「戸塚駅前鈴木眼科」が突然閉院したニュースを見て、ドキッとした方も多いと思います。
とくに、白内障や老眼の手術代を前払いしていた人にとっては、「お金はどうなるの?」「手術はどこで受ければいいの?」と不安だらけですよね。
この記事では、
- そもそも何が起きたのか
- 前払いした手術代は返金される可能性があるのか
- いま患者ができる現実的な行動
- 今後、同じトラブルに巻き込まれないためのポイント
を、順番に整理していきます。
※この記事はニュース報道や公表情報をもとにした一般的な解説です。
具体的な返金の可否や手続きは、最終的には弁護士や公的相談窓口に確認する必要がある点だけ、最初におさえておいてください。
戸塚駅前鈴木眼科で何が起きたのか?ざっくり整理
年末まで普通に診療 → 大みそかで突然閉院
報道によると、「戸塚駅前鈴木眼科」は横浜市戸塚区・トツカーナモール内にあり、白内障や老眼の手術などを行っていた眼科クリニックです。
- 2025年12月31日付で閉院
- 入口には「12月31日をもちまして閉院いたします」といった張り紙
- 多くの患者には、事前に閉院の連絡がされていなかったと報じられています
「年末まで予約を受け付けていたのに、年明けに行ってみたら閉院の貼り紙だけ…」
という証言もあり、SNSでも大きな話題になりました。
手術代を前払いしていた患者が多数
この眼科では、老眼や白内障の手術について高額な費用を前払いしていた患者が少なくありません。
- 100万円近く
- 98万円
- 174万円
といった金額を前払いしていたケースがニュースで紹介されています。
しかし、実際には手術が行われる前にクリニックが閉院してしまったため、
「手術もしていないのに、お金だけ払ったまま」
という状態になっている人がいるわけです。
運営法人は「事業停止」し、弁護士に一任
クリニックを運営していたのは、医療法人メビアという法人です。
企業信用調査会社の情報では、メビアは2025年12月31日に事業を停止し、事後処理を弁護士に一任したとされています。
- 負債総額は約18億円
- 以前から赤字体質で、債務超過状態だった
という情報も公表されています。
つまり、
「会社として資金繰りが持たず、事業を止め、あとは弁護士に任せる段階に入った」
というイメージに近い状況です。
返金はどうなりそう? いまわかっていること
いまのところ「返金されていない」という報道が多い
ニュースやSNSで紹介されている患者の声を見ると、
- 「白内障の手術代として約98万円を前払いしていたが、現時点では返金されていない」
- 「弁護士名義の書面で『費用の返還は困難な状況』といった内容が届いた」
といったケースが報じられています。
つまり、
2026年1月9日時点では、「自動的に全額返金されている」という状況にはなっていない
と見てよさそうです。
横浜市も把握しており、弁護士に確認中
横浜市は、この件についてすでに多くの相談を受けています。
- 2026年1月5日時点で、市への相談は16件
- 内容は「前払いした治療費をどうすればいいか」「治療をどこで続ければいいか」など
山中市長は会見で、
「医療機関側の弁護士に、手続き方法や今後の進め方、時期の目安などを確認している」
と話しており、市としても状況を注視しつつ対応を検討している段階です。
運営法人は「多額の負債」を抱えている
先ほどの信用調査会社の情報によると、メビアは
- 負債約18億円
- 債務超過(持っている財産より借金が多い状態)
となっていました。
このような状況だと、
会社の資産を整理しても、すべての債権者(お金を返してほしい人)に全額を返せない可能性が高い
というのが現実的な見立てになります。
返金は「絶対にされる」とは言えないのが現状
ここまでの情報をまとめると、
- 患者側には「手術を受けていないのに、お金を払っている」という 返金を求める権利 がある
- しかし、法人側は多額の負債を抱え、弁護士が事後処理をしている段階
- 一部の患者には「返還は困難」という趣旨の文書も届いている
という状況です。
そのため、少し冷たい言い方にはなりますが、
「必ず全額返金される」とは言えない状況
= 法人の財産状況や、今後の法的手続き(破産手続きなど)の内容によって変わる
と考えるのが、現実的です。
法律的にはどういう話になるの?(ざっくり)
ここからは、法律の話を超ざっくり説明します。
細かいところは専門家に任せるとして、「大筋」をつかむイメージで読んでください。
手術を受けてないのに払ったお金 → 「返して」と言える立場
本来、
