2025年11月、映画ファンと朝ドラファンのあいだでホットな名前が
「眞栄田郷敦(まえだ ごうどん)」
その理由はシンプルです。
この記事では、
「あさイチ」や各種インタビューで語られた裏話をヒントに、
『港のひかり』の現場がどんな“空気”だったのか
をまとめてみます。
映画の予習にも、ドラマの振り返りにも使える内容にしているので、
気になるところから読んでみてください。
『港のひかり』ってどんな映画?
まずは作品そのものをおさらいしておきましょう。
舞台は北陸の港町。元ヤクザと少年の十数年
『港のひかり』は、北陸の港町を舞台にしたヒューマンドラマ。
主人公は、
過去を捨てて港町でひっそり漁師をしている元ヤクザ・三浦諒一(みうら りょういち)。
この三浦を演じるのが、7年ぶりに単独主演をつとめる舘ひろしさんです。
ある日、三浦は
白い杖をついて歩く少年・幸太と出会います。
幸太は目が見えないうえに、両親を事故で亡くし、
頼るはずの大人からも冷たく扱われている孤独な子ども。
自分の過去とどこか重ね合わせた三浦は、幸太を船へ連れ出し、
だんだんと心を通わせていきます。
二人は、年の差を超えた“家族のような絆”を育てていきますが——
ある決断をきっかけに、運命は大きく動き出すことになります。
幸太の「少年期」と「青年期」を二人の俳優が演じ分ける
幸太は物語の中で、少年から青年へと成長します。
- 少年期の幸太:歌舞伎界の新星・尾上眞秀さん
- 青年期の幸太:眞栄田郷敦さん
という二段構えのキャスティング。
つまり、
舘ひろし=“おじさん”三浦
眞栄田郷敦=成長した幸太
という関係性で、物語の後半の“再会”が描かれていきます。
あえて「35mmフィルム」で撮る、硬派な現場
この映画が映画ファンから注目されている理由のひとつが、
全編を35mmフィルムで撮影しているという点。
監督は『ヤクザと家族』『正体』などで知られる藤井道人監督。
カメラマンは、『八甲田山』『劔岳 点の記』などで有名なレジェンド・木村大作さん。
デジタル撮影が当たり前になった時代に、
あえてフィルムで撮るというのは、かなり攻めた選択です。
フィルムは
- 何度も撮り直すことが難しい
- 1カットごとの“集中力”が勝負
- 光の調整もシビア
という特徴があるので、
役者もスタッフも、現場での緊張感はかなり高かったはずです。
「舘ひろし×眞栄田郷敦」年の差バディの魅力
実は『ゴールデンカムイ』に続く“再共演”
ふたりの共演は、今回が初めてではありません。
2024年の映画『ゴールデンカムイ』で顔を合わせており、
『港のひかり』はそれに続く“2度目の共演”になります。
インタビューで舘さんは、
- 「どうしてもまた眞栄田くんと一緒にやりたかった」
- 「彼は“目の表現”が素晴らしくて、これから大スターになっていく俳優だと思う」
といった趣旨のコメントを語っています。
一方で郷敦くんも、
- 「舘さんは“男が惚れる男性”」
- 「あんな大人になりたいと思うけれど、到底追いつけない」
と、尊敬と憧れを隠しません。
このお互いをリスペクトし合う関係が、
スクリーンの中で「三浦と幸太」の厚みのある関係性として
にじみ出てくるわけですね。
役柄としても“父と息子以上”の絆
物語の中で、三浦と幸太は血のつながりはありません。
でも、
- 居場所のない少年に手を差し伸べる三浦
- その優しさに救われ、人生を切り開こうとする幸太
という構図は、
実の親子以上に深い“人生の師弟関係”のようにも見えます。
ここに、現実の世界で
- 大ベテラン:舘ひろし
- 次世代スター:眞栄田郷敦
という立場のふたりが演じる、という“二重構造”が乗っかってくる。
