「冬季オリンピックって、あのマスコットって毎回違うの?」
「最初のマスコットっていつから?」
テレビでティナ&ミロを見て、ふと気になった方も多いと思います。
実は、冬季オリンピックのマスコットの歴史は1968年グルノーブル大会から始まり、
最新の2026年ミラノ・コルティナ大会まで、
それぞれの開催地の文化や「時代の空気」を映すように変化してきました。
この記事では、
- 1968年大会の“ほぼ初代”マスコットから
- 2026年ミラノ・コルティナのティナ&ミロまで
を時系列で一覧できるようにまとめつつ、
それぞれの「意味」や「デザインのポイント」を解説します。
まずはざっくり一覧:冬季オリンピック歴代マスコット
冬季オリンピックとマスコットを、まずは年・開催地・名前でざっくり確認しておきましょう。
※ここでは「オリンピック本体のマスコット」を中心にまとめています。
- 1968年 グルノーブル(フランス)
シュース(Shuss) – スキーをする人型キャラ(非公式だが事実上の初代) - 1972年 札幌(日本)
※公式マスコットなし(シンボルキャラクター案はあったが、正式採用はされず) - 1976年 インスブルック(オーストリア)
シュネーマン(Schneemann / Schneemandl) – 赤いチロリアンハットをかぶった雪だるま - 1980年 レークプラシッド(アメリカ)
ローニー(Roni) – アライグマ - 1984年 サラエボ(旧ユーゴスラビア)
ヴーチコ(Vučko) – オオカミ - 1988年 カルガリー(カナダ)
ハイディ&ハウディ(Hidy & Howdy) – 兄妹のシロクマ - 1992年 アルベールビル(フランス)
マジック(Magique) – 星のような小さな妖精(エルフ) - 1994年 リレハンメル(ノルウェー)
クリスティン&ハーコン(Kristin & Håkon) – ノルウェー民話の子ども(王女と王子) - 1998年 長野(日本)
スッキー/ノッキー/レッキー/ツッキー – フクロウの「スノーレッツ」4兄弟 - 2002年 ソルトレークシティ(アメリカ)
パウダー(ウサギ)/コール(クマ)/カッパー(コヨーテ) - 2006年 トリノ(イタリア)
ネーベ&グリッツ(Neve & Gliz) – 雪玉と氷のキューブ - 2010年 バンクーバー(カナダ)
ミーガ(海グマ)/クワッチ(サスクワッチ)+友だちのマーモット「マックマック」 - 2014年 ソチ(ロシア)
ヒョウ/ウサギ/ホッキョクグマ の3体 - 2018年 平昌(韓国)
スホラン(Soohorang) – 白いトラ(パラはツキノワグマのバンダビ) - 2022年 北京(中国)
ビンドゥンドゥン(Bing Dwen Dwen) – 氷のスーツを着たパンダ(パラは提灯キャラのシュエロンロン) - 2026年 ミラノ & コルティナ・ダンペッツォ(イタリア)
ティナ&ミロ(Tina & Milo) – イタチの仲間「オコジョ」の姉弟+雪の花の仲間たち「Flo」
このあと、それぞれを少しずつ掘り下げていきます。
マスコット誕生前後:シュースから雪だるまへ(1968〜1976)
1968年 グルノーブル大会「シュース」 – 非公式だけど“元祖”
1968年のグルノーブル冬季大会では、
スキーをしている小さな人のキャラ「シュース(Shuss)」 が登場しました。
- フランス国旗カラー(青・白・赤)の頭
- 雷マークのようなジグザグの体
- スキーで斜面をまっすぐ滑り降りているポーズ
という、かなりシンプルで大胆なデザインです。
当時はまだ「公式マスコット」という概念がはっきりしておらず、
IOCから正式に“公式”と認められたわけではありません。
それでも、グッズとして大量に作られ、大会の象徴として大人気になりました。
「冬季オリンピックにマスコットをつける」という流れは、ここから始まった
と考えると、かなり重要な存在です。
1972年 札幌大会 – 「マスコットなし」のレアケース
1972年の札幌大会には、
正式なオリンピックマスコットは存在しません。
シンボルキャラクターの案はあったものの、
グルノーブルほど大々的なマスコット展開はされませんでした。
コレクター向けサイトでは、
「1968年グルノーブル以降、札幌をのぞいてすべての冬季大会にマスコットがいる」
と説明されています。
ある意味、「マスコットがいない最後の冬季オリンピック」です。
1976年 インスブルック大会「シュネーマン」 – 初の“公式”冬季マスコット
1976年のインスブルック大会では、
ついに初の公式冬季マスコットとして、
- 赤いチロリアンハットをかぶった雪だるま
シュネーマン(Schneemann / Schneemandl)
が登場します。
雪不足に悩んだ1964年インスブルック大会の記憶もあったため、
「今度こそ雪に恵まれますように」
という“お守り”のような意味も込められたと言われています。
ここから、冬季オリンピックごとに毎回マスコットが登場する時代に入っていきます。
動物キャラが主役に:80年代マスコット(1980〜1988)
1980年 レークプラシッド大会「ローニー」 – アライグマ
アメリカ・レークプラシッド大会のマスコットは、
アライグマのローニー(Roni the raccoon)。
アライグマはアメリカ北東部の森によくいる動物で、
顔のマスク模様がスキーゴーグルっぽく見えることから採用されたとも言われています。
元々は「ロッキー」という本物のアライグマをマスコットにする計画もあったのですが、
大会前に亡くなってしまい、イラストのローニーが代わりに登場した、という裏話もあります。
