中村橋之助の父は中村芝翫!
祖父は人間国宝!
――この一文だけでも、「どれだけすごい家系なの?」と思いますよね。
この記事では、
- 中村橋之助ってどんな人?
- 父・八代目 中村芝翫はどんな歌舞伎役者?
- 祖父・七代目 中村芝翫は、なぜ「人間国宝」と呼ばれたのか?
- 成駒屋(なりこまや)一門の家系図を、やさしく文字で整理
という流れで、「中村橋之助ファミリーの家系図」を解説していきます。
中村橋之助ってどんな人?
まずは主役から。
- 名前:四代目 中村 橋之助(なかむら はしのすけ)
- 本名:中村 国生(なかむら くにお)
- 生年:1995年生まれ(2024年時点で20代後半)
- 職業:歌舞伎役者
- 屋号(やごう):成駒屋(なりこまや)
2016年10月、歌舞伎座の「芸術祭十月大歌舞伎」で、
それまで中村国生として活躍していた彼が、「四代目 中村橋之助」を襲名しました。
「四代目」ということは、同じ名前の“先輩”が過去に3人いた、ということです。
歌舞伎の世界では、評価された名前=「名跡(みょうせき)」を、代々受け継いでいく文化があります。
成駒屋三兄弟の長男
中村橋之助には、歌舞伎役者の弟が二人います。
- 次男:三代目 中村 福之助(ふくのすけ)
- 三男:四代目 中村 歌之助(うたのすけ)
この3人は「成駒屋三兄弟」と呼ばれ、若手の花形として注目されています。
そして、この三兄弟のお父さんが、テレビでもおなじみの歌舞伎役者・八代目 中村芝翫(し かん)。
さらにその上に、伝説級の歌舞伎役者・七代目 中村芝翫(人間国宝)というおじいさんがいます。
ここから、一気に「家系図モード」に入っていきます。
父・八代目 中村芝翫とはどんな人?
まずはお父さん。
- 名前:八代目 中村 芝翫(なかむら しかん)
- 本名:中村 幸二(なかむら こうじ)
- 生年:1965年8月31日、東京都出身
- もとの芸名:三代目 中村 橋之助(←現在の四代目とは別人)
- 屋号:成駒屋
- 職業:歌舞伎役者・俳優
子どもの頃は、本名の「中村幸二」で舞台に立ち、
1980年に「三代目 中村橋之助」を襲名。
その後、2016年10〜11月の歌舞伎座公演で、
ついに「八代目 中村芝翫」を襲名しました。
つまり流れとしては、こうです。
幸二(こども時代)
→ 三代目 中村橋之助(人気の若手時代)
→ 八代目 中村芝翫(現在の大看板)
母は元アイドル・三田寛子
そして、多くの人が気になるのが「お母さん」。
- 妻:三田 寛子(みた ひろこ)
元アイドルで、今もバラエティ番組などで活躍するタレント。
舞台人である夫を支えながら、3人の息子をすべて歌舞伎役者に育て上げたことで、
梨園(りえん・歌舞伎界)の“理想の妻”とも言われます。
八代目 芝翫の実家も、もちろん歌舞伎一家
八代目 芝翫さん自身も、ものすごい“サラブレッド”です。
- 曾祖父:五代目 中村 歌右衛門(かうえもん)
- 祖父:五代目 中村 福助(ふくすけ)
- 父:七代目 中村 芝翫(人間国宝)
- 兄:九代目 中村 福助(女方の名手)
…と、代々続く「成駒屋」の名門中の名門。
ここで、「祖父・七代目 芝翫ってどういう人?」という話に進みましょう。
祖父・七代目 中村芝翫は「人間国宝」
中村橋之助にとって祖父にあたるのが、七代目 中村芝翫です。
- 名前:七代目 中村 芝翫(なかむら しかん)
- 生没年:1928年生まれ〜2011年没
- 専門:女方(おやま)※女性役を演じる
