「國學院のキャプテン・上原琉翔(うえはら りゅうと)、卒業したらどうするんだろう?」
「実業団? それとも普通に就職してサラリーマン?」
そんなモヤモヤを抱えたまま箱根駅伝を楽しみにしている人も多いと思います。
先に結論からハッキリ言ってしまうと――
上原琉翔の進路は「富士通(実業団)」に決定しています。
富士通陸上競技部が、2026年度の新加入選手として
國學院大の主将・上原琉翔が入部すると公式に発表しています。
つまりタイトルにある
- 「実業団か就職か?」
- 「有力候補先は?」
という問いは、
実業団:富士通で確定
という答えになっているわけですね。
ただ、「なぜ富士通なの?」「どんな選手なの?」「これからどんな活躍が期待できる?」
ここが分かっていると、箱根駅伝もニューイヤー駅伝も何倍も楽しくなります。
この記事では、
を解説していきます。
上原琉翔ってどんな選手?
まずは基本的なプロフィールから整理しましょう。
- 名前:上原 琉翔(うえはら りゅうと)
- 生年月日:2003年5月5日
- 出身地:沖縄県那覇市
- 身長・体重:およそ162cm・49kg
- 出身高校:沖縄県立北山高校
- 大学:國學院大學 人間開発学部・健康体育学科(2025年度は4年・主将)
中学時代は那覇市の仲井真中学校で野球部に所属していました。
その一方、持久走が得意だったことから駅伝にも関わり、そこから本格的に「走る道」に進むことを決めたと言われています。
高校は、本島北部にある北山高校へ進学。
- 5000mで沖縄県高校記録(13分56秒84)を樹立
- それ以前の自分の県記録14分18秒47を、さらに20秒以上縮める
- 実業団選手や大学生が走るレースの中で、高校生ながら全体11位に入る
と、“駅伝不毛の地”と呼ばれてきた沖縄から、
一気に全国クラスの長距離ランナーへと駆け上がりました。
このあたりのストーリーは、Number Webでも
「沖縄から箱根の優勝候補チームの主力へ」
という切り口で詳しく取り上げられています。
國學院大での飛躍:1年生から“主力候補”に
1年目:箱根駅伝デビューで7区区間6位
國學院大に進学後、1年生のときから箱根駅伝7区を任され、区間6位。
優勝候補と目されていたチームの重要な一員としてデビューします。
「1年目から箱根を走る」というのは、それだけで相当な信頼度。
監督の前田康弘さんも、
- 苦しい区間でも粘り強く走れる
- チームの空気を読んで、しっかり仕事をする
という点を評価していたそうです。
2〜3年目:出雲・全日本で“勝負強さ”を発揮
2年目、3年目になると、全国中継で名前を聞く機会が一気に増えます。
- 出雲駅伝・全日本大学駅伝で、主要区間を走って区間上位の常連に
- 特に全日本大学駅伝では、アンカー区間を任され、
國學院大の初優勝を決めるフィニッシュテープを切る大役を果たしました。
ゴールテープを切るあの笑顔、覚えている方も多いのではないでしょうか。
「國學院初優勝」「三冠に王手」という言葉とともに映ったのが、
まさにこの上原琉翔の姿でした。
ロードでも世界でも結果を出す“ハーフのスペシャリスト”
学生ハーフで日本人学生歴代4位のタイム
2025年2月の日本学生ハーフマラソン選手権では、
- 記録:1時間00分30秒
- 結果:3位(日本人学生3位)
このタイムは、
日本人学生歴代4位
沖縄県のハーフ&20kmロードの県記録も更新
という、とてつもない記録でした。
レース後のコメントでは、
- 「日本代表の切符を絶対に取るつもりで走った」
- 「箱根の悔しさをぶつけるレースになった」
と語っており、ここからさらにギアが上がっていきます。
ワールドユニバーシティゲームズで銅メダル
その流れのまま、夏には
FISUワールドユニバーシティゲームズ(大学生の世界大会)男子ハーフマラソンに日本代表として出場。
- 記録:1時間02分39秒
- 個人:銅メダル(3位)
- 団体:日本チームが金メダル
丸亀の学生ハーフでつかんだ日本代表の座を、
世界の舞台でもきっちり結果に結びつけた形です。
10000mも“學内トップクラス”
トラックでももちろん強く、
- 10000m自己ベスト:28分16秒76(関東インカレ)
→ 國學院大の歴代5位に入る記録
という“スピード+スタミナ”を兼ね備えたランナーです。
主将としての顔:「王者のプライドはない」と言い切るキャプテン
2025年度、上原は國學院大陸上競技部の主将を務めています。
4yearsの取材で上原は、
「『王者』というプライドは全くないです」
と語っています。
- チーム作りは「選手主体」
- 一人ひとりが小さな目標を達成することが、
最終的に箱根駅伝の総合優勝につながる - 自分自身も、“苦しみに耐えられるランナー”でありたい
そんなスタンスで、
同期や後輩からすごく慕われているキャプテンです。
全日本大学駅伝で連覇を逃して4位に終わったあとも、
「残り2か月は、自分のために走りたい」
とコメントし、
箱根駅伝ラストイヤーにしっかり照準を合わせていました。
そもそも「実業団」と「就職」って何が違うの?
