「交野市はおこめ券を配布しません」
という強いメッセージを見て、
「この市長、いったいどんな人?」
「なんで他の自治体みたいにおこめ券を配らないの?」
と気になった方も多いと思います。
この記事では、
- 山本景(やまもと けい)交野市長のプロフィールとこれまでの経歴
- 国がすすめる「おこめ券」ってそもそも何なのか
- なぜ交野市は「おこめ券を配らない」とはっきり宣言したのか
- この判断に対して、どんな見方・メリット・デメリットがあるのか
を整理していきます。
まずはニュースの全体像:何が起きているの?
今回の話のスタートは、物価高騰(ぶっかこうとう)への対策として、国が自治体に配る「重点支援地方交付金」というお金です。エネルギーや食料品の値上がりで苦しい家庭を支えるために、国が自治体にお金を配り、その使い道はある程度自治体に任されています。
その「使い道の一つ」として、政府・農林水産省がすすめているのが「おこめ券」の配布です。おこめ券は、スーパーなどでお米を買う時に使える商品券で、
- 国産米の消費を増やしたい
- 生活が厳しい世帯の食費を少しでも助けたい
という狙いがあります。
ところが2025年11月下旬、交野市の山本景市長が、自身のXで
「交野市はお米券(おこめ券)を配布しません」
とハッキリ宣言し、理由も2つ示しました。
- 経費率が10%以上と高い
- 今高い米をムリして買う必要はない
さらに翌日には、より詳しい説明として、
と数字をあげ、「同じお金を使うなら、経費のほとんどかからない給食無償化や、水道・下水道の基本料金免除に回したい」と投稿しました。
この「おこめ券配りません宣言」がニュースやSNSで大きく取り上げられ、
- 「よくぞ言ってくれた!」という支持の声
- 「農家のことをどう考えているのか」という批判の声
が一気に広がっている状況です。
交野市長・山本景ってどんな人?
まずは人物像から見ていきましょう。
出身・学歴・経歴
公式プロフィールなどをまとめると、山本景市長はこんな経歴の持ち主です。
大学時代には、IT関連のベンチャー企業「AAA!CAFE(有限会社トリプルエーコミュニケーションズ)」に携わり、サービスをライブドアに売却した経験もあります。
その後は、
- 信金中央金庫(全国の信用金庫をまとめる金融機関)で勤務
- 野村證券に転職し、課長代理まで務める
など、金融・証券の世界で働いてきました。
政治家としての歩み
政治の世界に入ったのは2011年。大阪府議会議員に初当選し、その後、交野市議会議員も務め、2022年9月の交野市長選挙で市長に就任しました。
- 2011年:大阪府議会議員(当時は大阪維新の会所属)
- 2015年:交野市議会議員
- 2022年:交野市長に当選
という流れです。
過去に話題になった「LINE問題」
山本市長の名前が、以前から全国ニュースで出ていたのを覚えている人もいるかもしれません。
2014年ごろ、大阪府議の時代に、中学生とのLINEのやり取りで威圧的なメッセージを送ったとして、「LINEで中学生を脅した」と報じられ、大きな批判を浴びました。この件で所属していた「大阪維新の会」から除団処分を受けています。
一方で、その後、自身のブログで「LINE問題の真実について」と題して、
- 教育委員会は「特に問題はない」と判断していたこと
- 選挙直前に前市長の指示で抗議が行われた経緯
などを説明し、報道への不満やBPO(放送倫理・番組向上機構)への申し立てについても書いています。
このように、山本市長は
- 強い言い方・踏み込んだ発信をする
- そのぶん批判も集めやすい
というスタイルの政治家と言えるでしょう。
「おこめ券」ってそもそも何?どんな仕組み?
