なぜ竹中平蔵が旭日大綬章?どんな勲章?授与の理由は?

なぜ竹中平蔵が旭日大綬章?どんな勲章?授与の理由は? 国内

2025年11月3日、「秋の叙勲(あきのじょくん)」として政府から発表された受章者の中に、元総務相で経済学者の竹中平蔵(たけなか・へいぞう)さんの名前がありました。

授与されたのは、日本の勲章の中でも上位にあたる「旭日大綬章(きょくじつだいじゅしょう)」です。

ニュースを見た多くの人は、こんなふうに思ったはずです。

  • 「旭日大綬章って、そもそもどのくらいすごい勲章なの?」
  • 「なぜ竹中平蔵さんに? どんな功績(こうせき=実績)が評価されたの?」
  • 「昔の“構造改革”のイメージが強くて、正直モヤモヤする…」

この記事では、

  1. 旭日大綬章とはどんな勲章か
  2. 叙勲(勲章をあげること)は、どういう仕組みで決まるのか
  3. 竹中平蔵さんとはどんな人物で、何をしてきたのか
  4. 今回の受章理由として、公式に説明されているポイント
  5. 世間で賛否が分かれている背景

を順番に整理していきます。


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今回のニュースをざっくり整理

まずは、今回の動きをかんたんにまとめます。

  • 2025年11月3日、政府が2025年「秋の叙勲」の受章者を発表
  • 旭日章・瑞宝章など、合計3963人が受章
  • その中で、経済学者で元総務相の竹中平蔵さん(74歳)が旭日大綬章を受章
  • 政府は、「長年にわたる経済構造改革の推進と、国際経済学への貢献」などを主な理由として挙げたと報じられています

一方で、X(旧Twitter)などのSNSでは、

  • 「構造改革で生活が苦しくなったのに、なぜ勲章?」
  • 「評価すべき功績もあるが、格差を広げた面も見逃せない」

といった賛否両方の意見が一気に噴き出し、関連ワードがトレンド入りしました。

ここから先は、

  • 「勲章そのものの意味」
  • 「竹中さんが何をしてきた人なのか」

を見ていくことで、「なぜこの人に旭日大綬章なのか?」を、感情論の前に一度整理してみようというスタンスで話を進めます。


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旭日大綬章ってどんな勲章?

「旭日章」というグループの一番上

日本の勲章にはいくつかの種類がありますが、そのひとつが「旭日章(きょくじつしょう)」です。

内閣府の説明によると、旭日章は明治8年(1875年)に、日本で最初に作られた勲章で、
「社会のさまざまな分野で顕著な功績(目立つほど大きな功績)を挙げた人」に対して、男女共通で授与されるものだとされています。

旭日章にはランク(等級)があり、

  • 旭日大綬章(だいじゅしょう)
  • 旭日重光章
  • 旭日中綬章
  • 旭日小綬章 …など

と分かれています。その中で一番上に位置するのが「旭日大綬章」です。

どんな人が対象になるの?

旭日大綬章の授与基準は、閣議決定された「勲章の授与基準」によると、

  • 主に、内閣総理大臣・衆参両院議長・最高裁長官クラスの人で顕著な功績を挙げた人
  • あるいは、それに準じるクラスの人で、政治・行政・経済などで特に大きな功績を残した人

が対象とされています。

ただし実際には、

  • 元都道府県知事
  • 大企業の経営者
  • 労働組合の幹部
  • 各分野で長年活躍した著名人

などにも授与されており、「国や社会にとても大きく貢献した人に贈られる上位の勲章」というイメージでとらえるとわかりやすいです。

授与式はどこで行われる?

旭日大綬章クラスになると、皇居の「松の間(まつのま)」で行われる親授式(しんじゅしき)で、天皇陛下から直接勲章を受ける形になります。

ここまでをまとめると、

旭日大綬章=「国や公共に対して特に大きな功績を残した人」に与えられる
旭日章の中で最上位クラスの勲章

というイメージです。


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「秋の叙勲」ってどうやって決まるの?

年2回の「春の叙勲」「秋の叙勲」

日本では、毎年 春と秋の2回、政府が叙勲の受章者を発表します。

  • 春:主に「春の叙勲」
  • 秋:主に「秋の叙勲」

今回の竹中さんの受章は、2025年秋の叙勲にあたります。

どのくらいの人数が受章するの?