ここで、この記事のテーマにもなっている
「実業団か就職か?」
について、ざっくり整理しておきましょう。
実業団とは?
陸上でいう「実業団」は、
企業に所属しながら、給料をもらって競技を続ける仕組み
です。
- 企業の陸上部(駅伝チーム)に「社員」として入社
- 普通の社員と同じように雇用契約を結びつつ、
練習や試合の時間がしっかり確保されている - 元日のニューイヤー駅伝(全日本実業団対抗駅伝)を
大きな目標にしているチームが多い
簡単にいうと、
「会社に所属しながら、プロに近い環境で走る」
というイメージです。
ふつうの就職+市民ランナー
一方で、箱根ランナーの中には、
- 一般企業にふつうに就職
- 競技は引退する or 趣味レベルで続ける
という道を選ぶ人もいます。
この場合は、
- 日中はフルタイムで仕事
- 練習は仕事の前後や休日のみ
となるので、
世界大会や日本トップレベルで戦い続けるのは、かなり難しくなります。
上原琉翔の進路:富士通(実業団)で決定!
では、いよいよ本題の「進路」です。
富士通陸上競技部が公式に新加入を発表
2025年11月5日、
富士通陸上競技部は公式に
「2026年度新加入選手」として
駒澤大・伊藤蒼唯、國學院大・上原琉翔 らの加入
を発表しました。
- 長距離ブロックに伊藤&上原が入る
- 2人とも、学生三大駅伝優勝経験あり
- 富士通はニューイヤー駅伝優勝3回を誇る強豪チーム
と紹介されています。
進路一覧表でも「上原琉翔 → 富士通」と明記
大学駅伝ファン向けの「2026年度 実業団進路一覧」の記事でも、
- 名前:上原琉翔
- 進路先:富士通
- 大学:國學院大學
とハッキリ書かれており、
他のメディアでも「富士通に加入決定」と報じられています。
つまり、もう一度整理すると、
進路の答え:
実業団か就職か? → 実業団
有力候補先は? → 富士通で正式決定
という状態です。
なぜ富士通だったのか? 考えられる理由
本人が「理由」を詳しく語るインタビューは、まだ多く出ていません。
なのでここからは、公開情報にもとづいた“考察”になります。
① 富士通は駅伝&マラソンの強豪
富士通陸上競技部は、
- 全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)で3度の優勝
- これまでにもマラソンの日本代表級選手を多数輩出してきた
という、駅伝・マラソンの両方で実績のあるチームです。
上原は、
- 日本学生ハーフ3位(1時間00分30秒)
- 世界学生大会ハーフ銅メダル(1時間02分39秒)
- 國學院内トップクラスの10000m(28分16秒76)
と、まさにハーフ〜マラソンに強いタイプ。
富士通のような「駅伝もマラソンも重視するチーム」との相性は、かなり良さそうです。
② 國學院と富士通の“つながり”
國學院大の監督・前田康弘さん自身が、
現役時代は富士通陸上競技部に所属していました。
- 國學院 → 富士通
という“先輩ルート”は、すでに監督本人が経験済み。
また、他大学のエースたちも富士通に多く進んでおり、
「大学駅伝エース→富士通」という流れは、ここ数年ずっと続いています。
指導者・OBとのつながり、
チーム文化や練習環境への信頼感などを考えると、
「富士通は、國學院から見ても“安心して送り出せるチーム”」
と言えるでしょう。
③ 上原本人の目標と、富士通の方向性が合う
上原は、
- 「苦しみに耐えるランナーでありたい」
- 「箱根だけでなく、その先の世界も見すえて走っている」
といったコメントをたびたび残しています。
富士通も、
- ニューイヤー駅伝上位
- マラソンでの国際大会出場
この2つをチームとして追いかける“強豪実業団”です。
- 「駅伝もマラソンも本気でやりたい上原」
- 「駅伝もマラソンも本気の富士通」
この組み合わせは、
かなり自然な「マッチング」だと考えられます。
富士通で期待される役割は?
