小林香菜選手の走り方と練習方法:ピッチはいくつが正解?

小林香菜選手の走り方と練習 スポーツ

最新の公開情報をもとに、フォームの特徴、なぜ速いのか、まねする時のコツ、ケガ予防まで、実用的に解説します。

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まずは「小林香菜選手ってどんなランナー?」

  • 2001年生まれ、群馬県出身。実業団は大塚製薬に所属する女子マラソン選手です。自己ベストは2時間21分19秒(2025年1月・大阪国際女子マラソン)。世界陸上(東京2025)でも入賞しています。
  • ワールドアスレティックスの公式プロフィールでは、ハーフマラソン1時間09分09秒(2025年4月・岐阜)などの記録も確認できます。

ポイント:彼女は「サークル出身→実業団」というユニークな道を通って、一気に日本トップに上がった新世代ランナーです。


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走り方のいちばんの特徴:高いピッチ(回転)×コンパクトなストライド

小林選手のフォームは、脚の回転がとても速い(ピッチ型)のが大きな特徴です。見た目は“小さな歩幅でチョコチョコ走る”ように見える瞬間もありますが、テンポよく回して前に進むのが持ち味です。

本人は「自分でもう少しストライド(歩幅)を伸ばせば、タイムは確実に上がるはず」と話しており、回転を意識するというコーチの教えを大事にしています。脚を“上げる”より“回す”。自転車のペダルのように脚が回るイメージだそうです。

かんたんに言うと
「大きく跳ばない」「淡々と回す」「接地は素早く」。この3つの組み合わせで、効率よくスピードと距離を両立しています。


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なぜ「ピッチ型」がマラソンで強いの?

難しい話は置いて、カラダの使い方の“しくみ”をやさしく説明します。

  1. 上下動が少ない=ムダが少ない
     大きく跳ぶ(オーバーストライド)と上下にエネルギーが逃げます。ピッチ型は上下のブレを小さくし、前方向の推進力にエネルギーを集中できます。
  2. 接地時間が短い=脚にやさしい
     地面に長くべったり乗らないので、ブレーキがかかりにくい。着地→離地が素早いほど、スピードが落ちません。
  3. 心拍のリズムを安定させやすい
     一定テンポで細かく回すと、呼吸リズムも合わせやすく、長距離での“巡航”がしやすいです。
  4. 小柄でも勝てる走り
     体格でストライドを稼げないなら、回転で距離を稼ぐ。小林選手はこの戦略で大きな成果を出しています(大阪で2:21:19、世界陸上入賞)。

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小林選手の「準備のしかた」:アップとドリルをとにかく丁寧に

練習前にはドリル初動負荷カムマシンのトレーニングをほぼ毎日行い、アップとダウンだけで合計80分かけるといいます。目的は股関節の動きをよくする・ケガ予防。ここに時間を惜しまないのが小林流です。

ここが一般ランナーとの大きな差
「走る時間」だけでなく準備と片付け(アップ&ダウン)に投資する。これが結局、速さと継続を生みます。


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実際のフォームづくり:まねする時の超具体チェックリスト

下の「7つのS」を意識すれば、ピッチ型フォームに近づけます。今日のジョグから試せます。

  1. Speed of feet(足の回転)
    メトロノームやランニングアプリで180spm前後(体力次第で±10)を目安にテンポ走・ビルドアップで練習。※目安であり、ムリな矯正はNG
  2. Small steps(小さめの歩幅)
    胸を少し前に、腰高を保ち、接地は体の真下。前へ“踏み出す”より、真下に置く感覚。
  3. Soft landing(やわらかい接地)
    ドスン禁止。足音を小さく。足裏全体〜やや前寄りで、“スッ”と触れて“スッ”と離れる
  4. Straight posture(まっすぐの姿勢)
    目線は遠く。みぞおちの少し上を前に運ぶイメージ。反り腰・猫背はNG。
  5. Swing like pedals(ペダルのように回す)
    ひざを高く“引き上げる”意識は弱めでOK。股関節から脚がクルクル回るイメージ(小林選手のキーワード)。
  6. Short ground contact(短い接地時間)
    トン・トン・トン」と一定リズム。着地した足はすぐ後ろへ“流す”。
  7. Shoulders relaxed(肩の脱力)
    肩と手はやわらかく振る。拳は“梅干し1個”ぶん軽く握るくらい。

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ドリル&補強:股関節をやわらかく、回転を通す

小林選手が重視するのは股関節の可動性回転の感覚(初動負荷・ドリル)。市民ランナー向けに置き換えると、次のメニューが実践的です。

  • Aスキップ/Bスキップ(各20〜30m×3)
    リズムよく真下接地を覚える。Bは“後方へのはらい”を小さく。
  • 腿上げドリル(その場・前進)
    腰を高く保ち、“上げる”より“回す”意識。
  • 股関節まわし(立位・四つ這い)
    円を描くようにゆっくり。痛みが出る角度は回避。
  • カーフレイズ&ヒップヒンジ
    ふくらはぎ・お尻の持久力を育て、短い接地でも押せる脚に。
  • チューブ・モビリティ
    中臀筋、腸腰筋まわりを弱い負荷で長く

