ある日スマホを開いたら、いきなり画面にこう出るかもしれません。
「あなたの“ブラウザ”はどれにしますか?」
「検索エンジンはどれにしますか?」
「え、いま忙しいんだけど!?」「なんで急に選択式テスト始まった?」ってなりますよね。
でもこれ、テストじゃなくて“スマホ新法(スマホ法)”が関係しています。正式には長い名前で、ざっくり言うとスマホの世界に“競争”を増やして、ユーザーが選べるようにする法律です。
公正取引委員会の説明でも、対象はモバイルOS・アプリストア・ブラウザ・検索エンジンといった「スマホに特に必要なソフト」で、競争を促して、利用者が多様なサービスを選べるようにする趣旨だとされています。
そしてこの法律は、2025年12月18日に全面施行されています。
ここから先は難しい話をなるべく抜きにして、iPhone/Androidユーザーが「得すること」「困ること」を、生活者目線でわかりやすく整理します。
まず結論:今日から変わる“2つの柱”
スマホ新法で、一般ユーザーが体感しやすい変化は大きく2つです。
① ブラウザ・検索エンジンを「選べ」と言われる(チョイススクリーン)
2025年12月以降、初回起動やOSアップデート後などに、ブラウザや検索エンジンを選ぶチョイススクリーン(選択画面)が表示されることがあります。機種やOSのバージョンによって表示時期が違ったり、表示されない場合もある、と案内されています。
② アプリの入手ルート・支払い方法が「増える」
今までより、公式ストア以外のルートや、公式の課金以外の支払い方法が広がっていく流れです(※全部のアプリが急に変わる、という意味ではありません)。公取委も「決済方法やアプリの入手ルートの選択肢が広がることが期待される」と説明しています。
得すること:ユーザーに起こりうる“うれしい変化”7つ
1) 「いつものやつ」を自分で選んだと胸を張れる
今までも変更はできましたが、放っておくと標準のまま…になりがちでした。
チョイススクリーンが出ると、最初から“自分で選ぶ”きっかけが増えます。
2) プライバシー重視・軽い・広告少なめ…好みに合わせやすい
ブラウザって、速さも、広告の出方も、追跡のされ方も違います。
「子どもに安全寄りがいい」「通信量を節約したい」みたいな目的で、自分に合うものを選びやすくなる、という方向性です。
3) 競争が増えると、サービスが良くなりやすい
コンビニが1軒しかない町より、何軒かある町のほうが、サービスが工夫されますよね。
スマホの世界も似ていて、法律の狙いは“競争で良くなる”方向に寄せることです。
4) アプリの支払いが「安くなる可能性」が出る
アプリ側(開発者側)は、これまでより別の課金手段を使いやすくなり、手数料の負担が変わる可能性があります。そうなると理屈としては、値下げ・キャンペーン・特典の形でユーザーに返ってくる可能性が出ます(ただし“必ず安くなる”ではありません)。
5) アプリ内の案内が分かりやすくなることがある
たとえば「アプリで買う」「Webで買う」みたいな選択肢が、並んで提示される場面が増えるかもしれません。Androidでは、Googleがアプリ内課金の代替システムを広げる対応を進めると報じられています。
6) 公式ストア外の“選択肢”が増える(iPhone側も)
iPhoneはこれまで基本的にApp Store中心でしたが、日本でのスマホ新法施行に合わせて、App Store以外のアプリストア(代替アプリストア)や、代替決済・外部誘導などの選択肢が増える方向の対応が報じられています。
7) 「標準のまま=正解」じゃない時代になる
今まで“標準”が強すぎたせいで、別の選択肢が育ちにくかった面があります。
これからは、用途に合わせて「検索はこれ」「ブラウザはこれ」と組み合わせる人が増えて、自分のスマホが“自分の道具”っぽくなるかもしれません。
困ること:ユーザーがハマりやすい“落とし穴”8つ
ここ、大事です。便利になる一方で、面倒・不安が増えるポイントもあります。
1) まず「選べ」と言われて困る(忙しいのに)
チョイススクリーン、目的は良いんですが、出るタイミングが悪いとただの邪魔です。
「え、今から会議なんだけど?」ってときに出ると、脳みそが停止します。
対策:基本はこれでOK
- よく分からなければ、今使ってるやつを選ぶ
- 後で設定で変えられる(機種による)ので、深く悩みすぎない
