2026年8月5日開幕の第108回全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)で、女性審判員5人がグラウンドに立ちます。
春夏通じて100年を超える甲子園の歴史のなかで、これは初めての出来事です。
選ばれたのは、岩男香澄(いわお・かすみ)さん、佐藤加奈(さとう・かな)さん、松本京子(まつもと・きょうこ)さん、森田真紀(もりた・まき)さん、和田佳奈(わだ・かな)さんの5人です。
それぞれ地方大会や審判講習会で長年腕を磨いてきた、実力派の審判員ばかりです。
日本高等学校野球連盟(日本高野連)は2026年4月17日、大阪市内で開いた運営委員会で、今大会に女性審判員を起用することを正式に決めました。
「地方大会で女性審判がいた」という話はこれまでもありました。
でも、全国の代表校が集まる「甲子園本大会」のグラウンドに立つのは、今回が史上初です。
- 甲子園(春夏)の歴史で女性審判は史上初
- 2026年4月17日、日本高野連が正式決定
- 今夏の第108回大会で5人がデビュー
- 目的は「多様な人材の活躍」と「審判のなり手不足解消」
まず、気になる「誰が」「どこの地域から」選ばれたのかを表にまとめました。
| 氏名 | 年齢 | 所属地域 |
|---|---|---|
| 岩男 香澄さん | 33歳 | 神奈川県(横浜市) |
| 佐藤 加奈さん | 39歳 | 埼玉県 |
| 松本 京子さん | 46歳 | 佐賀県(唐津市出身) |
| 森田 真紀さん | 40代後半 | 埼玉県 |
| 和田 佳奈さん | 28歳 | 栃木県 |
年齢は報道時点のもので、今後変わる可能性があります。
埼玉県から2人選ばれているのが、ちょっと意外なポイントかもしれません。
岩男香澄さん(神奈川)
小学1年生の頃から野球を始め、中学時代は女子硬式野球チームに所属していました。高校2年の春には、全国女子硬式野球選抜大会で全国制覇を経験しています。
佐藤加奈さん(埼玉)
中学校教諭として働きながら、2人のお子さんを育てる母親でもあります。国際審判員の資格を持ち、2017年の女子野球アジアカップや2018年のWBSC女子野球ワールドカップなど、国際大会での審判経験も豊富です。
松本京子さん(佐賀)
病院事務員として働きながら、約15年にわたって審判を続けてきました。中高生時代のソフトボール経験がきっかけで、審判の道に進んだそうです。
森田真紀さん(埼玉)
中学校教師をしながら、審判歴は20年を超えるベテランです。産休や育休で約10年のブランクがありましたが、そこから復帰した実績を持っています。
和田佳奈さん(栃木)
5人の中では最も若く、宇都宮工業高校の出身です。アジア大会での審判経験もあり、若手のホープとして注目されています。
日本高野連の尾崎泰輔・審判規則委員長は、高校野球が直面している大きな課題のひとつに「人口減少」を挙げています。
選手だけでなく、大会を支える連盟の先生方や審判員も、これから人口減少の影響を受けていくという危機感です。
つまり、男性か女性かではなく「スキルの高い人に、より多くの人数で高校野球を支えてもらう」という発想が根っこにあります。
審判のなり手不足を将来的に解消するための、いわば「先手を打つ」取り組みだと説明されています。
今回の起用は、いきなり決まったわけではありません。
2024年、日本高野連が主催する全国審判講習会に、初めて女性が参加しました。このときは7人が応募しています。
2025年5月には、甲子園球場で行われた軟式高校野球の交流試合で、女性審判員7人が交代で塁審を担当しました。日本高野連が主催する試合で女性が審判を務めたのは、これが初めてでした。
そして2026年4月、いよいよ夏の甲子園本大会での起用が正式に決定した、という流れです。
ちなみに高校野球の現場では、女子マネージャーが練習補助を行えるようになるなど、女性の関わり方が少しずつ広がってきた歴史もあります。
第108回全国高校野球選手権大会は、2026年8月5日に開幕します。
5人は本大会に先立ち、5月4日・5日に甲子園球場で行われた全国審判講習会にも参加し、外野の動きや甲子園特有の風の読み方などを確認していました。
どの試合の、どの塁を担当するかといった具体的な割り当てについては、現時点で公表されていません。
この決定はSNSでも話題になりました。
「実力が伴っているなら問題ない」「歴史が変わるな」といった歓迎する声が多く見られる一方で、慎重な意見も一部にあったようです。
「女性審判の起用が、特別なニュースにならない時代が来てほしい」という声もあり、賛否というよりは、これからの高校野球のあり方を考えさせられるきっかけになっている印象です。
喜ばしいニュースである一方、現場からは課題の声も上がっています。
森田真紀さんは、産休や育休をきっかけに審判を長く休む女性が多い現状に触れ、「球場に託児施設があれば、女性審判はもっと増える」と話しています。
また、SNS上での審判へのバッシングも、スポーツ界全体の課題として指摘されています。
日本高野連が今春の甲子園で行った調査では、選手や監督、審判らへの誹謗中傷にあたるおそれのある投稿が1000件を超えて確認されたと報じられています。
「参加しただけで終わらせず、誰もが安心して審判を務められる仕組みづくりを」という専門家の指摘もあり、今後の環境整備が注目されます。
Q. 春の甲子園(選抜)ではすでに女性審判はいましたか?
A. いいえ。春夏どちらの甲子園大会でも、本大会での女性審判起用は今回が初めてです。
Q. 5人はどんな試合を担当しますか?
A. 具体的な試合や担当塁の割り当ては、記事作成時点では公表されていません。
Q. 地方大会にも女性審判は増えていますか?
A. 各都道府県の高野連に登録している女性審判員は、全国でおよそ20人とされています。今夏は栃木や群馬など、地方大会で初めて女性審判がデビューする例も報告されています。
2026年8月5日開幕の夏の甲子園で、岩男香澄さん(神奈川)、佐藤加奈さん(埼玉)、松本京子さん(佐賀)、森田真紀さん(埼玉)、和田佳奈さん(栃木)の5人が、史上初の女性審判員としてグラウンドに立ちます。
背景にあるのは、審判のなり手不足という現実的な課題と、性別にとらわれずスキルの高い人材を起用しようという考え方です。
託児施設の整備やSNS上の誹謗中傷対策など、まだ解決すべき課題も残されていますが、100年を超える甲子園の歴史に新しい一歩が刻まれることは間違いありません。
「アウト!」「セーフ!」の声が、これまでとは違う響きで甲子園に届く夏になりそうです。



