※この記事にはNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第1話「二匹の猿」のネタバレが含まれます。
これから本編を見る予定の方はご注意ください。
「豊臣兄弟!」ってどんな大河ドラマ?
2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」は、豊臣秀吉の弟・豊臣秀長(幼名・小一郎)を主人公にした物語です。
有名なのは兄・秀吉の方ですが、このドラマはあえて「弟目線」から戦国時代を描くのが大きな特徴。
- 舞台は戦国ど真ん中
- 主人公は「天下一の補佐役」と呼ばれた秀長
- 兄・秀吉との“兄弟バディ物語”
- テーマは「下剋上サクセスストーリー」
第1話「二匹の猿」は、その長い物語の“始まりの一日”を丁寧に描いた導入回です。まだ豊臣の姓もなく、「貧しい農家の兄弟」が、のちに天下を動かす存在になるまでの出発点が描かれました。
第1話「二匹の猿」基本情報
- タイトル:第1回「二匹の猿」
- 放送日:2026年1月4日(日) NHK総合 20:00〜(15分拡大)
- 舞台:尾張国・中村(今の名古屋市周辺)
- 脚本:八津弘幸さん
「猿」といえば、歴史好きの方にはすぐにピンと来ると思います。
豊臣秀吉は、主君・織田信長から「猿」と呼ばれていたことで有名ですよね。
タイトルの「二匹の猿」は、兄・藤吉郎(のちの秀吉)だけでなく、弟・小一郎(のちの秀長)もまた“猿”として描かれていく、という暗示のようにも感じられます。
第1話に登場した主なキャスト・キャラクター
まずは第1話「二匹の猿」に登場した主な人物とキャストを、簡単に整理しておきます。
豊臣家(小一郎・藤吉郎の家族)
- 小一郎(のちの豊臣秀長)/仲野太賀
主人公。尾張・中村の貧しい農家の次男。
争いごとを話し合いでおさめるのが得意で、「筋を通す」「盗みは嫌い」という、まじめで理屈っぽい性格です。 - 藤吉郎(のちの豊臣秀吉)/池松壮亮
小一郎の兄。現在は織田家の足軽として清須に仕えています。
人に好かれたい気持ちが強く、出世欲も人一倍。明るくて調子がいいようでいて、心の奥には深いコンプレックスを抱えている人物として描かれます。 - なか(母)/坂井真紀
貧しい中でも子どもたちを守ろうと必死な母。のちの大政所。 - とも(姉)/宮澤エマ
しっかり者の姉。家族の現実を一番よくわかっていて、弟たちに厳しい言葉も投げかけます。 - あさひ(妹)/倉沢杏菜
まだ幼い妹。のちに朝日姫となる存在です。
織田家の人びと
- 織田信長/小栗旬
清須城の若き城主。藤吉郎が命をかけて仕える主君です。第1話では出番は多くないものの、圧のある存在感で「ただ者ではない」と感じさせてくれます。 - 柴田勝家/山口馬木也
信長の重臣。藤吉郎が「盗み」の疑いをかけられるきっかけとなる屋敷の主人です。
尾張・中村の人たち
- 直(なお)/白石聖
小一郎の幼なじみの娘で、村の土豪・坂井喜左衛門の娘。
小一郎とはお互いに好意を感じていそうな、ほのかな初恋の相手として描かれます。 - 坂井喜左衛門/大倉孝二
尾張中村の有力者。直の父。 - 了雲和尚/田中要次
村の寺の和尚。小一郎と藤吉郎を、それとなく見守る大人の一人です。 - 信吉/若林時英・玄太/高尾悠希
小一郎と一緒に畑仕事をする若者たち。序盤のケンカ騒ぎの当事者でもあります。
この「村の人びと」と「清須城下の武士たち」のコントラストが、第1話の大事なポイントになっていました。
ネタバレあらすじ:第1話「二匹の猿」
ここからは、ストーリーを流れに沿って振り返っていきます。
① 尾張・中村での小一郎の暮らし
