2026年1月末、フィギュアスケート男子シングルの三浦佳生選手が、自身のX(旧Twitter)で「誹謗中傷はやめてほしい」と強いメッセージを出しました。
四大陸選手権で優勝した直後というタイミングだったこともあり、この投稿は多くのファンやメディアに取り上げられています。
この記事では、
- 何があって、なぜ三浦選手が声を上げたのか
- Xの投稿にはどんな内容が書かれていたのか
- 「スケートと関係ない部分の誹謗中傷」とはどういうことなのか
- 私たち一人ひとりに、何ができるのか
を解説していきます。
出来事のざっくりした流れ
まずは、今回の流れを簡単に整理しておきます。
- 三浦佳生選手は、中国・北京で行われた四大陸フィギュアスケート選手権で優勝
- そのあと、2026年1月27日にXを更新
- 感謝の言葉とともに、「スケートとは関係のない部分を誹謗中傷するのはやめてほしい」と投稿
- 「傷つく人もいる」と、他の選手や人たちのことも思いやるメッセージを発信
スポーツメディアのTHE ANSWERなどが、この投稿の内容を詳しく紹介し、多くのニュースサイトでも「誹謗中傷への訴え」として取り上げられました。
また、三浦選手はこの大会で合計273.73点を出し、3年ぶり2度目の四大陸選手権優勝。今後は、2026年のミラノ・コルティナ冬季五輪に臨む重要な時期でもあります。
そんな「これからが本番」というタイミングでの悲痛な訴えだった、という点も押さえておきたいところです。
Xの投稿には何が書かれていたの?
ニュース記事などをもとに、投稿の内容をかみ砕いてまとめると、だいたい次のようなことが書かれていました。
まずは大会への感謝
- 四大陸選手権での応援への「ありがとう」という感謝
- 「次の大きな試合に向けて、いい課題が見つかった」と前向きな振り返り
- 「短い期間だけど集中して頑張りたい」と今後への決意
優勝したあとでも「もっと良くなりたい」と思っている姿が伝わる、明るいメッセージでした。
そこから話題が「誹謗中傷」へ
そのあと、話題が少し変わり、こんな主旨のことが書かれていました(要約です)。
ポイントはここですね。
「演技の内容や点数への意見」ではなく、「スケートと関係ない部分」を攻撃してくる人がいる、ということです。
「自分だけの問題じゃない」と伝えている
さらに三浦選手は、おおよそ次のようなことも書いています。
- こういった誹謗中傷をする人は、おそらく自分以外の人にも同じようなことをしているのでは
- そういうコメントで「傷つく人もいる」
つまり、
「自分がイヤだから言っている」だけではなく
「同じような被害にあう人をこれ以上出したくない」
という思いが込められているわけです。
最後は、
- 話がそれてしまってごめんなさい
- 次のオリンピックに向けてベストな演技ができるよう頑張る
- 応援よろしくお願いします
という言葉で締めくくられていました。
「スケートと関係ない部分の誹謗中傷」って、どういうこと?
では、「スケートと関係ない部分」とは、具体的に何を指しているのでしょうか。
ここはとても大事なポイントなので、先にハッキリ書いておきます。
三浦選手が、どんな言葉を受け取ったのか、具体的な内容は公表されていません。
この記事でも、誰かを特定したり、「こんな悪口があった」と断定することはしません。
そのうえで、「一般的にスポーツ選手や有名人が言われがちな、スケートと関係ない誹謗中傷」の例を挙げてみます。
よくある「スケートと関係ない」攻撃の例(あくまで一般論)
- 見た目に対する悪口
髪型・顔・体型・服装などをバカにする - 性格への決めつけ
「性格が悪そう」「〇〇な人に見える」など根拠のないレッテル貼り - 家族や出身への中傷
親や家族、出身地を持ち出して攻撃する - 私生活への勝手な想像・噂話
根拠のないゴシップや、プライベートに踏み込んだ憶測
こうしたものは、「点数への不満」や「演技への技術的な意見」ではありません。
人としての尊厳そのものを傷つける行為です。
おそらく三浦選手も、こうした「スケートと直接関係のない部分」で、心ない言葉を浴びせられてしまったのでしょう。
なぜ誹謗中傷が起きてしまうのか?
