2025年11月7日(日本時間)、MLBの打撃部門最高のタイトルのひとつ
「シルバースラッガー賞2025」ナ・リーグ指名打者部門で、
ロサンゼルス・ドジャースの 大谷翔平選手 が受賞しました。
しかも今回の受賞で、大谷選手は
- 2021年
- 2023年
- 2024年
- そして 2025年
と、通算4回目のシルバースラッガー賞。
一方、日本人メジャーリーガーのレジェンド イチロー選手はシルバースラッガー3回受賞。
つまり今回で
「イチロー超え」=日本人史上最多の4回受賞
という、とんでもない偉業が生まれたことになります。
この記事では、
- そもそもシルバースラッガー賞とは何か
- 2025年の受賞結果(特に大谷翔平の成績)
- イチローとの受賞回数比較
- 数字から見える「大谷の異常さ(いい意味で)」
を解説します。
シルバースラッガー賞とは?かんたんに言うと「打撃のベストナイン」
まず、「シルバースラッガー賞って何?」というところから。
シルバースラッガー賞の基本
シルバースラッガー賞(Silver Slugger Award) は、
MLB(メジャーリーグ)で、各ポジションごとに一番打撃が優れた選手に贈られる賞です。
- ア・リーグとナ・リーグそれぞれで選ばれる
- 対象は
- 捕手
- 一塁手
- 二塁手
- 三塁手
- 遊撃手
- 外野手3人(左・中・右をまとめて3枠)
- 指名打者(DH)
- ユーティリティー(複数ポジションを守る選手)
- そして近年は「チーム全体として一番打つチーム」にも1つ
誰がどうやって選ぶの?
投票するのは監督とコーチです。
- 自分のチームの選手には投票できない
- 打撃成績(打率、ホームラン、本塁打数、打点、OPS など)を総合的に見て判断
- さらに「数字にあらわれない打撃の印象」も含めて評価
つまり、数字+現場の“肌感覚”で選ばれる「打撃のプロ同士が選ぶベストナイン」
というイメージを持ってもらうと分かりやすいです。
2025年シルバースラッガー賞(ナ・リーグ)結果まとめ
まず、2025年のナ・リーグ(NL)でシルバースラッガー賞を受賞したメンバーをざっと見てみましょう。
MLB公式サイトによると、2025年ナ・リーグの受賞者は以下の通りです。
- 捕手:ハンター・グッドマン(ロッキーズ)
- 一塁手:ピート・アロンソ(メッツ)
- 二塁手:ケテル・マルテ(ダイヤモンドバックス)
- 三塁手:マニー・マチャド(パドレス)
- 遊撃手:ヘラルド・パーダーモ(ダイヤモンドバックス)
- 外野手:フアン・ソト(メッツ)
- 外野手:コービン・キャロル(ダイヤモンドバックス)
- 外野手:カイル・タッカー(カブス)
- 指名打者(DH):大谷翔平(ドジャース)
- ユーティリティー:アレック・バーレルソン(カージナルス)
- チーム(最強打線賞):ロサンゼルス・ドジャース
こうして並べてみると、
大谷翔平は「ナ・リーグで一番バットで打てる指名打者」
と公式に認定された、ということですね。
さらに、ドジャース打線全体も「リーグ最強」と評価されており、
チームとしても打撃面でトップクラスであることが証明されました。
大谷翔平2025年の打撃成績がエグすぎる件
では、大谷翔平がなぜシルバースラッガー賞を受賞したのか。
その理由は、シンプルに言うと
「数字がおかしい(いい意味で)」
からです。
2025年シーズンの主な成績
報道によると、2025年の大谷翔平は、ドジャース1年目にして
- 打率:.282
- 出塁率:.392
- 長打率:.622
- OPS:1.014
- 本塁打:55本
- 盗塁:20個
- 得点:146得点(ドジャースの球団新記録クラス)
- 総塁打:380
- 長打(2塁打以上):89本
という、とんでもない成績を残しています。
特に、
- 55本塁打
- 20盗塁
という組み合わせは、
「50本以上ホームランを打ちながら、盗塁も20以上する」という
史上でも滅多にない怪物パターンです。
専門用語をかんたんに解説
OPS(オーピーエス)
=「出塁率」と「長打率」を足した数字。
- 出塁率:どれくらいの確率で塁に出るか
- 長打率:どれくらい強い打球(長打)を打っているか
これを足したOPSが 1.000を超える というのは、
「その年のリーグでもトップクラス」
と言っていいレベルです。
大谷の OPS 1.014 は、
まさに「打撃お化け」と呼んでもいい数字です。
4度目のシルバースラッガーで「イチロー超え」は本当?
