伏見寅威と島本浩也のトレード、びっくりしましたよね。
「なんで今?」「ハム損してない?」「阪神ではどう使うの?」──この記事では、この3つのモヤモヤを整理していきます。
まずは事実整理:今回のトレードはどんな中身?
2025年11月14日、北海道日本ハムファイターズと阪神タイガースの間で、
伏見寅威(捕手・35歳)⇔島本浩也(左投げ中継ぎ・32歳)
の1対1の交換トレードが発表されました。
日本ハムの栗山英樹CBOは、このトレードについて
「選手のために、チームのために、それが本当にプラスになると信じている」
とコメントしていて、「お互いのチーム事情を考えたうえでの決断」という位置づけになっています。
伏見寅威ってどんな捕手?ざっくりプロフィール
プロフィールと実績
伏見寅威は北海道・千歳市出身の35歳、右投右打の捕手です。
- 身長182cm・体重89kg
- 東海大四高(現・東海大札幌)→東海大→オリックス→日本ハムという経歴
- オリックス時代には2022年の日本一に貢献し、「日本シリーズでの勝負強さ」も評価されてきました
プレースタイルとしてよく言われるのが、
- 投手とのコミュニケーションがうまい
- リード(配球)が安定している
- 投手陣からの信頼が厚い「女房役」タイプ
という部分です。オリックス時代にはエース・山本由伸から精神的支柱として名前を挙げられたこともあり、数字以上に“信頼”で評価される捕手と言えます。
日本ハムでの立ち位置
日本ハムでは、
- 田宮裕涼(73試合マスク)
- 伏見寅威(62試合マスク)
という形で、田宮と伏見の2枚看板的な起用でした。守備率は伏見が失策0・捕逸0で守備率1.000と非常に安定しており、守備面ではまったく問題のない成績です。
ただし、シーズン終盤から先発マスクの機会が減り、CSでもスタメン1試合+代打1試合のみと、出場機会はやや減少傾向にありました。
「なぜ今トレード?」日本ハム側の事情を整理してみる
ここからは、「なぜ今、伏見を出したのか?」という日本ハム側の事情を、分かりやすく整理してみます。
① 捕手層が厚くなってきた
2025年の日本ハムの捕手陣は、
- 田宮裕涼:73試合
- 伏見寅威:62試合
- 郡司裕也:22試合
- 進藤勇也:13試合
など、複数の捕手が一軍でマスクをかぶる状態でした。
田宮は若くて伸びしろのある捕手で、シーズンを通して多くの試合を任されています。
このままいくと、
- 田宮や進藤など“次世代捕手”にもっとチャンスを与えたい
- でも伏見も一軍クラスなので、試合に出したい
という、いい意味での“ポジションだぶつき”になっていたとも考えられます。
② 左の中継ぎ投手がほしかった
一方で、日本ハムは左投げの中継ぎ投手の補強が課題とされてきました。
そこで白羽の矢が立ったのが、阪神で長く実績を積んできた島本浩也です。
- 2025年:16試合登板、防御率1.88と安定した成績
- 通算でも204試合、防御率2.97と、数字だけ見れば一級品の左リリーフ
日刊スポーツの別記事でも「実績十分な左の中継ぎ」と紹介されており、
“左腕不足を一気に埋められる即戦力”としての期待がにじんでいます。
③ 年俸や世代バランスの問題
推定とはいえ、メディアの分析では、
- 伏見:推定年俸1億円
- 島本:推定年俸4500万円
と、年俸では伏見の方がかなり高いことが伝えられています。
日本ハムは再建途上のチームで、若手への投資や補強ポイントの見極めが大事なフェーズ。
- 捕手:田宮・進藤・郡司ら若手が台頭
- 投手:左の中継ぎは貴重で、実績ある即戦力が少ない
このバランスを考えると、
「高年俸ベテラン捕手を放出し、
若手捕手に道を開けつつ、
不足していた左リリーフを補う」
という編成全体のリバランスという見方もできそうです。
「ハムは損では?」を数字と事情から考える
SNSでは、
「年俸1億の伏見を出して、4500万円の島本を取るなんて損では?」
という声も出ています。
ここは、感情論だけでなく「何を交換したのか」を整理してみると見え方が変わります。