- 「手術をしてもらう」
- 「その対価としてお金を払う」
というのが、患者とクリニックの契約です。
ところが、今回は
- 手術が実行されていない
- クリニックの都合で閉院した
という形なので、民法上は
「サービス(手術)が提供されていないのに、代金だけ受け取っている状態」
となり、患者側は「お金を返してほしい」と主張できる立場です。
ただし「お金がない法人」からは取りにくい
とはいえ、いくら「返して」と言っても、相手側にお金が残っていなければ返ってきません。
- すでに設備投資や広告費、家賃などに使われてしまっている
- 銀行や他の業者への借金が山ほどある
といった状況だと、
「法律上の権利はあるけれど、実際に回収できるかは別問題」
という、非常にやっかいな話になります。
破産手続きなどに入った場合は、
- 法人の財産をまとめてお金に変える
- 税金・従業員の給料など、優先度の高いものから払っていく
- 残った分を、他の債権者の間で分け合う
という流れになることが多く、患者の前払金が「全額戻る」とは限りません。
「計画倒産では?」という声もあるが、断定はできない
一部のコラムなどでは、
「年末まで予約と前払いを集めておいて、そのまま大みそかで閉院したのは、いわゆる計画倒産パターンではないか」
という強い批判も出ています。
ただし、これはあくまで外部からの見方・意見であって、
- 裁判所や公的機関が「計画倒産だ」と公式に認定したわけではない
- 内部の資金の流れや決算の実態など、詳細はまだ一般には出ていない
という点は注意が必要です。
ブログやSNSで発信する場合も、
「〇〇だと断定する」のではなく、
「こうした指摘や報道もある」という レベル感で触れる
くらいにとどめておくほうが安全です。
もし自分が前払いしていたら、今すぐできること
では、実際にお金を払ってしまった人は、何をすべきか?
ここが一番知りたいところだと思います。
ここからは、一般的に考えられる「現実的な行動」を整理します。
※ケースによって事情が違うので、
「全部やる必要がある」というよりは、
自分の状況に近いものから優先順位をつけて動くイメージで読んでください。
まず「証拠」を手元でしっかり確保する
どんな相談をするにしても、「本当に支払ったのか」という証拠が重要です。
できるだけ、次のようなものを一か所にまとめておきましょう。
- 領収書、レシート
- 診療明細書
- 手術の見積書、説明資料
- 予約票、手紙、メールやLINEのやりとり
- クレジットカードの明細書(カード払いの場合)
スマホで写真を撮っておくのもおすすめです。
公式に公表されている「弁護士の連絡先」を確認
トツカーナモールの公式サイトでは、
運営法人メビアが事業を停止し、事後処理を鶴田進弁護士(土屋総合法律事務所)が担当していることが案内されています。電話番号(03-3567-6101)も記載されています。
- すぐにつながるかどうかは別として、
「公式に公表されている唯一の窓口」なので、メモしておきましょう。
将来的に、債権届出(「私はいくらの返金を求める債権者です」という申告)が必要になる可能性もあります。
横浜市の相談窓口に相談する
横浜市には、医療機関とのトラブルを相談できる窓口があります。
- 横浜市 医療安全相談窓口(横浜市医療安全支援センター)
電話番号などは市の公式サイトや案内、SNSなどで周知されています。
ここでは、
- 治療の継続先をどう探すか
- カルテをどうやって取り戻すか(または情報をどう引き継ぐか)
- 返金について、どこに相談すべきか
といったことを行政の立場からアドバイスしてもらえます。
消費生活センターに相談する
医療機関とのお金のトラブルは、「消費者トラブル」として扱われることも多いです。
- 各自治体の消費生活センター
- 「消費者ホットライン 188(いやや!で覚える番号)」
などに相談すれば、
- どういう点を主張すべきか
- 内容証明を出すべきか
- クレジットカード会社への相談余地はあるか
といったことを、具体的に教えてもらえる可能性があります。
クレジットカード払いなら「カード会社」にも相談
もし前払いをクレジットカードで支払っている場合は、
- 「サービス(手術)が提供されていない」
- 「事業者と連絡がつかない」
という事情を説明して、カード会社に相談してみる価値があります。
- 「チャージバック」(支払い取消)
- 「抗弁権の接続」(分割・リボ払い等の場合の支払いストップ)
といった制度が使えるかどうかはケースによりますが、早めに相談したほうが選択肢が広がることは確かです。