2025年秋の叙勲では、

  • 合計3963人が受章
    • 桐花大綬章(きりのはなおおじゅしょう):2人
    • 旭日章:935人
    • 瑞宝章:3026人

と報じられています。

竹中さんを含む旭日大綬章の受章者は、政治・行政などの分野で功績のあった一部の人たちで、その中には、

  • 前熊本県知事の蒲島郁夫さん
  • 高市早苗首相の夫で元衆院議員の山本拓さん

なども含まれています。

誰が決めているの?

叙勲は、

  1. 各省庁や関係機関が「この人を推薦したい」と候補者を出す
  2. 内閣府の賞勲局などが中心となって審査
  3. 閣議(内閣の会議)で決定
  4. 勲章は天皇陛下から親授(しんじゅ)される

という流れで決まります。

このプロセス自体は毎年行われる公的な制度であり、
「誰か一人の好みで突然決まる」というようなものではありません。


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竹中平蔵ってどんな人?

次に、「そもそも竹中平蔵ってどういう人物なの?」という点を整理します。

経済学者から政治の世界へ

Wikipediaなどによると、竹中平蔵さんは、

  • 1951年生まれ、和歌山県和歌山市出身
  • 一橋大学経済学部を卒業後、日本開発銀行・大蔵省研究所などを経て、
    大阪大学・慶應義塾大学などで経済学の研究者・教授として活動
  • その後、慶應義塾大学総合政策学部教授などを務める

という「元々は学者畑の人」です。

小泉政権の“構造改革の顔”

政治の世界では、小泉純一郎政権(2001〜2006年)の中枢で活躍しました。

主なポストは、

  • 経済財政政策担当大臣
  • 金融担当大臣
  • 郵政民営化担当大臣
  • 総務大臣

など。

特に、

  • 不良債権処理(銀行が抱えていた「返ってこなさそうなお金」の整理)
  • 郵政民営化
  • 規制緩和・構造改革

といった「痛みを伴う改革」の旗振り役として知られました。

このため、

  • 「日本経済を立て直そうとした改革派の象徴」

と評価する人もいれば、

  • 「格差や非正規雇用を広げた張本人」

と強く批判する人もいて、もともと賛否の激しい人物でもあります。


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なぜ竹中平蔵が旭日大綬章?

公式に説明されている授与理由

では、本題の「なぜ旭日大綬章なのか」です。

経済系メディアなどの報道によると、政府側の公式な説明としては、主に以下のポイントが挙げられています。

  1. 小泉政権下で、経済財政政策担当相・総務相などとして「構造改革」を推進したこと
  2. 不良債権処理や、公共事業削減など、日本経済の立て直しに関連する政策を担ったこと
  3. 経済学者として、国際的にも日本の経済政策や経済学研究に貢献してきたこと

ある報道では、政府は叙勲理由として

「長年にわたる経済構造改革の推進、および国際経済学への貢献」

といった内容を挙げているとされています。

つまり、評価されているのは「構造改革の功績」や「経済政策・研究への貢献」です。

もちろん、この「功績」をどう見るかは人によって大きく違いますが、
「政府がどういう点を評価しているのか」という意味では、

  • 政治家・大臣としての役割
  • 経済学者としての長年の活動

がセットで見られている、というイメージを持っておくと良いでしょう。


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世間の声は? 賛成と反対が割れる背景

今回の受章で特徴的なのは、世論の反応がものすごく割れていることです。

「評価する」側の声

評価・賛成の立場からは、たとえばこんな見方があります。

  • 1990年代以降、日本経済が低成長に苦しむ中で、
    「不良債権処理」「老朽化した制度の見直し」など嫌われ役の仕事を引き受けた
  • 国際的な経済学の場でも発言してきて、日本の立場を発信してきた
  • 結果がどうであれ、「何もせず現状維持」ではなく、改革にチャレンジしたこと自体は評価すべき

このように、

「痛みを伴う改革だったが、長期的には必要だった」

という文脈で、功績を重く評価する声があります。

「反対・批判」側の声

一方で、批判・反対の立場からは、こうした意見が根強くあります。

  • 労働者派遣法の改正などの影響で非正規雇用が増え、格差が拡大したとする見方
  • 公共事業削減や三位一体改革などが、地方経済や生活を苦しめたという批判
  • 「構造改革」の名のもとに、弱い立場の人にしわ寄せが行ったのではないか、という感覚