- 屋号:成駒屋
- 受賞・称号:
- 重要無形文化財保持者=人間国宝(各個認定)
- 文化功労者、紫綬褒章、勲三等瑞宝章 など数々の栄誉
「人間国宝」とは、国が「この人の技は日本の宝」と認めた人につける称号です。
七代目 芝翫は、女方としての高度な演技が評価され、
1996年に重要無形文化財保持者(各個認定=人間国宝)となりました。
七代目 芝翫の生い立ち(ざっくり)
七代目 芝翫の人生を、超ざっくり並べると…
- 父は五代目 中村福助(美男の女方)。しかし34歳で早世。
- その後は、祖父・五代目 中村歌右衛門に育てられる。
- 子役として舞台に立ち続け、戦前・戦後の歌舞伎界を支える存在へ成長。
- 1965年に重要無形文化財保持者(総合認定)、1996年に人間国宝(各個認定)。
息子である 八代目芝翫も、「父は人間国宝」として、その背中を追い続けてきました。
その“人間国宝の孫”にあたるのが、今注目の若手・中村橋之助というわけです。
文字で見る「中村橋之助」の家系図
ここからは、タイトルにもある「家系図」を、文字で整理してみます。
大きなくくり:成駒屋の直系
一番わかりやすく、直系だけを抜き出すとこうなります。
(曾祖父)五代目 中村 歌右衛門
↓
(祖父)五代目 中村 福助
↓
(父)七代目 中村 芝翫(人間国宝)
↓
(子)八代目 中村 芝翫(現・当主)
↓
(孫)四代目 中村 橋之助 + 弟たち
これだけでも、「代々がっつり歌舞伎」ということが伝わると思います。
もう少し詳しく:現在の“家族”部分だけ
現在の中村橋之助を中心にすると、こうです。
- 祖父:七代目 中村 芝翫(人間国宝の女方)
- 祖母:一般女性
- 父:八代目 中村 芝翫(元・三代目 中村橋之助)
- 母:三田 寛子(元アイドル・タレント)
- 本人:四代目 中村 橋之助(長男)
- 弟:三代目 中村 福之助(次男)
- 弟:四代目 中村 歌之助(三男)
この「父・母+三兄弟」の6人が、現在の“成駒屋・核ファミリー”というイメージです。
さらに広がる親族:中村屋ともつながっている
実はこの家系、
あの有名な「中村勘三郎ファミリー(中村屋)」とも濃いつながりがあります。
- 八代目 芝翫の次姉・波野好江さんは、十八代目 中村勘三郎の妻。
つまり、
- 中村勘九郎
- 中村七之助
といった人気役者たちは、
八代目 芝翫にとって「義理の甥」、
橋之助たち三兄弟にとっては「はとこに近い親戚筋」となります。
歌舞伎界は「血縁+師弟関係」でネットワークができているので、
成駒屋と中村屋は、家柄としても舞台としても、とても近い関係にあるのです。
「成駒屋」ってなに?歌舞伎の「屋号」の話
ここまで何度も出てきた「成駒屋(なりこまや)」という言葉。
これは、歌舞伎の世界でいう「屋号(やごう)」です。
- 「成駒屋」=中村芝翫・中村橋之助ファミリーの屋号
- 観客は、舞台での見せ場になると「成駒屋!」「成駒屋ぁ!」と声をかける
- これは“応援の掛け声”であり、その家のブランド名でもある
歌舞伎には他にも有名な屋号があります。
- 中村勘三郎家 → 「中村屋」
- 尾上菊五郎家 → 「音羽屋」
- 片岡仁左衛門家 → 「松嶋屋」 など
屋号は、観客が誰を応援しているのかを一発で伝える“ファンの声”でもあります。
成駒屋の場合、「祇園守(ぎおんまもり)」などの家紋もセットで覚えられています。
なぜ「代目」と「襲名」がそんなに大事なのか?