ここで、今回の中心テーマである「おこめ券」についても簡単に整理しておきます。
おこめ券の役割
おこめ券は、スーパーや米屋さんなどでお米を買う時に使える商品券です。
- 発行しているのはJA全農や米穀販売団体など
- 額面は1枚あたり数百円~1,000円程度
- 利用できるお店は全国にあり、使い勝手はそれなりに良い
という特徴があります。
物価高で食費が上がる中、
- 市民の家計を少し支える
- 国産米の消費を促す
という二つの目的を同時にねらえる策として、国が自治体に活用を呼びかけています。
「経費率」がなぜ問題になるのか
今回、山本市長が一番問題視しているのが「経費率(けいひりつ)」です。
経費率とは、ざっくり言うと「1万円配るのに、どれくらい事務コストがかかるか」を割合で表したもの。例えば、
- 1万円分のおこめ券を市民に配る
- そのために、券の発行手数料・印刷代・郵送費・事務作業の費用で、2,000円かかった
とすると、経費率は「2,000円 ÷ 10,000円 = 20%」です。
山本市長は、Xで
- おこめ券自体の手数料などで「約12%」
- 郵送などの事務手数料で「約8%」
- 合計で「経費率約20%」
という試算を示し、「これだけコストがかかるのはムダが多い」と主張しています。
なぜ「おこめ券を配らない」と言ったのか?市長の主な理由
では、山本景市長本人は、どういう考えで「配らない」と決めたのでしょうか。
Xの投稿やニュース報道から、ポイントを整理してみます。
理由① 経費率が高すぎる
一番わかりやすい理由がこれです。
「経費率が10%以上と高い」
「おこめ券 経費率12%、郵送等で約8%、合わせて約20%」
という説明をしています。
市長のロジックをかんたんに言い換えると、
- 交野市には物価高対策として、約5億円の国の交付金が入る
- もしこれをおこめ券で配ると、最大で約1億円近くが“経費”で消えてしまう可能性がある
- だったら、その1億円も含めて、全部市民の支援に直接回したい
という考え方です。
理由② 「今、高いお米をムリして買う必要はない」
二つ目の理由として、市長は
「今高い米をムリして買う必要はない」
とも書いています。
これは少し説明が必要なポイントです。
- おこめ券は「お米」を買うための券
- でも今は、お米の価格も上がっている
- 生活が苦しい家庭にとっては、「お米だけ」ではなく、電気・ガス・その他の食費など、色んな出費が重くのしかかっている
そういう中で、「お米を買うこと」に支援を限定するよりも、
- 学校給食を無償にして、家庭の食費をまるごと下げる
- 水道・下水道の基本料金を免除して、毎月の固定費を軽くする
といった形で、「生活全体」を支えるほうが良いのではないか、という発想だと考えられます。
理由③ 「経費率0%の給食無償化」などに使いたい
市長は、同じ投稿の中で、
「経費率0%の給食無償化」
「経費率1%の上水道・下水道基本料金免除」
という言い方もしています。
ここで言う「経費率0%」というのは、もちろん完全にゼロという意味ではなく、
- すでにある制度(学校給食、水道料金)の「料金を下げる・免除する」だけなので
- 新しく券を印刷したり、郵送したりする必要がほとんどない
- つまり、事務コストがかなり小さくて済む
というイメージです。
例えば、
- 給食無償化にすれば、児童・生徒のいる家庭は、毎月の給食費がそのまま浮く
- 水道・下水道の基本料金免除にすれば、全市民(事業者を含めるかは設計次第)が、毎月の固定費が下がる
という効果があり、「誰にどう届くのか」が比較的わかりやすい支援です。
理由④ 「農林水産大臣には意地でも屈しません」
今回、ニュースで特に目立ったフレーズがこれです。
「農林水産大臣には意地でも屈しません」
という、かなり強めの発言。
背景としては、
- 農林水産大臣が会見で、「おこめ券を使うか使わないかは自治体の自由」と発言
- これに対して、山本市長が「では、交野市は配りません」と応じた形
になっており、「国が示した方向性に、自治体として独自の判断をした」という、ある意味で“ケンカを買った”ような構図になっています。
ここは、
- 「国に言われたから何となく従う」のではなく
- 「数字を見て、市民にとってベストだと思う選択をする」
という、山本市長らしい“強気のスタイル”が出ている部分だと言えるでしょう。
おこめ券を配らない判断の「メリット」と「デメリット」
では、この判断は“良い”のか“悪い”のか。
これは、立場によって見方が変わる部分なので、ここではメリット・デメリットを整理しておきます。
(どちらが正しい、と誘導する意図はありません)
メリットとして考えられる点
① 実際に市民の手元に残るお金が増える可能性
- おこめ券方式:経費率が高く、交付金の一部が事務コストで消える
- 給食無償化・水道料金免除:経費が少ないぶん、より多くの金額を「実質的な支援」に回せる
