「交野市だけ万博に行かへんって、本当?」
「『学校単位で行く必要ない』って、子どもが万博に行けないってこと?」
「無料招待のアンケートが“踏み絵”って、どういう意味?」
この記事では、
を整理していきます。
そもそも万博の「子ども無料招待」ってどんな制度?
まずは、元になっている大阪府の制度から確認しましょう。
対象は4歳〜高校生まで、約100万人
大阪府は、2025年の大阪・関西万博にあわせて、
府内に住む4歳〜高校生までの子ども約100万人を、
万博会場に無料で招待する
という計画を打ち出しました。
このときの基本的な考え方は、
- 学校の「遠足」などの行事として 会場に行ってもらう
- 原則は「学校単位」での参加
という形です。
1回目・2回目で負担が違う
子ども招待には「1回目」「2回目」があり、
- 1回目:大阪府の負担が中心
- 2回目:市町村の負担が発生(交野市の場合は約2,000万円と言われる)
とされています。
ここでは主に「1回目」の話になりますが、
2回目の負担の重さも、山本市長の問題意識の土台にあります。
交野市長はなぜ「学校単位で行く必要ない」と言ったのか?
2024年5月24日、交野市は
「市立の全13小中学校が、現時点で万博の無料招待事業への参加意向なし」
と発表しました。
同じ会見の中で、山本景市長は
「学校単位で行く必要はない」
「学校単位で行かなくてもよいと考える」
といった趣旨の発言をしています。
これだけ聞くと、
「え、交野市だけ子どもを万博に行かせないつもり?」
と感じてしまいがちですが、
実はその前後には、いくつか具体的な理由が並んでいます。
交野市長が挙げた主な懸念点
ローカルメディア「交野タイムズ」や市長のブログなどをまとめると、
山本市長の主な懸念は次のようなものです。
①時期の問題
- 学年が変わるタイミング(4月)や、暑い時期(真夏)を避けると
→ 実際に行けるのは「5〜6月」に集中しがち - その時期に多くの学校が一斉に会場に押し寄せる可能性
②交通手段の問題
- 大阪府が手配する貸切バスが、交野市まで回ってくる見込みが薄い
- 自前でバスを手配すると、1台あたり約15万円の費用がかかる
- 電車利用だと、乗り換えが多く、
小学生・中学生を大人数で連れて移動するのは現実的にかなり大変
③安全面の問題
- 会場でメタンガスの爆発事故が起きたことがあり、
安全対策や情報公開への不安が残っている - 炎天下での長時間移動・行列・待機など、熱中症のリスク
④中身と費用対効果の問題
- 児童・生徒が見学できるパビリオンは「基本1つだけ」で、
しかも そのパビリオンを選べるわけではない - それだけのために、多大な時間・お金・先生の負担をかけていいのか?
⑤家族との選択肢を残したい
- 「学校で連れて行く」より、
家族で行きたい人が行く方が良いのではないか - 行きたくない家庭や、宗教・健康上の理由で避けたい家庭もある中で、
学校行事として全員を連れていく形が本当にベストなのか?
