「ポッキーに“香辛料のニオイ”がついたので、約600万個を自主回収します」
こんなニュースを見て、
- 「え、香辛料ってカレー粉のこと?」
- 「そもそも香辛料って何のことを言うの?」
- 「スパイスと何が違うの?ハーブはまた別物?」
と、もやっとした人も多いと思います。
この記事では、
- そもそも「香辛料」とは何か
- 「スパイス」との関係
- 「ハーブ」とは何が違うのか
- 今回のポッキー回収と香辛料の関係
を整理していきます。
ニュースで出てきた「香辛料のニオイ」とは?
まず、今回のニュースをざっくりおさらいしておきます。
江崎グリコは、ポッキーチョコレートやポッキー極細などを含むチョコレート製品20品目、約600万個を自主回収すると発表しました。
理由は、
カカオ豆と香辛料を同じ倉庫で保管していたため、香辛料の香りがカカオ豆に移ってしまった
からです。
- 「冬のくちどけポッキーの味がいつもと違う」
- 「スパイシーな香りがする」
といった声がきっかけで調査し、原因が分かったとのことです。
会社は「安全性には問題ないが、本来の風味と違うので回収する」と説明しています。
ここで、多くの人が思ったのが、
「ところで、その“香辛料”って具体的に何?」
という素朴なギモンです。
そもそも「香辛料」とは何か?
まずは「香辛料」という言葉そのものから見てみましょう。
辞書的な意味
食品の世界では、香辛料はだいたいこんなふうに説明されています。
- 植物の一部(実・種・葉・茎・根・皮など)で
- 特有の香りや辛さ、色を持ち
- 料理に香りをつけたり、辛味を足したり、色を付けたり、臭みを消したりして
- 食欲をわかせたり、風味をよくしてくれるものの総称
というイメージです。
もう少しやさしく言うと、
「ちょっと入れるだけで、料理の香り・辛さ・色をガラッと変えてくれる植物たち」
これが香辛料です。
代表的な香辛料の例
例えば、こんなものが香辛料です。
- コショウ
- 唐辛子
- シナモン
- ナツメグ
- クローブ
- クミン
- コリアンダー
- ジンジャー(しょうが)
- にんにく
- ゴマ など
料理をする人からすればおなじみですが、
- 「全部まとめてなんて呼ぶの?」
→ それが「香辛料」 - 「海外では何て言うの?」
→ 英語だと “spice(スパイス)”
という関係になります。
実は「香辛料」と「スパイス」はほぼ同じ
ここで出てくるのが、「スパイス」との関係です。
日本語としての「香辛料」と英語の “spice”
英語の “spice” は、日本語にすると
「香辛料」あるいは「香味料」 と訳されます。
つまり、
- 香辛料 = 日本語の言い方
- スパイス = 英語から来たカタカナ語
というだけで、日常会話ではほとんど同じ意味で使われています。
「今日はスパイスカレー作ろう!」と言ったときのスパイスは、日本語で言えば「香辛料」のことですし、
「香辛料が効いた料理」といえば、「スパイスが効いている」とほぼ同じ意味で伝わります。
業界的な細かい区別(ちょっとマニアック)
一方で、スパイス業界では、もう少し細かい定義を使うこともあります。
- 香辛料:植物の一部で、香り・辛味・色を持ち、スパイスとハーブを含む広い総称
- スパイス:香辛料のうち、茎・葉・花を除いた部分(実・種・根・樹皮など)を使うもの
- ハーブ:香辛料のうち、茎・葉・花を使うもの
といった分け方です。
例えば、
- コショウ → スパイス
- クミン → スパイス
- 唐辛子 → スパイス
- バジル → ハーブ
- パセリ → ハーブ
という感じです。
ただし、これもあくまで「一つの考え方」であって、
世の中全体で厳密に統一されているわけではありません。
家庭料理レベルでは、
「香辛料=スパイスみたいなもの」
くらいの理解で、まったく問題ありません。
「ハーブ」はちょっと雰囲気が違う?
では、「ハーブ」はどうでしょうか。
ハーブは「香りのよい植物」の総称
ハーブという言葉は、
「人の生活に役立つ香りのよい植物」
という、わりと広い意味で使われています。
- 食用(料理に使う)
- 飲み物(ハーブティー)
- アロマ・香り
- 薬草的な使い方
など、用途はいろいろです。
料理に使うハーブとしては、
- バジル
- ミント
- ローズマリー
- タイム
- オレガノ
- パセリ
といったものが有名ですね。
料理の中では「ハーブも香辛料の一種」
さきほどの業界的な考え方を使うと、
- 香辛料
- スパイス(実・種・根・樹皮など)
- ハーブ(葉・茎・花)
という関係になります。
つまり、料理の世界では、
「ハーブ」も「スパイス」も、ひっくるめて「香辛料」
と考えてOKです。
感覚的には、
- ガツン!と香りと辛さでパンチを出したい → スパイス
- ふわっと爽やかな香りを足したい → ハーブ
と使い分けている感じですね。
ポッキー回収の「香辛料」は、どんなイメージ?
