2025年10月21日、高市早苗内閣が発足し、農林水産大臣には自民党の鈴木憲和(すずき・のりかず)さんが就任しました。
東京生まれなのに選挙区は山形2区。この「なぜ山形?」という素朴な疑問とあわせて、鈴木大臣の基本プロフィール、公約(めざす政策)、そして派閥の立ち位置まで整理していきます。
鈴木憲和ってどんな人?
- 生年:1982年(43歳)
- 学歴:東京大学法学部
- 前職:農林水産省の官僚
- 選挙区:衆議院・山形県第2区(当選5回)
- 現職:第73代 農林水産大臣(2025年10月21日〜)
- 肩書の出典:ウィキペディアと官邸・主要メディアの発表。
X(旧Twitter)のプロフィールでも「農林水産大臣/山形2区・5期目」と記載があります。
なぜ東京生まれなのに「山形」なの?
いちばん気になるのがここです。結論から言うと、父親の出身地が山形で、2012年に山形へ移り住み政治活動を始めたからです。ウィキペディアの来歴に「父の出身地・南陽市のある山形県に移り住み、山形県連の公募に合格して活動開始」と明記されています。
本人サイトのプロフィールでも、原点は「ふるさと山形」と「農業」とはっきり書かれており、地に足のついた地域づくりを掲げています。つまり、東京生まれでも「家族のルーツ」と「農業への思い」から、山形を自らの政治の舞台として選んだ、ということです。
参考:この「なぜ山形?」を解説するまとめ記事も複数出ていますが、一次情報としては上の2点(来歴・本人サイト)が確度高めです。
公約・めざす政策(やさしく要約)
鈴木大臣の公式サイト「目指す未来/7つのメッセージ」から、言い回しをかみ砕いて整理します。地方の現場から日本を良くするという芯が通っています。
1) 「農は国の基本」。米づくりを守り、稼げる農業へ
- 米をはじめ日本の農産物の価値を国内外に広げる。
- 余力のある品目は輸出を伸ばし、補助金にたよらなくても続く農業に。
- 食育を進め、国民全体で農業の大切さを共有する。
2) 命と暮らしを守る、メリハリある社会保障
- 障がいのある人も安心して暮らせる社会へ。
- 医療費を減らすには健康づくりと「生涯現役」の仕組みが大切。
- 自助→共助→公助の順番を大切にし、持続可能な制度に。
3) 山形から進める再生可能エネルギー
- 木材の活用、雪室、小水力、太陽光など、地域資源をエネルギーに。
- 家庭・産業の一部を再エネでまかなう「エネルギー先進地域」をめざす。
4) まともで腰の据わった外交
- いのちと領土を守るため、毅然とした外交を。
- 日本の歴史や価値を長期目線で伝え、海外との連携で成長をはかる。
5) 県内で働き、集い、消費できる山形へ(雇用・起業)
- 中小製造業の生き残りと、起業支援を強化。
- 県民と来訪者が県内で消費を増やせる仕組みづくり。
6) 出産・子育て環境ナンバーワンの山形へ
- 子どもが生まれ育ち、また山形で家庭を持ちたいと思える地域づくり。
- 自らも父親としての経験を政策づくりにいかす。
7) 「山形の声で戦う」—中央に地域の実情をぶつける
- 大都市選出の議員や霞が関の官僚と対等に議論。
- 現場主義で、山形の声を国の政策に反映させる。
ひとことで言えば、「現場に根ざした地域起点の国づくり」。農業・エネルギー・雇用・子育てを柱に、地域から日本全体を底上げするビジョンです。
農林水産「大臣」として何をやるの?