時代は戦国。尾張国・中村の貧しい農家に生まれた小一郎は、畑で土と向き合いながら、ささやかな日常を送っています。
同じ村の若者・信吉と玄太が、ちょっとしたことでケンカを始めます。
そこで小一郎は、ただ止めるだけでなく、
- それぞれの言い分を聞く
- どちらも損をしないように落としどころを探す
というやり方で、うまく場をおさめてしまいます。
この場面だけで、「力よりも知恵で人を動かすタイプ」という小一郎のキャラクターが、とてもわかりやすく描かれていました。
一方で、小一郎の家はかなり苦しい暮らし。
父はいなくなり、兄・藤吉郎は、昔「盗みの疑い」をかけられて村を出て行ったまま。
家族はずっと「ぬすっとの身内」と言われ、肩身の狭い思いをしています。
村には「戦の準備」の知らせが入り、男たちは戦場へ出て行こうとしますが、小一郎は動きません。
戦場で「略奪」が当たり前になることを嫌い、「盗みはしたくない」とはっきり口にするからです。
この時点で、
- 兄は「盗みの疑い」で村を追われた
- 弟は「盗みは絶対に嫌い」
という、兄弟の価値観の違いが、さりげなく伏線として置かれています。
② 野盗の襲撃と、8年ぶりの兄との再会
小一郎は、貧しい暮らしから抜け出すため、村の有力者・坂井喜左衛門の屋敷に奉公に入ろうと決意します。
しかし、門前払いされてしまい、かなり冷たくあしらわれます。
そこに現れるのが、幼なじみの直。
直は父に口添えしようとしますが、そのタイミングで村に野盗の集団が襲来。直が連れ去られそうになります。
とっさに小一郎は、「直は清須の殿様に見初められた娘だ」と、大胆な“嘘”をつきます。
野盗をおどし、直を守るための必死の知恵です。
すると、そこに甲冑姿の武士たちが現れ、隊を率いていたのは、なんと兄の藤吉郎。
- 織田家の足軽大将を名乗る藤吉郎
- 村を救い、野盗を追い払う兄
- そして、8年ぶりの兄弟の再会
ここは、第1話の大きな見せ場のひとつです。
村人たちの前で堂々とふるまう藤吉郎と、複雑な表情の小一郎。
「盗人の身内」だと思っていたはずの兄が、今や武士として戻ってきた。このギャップに、小一郎も視聴者も揺さぶられます。
藤吉郎は、清須城下で働くことを小一郎に勧め、「一緒にでっかい夢を見よう」と誘います。
しかし小一郎の心は、すぐには決まりません。
③ 清須の道普請と、小一郎の「采配」
寺の了雲和尚の取りなしもあり、小一郎は試しに清須へ行くことになります。
そこで与えられた仕事は、「道普請(道路工事)」の人足たちの中に入って働くこと。
現場では、信長の新しい政策に胸を熱くする者たちが、「これで織田の世は変わる」と勢いよく土を運んでいます。
しかし小一郎は、素朴な疑問を口にします。
「道をきれいにしたら、敵も攻めやすくなるのではないか?」
この一言で、周りの人足に殴られてしまう小一郎。
誰もが「上を信じて走っている」中で、冷静にメリットとデメリットを考える小一郎の姿が、ここでも印象的です。
やがて工事現場で土砂崩れが起こり、作業は大ピンチに。
逃げ出そうとする人足たちを前に、小一郎はパニックにならず、周囲をよく観察しながら指示を出していきます。
- 力の強い者には土砂の撤去
- 手先の器用な者には補修作業
- 口のうまい者には、人足たちの士気を上げる役
それぞれの特性を見抜き、適材適所で動かしていく小一郎。
翌朝には道がきちんと完成し、「名もない百姓の采配が、多くの人を動かした」という結果が残ります。
ここで視聴者は、「あ、秀長ってこういう才能の人なんだ」と一気に理解できます。
戦場で刀を振り回すタイプではなく、人と状況を見て、最適な形に組み立てる参謀タイプ。
後の「天下一の補佐役」につながる片鱗が、すでに1話からしっかり描かれていました。
④ 兄の闇と、弟の決別