では、今回のポッキーのニュースに戻ります。
ニュースでは、
カカオ豆と一緒に保管されていた香辛料の香りがカカオ豆に移った
と説明されています。
ここでイメージしてほしいのは、
- カレー用のスパイス
- コショウやクローブなどの強い香りのスパイス
などが近くにあった倉庫に、
カカオ豆が一緒に置かれていた、という状況です。
香りは、意外と「空気中で移動する」
スパイスの香り成分は、とても軽くて、
空気中にふわっと広がりやすい性質があります。
- スパイスを入れた瓶のフタを開けただけで、部屋に香りが広がる
- カレーを作った翌日も、まだ部屋がカレーの匂い…
というのは、まさに香り成分が空気中を漂っている例です。
この香り成分がカカオ豆に移ってしまうと、
「チョコなのに、なんかスパイシーな香りがする…」
という、ちょっと不思議な味になってしまいます。
味は変わるけれど、安全性は別問題
今回の自主回収では、
- 本来のポッキーらしい風味ではない
- チョコ菓子にはふさわしくない香りになってしまった
という「品質」の問題がありましたが、
健康被害は報告されておらず、安全性には問題ないとされています。
つまり、
「香辛料は“危険だから”ではなく、“ポッキーのイメージと合わない香りがついてしまったから”回収になった」
ということですね。
香辛料・スパイス・ハーブの違いを一言でまとめると?
ここまでの話を、シンプルに整理してみましょう。
一言まとめ
- 香辛料
→ 香りや辛さ、色で料理の味を変える「植物の総称」 - スパイス
→ 香辛料のうち、実・種・根・樹皮などを使うもの(カレーに入れる系) - ハーブ
→ 香辛料のうち、葉・茎・花を使うもの(バジルやパセリなど)
ただし、日常会話では、
- 香辛料 ≒ スパイス
- ハーブは、香辛料グループの中の「爽やか系担当」
くらいの理解で十分です。
実生活でのイメージ
- カレー屋さんの前を通ったら「おおっ」となる香り → スパイスの力
- ピザの上に乗ったバジルの爽やかな香り → ハーブの力
- ラーメンにコショウをちょい足し → 香辛料の代表例
そして今回のポッキーでは、
「スパイスの香り(香辛料の香り)が、チョコレート側にまで出張してきた」
という、ちょっとレアなケースだったわけです。
日常で「香辛料」をどう楽しむか
せっかくなので、ニュースを見るだけで終わらせず、
私たちの食卓でも「香辛料」をうまく楽しみたいところです。
いつもの料理に「ひと振り」してみる
例えば、
- 目玉焼き → 塩コショウだけでなく、ブラックペッパー多めにしてみる
- 野菜炒め → しょうゆ+コショウ+少しのガーリックパウダー
- 冷凍ポテト → 塩+パプリカパウダー+ちょっとのクミン
これだけでも、味の印象がガラッと変わります。
「いつもの味にちょっと飽きたな…」というときこそ、 香辛料の出番です。
ハーブで「香りの衣替え」をする
- グリルチキン → 塩コショウ+ローズマリー
- トマトスープ → 塩コショウ+バジル
- 白身魚のソテー → 塩+ディル
など、ハーブを少し加えるだけで、
なんとなく「お店っぽい味」になります。
ポッキー事件からの教訓(?)
今回のニュースから学べることは、意外とシンプルです。
香辛料の香りは、とても強くて、移りやすい。
だからこそ、
- スパイス類とお菓子を同じ箱で保管しない
- 匂いが強い食材のそばに、香りを吸いやすい食材(パン・お菓子・お茶など)を置かない
といった小さな工夫も、
家庭レベルではけっこう大事だったりします。
まとめ
最後に、この記事のポイントをもう一度まとめます。
ニュースをきっかけに「香辛料って何だろう?」と気になった人は、
今日の晩ごはんで、ぜひ何か一つスパイスかハーブを試してみてください。
…ただし、ポッキーにカレー粉をふりかけて「これは新しい!」と自作実験するのはおすすめしません。
下手をすると、グリコより先に、自分の家でポッキーを自主回収するハメになりますからね。