さて、タイトルにも入れた
「大谷翔平がイチロー超え?日本人最多4度目の偉業」
という部分。これは本当なのでしょうか?
イチローのシルバースラッガー受賞回数
まずはレジェンド・イチロー選手。
- シルバースラッガー賞:3回受賞(2001年・2007年・2009年)
イチローといえば、「ヒット製造機」「安打マシーン」と呼ばれた名選手。
首位打者2回、シーズン262安打など、打撃記録は数えきれません。
そんなイチローでも、
シルバースラッガーは3回でした。
大谷翔平のシルバースラッガー受賞歴
一方、大谷翔平の受賞歴を見ると
- 2021年(エンゼルス/DH)
- 2023年(エンゼルス/DH)
- 2024年(ドジャース/DH)
- 2025年(ドジャース/DH)
と、すでに4回受賞。
したがって、
2025年の受賞で、
日本人メジャーリーガーとしてシルバースラッガー賞「最多4回」
→ イチローの3回を超えて「単独トップ」
というのは、事実として言えるレベルです。
イチローと大谷、打撃の「すごさ」はどう違う?
「イチローと大谷、どっちがすごいの?」
という議論は、正直いって“好み”の問題も大きいです。
ただ、シルバースラッガー賞という観点から見ると、
ふたりのタイプの違いがよく見えてきます。
イチロー:安打と打率の「職人」
イチローは
- 高打率(3割以上を何度も記録)
- ヒットの量(200本安打を当たり前のように達成)
- 俊足と守備力も含めた「トータルの野球力」
で評価された選手です。
“毎日1〜2本ヒットを打つ職人” のようなイメージですね。
シルバースラッガー3回というのは、
「コンスタントに“打撃のトップ集団”にいた」という証拠です。
大谷翔平:ホームランと総合指標の「怪物」
一方、大谷は
- ホームラン数
- OPS(出塁+長打)
- 長打率
- 打点・得点
など、「一発の破壊力+トータルの貢献度」で評価されるタイプです。
- 50本や55本というホームラン数
- 1.000超えのOPS
といった数字は、
「リーグを代表する長距離砲」にしか出せません。
どちらが上・下というよりも、
- イチロー:精密機械のような“ヒット職人”
- 大谷:ゲームのラスボスみたいな“パワーと総合力の怪物”
という違いと捉えると、イメージしやすいと思います。
シルバースラッガー賞はMVPと何が違うの?
ここでよくある疑問が
「シルバースラッガー賞とMVPって、何が違うの?」
という点です。
シルバースラッガー賞
- 「打撃だけ」を評価する賞
- ポジションごとに、「そのポジションで一番打った人」が選ばれる
- 守備や投球は基本的に考慮されない(打撃がメイン)
MVP(最優秀選手)
- 打撃だけでなく
- 守備
- 走塁
- 投手としての成績(投手なら)
- チームへの貢献度
などを総合的に評価
- 「その年、リーグで一番“価値があった”選手」に贈られる賞
大谷はすでに MVPを3回受賞しており(2021・2023・2024)、2025年もMVP投票の上位候補に入っています。
なので、
- シルバースラッガー:打撃のトップを証明する勲章
- MVP:その年の“顔”であることを証明する勲章
と、役割を分けて考えるとイメージしやすいです。
2025年の大谷翔平の何が、特に“ヤバい”のか?