こうした理由から、山本市長は
「学校や市・先生たちにとって負担が大きすぎる」
「学校単位で行く必要はない」
と判断した、という流れです。
「万博そのものには反対していない」という前置き
交野タイムズの記事によると、山本市長は会見の中で
「万博そのものに反対しているわけではない。
パビリオンを将来交野市で再利用する構想もある」
と前置きしています。
つまり、
- 万博そのもの → 必ずしも反対ではない
- しかし 「学校単位の無料招待のやり方」には強い疑問がある
というスタンスです。
「交野市の子は万博に行けないの?」という疑問
ここで、多くの人が一番気になるポイントに触れましょう。
「学校単位で行かない=交野市の子どもは万博に行けない?」
という点です。
市長の説明:「個人で行くのは自由」
交野市のタウンミーティング(倉治地区との意見交換)の議事録には、
万博の無料招待について、山本市長が次のように説明しています。
- 「総合的に判断し、学校単位で行く必要はないと考えている」
- 「個人で行くのは自由」であり、その意思は尊重したい
- 行きたい人には、大阪府から直接チケット(プロモーションコード)が配布される予定
さらに、自身のブログでも、
- 学校が「未定・検討中」にした場合
→ 行かない児童生徒には 個人で使える入場券コードが発行される - だからこそ「学校で連れて行かなくても良い」と表明した
と書いています。
つまり、市長の言いたいことをシンプルにすると、
「学校が遠足で万博に行かなくても、
子ども本人や家族が行きたければ行ける。
だから無理に“学校単位で”連れて行く必要はない」
という考え方です。
「遠足アンケートは踏み絵」? 無料招待アンケート騒動とは
次に、多くのニュースで話題になった
「遠足アンケート(無料招待アンケート)騒動」
について見ていきます。
問題のアンケート:選択肢が「希望する」と「未定・検討中」だけ
大阪府教育庁は、各学校に対して
- 万博に「遠足」などの形で来場を希望するか
- いつ頃行きたいか
といった意向調査アンケートを送付しました。
ところが、このアンケートの選択肢は、
- 「希望する」
- 「未定・検討中」
の2つだけで、「希望しない」がなかったのです。
しかも、「未定・検討中」を選ぶと、
「個別に事務局から連絡します」
と書かれていました。
山本市長は、この仕組みに対して
「『未定・検討中』と回答するには相当な勇気がいる。
まるで“踏み絵”のようだ」
と強く批判しました。
※「踏み絵」は、立場を試されるような行為、という意味合いです。
3月の説明では「希望する/希望しない」だった?
さらに、FNNの報道によると、
アンケート開始前の3月に配られた説明資料では、
- 選択肢は「希望する」か「希望しない」
と書かれていたのに、
実際に始まったアンケートでは 「希望しない」が消えていた ことも伝えられています。
この点も、山本市長が
「話がすり替えられている」
「意向調査のはずが、実質的な“参加申し込み”になっている」
と感じた理由のひとつです。
追い打ちの「優先に割り付け」メール
さらに問題が大きくなったのが、
2024年6月3日に、ある学校に届いたメールです。
そのメールには、
「5月31日までに登録いただいた学校様を優先に割り付けいたします」
といった趣旨の文言が書かれていました。
これに対して山本市長は、
- 本来は「利用予定を把握するための意向調査」のはずなのに
- 実際には「早く申し込んだ学校が優先される」形になっており
- アンケートの目的がすり替わっている
と批判しました。
市長のブログでは、このメールやアンケートの仕組みについて
- 「踏み絵」
- 「プロパガンダ」
- 「全体主義的」「ファシズム的」
など、かなり強い表現で問題提起がされています。
(ここでは表現だけを紹介しており、
それに賛成・反対する立場ではありません。)
大阪府・吉村知事の反応は?