一方で、藤吉郎の現実は、決して順風満帆ではありません。
「足軽大将」と名乗ってはいるものの、住まいはとても質素で、身分相応とは言いがたい暮らしぶり。
そんな中、柴田勝家の屋敷で盗みが起こり、藤吉郎に疑いがかかります。
家族の過去もあり、「また盗みか」という周囲の目が一気に集まるところが、なんとも重い空気です。
藤吉郎は「真犯人を捕まえて身の潔白を証明する」と宣言し、小一郎にも協力を求めます。
二人は、月のない夜に張り込みをして、盗人を捕まえようとします。
この夜の見張りの場面で、藤吉郎は本音を漏らします。
- ずっと見下されてきた過去
- 誰からも相手にされなかった悔しさ
- 「皆に好かれたい」「認められたい」という強い欲求
明るくふるまう藤吉郎の裏にある「闇」が、じわりと浮かび上がる印象的なシーンでした。
やがて現れる不審な影。
挟み撃ちにした瞬間、その男は小一郎に斬りかかります。
そこで藤吉郎は、ほとんど迷いなく刀を振るい、相手を斬り捨ててしまいます。
男の懐からは、斎藤義龍へあてた密書が出てきて、これは本来なら大手柄のはず。
しかし、信長のもとにはすでに別のルートで情報が届いており、藤吉郎には大きな褒美もなく、労われる言葉もほとんどありません。
一連の出来事のあと、小一郎は自分の手の震えに気づきます。
恐れていたのは、盗人でも戦でもありません。
「恐ろしかったのは、兄者だ」
そう告げて、小一郎は村へ戻る決意をします。
藤吉郎と小一郎は、それぞれ別の道を歩き始めることになりますが、もちろん、これで兄弟の物語が終わるわけではありません。
- “盗み”の疑いを背負っても出世を目指す兄
- “盗み”や理不尽を嫌い、筋を通そうとする弟
この価値観のズレこそが、のちの豊臣政権を支える「二匹の猿」のドラマの核になっていきそうです。
個人的な感想①:兄弟の「ズレ」が早くも面白い
第1話を見て一番印象に残ったのは、藤吉郎と小一郎の「似ているようで、全然違うところ」です。
- どちらも“頭の回転が早い猿”タイプ
- でも、使う方向がまったく違う
という感じ。
藤吉郎は
「人に好かれたい」「出世したい」「見下されたくない」
という感情で動くタイプ。
小一郎は
「筋が通っているか」「誰かが損をしないか」
といった“理屈と良心”で動くタイプ。
この2人が、戦国という不安定な時代で、どうやって同じ方向を向いたり、逆にぶつかり合ったりするのか。
第1話は、その“種まき”を丁寧に見せてくれた印象です。
ラストで小一郎が感じた「兄への恐怖」は、
「血を分けた兄弟なのに、こんなにも違う」
という、人間としての本能的な恐れにも見えました。
個人的な感想②:仲野太賀さんの“静かな主役感”
仲野太賀さん演じる小一郎は、「派手さはないけれど、じわじわくる主役」という印象でした。
- 畑でケンカをおさめる場面
- 村人たちの話をじっと聞いて考える姿
- 道普請の現場で、慌てず人を動かすところ
- そして、兄を恐れながらも、最後に自分の意思を言葉にする瞬間
どの場面も、大きな声で叫んだり、激しく泣いたりはしないのに、表情や間の取り方で感情が伝わってきました。
特にラスト近く、手の震えに気づくシーンは、セリフよりも“沈黙の時間”が効いていて、「ああ、この人はこれからすごく悩んで成長していくんだろうな」と感じさせてくれました。
個人的な感想③:池松壮亮さんの、“愛されたい”藤吉郎
藤吉郎役の池松壮亮さんは、「ただの調子のいい兄ちゃん」には絶対にしないだろうな…と思っていましたが、予想通り、とても複雑で人間臭い藤吉郎像でした。
- 村に戻ってきた時の、ちょっと芝居がかった登場
- 弟に気前よく接しながらも、どこか必死さのにじむ笑顔
- 夜の張り込みで見せる、本音の弱さ
