最初に、いちばん大事なポイントをハッキリさせておきます。
現時点で、ハンバートハンバートの2人(佐野遊穂さん・佐藤良成さん)について、
「病気」や「障害」を公表した公式な情報はありません。
公式サイトやレーベルのプロフィール、最新のニュースを見ても、
- 「○○という病気を公表」
- 「体調不良で長期活動休止」
といった発表は出ていません。
むしろここ数年は、
- 映画『ぼくのお日さま』の主題歌&劇伴担当「ぼくのお日さま」
- ドキュメンタリー映画『大きな家』の主題歌「トンネル」
- NHK朝ドラ『ばけばけ』主題歌「笑ったり転んだり」
- ファンケルの企業CM書き下ろし楽曲
など、タイアップもどんどん増えていて、とても精力的に活動しているデュオです。
それなのに、なぜ「病気」「障害」といった噂があるのでしょうか?
ここからは、その“モヤモヤ”の正体を整理していきます。
なぜ「病気」「障害」と検索されるのか?主な理由4つ
① 歌詞のテーマが「弱さ」「生きづらさ」を正面から描いているから
ハンバートハンバートの歌詞には、
- 別れ
- コンプレックス
- 生きづらさ
- 心の弱さ
といった、ちょっとつらい感情がよく出てきます。公式プロフィールでも、
「別れやコンプレックスをテーマにした独自の詞の世界」と紹介されているほどです。
たとえば、楽曲「ひかり」では、自殺未遂後の“動けない状態”を描いた、かなりショッキングな歌詞が出てきます。
歌詞だけ切り取ると、
「こんな歌を書くってことは、本人も精神的に病んでいるのでは?」
と感じてしまう人もいるかもしれません。
でも、これはあくまで“作品としての表現”です。
映画や小説と同じで、「重いテーマを書く=本人がその病気である」とは限りません。
実際、多くの解説サイトやファンブログも、
「弱さや生きづらさを丁寧に描いているからこそ、『病気?』と背景を知りたくなって検索する人が多いのでは」
といった見方をしています。
② 一部サイトやSNSで「鬱」「吃音」などの言葉が取り上げられている
Googleで「ハンバートハンバート」と打つと、
- ハンバートハンバート 鬱
- ハンバートハンバート 吃音
- ハンバートハンバート 宗教
- ハンバートハンバート 怖い
といった、ちょっとドキッとする言葉がサジェストに出ることがあります。
これについて解説している記事を見てみると、
- 2人に障害や病気の公式情報はない
- 「障害?吃音?」といった噂は、楽曲の世界観や受け取り方から生まれた推測にすぎない
と、最終的には「公式な事実ではない」と結論づけているものがほとんどです。
ところが、こうした記事タイトルに「障害」「鬱」「吃音」といった単語が入ることで、
さらに検索される → またサジェストに残る → また誰かがクリックする
…というループが起こりやすくなります。
③ Googleサジェストの仕組みが「噂」を大きく見せてしまう
ここで、Googleサジェスト(予測変換)の仕組みを、かんたんに整理しておきます。
サジェストに出てくる言葉は、
- 多くの人が実際に検索したキーワード
- 関連するwebページの中でよく出てくる単語
などをもとに、自動で表示されています。
つまり、サジェストに出ている=事実、ではありません。
「○○ 病気」「○○ 障害」といったキーワードは、
- 心配したファン
- ゴシップ系のまとめサイト
- 「本当かな?」と調べようとした人
こうした人たちの検索行動が積み重なった結果として、上に上がってきているだけです。
だからこそ、サジェストを見て
「やっぱり病気なんだ!」
と決めつけるのではなく、
「あ、みんな気になって調べているんだな」くらいに受け止めるのが安全ラインです。
④ 「週休2日宣言」などの情報が「体調不良?」と誤解された可能性
ネット上の解説を読むと、もう1つ理由として挙げられているのが、
2019年前後に話題になった「週休2日宣言」です。
当時ハンバートハンバートは、
子育てとの両立や生活リズムを整えるために、
「これからは週休2日にして活動ペースを調整します」といった趣旨の発信をしていました。
しかし、そこだけ切り取られて
- 「体調が悪いからペースダウンするのでは?」
- 「もしかして何か病気が…?」
と、勝手な想像が広がってしまった部分もあったようです。
実際には、
「家庭と仕事をうまく両立するための前向きな決断」であり、
健康状態の悪化と結びつける根拠はありません。
公式プロフィールと最近の活動からわかること
ここで改めて、ハンバートハンバートの公式なプロフィールを整理しておきます。
- 佐野遊穂(さの・ゆうほ)
- 1976年 東京都出身
- ボーカル/ハーモニカ担当
- 佐藤良成(さとう・りょうせい)
- 1978年 神奈川県出身
- ボーカル/ギター/フィドル(バイオリン)担当
- 1998年 結成
- 2001年 CDデビュー
- フォーク、カントリー、アイリッシュ、日本の童謡などをルーツにした楽曲