記事タイトルにもあるように、
- 中村橋之助 → 四代目
- 中村芝翫 → 八代目
- 祖父の芝翫 → 七代目
と「◯代目」という数字がついています。
これは、
「この名前は、代々受け継がれてきた“ブランド名”です」
という意味を表しています。
襲名の役割
歌舞伎界での「襲名(しゅうめい)」には、
- 先代の功績を引き継ぐ
- 家の歴史を観客にもわかりやすく示す
- 若手が一人前として認められる“通過儀礼”
という役割があります。
たとえば、八代目 芝翫は長く「三代目 中村橋之助」として活躍したあと、
満を持して「芝翫」という重い名前を継ぎました。
同時に、その「橋之助」の名前を長男・国生が継ぎ、四代目になったわけです。
この“バトンリレー”のような流れが、歌舞伎ならではのダイナミズムです。
「祖父が人間国宝」ということの重さ
中村橋之助のプロフィール紹介で、
「祖父が人間国宝」と聞くと、
うわ、プレッシャーすごそう…
と思う方も多いと思います。
実際、
- 祖父:七代目 芝翫 → 人間国宝、文化功労者など、超一流の評価
- 父:八代目 芝翫 → 重要無形文化財保持者(総合認定)、日本芸術院賞など多数受賞
という“レジェンドだらけ”の家系です。
その中で育った橋之助は、
- 小さな頃から舞台が日常
- 10代のうちから大きな役を任される
- 20代で「成駒屋三兄弟」の長男として注目される
と、常に周囲から期待される立場にいます。
ただ、その一方で、
- 宝塚ファンであることを公言したり
- 自主公演「神谷町小歌舞伎」で三兄弟とともに新しい試みに挑戦したり
と、「伝統の上に、自分たちなりの色を足していく」動きも見せています。
「人間国宝の孫」だからこそ、
伝統をただ“守る”だけでなく、
どう“未来につなぐか”が自分の仕事――
という意識を持っているのかもしれません。
ざっくりおさらい:中村橋之助ファミリーの家系図
最後に、ここまでの内容を、文字ベースの家系図としてざっくり整理します。
上の世代
- 曾祖父:五代目 中村 歌右衛門(女方の大名跡)
- 曾祖母:不詳(一般女性)
↓
- 祖父:五代目 中村 福助(期待された女方だが若くして死去)
- 祖母:中村雅子 ほか(資料による)
↓
- 父:七代目 中村 芝翫
・人間国宝(重要無形文化財保持者・各個認定)
・文化功労者 ほか多数受賞 - 母:一般女性
↓
- 次男:九代目 中村 福助(現在の女方の大看板の一人)
- 三女:波野好江=十八代目 中村勘三郎の妻(中村屋と成駒屋をつなぐ存在)
- ほか姉妹
現在の“成駒屋・核ファミリー”
- 父:八代目 中村 芝翫(元・三代目 中村橋之助)
- 母:三田 寛子(元アイドル・タレント)
↓
- 長男:四代目 中村 橋之助(本名・中村国生)
- 次男:三代目 中村 福之助
- 三男:四代目 中村 歌之助
というかたちになります。
まとめ:名門成駒屋の「現在地」と中村橋之助
ここまでを一言でまとめると、
中村橋之助は、
「人間国宝の孫」であり、
「八代目芝翫の長男」であり、
「成駒屋三兄弟の長兄」という、
とんでもない“歌舞伎サラブレッド”。
ということになります。
でも、ただ「家系がすごい」だけでは、歌舞伎の世界では生き残れません。
観客に「また見たい」と思わせる実力がなければ、名跡の重さがむしろプレッシャーになってしまいます。
だからこそ、
- 祖父・七代目芝翫の“芸の格”
- 父・八代目芝翫の“存在感”
- 成駒屋三兄弟としての“新しい挑戦”
こうしたものを背負いながら、
四代目 中村橋之助がどんな役者へと育っていくのか――
それを見守ること自体が、
現代に生きる私たちにとっての「リアルタイム歌舞伎ドラマ」と言えるかもしれません。
歌舞伎初心者の方も、
「あ、あの若い人、
祖父が人間国宝で、父が八代目芝翫なんだ」
と知ってから舞台を見ると、
また違った楽しみ方ができるはずです。
これから歌舞伎を観るときに、
ぜひ「成駒屋!」「成駒屋ぁ!」という掛け声にも耳をすませてみてください。
その声の中心にいるのが、まさに 中村橋之助なのです。