- 盗人を斬るときの迷いのなさ
「好かれたい」「認められたい」という気持ちが強すぎるがゆえに、過激な行動に出てしまう危うさ。
それでも、どこか憎めない魅力があるのが、藤吉郎という人物なんだろうな、と感じました。
今後、信長や他の武将たちとの関係の中で、藤吉郎の“猿っぽさ”がどう変化していくのかも楽しみです。
個人的な感想④:戦国だけど、血なまぐささより「生き方」の話
第1話は、派手な合戦シーンはほとんどありませんでした。
野盗の乱入や、夜の張り込みなど、緊張感のある場面はあるものの、血みどろの戦は控えめ。
その代わりに丁寧に描かれていたのは、
- 貧しい村で、どう生きるか悩む若者
- 家族のために、どんな選択をするか
- 正しさと欲のあいだで揺れる兄弟
といった、人間ドラマの部分でした。
「戦国ものはちょっと苦手…」という人でも、
このドラマなら「登場人物の生き方に寄り添う物語」として楽しめそうだな、と感じました。
歴史好き目線のちょっとしたポイント
歴史が好きな方にとって、第1話にはニヤリとするポイントも多かったように思います。
「二匹の猿」というタイトルの意味
史実では、信長が秀吉を「猿」と呼んでいた、というエピソードが有名です。
そこから考えると、「二匹の猿」というタイトルは、
- 兄・藤吉郎=“表の猿”
- 弟・小一郎=“陰で支える猿”
という、二人セットでひとつの“豊臣家”を作り上げる、というイメージにもつながります。
第1話だけ見ると、まだ“小一郎も猿なのか?”という感じですが、
これから先、彼の「知恵」と「采配」がどんどん発揮されてくると、このタイトルの意味がもっと深く感じられそうです。
清須の道普請と、信長の「インフラ戦略」
道普請の場面は、単なる肉体労働ではなく、
- 信長がなぜ道路整備に力を入れているのか
- それが国づくりにどうつながるのか
という、政治的な視点も含んだシーンでした。
「道を作れば敵も来やすくなる」という小一郎の疑問に対して、
“それでも道を作るべきだ”という信長側の価値観。
ここには、単なる戦争ドラマではなく、
「どうやって世の中を変えていくか」という国家レベルの話も絡んでいて、
大河ならではのスケール感を感じました。
第2話への期待
すでに公式情報では、第2話のタイトルやあらすじも少しずつ出ています。
第1話のラストで兄弟が別々の道を選んだことで、
- もう一度、2人はどうやって「同じ方向」を向くのか
- 小一郎は、どんなきっかけで再び清須に戻るのか
- 直との関係は、今後どう描かれていくのか
このあたりが、第2話以降の見どころになりそうです。
タイトルに「願い」や「鐘」といった言葉が入っていることからも、
兄弟それぞれの“願い”が、少しずつ形になり始める回になりそうですね。
まとめ:第1話は「兄弟の物語」の丁寧なスタート回
あらためて、第1話「二匹の猿」をまとめると――
- 派手な戦は少なめだけど、人間ドラマは濃い
- 兄・藤吉郎と弟・小一郎の「価値観の違い」が早くもくっきり
- 小一郎の「采配の才能」が、道普請の場面でしっかり描かれた
- ラストの「恐ろしかったのは、兄者だ」で、今後の波乱を予感させる終わり方
という、とても“丁寧な第1話”だったと思います。
戦国の有名人・豊臣秀吉の弟という、少しマニアックな人物を主役に据えた大河ですが、
1話の時点で「この兄弟の行く末を最後まで見届けたい」と思わせてくれる作りでした。
今後、信長や家康、他の武将たちとの関係が深まるにつれて、
- 小一郎の“ブレない筋”
- 藤吉郎の“止まらない野心”
がどう絡み合っていくのか。
「二匹の猿」の物語から、1年かけてどんな豊臣像が描かれるのか、楽しみに追いかけていきたいですね。

