👑 飛鳥美人とは誰?高松塚古墳の女子群像と見学方法 👑
結論から言うと、「飛鳥美人」というのは特定の誰かの名前ではありません。
奈良県明日香村にある高松塚古墳の壁画に描かれた、女性たちの群像画のニックネームです。
1972年に発見されたときから、この呼び名で親しまれています。
この記事では、飛鳥美人が何者なのか、高松塚古墳とはどんな古墳なのか、そして実際にどう見学すればいいのかを順番に解説していきます。
🎨 飛鳥美人とは、実在の人物じゃなくて「絵」のこと
「飛鳥美人」と聞くと、額田王みたいな実在の美女を思い浮かべる人もいるかもしれません。
でも実際は、高松塚古墳の石室の西側の壁に描かれた、4人一組の女性たちの絵につけられた愛称です。
色鮮やかな衣装をまとった女性たちが、うちわや布などの持ち物を手にして並んでいる様子が描かれています。
この絵が発見当時のニュースやカラー写真であまりに話題になったため、いつの間にか「飛鳥美人」という呼び名が定着しました。
教科書に載っている姿を覚えている人も多いのではないでしょうか。
⛰️ 高松塚古墳ってそもそもどんな古墳?
高松塚古墳は、奈良県明日香村にある円墳(丸い形の古墳)です。
直径は下段が約23メートル、上段が約18メートル、高さは約5メートルの2段構造になっています。
築造されたのは、藤原京の時代にあたる694年から710年ごろとされています。
7世紀末から8世紀初めごろの「終末期古墳」と呼ばれるタイプです。
今の墳丘は2009年に、築造当初の形に復元されたもので、外から自由に見ることができます。
📰 1972年、日本中が沸いた発見のドラマ
高松塚古墳の壁画が発見されたのは1972年3月のことです。
極彩色の壁画が土の中から出てきたというニュースは、社会的な大熱狂を巻き起こしました。
レンタサイクルに乗った家族連れやバックパッカーが押し寄せ、飛鳥の史跡めぐりが一大ブームになったほどです。
あまりの盛り上がりに、寄付金つきの記念切手まで発行され、これはいまでも歴代最多発行部数を誇っているそうです。
壁画は国宝に、出土品は重要文化財に指定されました。
🖼️ 壁画には何が描かれている?
石室の中には、東西南北の壁と天井にそれぞれ絵が描かれています。
男性群像・女性群像がそれぞれ4人一組で、東西の壁に描かれており、合わせて16人の人物が登場します。
その中でも西壁の女性群像が特に色鮮やかで、これが「飛鳥美人」と呼ばれている部分です。
| 場所 | 描かれているもの |
|---|---|
| 西壁 | 女子群像(飛鳥美人)・男子群像・白虎・月 |
| 東壁 | 男子群像・女子群像・青龍・日 |
| 北壁 | 玄武(四神のひとつ) |
| 天井 | 星宿図(金箔と朱線で表した星座) |
玄武や青龍といった四神は、古代中国由来の方角を守る神獣です。
星座まで描かれているあたり、当時の人がこの空間に相当な思い入れを込めていたことがうかがえます。
💄 なぜ「美人」と呼ばれるようになった?
正直なところ、いつ・誰が最初に「飛鳥美人」と呼び始めたのか、はっきりした記録は見つかっていません。
ただ、発見当時のマスコミ報道やカラー写真を通じて、この愛称が広く知られるようになったのは確かなようです。
色鮮やかな衣装、丁寧に描かれた表情や仕草が、多くの人の目を引いたことが背景にあると考えられます。
実際に奈良文化財研究所の展示でも「飛鳥美人はいつから」というテーマが取り上げられているほどで、由来自体が今も研究対象になっています。
🪦 結局、誰のお墓なの?
気になるところですが、被葬者は特定されていません。
盗掘を免れて残っていた副葬品から、7世紀末から8世紀初めごろの人物だろうと考えられています。
周辺には天武天皇にゆかりの深い墓域が広がっているため、天武天皇につながる皇子のひとりではないかという説が有力視されています。
ただし、これはあくまで有力な説のひとつであり、確定した事実ではありません。
飛鳥地域の古墳は、そもそも被葬者がはっきりわかっているもののほうが珍しいそうです。
🔒 本物の壁画は今、見られるの?