1984年 サラエボ大会「ヴーチコ」 – オオカミのイメージを変えたキャラ
旧ユーゴスラビアのサラエボ大会では、
オオカミのキャラ「ヴーチコ(Vučko)」 がマスコットに。
オオカミは、もともと怖いイメージを持たれがちな動物ですが、
- にっこり笑った顔
- 時にはちょっと困った表情
- 親しみやすい仕草
などで「オオカミって、実はかわいい一面もあるよね」と見せてくれました。
新聞や雑誌の読者投票で選ばれたこともあり、
今でも「冬季マスコットの名作」として名前がよく挙がります。
1988年 カルガリー大会「ハイディ&ハウディ」 – 兄妹のシロクマ
カナダ・カルガリー大会では、
兄妹(きょうだい)のシロクマ「ハイディ&ハウディ(Hidy & Howdy)」 が登場。
- カウボーイハットをかぶっている
- カルガリーの「ウェスタン文化(カウボーイ文化)」をイメージ
といったデザインで、
地元の動物+地域の文化を組み合わせた、後のマスコットの“王道パターン” を作ったとも言えます。
個性の幅が広がる90年代(1992〜1998)
1992年 アルベールビル大会「マジック」 – 星型のエルフ
フランス・アルベールビル大会のマスコットは、
星のような形をした小さな妖精、マジック(Magique)。
それまでの「動物キャラ」とはかなり雰囲気が違い、
- 星
- 雪の結晶
- 妖精
といった要素をミックスした、少し抽象的なデザインでした。
1994年 リレハンメル大会「クリスティン&ハーコン」 – 人間の子ども
ノルウェー・リレハンメル大会では、
マスコットは人間の子どもに。
- 王女クリスティン
- 王子ハーコン
という、ノルウェーの民話に登場しそうな2人が採用されました。
「マスコット=動物」
というイメージをくつがえした、ちょっと珍しい例です。
1998年 長野大会「スノーレッツ」 – フクロウ4兄弟
日本・長野大会では、
- スッキー
- ノッキー
- レッキー
- ツッキー
という4羽のフクロウ、「スノーレッツ」がマスコットになりました。
元々は、イタチの仲間「オコジョ(Snowple)」が候補に挙がっていたのですが、
最終的には、より親しみやすいフクロウのキャラに変更された、とIOC資料に書かれています。
2000年代:ストーリー性が強くなる時代(2002〜2006)
2002年 ソルトレークシティ大会 – 3匹で「速く・高く・強く」
アメリカ・ソルトレークシティでは、
- パウダー(Powder)… ウサギ(速く:Citius)
- カッパー(Copper)… コヨーテ(高く:Altius)
- コール(Coal)… クロクマ(強く:Fortius)
という3匹の動物が、
オリンピックのモットー「より速く・より高く・より強く」を表す存在として登場します。
ただの“かわいいキャラ”ではなく、
それぞれに役割と意味を持たせたストーリー型マスコットの代表例です。
2006年 トリノ大会 – 雪玉ネーベ&氷キューブのグリッツ
イタリア・トリノ大会では、
- 雪玉のネーベ(Neve)
- 氷のキューブ、グリッツ(Gliz)
の2体がマスコットになりました。
雪(Neve)と氷(Gliz)という、
冬のスポーツに欠かせない2つの要素を、
人型のキャラクターとして擬人化したデザインです。
2010年代:ポップで多彩なキャラたち(2010〜2018)
2010年 バンクーバー大会 – 伝説×動物のミックスキャラ
カナダ・バンクーバー大会のマスコットは、とてもにぎやかです。
- ミーガ(Miga):海グマ(シャチ+ホッキョクグマのような架空の生き物)
- クワッチ(Quatchi):サスクワッチ(未確認生物)
- マックマック(Mukmuk):マーモット(マスコットの友だち)
カナダ西海岸の先住民の伝承や伝説をベースにした、
ちょっとファンタジー色の強いデザインです。
2014年 ソチ大会 – ヒョウ・ウサギ・クマの3体セット
ロシア・ソチ大会では、
- ヒョウ
- ウサギ
- ホッキョクグマ
の3体がマスコットとして採用されました。
全国的なコンテストとテレビ投票で決まり、
それぞれがロシアの自然や雪山を象徴しています。
2018年 平昌大会 – 白いトラ「スホラン」
韓国・平昌大会のマスコットは、
白いトラのスホラン(Soohorang)。
- 「スホ」… 守護・保護を意味する言葉
- 「ラン」… 韓国で有名な民謡「アリラン」から
という名前の由来があり、
韓国にとってトラは「守り神」として特別な存在です。
パラリンピック側のマスコットは、
ツキノワグマのバンダビ(Bandabi)でした。
最新世代のマスコット:パンダからオコジョへ(2022〜2026)
2022年 北京大会 – ビンドゥンドゥン(パンダ)
中国・北京大会では、
氷のスーツを着たパンダ、ビンドゥンドゥン(Bing Dwen Dwen)が大人気に。
- 「ビン(冰)」… 氷、冬のスポーツ
- 「ドゥンドゥン」… ふっくらした、元気な子どもをイメージする言葉
という意味があり、
氷の透明なボディと丸いフォルムで、
「近未来っぽいパンダ」という新しいイメージを作りました。
パラリンピックのマスコットは、赤い提灯のキャラシュエロンロン(Shuey Rhon Rhon)で、
こちらも中国らしさが強く出たデザインです。
2026年 ミラノ・コルティナ大会 – ティナ&ミロと雪の花 Flo
そして最新が、ミラノ・コルティナ2026の
- 白いオコジョの姉 ティナ(Tina)
- 茶色いオコジョの弟 ミロ(Milo)
のコンビです。
ティナ&ミロってどんなキャラ?