肩書が「農水大臣」に変わると、公約を“国の政策”として具体化する責務が出てきます。就任自体は主要メディアが報じており、内閣の顔ぶれとして公式に位置づけられています。
ここから先は、上で示した方向性を、以下のような実務テーマに落とすのがポイントになります(あくまで“筋道”の整理です)。
- 米・畜産の収益性改善:生産コストの見える化、規模・協業、多角化、輸出。
- フードロス・サプライチェーン最適化:物流2024問題を踏まえた効率化・冷蔵網。
- 輸出検疫・GAP・トレーサビリティ:海外基準と整合を取りつつ支援。
- スマート農業:人手不足に対する省力化投資(ドローン、ロボット、データ)。
- 災害・気候変動への備え:高温・豪雨リスクに強い品種・圃場・水利の整備。
こうした論点は、本人が掲げる「稼げる農業」「現場主義」に直結します。
派閥はどこ?—「旧茂木派」→現在は無派閥扱い
鈴木大臣は茂木派(平成研究会)に所属していましたが、派閥は2024年末に解散。現在は「旧茂木派」または無派閥という扱いで報じられています。高市内閣の顔ぶれをまとめたニッポンドットコムでは「農林水産:鈴木憲和(旧茂木派)」と整理。ウィキペディアの表記は「茂木派→無派閥」です。
なお、平成研究会(茂木派)そのものが2024年12月27日に正式解散しています。派閥の資金問題をめぐる一連の動きの中で、党内派閥が大きく組み替わったことが背景にあります。
「なぜ山形なのか?」をもう一歩だけ深掘り
理由はシンプルに家族のルーツ(父の出身地)と、農業へのこだわりです。ただ、それだけではありません。本人サイトには「現場主義」「山形から日本を耕す」といった言葉がならびます。
- 都市部の論理だけでは地方は良くならない。
- 地方が良くならないと国全体も良くならない。
- だから、地方から稼げる仕組みをつくる。
という思想です。政治家としての原体験と、農水官僚の経験が、山形という“現場”を選ばせたとも読めます。
かんたん年表
- 2005年:農林水産省に入省。
- 2012年:農水省を退官し、父の出身地・山形へ移住。自民県連公募に合格し活動開始。
- 2012年12月:衆院選・山形2区で初当選。
- 2016年:TPP関連法の採決で退席(党議拘束に反して造反)という異色の一幕も。
- 2018年:外務大臣政務官。
- 2023年:農林水産副大臣。
- 2024年:復興副大臣。
- 2025年10月:農林水産大臣に就任。
鈴木憲和の強みとリスク(公平に)
強み
- 官僚→政治家で、制度面に強い。農水の現場を見た経験が政策設計に活きる。
- 現場主義で、山形をモデルケースにしながら全国へ展開する筋道がある。
- 輸出・食育・再エネ・雇用・子育てと、地域政策が横串でつながっている。
リスク・課題
- 米価・生産コストなど短期の価格・需給問題は、理想だけで解けない。
- 物流・人手不足は農水だけでなく国土交通・厚労など省庁横断の調整が必要。
- 派閥再編の最中で、政治資源(根回し力)の確保はこれから。
まとめ
- なぜ山形? → 父の故郷であり、農業の現場から国を立て直すという本人の原点があるから。
- 公約は? → 「稼げる農業」「食育」「再エネ」「雇用・起業」「子育て」「地域の声を中央へ」。地方から日本全体を底上げするビジョン。
- 派閥は? → 旧茂木派。派閥解散を経て、今は無派閥扱いでの起用がニュースでも整理されている。
農林水産大臣としての初仕事は、現場の課題を“稼げる仕組み”に変えることです。米や畜産の価格・コスト、輸出の規格、気候変動、担い手不足、物流の壁――どれも難しい課題ですが、山形で磨いた現場主義をどう全国に広げるか。ここが鈴木憲和という政治家の真価の問われどころになるはずです。
参考・出典(主要)
- 内閣の顔ぶれ:ロイター「高市内閣の顔ぶれ」/毎日新聞デジタル特集/テレ朝NEWS。Reuters Japan
- 基本プロフィール・就任情報:ウィキペディア該当項目(脚注は官邸・時事など)。ウィキペディア
- 公約・めざす未来:本人公式サイト(目指す未来・7つのメッセージ)。suzuki-norikazu.com
- 派閥の現状:ニッポンドットコム(「旧茂木派」表記)/平成研究会の解散(Wikipedia)。Nippon
- X(旧Twitter)プロフィール:@norikazu_0130。X