という意味で、「同じ5億円でも、市民の負担減は大きくなるのでは」という見方ができます。
② 支援の対象が広く、使い道が自由
- 給食無償化なら「子どものいる家庭」が確実に助かる
- 水道・下水道の基本料金免除なら、ほぼ全ての世帯・事業者が恩恵を受ける
というように、特定の商品だけでなく、生活全体を支える方向の支援になります。
③ 行政の事務負担が比較的少ない
- 新しい券を発行・郵送するより
- 既存の料金を「何か月分、いくら免除する」と決めてシステムに反映するほうが、事務としてはシンプル
その分、職員の負担も減り、他の業務に時間を使えるという利点も考えられます。
デメリットとして指摘される点
一方で、批判や懸念として出ているのは、例えばこんな点です。
① 米農家・米関連業界への支援という意味では弱くなる
おこめ券は、国産米の消費を増やす“業界支援”の側面もあります。
- 国の交付金でおこめ券を配れば、「米の需要」が直接増える
- その分、農家や米に関わる団体の売上アップが期待できる
一方で、給食無償化や水道料金免除は、「家計支援」にはなりますが、必ずしも米の消費を増やす施策ではありません。
② 「お米だけを助ける施策」のほうがありがたい家庭もある
- お米をたくさん食べる大家族
- パンや外食が多く、お米をあまり買わない家庭
など、家庭のスタイルによって「ありがたい支援」は違います。
「おこめ券が一番うれしい」という人もいれば、「水道料金が下がるほうが助かる」という人もいるでしょう。どちらが“絶対的に正しい”とは言いにくい部分です。
③ 言い方が強すぎて、反発を招いている
「農林水産大臣には意地でも屈しません」という表現は、インパクトがある一方で、
- 「ケンカ腰すぎる」
- 「農家や農業団体を敵に回しているように見える」
と受け取る人もいます。発信スタイルの問題ですが、ここも賛否が分かれるポイントです。
山本景という人物像:数字と対立を恐れない市長?
ここまでをざっくりまとめると、山本景市長は
- 経済・金融のバックグラウンドを持った政治家で
- 数字(経費率や予算配分)にかなりこだわるタイプ
- SNSでハッキリものを言い、時に対立もいとわない
という人物像が浮かび上がってきます。
過去にはLINE問題で大きな批判を受けた一方、本人はブログや会見で「報道のされ方は一方的だった」と反論してきました。
今回のおこめ券問題でも、
- 国が用意した仕組みの“ムダ”だと感じる部分を、はっきり数字付きで指摘
- 「市民のために、おこめ券は配らない」と明言
- 「農林水産大臣には屈しない」とまで言い切る
というスタンスを取っています。
もちろん、このやり方に賛成か反対かは、人によって大きく分かれるでしょう。
- 家計への実利を重視して「よく言った」と感じる人
- 農業への配慮や国との連携を重視して「やり方が乱暴だ」と感じる人
どちらの見方にも、それぞれ理由があります。
「交野市長・おこめ券問題」をどう受け止めるか
最後に、この記事のテーマである
「交野市長・山本景ってどんな人?」
「なぜおこめ券を配らないの?」
という問いに、あらためて答えてみると、
- どんな人?
- 生まれも育ちも交野市
- 経済学専攻&金融・証券出身の“数字に強い”タイプの市長
- 過去のLINE問題など、賛否を呼ぶ行動歴もある
- SNSで強い言葉を使い、対立も恐れずに自分の考えを打ち出すスタイル
- なぜおこめ券を配らないの?
- 経費率が高く、「5億円のうち最大約1億円が事務コストで消える」と判断したから
- お米だけでなく、「給食無償化」や「水道・下水道基本料金免除」という、より広く生活を支える施策を優先したいから
- 「国に言われたから」ではなく、「市民のためにこう使う」という意思表示をしたかったから
と言えるでしょう。
さいごに
今回の「おこめ券を配布しません」宣言は、単なる一つのニュースにとどまらず、
- 「税金や交付金を、誰のために、どんな形で使うのが一番いいのか?」
- 「国と自治体の関係は、どうあるべきか?」
- 「政治家は、どこまでハッキリ物を言うべきか?」
といった、もっと大きなテーマにもつながる話題です。
この記事では、できるだけ感情的な評価をいったん横に置き、
- 事実として何が起きているのか
- 市長本人はどう説明しているのか
- そこからどんなメリット・デメリットが見えるのか
を整理してきました。
この先、
- 交野市が実際にどんな物価高対策を実行するのか
- それが市民の生活にどう影響するのか
- 他の自治体や国の政策議論にどんな波及があるのか
も含めて、ニュースを追いながら、自分なりの答えを考えていきたいテーマだと思います。
「おこめ券を配らない」という一見シンプルな判断の裏側には、
これだけ多くの数字・価値観・政治のスタイルが絡んでいる――
そういう意味でも、山本景市長は“賛否はあっても目が離せない”タイプの政治家だと言えるかもしれません。