弁護士への相談も検討する
金額が100万円前後〜それ以上になる場合は、
やはり弁護士に一度相談するのが安心です。
- 法テラス(収入要件を満たせば、無料相談や費用立替制度あり)
- 地元の弁護士会の法律相談
を活用すれば、いきなり高額な費用がかかるわけではありません。
弁護士に相談すると、
- いま相手側がどういう法的手続きに入っているのか
- こちらとして「何を・いつまでに」しておく必要があるか
- 個別に訴訟をする意味があるかどうか
といった、専門的かつ現実的な見通しを聞くことができます。
手術自体はどうすればいい?「目の治療の継続」について
お金の問題ももちろん重大ですが、
「視力のこと」「白内障・老眼の進行」など、健康面の不安も大きいですよね。
まずは別の眼科で「現状チェック」
閉院したクリニックではもう診てもらえないので、
- 自宅近く
- 通いやすい場所
で、信頼できそうな眼科を探し、
「戸塚駅前鈴木眼科に通っていたが、閉院してしまった」
という事情を説明して、現状を診てもらうのが第一歩です。
カルテが手元にない場合でも、とりあえず受診を
ニュースでも、患者さんから
「カルテを返してほしい」という声が出ている
と報じられています。
たしかにカルテがあるとベストですが、
なくても
- 現在の視力
- 白内障や老眼の進行度
- これまで言われていた診断内容(覚えている範囲でOK)
などを伝えれば、新しい医師があらためて検査・診断をしてくれます。
「急を要する症状」がある場合は、迷わず早めに受診
例えば、
- 視界が急にかすむ
- 片目だけ見えにくくなった
- 光が異様にまぶしい
- 黒い点や光が増えた感じがする
といった症状がある場合は、
お金のことよりも先に、早めの受診が最優先です。
健康を守ることが、結果的に一番大事な「資産」になります。
今回の件から学べること:前払い医療のリスクと付き合い方
最後に、今後のために、今回の出来事から学べそうなポイントをまとめます。
「高額前払い+自由診療」にはリスクがある
今回のような老眼・白内障の手術の一部は、自由診療(保険外)のケースもあります。
自由診療は、
- 最先端の治療を受けられる
- 病院や医師の裁量でメニューが決まりやすい
というメリットがある一方で、
- 費用が高額になりがち
- 全額前払いを求められることもある
- 経営がうまくいかなくなると、患者側のリスクが大きい
というデメリットもあります。
「期間限定割引」「モニター価格」には慎重に
一部の解説記事では、今回のケースについて
「期間限定割引などで前払いを促していたのではないか」
といった指摘もされています。
もちろん、
「割引=悪」ではありません。
ですが、
- 本来は早く検討すべき病気なのに「今日決めれば安くなりますよ」と急かされる
- カウンセリングがやけに“営業トーク寄り”に感じる
といった場合は、一度クールダウンして、
- その場で契約せず、一晩考える
- 家族や信頼できる人に相談する
- 別の医師の意見(セカンドオピニオン)も聞く
など、一歩引いた判断をしたほうが安心です。
「払ったあと」も、明細や契約書はなくさない
医療に限らずですが、
- 高額な前払いをした
- 分割払いの契約を結んだ
といった場合、
「領収書や契約書は、最低でも数年間は保管しておく」
という習慣をつけておくと、
万が一のときに自分を守る力になります。
まとめ:返金は「不透明」だが、できることはある
ここまでの内容を、最後にもう一度ぎゅっと整理します。
そのうえで、患者側が今できることとしては、
- 支払いの証拠(領収書・明細など)をきちんと保管
- 公表されている弁護士窓口の情報をメモし、今後の案内に備える
- 横浜市の医療安全相談窓口や消費生活センターに相談
- クレジットカード払いなら、カード会社に相談
- 金額が大きい場合は、弁護士への法律相談も検討
- 健康面は別の眼科でしっかりフォローしてもらう
といったステップが考えられます。
「返金されるのか?」という問いに対して、
今の時点では、
「法律上の権利はあるが、現実にどこまで回収できるかは、法人の資産状況や今後の手続き次第」
という、どうしても歯切れの悪い答えになってしまいます。
それでも、
- 行動しなければ、戻るものも戻らない
- 証拠をそろえ、相談窓口を活用し、健康面のフォローも同時に進める
というスタンスで、「できることを一つずつ」進めていくことが大切です。
この問題は、決して他人事ではありません。
私たち一人ひとりが「高額な前払い医療」とどう付き合うかを考える、きっかけにもなりそうです。