一方で、大阪府側はどう説明しているのでしょうか。
「踏み絵ではない」「やり直しは必要ない」
大阪府の吉村洋文知事は、
このアンケートについて記者から問われた際に、だいたい次のような趣旨の説明をしています。
- この調査は、「参加」「不参加」の結論を求めるものではない
- どれくらいの学校が、どの時期に参加したいと考えているかを把握するのが目的
- 無料招待を円滑に進めるためのもので、「踏み絵」ではない
- したがって、アンケートの「やり直し」をする必要はない
また、「優先に割り付け」メールについては、
- 「そう受け取られかねない文面であり、良くない」
- 教育庁に訂正や送り直しを指示した
と述べています。
実際に、教育庁と招待事務局は会議を行い、
意図と違う部分があったとして、メールを送り直したと報じられています。
多くの学校は「参加希望」なのも事実
報道によると、このアンケートの結果、
- 回答があった学校の約7割が「訪問を希望」
- 約2割が「未定・検討中」
- 「参加しない」という選択肢がないため、形式上はゼロ校
という状況になっています。
「交野市だけが特別に反対している」というより、
- 多くの自治体・学校は「とりあえず希望にしておく」
- 一部の自治体・市長が、調査手法や安全・負担に強い疑問を投げかけている
という構図になっていると言えるでしょう。
「学校で行く万博」と「家族で行く万博」それぞれのメリット・デメリット
ここからは、少し視点を変えて、
学校単位で万博に行くことの メリット・デメリット を、
整理してみます。
学校単位で行くメリット
- 友だちと一緒に行ける楽しさ
→ クラス全員で行く「思い出の行事」になる - 教育的な狙いを組みやすい
→ 事前学習・事後学習をセットにしやすい
→ 授業と組み合わせて「総合学習」にもしやすい - 家庭の経済格差をある程度ならしやすい
→ 学校行事として行けば、「行ける家庭だけが行く」という状況を避けやすい
学校単位で行くデメリット(懸念)
- 先生と学校の負担が非常に大きい
→ 交通手段の確保、当日の引率、安全管理、トラブル対応など - 費用の問題
→ 交通費・お弁当代などは、結局どこかが負担する
→ 市・学校・保護者のどこにしわ寄せが行くのか - 暑さ・混雑・長時間移動のリスク
→ 特に小さな子どもには体力的な負担が大きい - 「行きたくない家庭」の選択肢の少なさ
→ 宗教・健康・家の方針などで参加させたくない家庭にとっては、
学校行事としての万博は、かなり悩ましいテーマになる
こうした「メリット・デメリット」のどこに重きを置くかは、
市長・教育委員会・学校・保護者で意見が分かれやすいポイントです。
交野市の山本市長は、
メリットよりもデメリット(負担・安全面)の方が大きい
だから、学校としては行かなくてもよい
(行きたい家庭は個人で行けるようにしよう)
と判断した、ということになります。
この騒動から見える「問い」
今回の「学校単位で行く必要ない発言」と「アンケート騒動」は、
単に「万博に賛成か・反対か」という話だけではなく、
- 行政と学校現場のコミュニケーションの取り方
- アンケートの設計が、どこまで“中立”であるべきか
- 子どもの校外学習における「安全」「負担」「平等」をどう考えるか
といった、もう少し深いテーマも含んでいます。
山本市長は、自身のブログで、
- 「未来ある子どもたちの命を守るため」
- 「学校で万博に行かなくてもよいと表明し、その責任は自分が負う」
と書いています。
一方で、大阪府は
- 「万博の機会をできるだけ多くの子どもに体験してほしい」
- 「アンケートは全体の希望を把握するためのもので、踏み絵ではない」
という立場です。
どちらが正しい・間違っている、というよりも、
「自分だったらどう考えるだろう?」
と一度立ち止まって考えてみる価値のあるテーマだと思います。
まとめ
最後に、この記事の内容をコンパクトにまとめます。
ポイントのおさらい
- 万博の子ども無料招待
- 大阪府が、4歳〜高校生まで約100万人を無料招待する計画
- 基本は「学校単位」での参加を想定
- 交野市長の「学校単位で行く必要ない」発言
- バス確保の難しさ・費用
- 会場の安全性・熱中症リスク
- 見学できる内容の薄さ
- 家族で行く選択を残すべき
といった理由から、「学校単位では行かなくてよい」と判断
- 「子どもは万博に行けない」のか?
- 市長は「個人で行くのは自由」と明言
- 行かない児童生徒には、個人で使える入場券コードが配布される仕組みがあると説明
- アンケート騒動(遠足アンケート問題)
- 選択肢が「希望する」「未定・検討中」だけで、「希望しない」がなかった
- 「未定・検討中」を選ぶと事務局から連絡 → 「踏み絵」と市長が批判
- さらに「希望する学校を優先に割り付け」というメールが送られ、
「意向調査が申し込みにすり替わっている」との批判も
- 大阪府・吉村知事の立場
- 「踏み絵ではない」「やり直しは必要ない」と説明
- 問題になったメールは「誤解を招く」として訂正・送り直しの方針