IOCや大会公式の説明をまとめると、次のようなイメージです。
- 2匹ともイタリアの山で生まれたオコジョ(イタチの仲間)
- ティナ:白い毛、オリンピックのマスコット。山から都会へ出てきた好奇心いっぱいの姉
- ミロ:茶色い毛、パラリンピックのマスコット。生まれつき片足がなく、しっぽを使って歩く工夫家の弟
- 名前は Cortina(コルティナ) と Milano(ミラノ) から
動物としてのオコジョは、
- 夏は茶色、冬は真っ白に毛の色が変わる
- 過酷な環境にも適応して生きる
という特徴があり、
「変化の激しい時代を、しなやかに生きるイタリアの若い世代」
を象徴していると言われています。
仲間の「Flo」たち
ティナ&ミロの周りには、
スノードロップ(雪の中から咲く白い花)をモチーフにした、小さなキャラ「Flo」が6人います。
- 冬の終わり、雪を押しのけて咲く花
→ 「希望」「再スタート」「春の兆し」の象徴
として、パラリンピックや復興のイメージとも重なります。
歴代マスコットを「見るコツ」
ここまで一覧で見てくると、
なんとなく共通点や流れが見えてきたと思います。
最後に、歴代マスコットを楽しむ「3つの視点」を紹介します。
その土地ならではの「動物」に注目
- レークプラシッドのアライグマ
- サラエボのオオカミ
- カルガリーのシロクマ
- 平昌の白いトラ
- 北京のパンダ
- ミラノ・コルティナのオコジョ
など、多くのマスコットはその土地にゆかりのある動物が選ばれています。
「なぜ、この動物なのか?」
を調べてみると、
その国の自然や文化への理解が一気に深まります。
「時代の空気」がデザインに出ている
- 60〜70年代:シンプルで直球なデザイン(シュース、雪だるま)
- 80〜90年代:親しみやすい動物や子どもキャラ(ヴーチコ、スノーレッツ)
- 2000年代:ストーリー性やメッセージ性が強くなる(パウダーたち、ネーベ&グリッツ)
- 2010年代以降:多様性・インクルージョンやサステナビリティも意識(スホラン、ビンドゥンドゥン、ティナ&ミロ)
たとえばミロは、生まれつき片足がない設定ですが、
それを「弱点」ではなく「工夫と前向きさの象徴」として描いています。
「時代ごとに、社会が何を大事にしていたのか」
が、マスコットを見るだけで少し伝わってくるのが面白いところです。
「自分はどのマスコットタイプかな?」と考えてみる
歴代マスコットを眺めてみると、ざっくりこんなタイプ分けもできます。
- 守り神タイプ:スホラン(白いトラ)、ビンドゥンドゥン(氷パンダ)
- 友だちタイプ:ヴーチコ、スノーレッツ、ハイディ&ハウディ
- チャレンジャータイプ:パウダーたち、ティナ&ミロ
自分の性格に近いマスコットを1つ決めてみると、
ニュースや競技を見るときの「心の推しキャラ」ができて、
観戦がちょっと楽しくなります。
まとめ|マスコットを知ると、冬季五輪がもっと立体的になる
最後に、この記事のポイントを簡単にまとめます。
テレビやネットで試合を見るとき、
画面のすみや観客席の旗の中に、
ふと歴代マスコットの姿が映ることがあります。
そんなとき、
「あ、あれはカルガリーのシロクマだ」
「あのトラは平昌のスホランだな」
とわかるようになると、
冬季オリンピックがただのスポーツイベントではなく、歴史のつながりを感じるシリーズ作品のように見えてきます。
これからミラノ・コルティナ大会を観るときは、
ぜひティナ&ミロ、Floたちにも注目してみてください。
きっと、ニュースの1カットやグッズ売り場の写真までも、少し違って見えてくるはずです。




