Netflix発のサバイバル・サスペンス『今際の国のアリス』。東京・渋谷の“無人化した都心”から始まる物語は、VFXと実景ロケ、そして巨大オープンセットを縦横に組み合わせた壮大なスケールで撮影されました。
本記事では、シーズン1~2で実際に使われた主なロケ地をエピソードの見どころとともに網羅。アクセス方法のヒントや「行く前に知っておきたい注意点」も添えて、聖地巡礼にそのまま使える決定版ガイドとしてまとめます。
- 1. 無人の渋谷はどう作られた?——“現地+オープンセット+VFX”の合わせ技
- 2. まずは“渋谷”の代名詞ロケ地から
- 3. 神奈川の大型セット&“生活拠点”の聖地
- 4. 名古屋・富山での“規格外”カーチェイス
- 5. 神戸・大阪・奈良・和歌山——西日本に広がるゲーム舞台
- 6. 北九州の大規模アクション拠点
- 7. シーズン1の“象徴”ロケ——としまえん(練馬)
- 8. そのほかの注目スポット(制作会社公式・自治体情報ベース)
- 9. 巡礼プランの立て方(モデルルート例)
- 10. マナー&実用情報
- 11. 作品世界を“安全に”感じる代替体験
- 12. クイック索引(主要ロケ地とエピソード対応)
- まとめ:『今際の国のアリス』ロケ地巡礼のコツ
1. 無人の渋谷はどう作られた?——“現地+オープンセット+VFX”の合わせ技
作品の顔となった渋谷スクランブル交差点。あの“誰もいない渋谷”の多くは、栃木県足利市の「足利スクランブルシティスタジオ」に再現された実寸大のスクランブル交差点セットと、広範なVFXで作り上げられました。
都心ど真ん中の渋谷は日中の貸切がほぼ不可能なため、実寸大の交差点オープンセット(敷地6,585㎡)を使用し、路面の実物部分+建物等をCGで合成することで“空っぽの渋谷”を成立させています。
補足
監督やVFX陣は、実景渋谷で“どのパーツを実際に作るか/どこをCGで補うか”を検証。道路と改札など一部を実物で構築し、それ以外をCGで再現した旨の制作背景が伝えられています。
2. まずは“渋谷”の代名詞ロケ地から
2-1. 足利スクランブルシティスタジオ(栃木・足利)
- 登場:S1・S2の渋谷交差点関連(S1第1話・第8話/S2第1話ほか)
- 見どころ:実寸大のスクランブル交差点セット。背景のビル群や看板はVFX合成で“渋谷らしさ”を付加。
- メモ:一般公開が行われることも(不定期)。訪問情報は足利市フィルムコミッション等の発信を要確認。
2-2. 渋谷ストリーム/SHIBUYA SKY/芝浦南ふ頭公園(東京)
- 渋谷ストリーム:S2第1話、Kの襲撃から逃げるシーン。
- SHIBUYA SKY:S2第7–8話、Qミラとのゲーム舞台。
- 芝浦南ふ頭公園:S1第4・8話、アリスがウサギに“生き抜く決意”を伝える印象的な場面。
いずれも実在ロケーションで、都内からアクセス良好。
3. 神奈川の大型セット&“生活拠点”の聖地
3-1. 横浜オープンセット(神奈川・横浜)
- 登場:S2第4–8話
- 見どころ:渋谷109前交差点や裏路地・新宿などを巨大オープンセットで再現。S2の渋谷描写の多くがここで収録されています。
3-2. モザイクモール港北(神奈川・都筑区)
- 登場:S1第2–3話
- 見どころ:アリス/カルベ/チョータ/シブキが物資調達に入る大型商業施設。屋上の観覧車が目印。商業施設のため巡礼時は営業の妨げにならない配慮を。
4. 名古屋・富山での“規格外”カーチェイス
4-1. 名古屋(愛知)——錦通/南大津通/金城ふ頭駐車場
- 登場:S2第1話(カーチェイス)・第5話(一時的な捜索シーン)
- 見どころ:中心街の長大区間封鎖で、日本映像史上最大規模クラスのカーチェイスを敢行。具体の通り名と撮影趣旨が、名古屋市の公式特集でも公開されています。
4-2. 富山(富山)——城址大通り/富山城址公園周辺
- 登場:S2第1話
- 見どころ:駅前通りを長期間封鎖して大規模アクションを収録。富山県ロケーションオフィスが公式に紹介。
5. 神戸・大阪・奈良・和歌山——西日本に広がるゲーム舞台
5-1. 神戸(兵庫)——旧居留地/港島トンネル/ポートアイランド/生田川/六甲アイランド
- 登場:S1・S2各話の要所
- 見どころ:重厚な街並みの旧居留地、港島トンネルの封鎖“ディスタンス”ゲーム、ポートアイランドの♣K“すうとり”会場など。神戸フィルムオフィスの支援実績として記録されています。
5-2. 大阪(大阪)——咲くやこの花館/BIGCAT/ヤンマースタジアム長居
- 登場:S1第3–4話(♥7“かくれんぼ”)/S2第2話(バンド)/S2第4話(♠7“かまゆで”)
- 見どころ:ゲームの多彩さを象徴する温室施設・ライブハウス・スタジアムの組み合わせ。
5-3. 奈良(奈良)——旧奈良監獄
- 登場:S2第3–4話、♥J“どくぼう”
- 見どころ:1908年竣工の赤煉瓦建築が圧倒的。“実在の少年刑務所”を舞台に緊迫のゲームが展開。施設公式の建築資料も公開されています。
5-4. 和歌山(西牟婁郡)——南紀白浜リゾートホテル
- 登場:S1・S2(主にS1第5–8話)
- 見どころ:プレイヤーたちの理想郷“ビーチ”のメインロビー等を撮影。同一ホテルがシーズンをまたいで機能しました。
6. 北九州の大規模アクション拠点
- REMBULAN BASE CAMP/足立公園/響灘火力発電所(福岡・北九州)
S2中盤の♠K戦や♠Q“ちぇっくめいと”の舞台群。最新のバイオマス火力発電所でのゲーム演出など、スケール感を押し上げた地方ロケが効いています。
7. シーズン1の“象徴”ロケ——としまえん(練馬)
S1第5話の印象的な遊園地シーンは、閉園前の「としまえん」で撮影されました。
同園は2020年8月31日に閉園し、その跡地には「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京‐メイキング・オブ・ハリー・ポッター」が開業しています。
巡礼の際は、当時の遊具は現存しない点にご注意ください。
8. そのほかの注目スポット(制作会社公式・自治体情報ベース)
- 千葉大学病院(千葉):S2第6・8話、プレイヤーが入院する病院。
- 鴻巣・クレアこうのす(埼玉):S2第4話、クイナの旅立ちを見送る場面。
- 静岡・十里木の森/グランシップ:S2後半、東京外の調査や“げぇむ”を名建築×VFXで表現。
参考の一次情報
制作会社ROBOTの特設ページは、各ロケ地の住所・使用エピソードを地図付きで整理しており、巡礼準備の最有力資料です。ROBOT COMMUNICATIONS INC.
