筑波大学で「入学許可取り消し」というニュースが流れて、
「え、誰のこと? 学部?大学院? いつ? なんでそんな重い処分なの?」
と気になった人も多いと思います。
この記事では、
などを整理します。
まず結論まとめ:ポイントだけ知りたい人向け
ここから先は、「誰の?」「なぜこんなことに?」という疑問を、順番に深掘りしていきます。
「誰の入学取り消しなの?」という疑問について
公表されているのは「大学院生1名」まで
筑波大学の公式発表をそのまま読むと、こんな書き方になっています:tsukuba.ac.jp
令和7年11月28日付けで、令和7年度4月入学の大学院生1名について、下記のとおり入学許可取り消しとしましたので、お知らせします。
つまり、分かっている情報はここまでです。
- 身元情報(名前・国籍・性別など):非公表
- どの学位プログラム・専攻か:非公表
- 修士か博士か:非公表
個人が特定されてしまう可能性が高いため、大学としても必要最小限の情報しか出していません。
SNSではいろいろな“推測”が飛び交っているが…
はてなブックマークやX(旧Twitter)では、
- 「中国人グループのTOEIC替え玉の件じゃないの?」
- 「803人スコア無効ってニュースと関係ありそう」
- 「院生なら大卒の学位は取り消されないのかな」
など、さまざまなコメントが出ています。
ただし、ここで大事なのは、
大学もTOEICの運営団体も、「この筑波の院生が、あの803人の中の1人かどうか」は公表していない
という点です。
なので、「そうかもしれない」というレベルの“推測”はあっても、事実として断定はできない、というのが冷静な見方になります。
学部? 大学院? → 正式に発表されているのは「大学院生」
タイトルにもある「学部? 院?」問題ですが、
これは公式文書にハッキリ書いてあります。tsukuba.ac.jp
令和7年度4月入学の 大学院生1名
つまり、
- 学部(いわゆる“学群”の学部生)ではない
- 大学院の学生(修士・博士など)
- 2025年4月に大学院へ入学した1人
ということです。
「学部生も大量に取り消された!?」というイメージを持った人もいるかもしれませんが、
現時点で公表されているのは大学院生1名のみです。
いつ起きた? 時系列を整理
ニュースが流れるタイミングがズレると、「いつの話?」と分かりにくいので、ざっくり時系列を整理しておきます。
① TOEICの大規模不正 → スコア803人分が無効に
英語能力試験「TOEIC」を巡っては、中国籍の男による大規模な替え玉受験事件が報道されています。
試験を運営する「国際ビジネスコミュニケーション協会」(IIBC)は、
- 2023年5月以降の試験で
- その男と同じ、または非常によく似た住所から申し込んでいた受験者 803人
- この803人の過去の試験結果をすべて無効にした
と発表しました。
この無効化の対象者の中に、「日本の大学院入試でそのスコアを使った人」が含まれていた可能性があります。
② 筑波大学で「英語スコア無効」が判明
筑波大学は、入学試験で提出された英語スコアについて、試験実施機関に照会し、
その結果、「そのスコアは無効です」と回答を受けたとしています。
- つまり、「大学が勝手に疑って無効にした」のではなく、
- 「試験を運営する協会側が『無効』と判断したスコア」
を基に判断した、という流れです。
③ 2025年11月28日:入学許可の取り消し決定
その結果、
2025年11月28日付けで入学許可の取り消しを決定
したと、筑波大学は公表しています。
④ 2025年12月3日:大学が公式に公表
そして、大学のNEWSページで
- 日付:令和7年12月3日(2025年12月3日)
- タイトル:「入学許可の取り消しについて」
として公表しました。
その後、ニュースサイトやSNSで一気に話題になっている、という状況です。
どんな理由で入学取り消しになったのか?
ここが一番気になるところだと思います。
筑波大学の公式発表では、理由はとてもシンプルに書かれています
(概要)
入学試験の出願書類として提出された英語スコアが実施機関により無効化されたことを確認したため。
つまり、
- 大学院入試のとき、出願書類として英語スコアを提出
- 合格・入学
- その後、英語試験の運営団体から
「そのスコアは無効です」と判定される - 大学が調べた結果、「本学が定める出願資格を満たしていなかった」と判断
- 入学自体をなかったことにする(入学許可の取り消し)
という流れです。
「不正受験」と断定しているわけではない(大学の文書上は)
注意したいのは、筑波大学の文書では、
- 「不正受験」「カンニング」「替え玉」といった言葉は直接は使っていない
- あくまで、「英語スコアが実施機関により無効化されたため」とだけ書いている
という点です。
ただし、茨城新聞などの報道では、
- 「TOEICの集団不正受験事件を受けて…」「TOEIC不正を理由に入学取り消し」と報じており、
- TOEICの無効化と今回の処分がつながっていると伝えています。千葉テレビ
大学側がどこまで詳細を把握しているのか、
また、その院生自身が不正に関与していたのか、巻き込まれなのかなど、
個別の事情は公表されていません。
TOEIC替え玉事件との関係は?(あくまで整理レベル)
ここからは、「事実」と「推測」をきっちり分けて整理します。
事実として分かっていること
- TOEICで、中国籍の男を中心とした替え玉受験事件が摘発され、
試験運営団体は、関係が疑われる803人分のスコアを無効にした。 - 筑波大学は、「英語スコアが実施機関により無効化されたため」
令和7年度4月入学の大学院生1名の入学許可を取り消した。 - 茨城新聞などが、
「TOEIC不正を理由に、筑波大学が大学院生1人の入学を取り消した」と報じている。
SNSやまとめサイトで語られている「推測」
- 「803人のうちの1人だったのでは?」
- 「中国人グループの不正に乗っかったのでは?」
- 「TOEICスコアが無効になって一気にバレたのか」
といった話は、あくまで外部からの推測や憶測です。
大学もTOEIC運営団体も、個々の受験者や、筑波の院生がその803人の中に含まれていたかどうかは公表していません。
なので、
「関係している“可能性はある”が、
具体的に『この学生が替え玉だった』と断定はできない」
というのが、現時点での冷静な整理になります。
「入学取り消し」と「退学・除籍」は何が違う?
