この記事では、Bambu Lab A1 mini を買ったその日から「失敗を減らし、気持ちよく使い倒す」ために、一緒に買うと後悔しないものを目的別にぜんぶ整理しました。
先に結論→次に理由と選び方→最後に予算別セットアップとQ&Aの順でいきます。A1 miniに特化して、初心者〜中級者の実体験ベースのコツも交えて解説します。
最低限セット(まずは失敗しない装備)
快適アップグレード(最初から“ラク”を買う)
セーフティ&設置
なぜそれが必要?——A1 miniの特徴から逆算する「理由と選び方」
1. フィラメント:最初は“良いPLA”一択
A1 miniはオープンフレーム+ベッド80℃上限のため、PLAが最も相性◎。
ABS/ASAのような“冷えると反りやすい素材”は難易度が上がるので、まずはトラブルが少ないPLAで成功体験を積みましょう。
選び方のコツ
PETGはどう?
A1 miniでもPETGは十分いける領域。ベッド温度は70–80℃で様子見。
ただしPETGはプレートに強く食いつきやすく、スティックのりで“離型層”を作ってから印刷すると剥がしやすくなります。
2. 予備ホットエンド/ノズル:止まらないための“命綱”
PLAでも、湿気った材料・ゴミ噛み・温度設定ミス等でノズル詰まりは起きます。
A1 miniはホットエンド一体のアセンブリ交換が素早く確実。はじめてのトラブル時、予備があるだけで“当日復旧”できる安心感が段違い。
ポイント
- 0.4mmをもう1つ(標準径で運用安定)
- 0.6mmノズルは強度・時間短縮に有効(ラフなプロトタイプ向き)
- クリーニング用にノズル掃除針/クリーニングフィラメントも常備
3. ビルドプレートは“替えの一枚”+“使い分け”
印刷が終わっても、パーツが熱で柔らかいうちは無理に剥がさないのが鉄則。
換えのプレートが1枚あれば、冷めるまで置いておき→印刷は続行でき、作業が“止まらない”。
また、スムースPEI/テクスチャPEIなどをモデル・材質で使い分けると歩留まりがさらに向上。
ざっくり使い分け
- スムースPEI: 底面ツルっと仕上げ。箱物・機能部品に◎
- テクスチャPEI(パウダーコート): 傷に強く、目立ちにくい凹凸仕上げ。薄物・大面積の剛性感UP体感
- 高温対応PEI: PETG中心の人に。食いつき強い分、のりで保護層を
4. 接着剤(スティックのり)は「保護材」でもある
“のり”は単に“くっつけるため”だけじゃありません。
PETG×PEI直だと強力に固着→プレート破損のリスク。スティックのりを薄く塗って“離型層”を作ると、剥がれやすく・傷みにくい。PLAでも角反りしやすい小物に効きます。
5. 工具は“最小限でも良質”を
6. 防振・静音・設置安定の三位一体
防振マットは効果を実感しやすい投資。
設置のコツ
7. 乾燥ボックス:印刷品質の“目に見えない要”は湿度
フィラメントの含水で失敗は増える(にじみ、糸引き、表面ざらつき、レイヤー割れ)。
乾燥ボックスで40%RH以下を目安にキープすると、見た目も寸法も安定し、連続印刷の歩留まりが上がります。
簡易ならジッパー袋+シリカゲル+湿度計でも可。ただ、出し入れが面倒→結局使わなくなる人も多いので、最初からボックスは“ラクの投資”。
8. AMS Lite:色替えと多素材の“めんどう”を消す
A1 miniはAMS Lite対応。(A1 mini Comboなら同梱)
注意点
9. ノズル清掃・メンテ消耗品:小さな積み重ねが大事故を防ぐ
目安(あくまで指標)
10. セーフティ:万一に備える“二手三手”
3Dプリンタは長時間の発熱機器。
これ買っとけばOK!——用途別おすすめ早見表
用途/悩み | 買うもの | 効果 | 価格目安 |
---|---|---|---|
とにかく成功率UP | 良質PLA、のり、予備プレート | 反り/密着不良を低減、回転率UP | 1–2万円前後(フィラメント含む) |
詰まりが怖い | 予備ホットエンド、掃除針、クリーニング材 | 当日復旧の確率UP | 数千円~1万円台 |
仕上がりを上げたい | テクスチャPEI、デバリングツール | 見栄えUP、手直し短縮 | 数千円~ |
音と振動 | 防振マット | 静音&画質安定 | 数千円 |
品質安定(長時間) | 乾燥ボックス、シリカゲル | にじみ/糸引き減、寸法安定 | 数千円~1万円台 |
カラー印刷 | AMS Lite | 色替え自動化、表現力UP | 3万円台~ |
セーフティ | 煙感知器、消火具、耐熱マット | いざという時の備え | 数千円~ |
※価格は目安。為替や在庫で変動します。
予算別スターター・パック(A1 mini版)
① ミニマム安心パック(約1.5万円~)
なぜこれ?
“詰まり・反り・待ち時間”の三大ストレスを最低限のコストで潰す。
② 快適運用パック(約2.5~4万円)
なぜこれ?
止まらない・並行印刷・見栄えUP・音の軽減まで一気にカバー。作業ストレスが激減。
③ クリエイター拡張パック(約6万円~)
なぜこれ?
多色ギミックや販促サンプルが一発で作れる。副業や依頼制作の入口にも。
A1 miniに“いらないかも”なもの(代替案つき)
よくある失敗と回避レシピ(A1 mini編)
セットアップと初週の“勝ちパターン”運用
- 設置:水平・防振マット・風除け・耐熱面の3点セット
- プレート脱脂:無水エタノールで軽く拭く(皮脂厳禁)
- フィラメントは乾燥:開封直後でも湿度計を見て管理(40%RH目標)
- 最初はPLA・シンプル形状:チューニングは一度に1変数だけ
- 予備プレート運用:剥がす前に“次のジョブ”を回す
- 日々の5分清掃:粉塵・糊カスを払う/ノズル先端をサッと確認
- 週1点検:ベルト張り、異音、ファンの埃
- トラブルは記録:原因と対策をメモ→改善が早くなる
まとめ:A1 miniの“正解装備”は「止まらない仕組み」を買うこと
A1 miniは、PLA中心なら本当に“気持ちよく印刷が回る”軽快機です。
失敗の多くは湿度・初層・待ち時間の3つからやってきます。だからこそ、予備プレート/乾燥環境/予備ホットエンドという「止まらない仕組み」を同時に整えるのが、最短の上達ルートです。
道具が整えば、あとは作るだけ。
あなたのデスクに、小さな工房が立ち上がります。A1 miniと“正解装備”で、今日から欲しかったモノを、欲しかった通りに。
付録:買い物チェックリスト(コピペ用)
「モノづくりのハードルは“調子が崩れたとき”に決まります。だから備えを買う。備えは“創作の自由時間”に化けます。」
A1 mini、きっと長く付き合える良い相棒になりますよ。