9. 巡礼プランの立て方(モデルルート例)
東京・神奈川1日速攻プラン(公共交通メイン)
- 渋谷ストリーム → SHIBUYA SKY(午前)
- 芝浦南ふ頭公園(昼)
- 横浜・モザイクモール港北(午後~夕方、買い物も可)
※横浜オープンセットは一般公開施設ではないため外観見学は想定しないプランに。施設側の案内が出た場合のみイベントで。
名古屋・富山“アクション街路”プラン(クルマ推奨)
- 名古屋:錦通/南大津通 → 金城ふ頭駐車場周辺
- 富山:城址大通り周辺(富山城址公園を合わせて)
※いずれも交通規制のない通常日は走行・駐車ルール遵守。
神戸・大阪・奈良“ゲーム舞台”周遊(2日)
- 神戸:旧居留地/港島トンネル(通行環境に注意)/ポートアイランド → 生田川 → 六甲アイランド
- 大阪:咲くやこの花館/BIGCAT/ヤンマースタジアム
- 奈良:旧奈良監獄(公開日・見学可否を事前確認)
※神戸フィルムオフィスの支援実績、奈良監獄の公式情報を参照して訪問可否・ルールを確認。
10. マナー&実用情報
- 商業施設や私有地は営業・管理を最優先:モザイクモール港北などは買い物客の導線を妨げない、撮影禁止エリアの遵守を。
- 道路・橋梁・トンネルは交通ルール厳守:名古屋・富山の大規模シーンは撮影時のみ特別封鎖。通常時は一般交通に配慮を。
- 閉園・再開発の確認:としまえん跡地はハリポタのスタジオツアー施設に転換。撮影当時の景観は残っていないため、最新の営業・見学情報を事前チェック。
- オープンセットは“非公開が基本”:足利・横浜のオープンセットは撮影用施設。一般公開が行われる場合は、自治体FCや運営の公式案内に従って参加を。
11. 作品世界を“安全に”感じる代替体験
- 足利スクランブルシティスタジオ:一般公開時は実寸渋谷の非日常を安全に体感可能。実施は不定期のため情報をウォッチ。
- スタジオツアー東京(練馬):としまえん跡にできた映画制作の裏側を学べる常設施設。作品そのものの展示ではないが“映像制作のリアル”に触れられます。
12. クイック索引(主要ロケ地とエピソード対応)
- 足利スクランブルシティスタジオ(栃木):S1#1,8/S2#1(渋谷交差点セット)ROBOT COMMUNICATIONS INC.
- 渋谷ストリーム/SHIBUYA SKY/芝浦南ふ頭公園(東京):S2#1/S2#7–8/S1#4,8
- 横浜オープンセット(神奈川):S2#4–8(渋谷109前交差点・裏路地・新宿再現)
- モザイクモール港北(神奈川):S1#2–3(生活拠点)
- 錦通/南大津通/金城ふ頭駐車場(名古屋):S2#1/S2#1/S2#5
- 城址大通り(富山):S2#1(カーチェイス)〖公式〗富山県の観光/旅行サイト「とやま観光ナビ」
- 旧奈良監獄(奈良):S2#3–4(♥J“どくぼう”)
- 咲くやこの花館/BIGCAT/ヤンマースタジアム(大阪):S1#3–4/S2#2/S2#4
- 南紀白浜リゾートホテル(和歌山):S1#5–8ほか(“ビーチ”)
- としまえん(東京・練馬):S1#5(遊園地シーン)※現在は閉園・再開発済みrcdb.com
まとめ:『今際の国のアリス』ロケ地巡礼のコツ
- 一次情報をベースに組む
制作会社ROBOTの特設ページや自治体の公式ロケページは住所・話数が明記されており、行程づくりの最短ルート。ROBOT COMMUNICATIONS INC. - “公開施設かどうか”を最初に確認
オープンセットは原則撮影用の非公開施設。一般客が入れるのはイベント等の限定機会のみ。知財図鑑 - 現地のルールを尊重
商業施設・交通インフラ・歴史建築など、撮影可否や見学範囲は場所ごとに大きく異なる。公式の最新案内を確認してから出発を。
――以上を押さえれば、画面越しで見た“極限の東京”と“ゲームの舞台”を、現地の空気とともに安全に味わえます。あなたの巡礼が、作品への解像度をもう一段上げるきっかけになりますように。