ここが少しややこしいポイントなのですが、本物の壁画は基本的に常時公開されていません。
壁画の劣化が明らかになったことをきっかけに、2007年に石室ごと取り出して修理する方針が決まりました。
保存修理は2020年3月に完了し、現在は修理施設で保管されています。
修理作業室は年に数回、一般公開が行われることがあるようですが、常設の展示ではありません。
つまり「行けばいつでも本物が見られる」というわけではない、ということです。
🏛️ じゃあどこで見るの?→ 高松塚壁画館
本物の代わりに見学の中心になるのが、古墳のすぐ隣に建つ「高松塚壁画館」です。
石室の内部を実物と同じ大きさで再現し、発見当時の状態を精密に再現した「現状模写」や、汚れを取り除いた状態の「一部復元模写」を展示しています。
凝灰岩に漆喰を塗って再現した「再現模造模写」もあり、飛鳥美人と呼ばれる女子群像はこちらで見ることができます。
棺を納めていた石槨の原寸模型や、太刀の飾り金具・海獣葡萄鏡などの副葬品レプリカも並んでいます。
📋 壁画館で見られる主な展示物
- 現状模写(発見当時の色合いを再現)
- 一部復元模写(汚れを軽減した状態を再現)
- 再現模造模写(女子群像=飛鳥美人はこちら)
- 石槨模型
- 副葬品レプリカ(太刀装飾金具・木棺金具・海獣葡萄鏡など)
見学の所要時間は、ゆっくり見ても20分程度とされています。
すぐ近くの高松塚古墳の墳丘にも徒歩1分ほどで立ち寄れるので、セットで見学するのがおすすめです。
🗺️ アクセス・料金・開館時間
高松塚壁画館の基本情報をまとめておきます。
| 所在地 | 奈良県高市郡明日香村大字平田439(国営飛鳥歴史公園高松塚周辺地区内) |
|---|---|
| 開館時間 | 9:00〜17:00(入館は16:30まで) |
| 休館日 | 12月29日〜1月3日、4・7・11・2月の第2月曜日(祝日の場合は翌平日) |
| アクセス | 近鉄飛鳥駅から徒歩約15分 |
| 電話 | 0744-54-3340 |
入館料は次のとおりです。
| 区分 | 個人 | 団体(10名以上) |
|---|---|---|
| 大人 | 300円 | 250円 |
| 学生(高校・大学) | 130円 | 100円 |
| 小人(小学・中学) | 70円 | 50円 |
障がい者手帳を提示すると本人と付き添い1名は無料になります。
駐車場を利用する場合は、国営飛鳥歴史公園館の駐車場から徒歩10分ほどかかります。
坂道もあるので、歩きやすい靴で行くのがおすすめです。
🚲 見学をもっと楽しむコツ
飛鳥駅から壁画館までは徒歩15分ほどかかるため、レンタサイクルを使う人も多いようです。
駅前にレンタサイクルの店があり、電動アシスト付きの自転車を借りれば坂道も楽になります。
近くには中尾山古墳もあり、壁画館から徒歩10分ほどで行けます。
時間に余裕があれば、飛鳥地域の他の史跡と合わせて回るとより楽しめます。
❓ よくある質問
Q. 飛鳥美人は実在の人物ですか?
いいえ、特定のモデルがいたわけではなく、高松塚古墳の壁画に描かれた女性群像のニックネームです。
Q. 高松塚古墳に入って本物の壁画を見ることはできますか?
基本的にできません。
壁画は保存修理のため取り外され、現在は修理施設で保管されています。
Q. 高松塚壁画館では本物が見られますか?
いいえ、壁画館で展示されているのは精密に再現された模写や模型です。
ただし専門家が長い年月をかけて再現したものなので、雰囲気を十分に感じ取ることができます。
Q. 誰のお墓か分かっていますか?
確定はしていません。
天武天皇につながる皇子のひとりという説が有力視されていますが、あくまで説のひとつです。
📝 まとめ
飛鳥美人は、高松塚古墳の西壁に描かれた女子群像のニックネームで、実在の人物ではありません。
1972年の発見以来、日本中を熱狂させ、壁画は国宝に指定されました。
本物の壁画は保存のため常時公開されておらず、現在は高松塚壁画館で精密な模写や模型を見学する形になります。
被葬者もはっきりとは分かっておらず、まだまだ謎の多い古墳です。
謎が残っているからこそ、実際に現地を訪れて自分の目で確かめる価値があるスポットだといえます。