SNSでも話題になっていたポイントです。
ざっくりイメージで言うと:
- 退学
→ いったん“学生”だった期間があり、その後、自分の意思または処分で「やめました」という扱い。 - 除籍
→ 長期の学費未納や所在不明などで、「もう在籍しているとはみなせないので籍を外します」という扱い。 - 入学許可取り消し
→ そもそも「入学を認めたこと自体をなかったことにする」。
「最初からこの大学の学生ではなかった」という扱い。
今回、筑波大学が取ったのは、いちばん重い部類の「入学許可取り消し」です。
この処分になると、一般的には:
- 在籍期間証明書などが出ない
- 履歴書に「筑波大学大学院◯◯研究科 中退」とも書けない(そもそも“入学”していない扱い)
- 「入学資格を満たしていなかった」という前提になる
など、本人にとってはかなり重い影響が出ることが多いと指摘されています。
なんで大学院入試で英語スコアがそんなに重要なの?
ここからは、少し背景の話です。
多くの大学院が「英語試験の代わり」に外部試験を利用
日本の大学院では、
- TOEIC
- TOEFL
- IELTS
などの外部英語試験のスコアを、
- 英語筆記試験の代わり
- または加点・優遇措置の材料
として使うところが増えています。
理由としては、
- 入試の負担を減らすため
- 国際的に通用する指標を使いたいため
- 学生に実用的な英語力を求めるようになったため
などが挙げられます。
だからこそ、スコアの信頼性が崩れると「入学資格そのもの」が揺らぐ
今回のように、
- 合格の条件に「英語スコア◯点以上」が含まれている
- そのスコアが後から全部無効と言われた
となると、
「そもそも受験資格を満たしていなかったのでは?」
「そのスコアがなければ合格できなかったかもしれない」
という問題になるため、大学としては処分を検討せざるを得なくなるわけです。
筑波大学も、その結果として
「入学試験の出願資格を満たしていなかった」と判断し、入学許可を取り消した
と考えられます。
「巻き込まれだったらかわいそうでは?」という視点
SNSでは、
「もし本人が不正していなくて、勝手にスコアが無効になっただけだったら?」
という声も上がっています。
実際、TOEICでは今回の替え玉事件の対応として、
- 「被告と同一、または酷似した住所で申し込んだ803人」のスコアを一括無効
- その全員が本当に不正に関わっていたのかは個別には分からない
という、かなり“荒い”やり方に見える部分もあります。
大学側からすると、
- 試験運営団体が「無効」と判断した以上、
そのスコアを入試に使い続けることは難しい - かといって、本当に不正していたかどうかを大学側だけで調査するのも限界がある
というジレンマがあります。
このあたりは、
- 大学
- 試験実施団体
- 受験生
の三者それぞれの立場と責任が複雑に絡んでおり、
今回の筑波の例は、その問題が一気に浮き彫りになったケースとも言えます。
受験生・保護者が知っておきたい「教訓」
最後に、このニュースから、これから受験する人たちが意識しておきたいポイントをまとめます。
① 英語スコアに頼るなら「正しいルート」で受けること
- これは当たり前ですが、不正は絶対NGです。
- 「点数をお金で買える」「代わりに受けてくれる」といった怪しいサービスには近づかない。
- 不正がバレた場合、資格・合格だけでなく、その後の人生にも大きく傷がつく可能性があります。
② スコアが無効化されるケースがある、という前提を知っておく
- 替え玉事件のように、大規模な不正疑惑が出ると、「疑わしきは全部無効」にされることもある、という現実があります。
- そうなったとき、大学がどう対応するかはケースバイケースですが、「入学取り消し」など重い対応になることも今回示されました。
③ 大学にとっても「外部試験丸投げ」はリスクになりつつある
- 今回の件で、「外部試験のスコアだけに頼る入試」は、大学側にとってもリスクになっていることがはっきりしました。
- 今後は、
- 大学独自の英語試験を併用する
- 入学後に再テストを行う
- スコアの確認手続をより厳格にする
といった動きが広がっていく可能性があります。
まとめ
改めて、今回の「筑波大学 入学取り消し」について整理すると──
分かっていること
分からない(公表されていない)こと
ニュースやSNSでは、どうしても「派手な推測」が目立ちがちですが、
一人一人の人生がかかっている話でもあるので、
「公式に出ている事実」と
「ネット上の意見・推測」
を分けて理解することが大切です。