- 「別れ」や「コンプレックス」をテーマにした詞の世界観で支持を集める
これまでに12枚以上のオリジナルアルバムを発表し、
- フジロック、サマソニなど大型フェス出演
- 映画・ドラマ・アニメ・CMへの楽曲提供多数
と、長年にわたって第一線で活動しているアーティストです。
さらに、ここ数年だけ見ても、
- 映画『ぼくのお日さま』主題歌/タイトル曲「ぼくのお日さま」
- 映画『大きな家』主題歌「トンネル」
- NHK連続テレビ小説『ばけばけ』主題歌「笑ったり転んだり」
- ファンケルの企業CM書き下ろし曲
と、新しい仕事が次々に決まっている状態です。
もちろん、健康な人でも体調不良の時期はありますし、
「元気に見えるから絶対に病気じゃない」と言い切ることもできません。
ただ少なくとも、
- 公式な「病気・障害の公表」はない
- 活動が大きく止まるようなニュースも出ていない
- ご本人たちは、作品制作やライブをふくめ、精力的な活動を続けている
ということは事実として確認できます。
有名人の「健康」「病気」の話をするときに気をつけたいこと
ここからは少し、読み手である私たちの姿勢についても触れておきたいと思います。
① 健康情報は、誰にとっても「デリケートなプライバシー」
たとえ有名人であっても、病気や障害に関する情報は、とてもデリケートな個人情報です。
- 打ち明けるかどうか
- どこまで具体的に話すか
それは、本人か、ごく近い家族が決めるべきことですよね。
もし大きな病気や障害があり、それをオープンにする必要があると判断すれば、
- 本人のコメント
- 事務所やレーベルからの公式発表
といった形で、ちゃんと発表されるはずです。
逆に言えば、公式に何も出ていないなら「公表していない(=知られたくないか、状況的に公表の必要がない)」と受け止めるのが自然です。
② 「かもしれない」を事実のように話さない
ネット上には、
- 「声の出し方が○○っぽいから、もしかして…?」
- 「歌詞が重いから、きっと本人も…」
といった完全な憶測が、事実のように語られていることがあります。
こうした「かもしれない話」は、
- 本人や家族を傷つける可能性がある
- 何も知らない人に、誤ったイメージを植え付ける
という点で、とても危険です。
ハンバートハンバートについても、
「『病気らしいよ』『障害があるらしい』と“言い切る”のはNG」
という線は、ファンとしてもしっかり守りたいところです。
③ 気になるなら、まずは「公式情報」を見る
誰かの健康状態が気になった時は、
- 公式サイトやレーベルのプロフィール
- 信頼できるニュースソース(新聞社・公式リリースなど)
を探してみるのがおすすめです。
それでも情報が見つからない場合は、
「今のところ、公式には何も出ていない」
とまとめるのが、いちばん誠実なスタンスだと思います。
それでも「病気」を連想してしまう…その背景には“弱さへの共感”がある
ここまで読んで、
「公式には病気じゃないのはわかった。でも、なんでこんなに“病み”を感じるんだろう?」
と感じている方もいるかもしれません。
その理由は、おそらくハンバートハンバートが、
- 自分の弱さ
- 他人の弱さ
- 社会の中で押しつぶされそうになる心
こうしたものを、ものすごく丁寧に音楽にしているからだと思います。
「こわくてやさしい」世界観
とある音楽コラムでは、ハンバートハンバートのことを
「こわくて、やさしい」
と表現しています。
たとえば「ひかり」のような重い楽曲も、
ただショッキングなだけではなく、
- 生きることの痛み
- それでも続いていく時間
を、静かに描いています。
これは、「病気だから書ける」というよりも、
人の心の暗い部分から目をそらさない作家性だと考える方が自然です。
「弱さを言葉にしてくれる人」としての存在
また、最近の楽曲「小さな声」などでは、
- 「頑張れ」と言われ続けて、もう頑張れない人
- 大声で助けを求めることすらできない人
の気持ちを代弁するような歌詞が描かれています。
こうした曲に救われた人が、
「この人たち、きっとつらい経験をしてきたんだろうな」
と想像し、「病気」「鬱」といったキーワードで検索してしまう気持ちも、正直よくわかります。
でもそれは、2人の人生を暴くための興味ではなく、
「こんなにわかってくれるのは、なぜだろう?」
という、感謝に近い好奇心から来ていることが多いのではないでしょうか。
まとめ
最後に、この記事のポイントを整理します。
「病気なの?」と不安になるよりも、
「ここまで弱さに寄り添ってくれる歌を書ける人たちなんだ」
と受け止めた方が、ハンバートハンバートの音楽を、ずっと健全に楽しめるはずです。
もしあなたが今、心が少し疲れているなら、
具体的な病名を探すのではなく、まずは1曲、音楽に身を預けてみてください。
きっと、2人の歌の中に、
あなたの「小さな声」を代わりに言葉にしてくれるフレーズが見つかると思います。