日本ハムが“失うもの”
- ベテラン捕手としての経験値とリード力
- 若手投手にとっての“安心感のある女房役”
- クラブハウスでの存在感・ムードメーカーとしての役割
これは正直、数字には出にくい部分で、痛いのは間違いありません。
日本ハムが“得るもの”
- 実績ある左の中継ぎ(防御率1.88、通算2.97)
- 若手捕手への出場機会増加(田宮・進藤・郡司など)
- 年俸バランスの是正(高年俸ポジションから、比較的コストの低い即戦力投手へ)
特に、左の中継ぎ投手はどの球団でも貴重で、シーズンを通して勝敗を左右するポジションです。
「捕手の頭数は足りているが、左中継ぎが足りない」という状況なら、
“損得”というより“ニーズの違い”と見る方が近いかもしれません。
結論:短期的には痛い、でも中長期の編成ではアリ
- 感情面:伏見の人柄やリード力を知っているファンにとっては「損した…」と感じるのは自然
- 編成面:若手捕手が育ってきている今、
- 「捕手の世代交代」+「左腕補強」+「年俸バランス調整」
を一気に進めるトレードと見ることもできる
- 「捕手の世代交代」+「左腕補強」+「年俸バランス調整」
つまり、
「ファン心理としては寂しいが、
チーム編成としては一定の合理性があるトレード」
というのが、現時点での現実的な評価と言えそうです。
阪神側から見ると?伏見はどんな役割を期待されているのか
今度は阪神側の視点で見てみましょう。
阪神の捕手事情:正捕手はいるけど“第3の柱”が不安
日刊スポーツの解説によると、阪神の2025年の捕手起用はこんな感じでした。
- 坂本誠志郎(32歳):117試合でマスクをかぶる事実上の正捕手
- 梅野隆太郎(34歳):52試合出場のベテラン
- 榮枝裕貴(27歳):8試合出場にとどまり、「次世代の第3捕手」がなかなか定着していない
つまり阪神は、
- 正捕手・坂本の負担が大きい
- 梅野も30代半ばに入り、世代交代のタイミングが近い
- 若手捕手が「一軍でガッツリ試合に出るレベル」まで育ちきっていない
という悩みを抱えていました。
そこで「経験豊富な伏見」を追加
阪神が伏見を獲得したことで、
- 坂本(32)
- 梅野(34)
- 伏見(35)
と、30代捕手3人の布陣になります。
一見すると「さらに高齢化したのでは?」と思うかもしれませんが、
日刊スポーツの記事では、伏見の加入について、
- 投手陣から信頼されてきた人格者であること
- 若手捕手の育成にプラスになりうること
- 阪神の強みである投手陣を、さらにレベルアップさせる可能性
といった点が強調されています。
阪神での具体的な役割イメージ
現時点で起用法は「未確定」ですが、
各種報道や数字から考えると、こんな役割が想像できます。
- “1.5番手捕手”としての役割
- 坂本が正捕手でも、連戦や疲労を考えるとフル出場は難しい
- 伏見は経験豊富なので、「ここは伏見で行きたい」という試合でスタメンを任せやすい
- 投手陣の“相談役”+リードのバリエーション追加
- オリックス・日本ハムで多くの投手をリードしてきた経験から、
「こういうタイプのピッチャーはこう攻める」という引き出しが多い - 阪神の投手陣にとって、新しい視点やリードをもたらす可能性
- オリックス・日本ハムで多くの投手をリードしてきた経験から、
- 若手捕手への「生きた教材」
- 実際の一軍のゲームを知っているベテランに、
ベンチや練習で細かいことを直接聞けるのは、若手にとって大きなプラス
- 実際の一軍のゲームを知っているベテランに、
- ポスト坂本・梅野時代への“つなぎ役”
- 30代捕手3人という編成は長くは続かない
- その間に、次の世代の捕手(榮枝・中川ら)をどう育てるかがポイントで、
伏見は「自分も試合に出つつ、若手にノウハウを渡す役割」も期待されそうです。
まとめ
最後に、この記事のポイントをギュッとまとめます。
つまり、このトレードは
日本ハム:捕手→左リリーフ
阪神:左リリーフ→捕手
という“足りないピース同士の交換”と見ると、かなりスッキリします。