SNS上では、「竹中平蔵」「旭日大綬章」などのワードがトレンド入りし、

  • 「格差の象徴に勲章を与えるのか」
  • 「自分の生活が苦しくなった原因の一つだと思っている」

といった声も数多く見られました。

なぜここまで賛否が分かれるのか

ここまで賛否が分かれてしまう背景には、少なくとも次の3つのポイントがあると考えられます。

  1. 改革の「メリット」と「デメリット」が、違う人に違う形で現れた
    • 恩恵を受けた企業・人もいれば、ダメージを強く感じた人もいる
  2. 影響が短期ではなく「20年単位」で続いている
    • 雇用のあり方や賃金の水準など、今もなお影響が残っていると感じる人が多い
  3. 経済政策の評価は、数字だけでは決めきれない
    • 成長率・失業率だけでなく、「安心感」「将来への不安」など感情面も評価に入りやすい

そのため、「功績だ」と思うか「失敗だ」と思うかは、
自分がどの立場・どの経験から日本の2000年代以降を見てきたかで大きく変わります。


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「なぜ勲章?」を考えるための視点

ここまでの話を踏まえて、「なぜ竹中平蔵に旭日大綬章?」という疑問に向き合うとき、
次のような3つの視点を持っておくと、感情だけに流されずに考えやすくなります。

叙勲制度は「評価の物差し」が限られている

叙勲制度は、

  • 「長年の功績」
  • 「社会への貢献度」

を中心に評価する仕組みです。

そのため、

  • 「誰かの人生を苦しめた政策だったか」といった、細かい影響の分布まで
    ていねいに評価してくれる制度ではありません。

逆に言うと、

「叙勲された=その人のすべてが肯定された」

というわけではなく、
「特定の観点から見た功績が高く評価された」というサインに過ぎない、とも言えます。

同じ出来事でも「評価軸」が違うと結論も変わる

たとえば、竹中さんの構造改革を、

  • 「財政の立て直し」や
  • 「企業の競争力アップ」

という軸で見ると、プラス面が大きく見えるかもしれません。

しかし、

  • 「雇用の安定」
  • 「地方や弱い立場の人の暮らし」

という軸で見ると、マイナス面が大きく見えることもあります。

つまり、

同じ政策でも、「何を大事にするか」で評価が変わる

ということです。

勲章をきっかけに「過去の政策を学び直す」チャンス

今回の受章は、多くの人にとって

  • 「なんとなくニュースで聞いていた“構造改革”って、実際どういうことだったの?」
  • 「非正規雇用って、なぜこんなに増えたの?」

といった疑問をあらためて考え直すきっかけにもなっています。

勲章そのものに賛成か反対かは別として、

  • 「あの時期の政策が、今の生活や働き方にどう影響しているのか」
  • 「自分はどんな社会を望むのか」

を考える材料として、このニュースを使うこともできるはずです。


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まとめ

最後に、この記事のポイントを整理します。

  • 旭日大綬章は、旭日章の中で最上位クラスの勲章で、
    国家や公共に対して特に大きな功績を残した人に授与される。
  • 2025年秋の叙勲では、3963人が受章し、そのうちの一人として
    経済学者・元総務相の竹中平蔵さん(74歳)が旭日大綬章を受章した。
  • 政府が評価したとされるポイントは、
    「小泉政権下での構造改革の推進」や「国際経済学への貢献」など。
  • 竹中さんは、経済学者として大学で教え、
    その後、小泉政権で経済財政政策担当相・金融担当相・郵政民営化担当相・総務相などを歴任した人物。
  • 一方で、非正規雇用の増加や格差の拡大に関与したとの批判も強く、
    受章発表後、SNSでは賛否が激しく分かれた。
  • 勲章は、あくまで「特定の観点からの功績評価」であって、
    その人のすべてが肯定されたという意味ではない。
  • 今回のニュースは、
    「2000年代の構造改革をどう評価するか」
    「これからどんな社会をつくっていきたいのか」
    を考えるきっかけになる出来事でもある。
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