だからこそ、この映画は
「いい話だった」で終わらずに、
“役者同士の対話”を見る楽しさもある作品になっているのだと思います。
『あさイチ』で見えた、郷敦の“素顔”と現場の空気
さて、ここからが本題。
2025年11月7日の『あさイチ』プレミアムトーク。
眞栄田郷敦くんは、
- 朝ドラ『あんぱん』で演じた手嶌治虫役のこと
- 映画『港のひかり』の撮影のこと
を、穏やかな口調でたっぷり語ってくれました。
① とにかく“仕事に真面目すぎる”好青年
『あさイチ』のまとめ記事では、郷敦くんの魅力として
- 真摯な姿勢
- 繊細な感情表現
が何度もキーワードとして出てきます。
「脚本に書いてある以上にキャラクターを深めたい」
という思いで、どんな小さなシーンでも手を抜かない。
年上のベテラン俳優に対しても、
変に遠慮しすぎず、でもきちんと礼儀を守る。
こういう“現場での姿勢”が、
舘さんをはじめ、多くの先輩から信頼される理由なんだろうなと感じました。
② 初の“フィルム現場”で感じたピリッとした緊張感
『港のひかり』は、前述のとおり35mmフィルムで撮影されています。
『あさイチ』やインタビューでは、
- 「フィルムはNGを出せば出すほどお金が飛んでいく」
- 「だから一発一発のテイクへの集中力が全然ちがう」
といったニュアンスの話も出ていました。
デジタルだと「とりあえず回しておこう」ができますが、
フィルムだとそうはいきません。
つまり現場では、
- カメラマン・木村大作さんの「よし、いくぞ」という合図
- 監督・藤井道人さんの“ここで決めたい”という気迫
- それを受け止める舘さんと郷敦くんの集中
が、毎テイクごとにギュッと凝縮されていたはずです。
テレビのスタジオでの柔らかいトークとは裏腹に、
現場ではかなりストイックな空気が流れていたことが想像できます。
③ それでも現場は“ピリピリしすぎない”
一方で、『あさイチ』のまとめでは、
先輩俳優やスタッフが語る郷敦くんの「おちゃめな素顔」も紹介されています。
- 緊張をほぐすような一言
- ちょっと照れながら笑う表情
- スタッフの小さなミスにも優しくツッコむ空気
こうした様子から、
“真面目だけど、重くなりすぎない現場”がイメージできます。
舘さんもインタビューで、
郷敦くんについて「若い世代でも話しやすい空気を作ってくれる」と語っています。
ベテランが“どっしり構え”、
若手が“素直なエネルギー”を出し、
全体として心地よい緊張感が保たれていた——
そんな撮影現場だったのではないでしょうか。
朝ドラ『あんぱん』で鍛えられた「空気を読む力」
モデルは“漫画の神様”・手塚治虫
朝ドラ『あんぱん』は、
「アンパンマン」の作者・やなせたかしさんと妻・暢さんをモデルにした物語。
ここで郷敦くんが演じたのが、
天才漫画家・手嶌治虫(てじま・おさむ)という人物。
このキャラクターは、
“漫画の神様”手塚治虫さんをモデルにした役柄として紹介されています。
研究と対話から生まれたキャラクター
公式コメントによると、郷敦くんはこの役について
- 手塚治虫さんに関する資料をかなり読み込んだ
- 「温厚だけどこだわりが強く、漫画への愛にあふれた人」とイメージしながら役作りをした
と話しています。
『あさイチ』では、
- 「スタッフや共演者と一緒に“手嶌治虫”という人物を作っていった感覚がある」
という内容の発言もあり、
一人よがりではなく、現場と対話しながら役を深めていくタイプであることが伝わってきました。
この“空気を読む力”と“役を共同作業で作る姿勢”は、
映画『港のひかり』の現場でも活かされているはずです。
『港のひかり』の撮影現場はこんな雰囲気だった?