では、社会人になった上原には、どんな役割が期待されるのでしょうか。
1. ニューイヤー駅伝での“流れを変える区間”
学生時代の上原は、
- 出雲:主要区間で区間賞
- 全日本:アンカーとして優勝テープを切る
- 箱根:9区など、流れを作る重要区間を任される
「ここで前を追いたい」「ここで粘りたい」という、
チームにとって大事な場面で起用されるタイプでした。
富士通でも、
- 中盤のタフな区間
- アンカー手前で流れを作る区間
など、“勝負どころの区間”を任される可能性は高そうです。
2. ハーフ〜フルマラソンでのエース格候補
学生時代から、
- ハーフ1時間00分30秒/1時間02分台
- 世界大学大会での銅メダル
と、ロードでの安定感が光っています。
社会人になれば、
- 国内のハーフマラソン
- 海外のロードレース
- そして将来のフルマラソン
で、チームのエース格としての活躍が期待されます。
3. “沖縄出身エース”としての発信力
沖縄は、これまで長距離では「駅伝不毛の地」と呼ばれることもありました。
そこから、
- 高校で県記録
- 大学で箱根・全日本の主力
- 日本代表として世界大会の銅メダル
- さらに富士通へ
という道を切り開いた上原は、
沖縄の中高生ランナーにとってのロールモデルにもなりえます。
富士通に入れば、
- 地元でのイベント参加
- 学校訪問や講演
- SNS発信
など、「走る」「勝つ」以外の面でも
活躍の場が広がっていくかもしれません。
「就職して引退」の可能性は、ほぼ“過去の仮説”に
ここまで読んでいただければ、
もう改めて言うまでもないですが――
- 以前は「実業団か就職か?」といろいろ予想されていた
- しかし今は、富士通への加入が正式に発表されている
という状況です。
記録も実績も、完全に実業団エース候補のスペックですし、
「大学で区切りをつけて、普通に就職して走るのはおしまい」
というルートは、
事実上もう消えたと考えていいでしょう。
これからの楽しみ方:箱根→ニューイヤー→実業団シーズンへ
ファンとしての“おすすめ鑑賞ルート”はシンプルです。
- 大学ラストイヤーの箱根駅伝で、
主将・上原の「大学最後の襷リレー」をしっかり目に焼き付ける - 卒業後は、富士通の一員として
ニューイヤー駅伝や各地のロードレースを追いかける - 数年後、フルマラソン挑戦が本格化したとき、
「あのとき箱根で見ていた選手が、今はマラソンの日本代表争いをしている」
という“長期ストーリー”を楽しむ
という流れです。
駅伝ファンの楽しみ方って、
半分は「今のレース」ですが、
残り半分は「数年分の物語を追いかけること」でもあります。
上原琉翔は、その“物語性”がものすごく強い選手です。
- 沖縄出身
- 駅伝不毛の地から、箱根優勝候補チームの主将へ
- ハーフで世界メダル
- そして富士通へ
ここまで材料がそろっていると、
あとはマラソンでドカンと“ドラマのクライマックス”を作ってくれそうな気がしますよね。
まとめ
この記事のポイントを最後に整理すると――
という状況です。
「実業団か就職か?」という問いに対しては、
もはや答えはシンプル。
実業団
チームは富士通
ここからが、長距離ランナー・上原琉翔の本当のスタートライン
と言っていいでしょう。
いちばん“進路”が決まってないのは誰?
ここまで、
- 上原は富士通だ
- ニューイヤー駅伝が楽しみだ
- 将来はマラソンで世界に挑むかも
と、彼の未来の話で盛り上がってきました。
でも、ふと冷静に考えると――
上原琉翔の「進路」はもう富士通で確定しているのに、
この記事を読んでいるあなた自身の“進路”はどうでしょう?
- 正月は、箱根もニューイヤーも見て、ずっと家でゴロゴロするのか
- それとも、朝だけ駅伝を見て、昼からしぶしぶ仕事に行くのか
- あるいは、「駅伝見て走りたくなった!」と
ジョギングシューズを引っ張り出すのか
上原:
「ニューイヤー駅伝で走るために、実業団・富士通に行きます!」
あなた:
「ニューイヤー駅伝を見ながら、
こたつでみかん実業団に入ります!」
…という未来図が、うっすら見えていませんか?
というわけで――
上原琉翔の進路は富士通で確定ですが、
あなたの“正月の進路”は、
こたつか、ランニングシューズか、
そろそろ真剣に決めておいたほうがいいかもしれません。
うっかりしていると、
「こたつ駅伝・寝落ち区」のエースランナーになってしまうので、ご注意を。