数字だけ並べてもピンと来づらいので、
2025年の大谷の“ヤバさポイント”を、少し噛み砕いてみます。
① ホームラン55本は「確率がバグっている」
1シーズン162試合で55本ということは、
- 大ざっぱに言うと、約3試合に1本ペース
毎日テレビをつけていたら、
「え、また今日も打ったの?」
というレベルです。
② 1シーズンで146得点は「チームを何度も救っている」証拠
得点というのは、
- 自分が塁に出て
- 誰かのヒットでホームへ帰ってくる
という回数です。
146得点というのは、
「打って」「出塁して」「ホームに帰ってくる」回数が異常に多いということ。
これは裏を返すと、
「大谷がいるだけで、チームの得点力が爆上がり」
しているという証拠でもあります。
③ OPS1.014+盗塁20は「パワーとスピードの両立」
- OPS1.000超え → 強打者の証
- 盗塁20 → 俊足の証
普通は「パワータイプ」と「俊足タイプ」は分かれるのですが、
大谷はその両方を同時に持っているという、
ゲームの世界みたいな選手です。
日本人にとって、この「イチロー超え」は何を意味するのか?
「イチローの記録は誰も超えない」と思われていた
これまで多くのファンが、
「イチローの記録は、日本人にはもう出ないだろう」
と、心のどこかで感じていたと思います。
それだけイチローが残したインパクトは、
とてつもなく大きかったからです。
そこに現れた「別タイプの怪物」大谷
ところがそこに、
“走攻守+投打”という次元の違う怪物・大谷翔平が現れました。
- 投手としてもトップレベル
- 打者としてもホームラン王クラス
- そしてシルバースラッガーは日本人最多4回
タイプは違えど、
「日本人メジャーリーガーの歴史を、また一段押し上げた存在」
と言っていいでしょう。
「イチローという土台の上に、大谷が立っている」
イチローが
- 日本からメジャーへ行き
- 小柄でも通用する
- 日本人でもMVPを取れる
という前例を作ってくれました。
その道の上を、
今度は大谷翔平がまったく新しいスタイルで走っている。
「イチローを超えた」というより
「イチローが作った道を、別ルートで宇宙まで伸ばしている」
そんな感覚に近いかもしれません。
よくある疑問Q&A
Q1:シルバースラッガー賞って、日本でいうと何に近い?
イメージとしては
- 「ベストナイン(打撃版)」
- 「そのポジションで一番打てるバッターを選ぶ賞」
のような感覚に近いです。
守備まで全部含めた「ベストナイン」とは少し違い、
あくまで“打撃特化”なのがポイントです。
Q2:ピッチャーとしての評価は、この賞に関係あるの?
いいえ、ありません。
シルバースラッガーは「打撃だけの賞」なので、
投手としての成績は投票には基本関係ありません。
逆に言うと、
「投げていなくても、打撃だけでこの賞が取れる」
ということでもあり、
2025年の大谷はまさに「打撃専念で“頂点”を取った」形です。
Q3:これから大谷は、どこまで記録を伸ばせる?
これは誰にも分かりませんが、現時点で
- シルバースラッガー:4回
- MVP:すでに3回受賞
という、歴史的にもトップクラスの選手です。
ケガさえなければ
- シルバースラッガー5回、6回…
- MVP4回、5回…
といった数字も現実味を帯びてきます。
まとめ:2025年は「イチローの道を超える、新しい日本人像」が見えた年
改めてこの記事のポイントを整理すると――
- シルバースラッガー賞とは
→ MLBで「打撃が一番すごい選手」をポジションごとに決める賞 - 2025年ナ・リーグ指名打者部門で
→ 大谷翔平が受賞し、ドジャースはチームとしても最強打線の評価 - 大谷の2025年成績は
→ 打率.282、55本塁打、OPS1.014、146得点、20盗塁など、数字がすべて化け物レベル - これで大谷はシルバースラッガー通算4回
→ イチローの3回を上回り、日本人最多記録を更新 - イチローは「安打の職人」、大谷は「パワー&スピード&総合力の怪物」
→ タイプは違うが、どちらも日本野球の歴史に残る存在
2025年のこのニュースは、
「イチローを超えた」というより
「イチローが切り開いた道が、さらに宇宙規模に広がった」
そんな象徴的な出来事と言えるかもしれません。
これからも、
- 何回シルバースラッガーを積み上げるのか
- 何回MVPを取るのか
- どこまで“伝説”が更新されるのか
1年ごとに、私たちは歴史の証人になっていくことになりそうです。