2) “公式じゃないアプリ”のリスクが上がるかもしれない
選択肢が増えるということは、裏を返すと変なものが紛れこむ余地も増えます。
iPhoneでも代替アプリストアでは、App Storeと同じ形の審査が行われないことによるリスクが指摘されています(もちろん別の仕組みはある、という話も含めて)。
対策:慣れるまでは
- いつも通り公式ストア中心でOK
- 「どうしても必要なときだけ」新ルートを検討
3) 返金・トラブル対応が「どこ担当?」でややこしくなる
たとえば外部決済を使うと、返金の窓口がApple/Googleじゃないケースが出ます。
“いつもの安心”が、そのまま付いてこないことがあります。
対策:買う前に
- アプリ内に「問い合わせ先」「返金条件」が書いてあるか確認
- スクショを残しておく(地味に効きます)
4) 「外で買うと安いですよ」攻勢が強くなる可能性
Web誘導や外部決済が増えると、アプリ側が
「アプリ内より、Webの方がお得!」
と案内する場面が増えるかもしれません。選ぶのは自由ですが、規約や解約方法が変わることもあるので注意。
5) 子ども・高齢者が詐欺に狙われやすくなる不安
「新法が始まったので手続きが必要です」みたいな嘘が出る可能性があります。
公正取引委員会は、電話やSMSが届くことはない、そういう連絡が来たら詐欺の可能性があるので応じないよう注意喚起しています。
6) 会社スマホや学習用端末だと、選べない/変えられない場合も
企業・学校の端末は、管理側が設定を固定していることがあります。
「チョイススクリーン出たのに変えられない!」は、あなたのせいじゃない可能性が高いです。
7) “好きにしていい”は、時に“自己責任”も増える
選べる=自由。自由=ミスも自分。
ここは、ちょっと大人の話です。
8) しばらくは情報が混ざって「何が正しいの?」となりやすい
スマホ・OS・アプリの種類が多いので、変化の出方がバラバラになりがちです。
公取委の案内でも、表示される時期が端末によって異なることが明記されています。
iPhoneユーザー向け:何が起きそう?どう構える?
起きそうなこと(ざっくり)
- ブラウザ・検索エンジンの選択画面が出ることがある
- アプリの配布や決済の選択肢が増える方向(代替アプリストア、代替決済、外部誘導など)
どう構える?(おすすめの現実的スタンス)
- ふだん困ってない人:当面は今まで通りでOK
- 料金が気になる人:外部購入の案内が出ても、「返金/解約」まで確認してから
- セキュリティ重視の人:公式ストア中心を続ける(無理に冒険しない)
Androidユーザー向け:何が起きそう?どう構える?
起きそうなこと(ざっくり)
- 初期設定やOSアップデート時に、ブラウザ・検索の選択が“必須化”される流れ
- Google Play以外の課金や、Web購入の提示などが広がる動き
どう構える?(おすすめの現実的スタンス)
- 迷ったら:今使ってるブラウザ/検索を選ぶ
- 気分を変えたいなら:
「軽い」「広告少なめ」「プライバシー重視」など、目的を1個決めて選ぶ - “お得”に惹かれたら:支払い先がどこかを必ず確認(Google/アプリ会社/別サービス)
チョイススクリーンが出たときの「3秒ルール」
チョイススクリーンで悩み始めると、人はだいたい10分溶かします。
だから、ルールを決めましょう。
- わからなければ“今使ってるやつ”を選ぶ
- あとで変えられるから、とりあえず進む(表示や操作は機種で違う)
- 家族のスマホは一緒にやる(詐欺っぽい連絡には絶対反応しない)
まとめ:結局、私たちは何をすればいい?
最後に、今日からの行動を超シンプルにします。
- チョイススクリーンは焦らない(いつものを選んでOK)
- “公式ストア外”“外部決済”は、慣れるまで慎重に(返金・窓口が変わることがある)
- 「国の機関を名乗る電話/SMS」はまず疑う(公取委は電話やSMSを送らない)
スマホ新法は、ひとことで言うと
「スマホをもっと自由にする。でも自由には“選ぶ力”が必要」
という話です。
最後に
チョイススクリーンで、私は5分悩みました。
「軽さなら…」「プライバシーなら…」「いや見た目も大事…」
で、結局どうしたかというと――
いつものブラウザを選びました。
(新法がくれた“自由”を、全力で“現状維持”に使う男)

