、「なぜパンダでもシロクマでもなく、オコジョなのか?」という疑問が、だんだん解けてきます。
主催者は、オコジョを選んだ理由として、次のようなイメージを挙げています。
「変化に適応する力」の象徴
- 季節によって毛の色を変える
- 雪山から森、岩場まで、さまざまな環境で暮らせる
オコジョは、変化が激しい自然の中で生きる“適応のプロ”です。
オリンピック・パラリンピックも、
- コロナ禍
- 気候変動
- 社会の価値観の変化
など、さまざまな変化の中で開催されるイベントになりました。
その意味で、オコジョは「変化を恐れずに前に進む存在」の象徴としてぴったりと言えます。
多様性と連帯感のシンボル
ティナとミロには、意図的に「違い」が組み込まれています。
- 毛の色が違う(白と茶色)
- 性格が違う(都会派と山派)
- 身体的な特徴も違う(ミロは片足がないが、しっぽで歩く)
それでも2匹は“兄妹”であり、いつも一緒に旅をしている――この設定は、「違いを持つ人同士が力を合わせて生きていく」という、多様性のメッセージを表しています。
特にミロは、障害があっても、工夫と前向きさで自分らしく生きる姿として、パラリンピックの精神を象徴したキャラクターです。
子どもたちが選んだマスコット
デザインを考えたのも、最終的に選んだのも、イタリアの子どもたちです。
- 「大人が考えた“正解”」ではなく
- 「未来を生きる世代が、自分たちの感覚で選んだキャラクター」
であることも、オリンピックの新しい時代らしさを感じさせます。
オリンピックをもっと楽しむための「オコジョ豆知識」Q&A
最後に、テレビ観戦やニュースがちょっと楽しくなる「オコジョ豆知識」を、Q&A形式でまとめておきます。
Q1. 日本の山でもオコジョに会える?
A. 可能性はありますが、かなりレアです。
本州の中部〜東北地方、そして北海道の山岳地帯で暮らしていますが、
- 警戒心が強い
- 数も多くない
ため、「見られたら超ラッキー」クラスの動物です。
Q2. イタチやテンとの見分け方は?
ざっくり言うと、
- オコジョ:一回り小さく、しっぽの先が黒い
- テンやイタチ:オコジョより大きめで、全身の色合いも違う
特に、「しっぽの先が一年中黒い」という点は、オコジョのわかりやすい見分けポイントの一つです。
Q3. オコジョはペットにできる?
A. 基本的にはNG(野生動物)だと思った方がよいです。
- 野生動物として保護の対象になっている地域もある
- 生態系への影響も大きく、人の暮らしには向かない
などの理由から、犬猫のように気軽に飼う対象ではありません。
Q4. 「エルミン(Ermine)」って何?
エルミンは、
- 冬毛の白いオコジョ、または
- その毛皮
を指す言葉として使われることが多いです。中世ヨーロッパでは、王族のマントのふちに使われる高級な毛皮として知られていました。
Q5. オリンピック期間中、どこでティナ&ミロを見られる?
テレビ中継やニュース映像のほか、現地では
- 会場の装飾
- 公式グッズ(ぬいぐるみ、マフラー、帽子など)
- イベント会場の着ぐるみ
など、あらゆるところに登場します。
試合結果だけでなく、「今日はどんな場面にティナとミロが出てくるかな?」と意識して見てみると、観戦が少し楽しくなるはずです。
まとめ:マスコットの“中身”を知ると、オリンピックがもっと面白くなる
最後に、この記事のポイントをもう一度整理しておきます。
マスコットを「ただのかわいいキャラ」として見るのではなく、
「どんな動物で、どんな意味が込められているのか」を知っておくと、
試合以外のところでもオリンピックを楽しめるようになります。
テレビやネットでティナとミロを見かけたときは、ぜひ思い出してください。
「あ、あれは山に住む小さなハンター、オコジョなんだ。
変化を楽しんで、違いを乗り越えて生きる象徴なんだな」
そう思って眺めるだけで、画面の向こうの世界が、少しだけ立体的に見えてくるはずです。