「そんなことをする人なんて、一部の変な人だけでしょ」と思いたくなりますが、残念ながら問題はかなり根深いと言われています。
勝ち負けへの感情が、選手個人への攻撃にすり替わる
今回の四大陸選手権は、わずかな点差で順位が決まったこともあり、「もっとこうあるべきだった」という議論がSNS上で盛り上がったようです。
フィギュアスケートは採点競技なので、
- 「自分の推し選手が負けた」
- 「得点に納得いかない」
というモヤモヤが生まれやすい競技です。
本来であれば、
「採点基準が分かりづらいよね」
「このジャンプは加点がついてもおかしくないのでは?」
といった「ルールや採点への意見」で止まるべきところが、いつのまにか
「あの選手が嫌い」
「〇〇だから優遇されているに違いない」
と、選手個人への攻撃にすり替わってしまうことがあります。
SNSの「顔が見えない距離感」
XのようなSNSでは、
- 匿名で書ける
- 相手の表情や声のトーンが分からない
- その場の空気に流されやすい
といった特徴があります。
そのため、
- 面と向かっては絶対に言わないようなきつい言葉
- 冗談のつもりでも、相手には刃物のように刺さる表現
が、簡単に飛び交ってしまうのです。
「みんな言ってるから自分も」の危険性
さらに怖いのは、
「自分一人くらいなら大丈夫だろう」
「みんなも同じことを言っているから」
という、「多数派の空気」による安心感です。
しかし、受け取る側から見ると、
- 1件1件のコメントが積み重なって
- 何十件、何百件という「攻撃」に見える
こともあります。
三浦佳生が伝えたかった本当のメッセージ
三浦選手の投稿で、特に印象的だったのは次の部分です。
- 「気持ちが分かる部分もある」
- 「でも、スケートと関係ない部分の誹謗中傷はやめてほしい」
- 「傷つく人もいる」
ここから分かるのは、
- 「不満」や「意見」があること自体は、否定していない
- そのうえで、人として許されない一線を越えないでほしい
- そして、自分だけでなく、他の誰かが傷つくことも止めたい
という、とても冷静で、思いやりのある立場です。
自分が誹謗中傷を受けてつらい中でも、
「自分だけの問題じゃない」
「他の誰かを守りたい」
という気持ちを言葉にするのは、かなり勇気がいることだと思います。
法律の面から見た「誹謗中傷」
ここからは少しだけ法律の話もしておきます。難しい専門用語はできるだけ使わずに説明しますが、最終的な判断は法律の専門家に任せるべきという前提で読んでください。
「侮辱罪」の厳罰化
日本では、2022年の刑法改正で「侮辱罪」の刑罰が重くなりました。
侮辱罪とは、ざっくり言うと
具体的な事実を言わなくても
公の場で人をバカにしたり、侮辱する行為
のことです。
改正前よりも、
- 懲役・罰金の上限が引き上げられた
- 時効(事件として扱える期間)も伸びた
ため、SNSでの「ひと言」が、犯罪として重く扱われる可能性が高くなったと言われています。
「名誉毀損」との違い
一方、「名誉毀損(めいよきそん)」という罪もあります。
これは、
「○○さんは△△した」
というように、具体的な事実を示して
その人の社会的な評価を下げてしまう行為
に当てはまります。
たとえ事実であっても、やり方によっては名誉毀損になることもあります。
国レベルでも「ネット中傷は深刻」と問題視
法務省の有識者会議の報告書案でも、ネット上の誹謗中傷は「今なお深刻だ」と指摘されています。
つまり、
「ちょっとキツいことを書いただけ」
「みんなも言ってるし」
では済まされない状況になってきている、ということです。
私たちができること:応援の仕方を一緒にアップデートしよう
ここからが、この記事で一番伝えたい部分です。
三浦選手が勇気を出して声を上げてくれた今、私たちファンや視聴者側の行動もアップデートしていく必要があります。
「意見」と「誹謗中傷」を分けて考える
まずは、自分の中で
- 「スポーツの内容についての意見・感想」
- 「人を傷つけるための攻撃」
を、しっかり分けることが大切です。
意見・感想の例
- 「あのジャンプは少し回転不足に見えた」
- 「自分は〇〇選手の演技の方が好みだった」
- 「このルールは分かりにくいと思う」
誹謗中傷の例(避けるべきもの)
- 見た目・性格・家族などをバカにする
- 根拠のない噂話や決めつけ
- 汚い言葉で人格を否定する表現
「事実を指摘しているだけ」「本音を言っているだけ」と自分では思っていても、
読む人から見てどう感じられるかを一度立ち止まって考えてみることが大事です。
「推しのため」にも、相手選手を叩かない
推しの選手を応援したい気持ちが強いほど、
「推しが負けたのは、あの選手のせいだ」
と、ライバルを叩きたくなることがあるかもしれません。
でも、推しの選手から見れば、
「自分のファンが、他の選手やそのファンを傷つけている」
というのは、決してうれしいことではないはずです。
本当に推しのためを思うなら、他の選手を落とすのではなく、
推しのいいところを語る方向にエネルギーを使いたいですね。
見ていて「これはおかしい」と思ったら
もしタイムラインに、あきらかに行き過ぎた中傷が流れて来たら、
- 反応せずに静かにミュート・ブロックする
- 場合によっては通報機能を使う
といった形で、自分なりに線を引くこともできます。
「いいね」やリポストも、拡散に加担する行為になるので、
同意していなくても、むやみに押さないようにしたいところです。
まとめ
最後に、この記事の内容をもう一度まとめます。
三浦選手の投稿は、「ただの愚痴」ではなく、
「スポーツを愛する人たちが、
選手もファンも、安心して応援し合える環境を作りたい」
というメッセージだと受け取ることができます。
私たち一人ひとりが、
- 言葉を投げる前に、ほんの数秒立ち止まる
- 「意見」と「誹謗中傷」の線を、自分の中に引き直す
- 推しのためにも、他の誰かを傷つけない応援の仕方を選ぶ
この小さな積み重ねが、三浦佳生選手の勇気ある訴えに応えることにつながるのではないでしょうか。
三浦選手がこれからも、のびのびとリンクの上で自分らしい演技ができるように。
そして、どの選手も安心して全力を出し切れるように。
私たちの側の「応援の仕方」も、いっしょに変えていけたらいいですね。