ここからは、
各種インタビュー記事と『あさイチ』の話を組み合わせて、
現場の空気を“レポート風”にまとめてみます。
① 寒い北陸の海+フィルムカメラ=張りつめた空気
撮影のメインロケ地は、北陸・能登の港町。
冬の日本海といえば、
- 風が強くてとにかく寒い
- 海も空もグレーがかっていて、ちょっとさびしい
- でもその中に、独特の“光”が差し込む瞬間がある
という、非常にドラマチックな場所です。
ここに、レジェンド・木村大作さんのフィルムカメラが据えられます。
舘さんや郷敦くんの話を総合すると、現場では
- 「ここで決めたい」という、1カットごとの集中
- 寒さで体が震える中でも、表情だけは静かに保つ
- 監督とカメラマンが、自然光のわずかな変化を見逃さずに指示
といった、職人の仕事場のようなピリッとした緊張があったようです。
② その中心にいる“おじさん”舘ひろし
現場の真ん中に立っていたのは、やはり舘ひろしさん。
インタビューでは、
- 現場での立ち姿そのものが、すでに“三浦”そのもの
- 若手に対しても、腰が低く、柔らかく接してくれる
といった証言が語られています。
郷敦くんにとっては、
- 映画の中では“人生の師匠”のような存在
- 実際の現場でも“背中を見せてくれる大人”
という二重の意味で、頼りになる存在だったはずです。
③ 若手・郷敦が“空気の循環装置”になっていた?
一方の郷敦くんは、
- 役作りにはストイック
- だけど、ふとした瞬間にはおちゃめな表情も見せる
というギャップのあるタイプ。
重くなりがちな物語を撮っているにもかかわらず、
現場の雰囲気が“暗く沈みっぱなし”にならなかったのは、
郷敦くんのこうした人柄が空気の循環装置になっていたからかもしれません。
観るときの“注目ポイント”3つ
ここまで読んで、
「じゃあ実際に映画を観るとき、どこに注目すればいいの?」
という方のために、ポイントを3つに絞ってみます。
① 三浦と幸太の「目」と「間(ま)」
舘さんは、郷敦くんの“目の演技”を何度も絶賛しています。
- 幸太が三浦を見つめるときの、尊敬と迷いが混ざった目
- 三浦が幸太を見守るときの、申し訳なさと誇らしさが混ざった目
こうした「目」と「セリフの間」に、
ふたりの関係性がぎゅっと詰まっています。
セリフそのものよりも、
しゃべっていない瞬間の表情を意識して観ると、
何倍も味わい深くなります。
② フィルムならではの“光と影”
タイトルにもある「ひかり」。
港町に差し込む自然光を、35mmフィルムでとらえた映像は、
デジタルとはまた違う、やわらかい質感があります。
- 朝焼けや夕暮れの港
- 冬の弱い日差し
- 漁船のライトが海面に反射する瞬間
こうした“光の表情”と、
そこに立つ三浦・幸太のシルエットに注目してみてください。
「港のひかり」というタイトルが、
物語上だけでなく、
画面そのものにも込められていることがわかるはずです。
③ 『あんぱん』ファンは“働く人の物語”としても楽しめる
朝ドラ『あんぱん』は、
戦後の混乱期を生きる人たちが、
仕事や創作を通じて“自分の正義”を見つけていく物語でした。
『港のひかり』もまた、
- 元ヤクザという過去を持ちながら、漁師として生き直そうとする三浦
- 弱視を乗り越え、ある仕事を選び取っていく幸太
という、“働きながら人生をやり直す人たち”の物語です。
『あんぱん』で郷敦くんのファンになった人は、
ぜひこの映画を
「別の世界線で生きる、もう一人の“天才”の物語」
として楽しんでみるのもおすすめです。
まとめ
最後に、この記事のポイントをぎゅっとまとめると——
派手なアクションも、過激な演出もないかもしれません。
でも、静かな港町の中で、
人が誰かのために手を伸ばす瞬間や、
自分の人生をもう一度選び直す瞬間は、
観る人の心のどこかをきっと強く揺さぶります。
もしあなたが、
- 最近ちょっと疲れている
- 誰かにそっと背中を押してほしい
- 「年の差の友情」や「師弟関係」のドラマが好き
そんな気分なら、
『港のひかり』と『あんぱん』、そして『あさイチ』のプレミアムトークは、
きっと心にやさしい灯りをともしてくれるはずです。
あとは、映画館でそれぞれの“ひかり”を受け取るだけ。
あなたは、三浦と幸太のどのシーンに、一番心を持っていかれるでしょうか?