目安:アップ20〜30分(ジョグ+ドリル)、ダウン20〜30分(ジョグ+静的ストレッチ)。合計40〜60分を“準備と片付け”に。小林選手はここをさらに厚く(合計80分)行っています。


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走トレ(ラン)の組み立て:ピッチ型が生きる週間例

※これは一般ランナー向けの一例です。小林選手のそのままのメニューではありません。考え方を取り入れた“型”です。

  • 月:完全休養 or 30~40分ゆるジョグ+モビリティ
  • 火:テンポ走 20~30分(マラソン~ハーフの余裕あるペース)
    一定ピッチを最優先。呼吸が乱れない範囲で。
  • 水:回復ジョグ 40~60分+ドリル
  • 木:閾値走(例:3~5km×1~2本/あるいは10~20分×2)
    →ピッチを維持して“押す”感覚。
  • 金:回復ジョグ 30~50分+補強
  • 土:ビルドアップ走 60~90分
    →後半に向けて回転を少しずつ上げる練習。
  • 日:ロング走 90~150分(会話できるペース)
    巡航のピッチを体に覚えさせる。給水・補給の練習も。

走行距離は体力と予定次第。まずは月150~200kmをメドに、ゆっくり増やすのが安全です(「走る量を増やすとフルのタイムが上がりやすい」という実践データの話題もありますが、オーバーワークに注意)。


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レース当日の走り方(ピッチ型のコツ)

  1. 前半は“リズム優先”
    タイムを追うより、呼吸とピッチが安定するかを最優先。
  2. 風・坂で“無理に歩幅を広げない”
    つぶれやすいので、回転でごまかす。腕振りでテンポを守る。
  3. 給水は合図→とる→戻す
    一連動作を崩さない。走りのテンポが止まると心拍も乱れます。
  4. 30km以降は“上半身で刻む”意識
    脚が重くなっても、腕の振りとリズムで前へ。

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ケガ予防と疲労管理(ここが“継続”のカギ)

  • 股関節と足首の可動域:ピッチ型は可動域が小さくても走れますが、動く幅を確保したほうが疲れがたまりにくい。
  • ふくらはぎ・アキレス腱のケア:接地が短い分、反復回数が多い。アイシング、軽いストレッチ、カーフレイズの高回数(20~30回×3)を習慣に。
  • シューズ選び:厚底の反発を“もらいにいく”より、自分の回転を邪魔しないモデルを。足入れで“つま先が自然に前へ流れる”感覚をチェック。
  • 睡眠・補給:ピッチ型は心拍の上下が少ないぶん、長時間“回し続け”ます。糖と水分、塩分をこまめに。

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よくあるQ&A

Q1:ピッチはいくつが正解?
A:体格・筋力・心肺で変わります。170~190spmの中で、自分が呼吸を乱さず巡航できるテンポを探しましょう。最初から数字を追いすぎず、音(足音の一定リズム)で感じられるとGOOD。

Q2:歩幅は伸ばさなくていい?
A:ムリに広げないが正解。“腰高+真下接地”が先、歩幅は結果として少しずつ伸びる。小林選手本人も、「もう少しストライドを伸ばせたらタイムは上がる」と“将来の伸びしろ”として語っています。

Q3:アップに時間をかける意味ある?
A:あります。股関節が回る→短い接地でも推せる→ピッチが守れる。小林選手はアップ&ダウンで合計80分という徹底ぶり。これはケガ予防と後半の粘りに直結します。


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小林香菜選手の「学びどころ」まとめ

  • ピッチ(回転)を最優先して、ムダのない巡航をつくる。
  • 真下接地・腰高・上半身リラックスで、上下動を小さく
  • 準備と片付け(アップ&ダウン)に投資して、股関節を通す
  • 距離とテンポのバランスで“長く速く”を両立する。
  • 自分の体に合うフォームでOK。ストライドは少しずつ伸ばせばいい。

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もっと知りたい人へ(公式情報)

  • 日本陸連(JAAF)公式プロフィール:所属、自己ベスト、大会成績がまとまっています。2:21:19(大阪国際、2025年1月)、世界陸上入賞など。日本陸上競技連盟
  • World Athletics:国際的な記録データ。ハーフ1:09:09(2025年4月)など。worldathletics.org
  • RUNNETインタビュー(2025/9/3公開)回転の意識自転車のペダルのように回すイメージアップ&ダウン合計80分など、フォームと練習のヒントが満載。RUNNET - 日本最大級!走る仲間のランニングポータル

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まとめ

  1. 毎回のアップに“ドリル10分”を追加(A/Bスキップ、腿上げ)。
  2. テンポ走は“呼吸<ピッチ”を意識(息がラクな範囲で回転一定)。
  3. 着地音を小さく(“トン・トン・トン”の一定リズム)。
  4. ロング走は“会話できるペース+ピッチ維持”
  5. ダウンに“股関節まわし+軽い補強”を5~10分。
  6. 週1回、歩幅は気にせず“回す日”を作る(ビルドアップ)。
  7. 週1回、動画で自分の足音と上半身の脱力をチェック

この7つだけでも、フォームのムダが減り、巡航力が上がるはず。小林香菜選手のように「回転で走りを組み立てる」感覚を、自分の体に少しずつしみ込ませていきましょう。継続こそ最大の近道です。

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