キトラ古墳の四神とは?青龍・朱雀・白虎・玄武の意味

キトラ古墳の四神とは?青龍・朱雀・白虎・玄武の意味 国内
🐉 青龍・朱雀・白虎・玄武ってそもそも何者?

結論から言うと、青龍・朱雀・白虎・玄武は「東西南北を守る4体の神様の獣」です。

奈良県明日香村にあるキトラ古墳の石室には、この4体すべてが壁に描かれています。

しかも、4体全部がそろった状態で現存しているのは、日本ではキトラ古墳だけです。

この記事では、それぞれの神獣の意味と、キトラ古墳の壁画がなぜこんなにすごいと言われるのかを、ゆるっと解説していきます。

キトラ古墳ってどんな古墳?

キトラ古墳は、奈良県明日香村にある円墳です。

直径は約13メートル、高さは約3メートルほどの、意外とこぢんまりしたサイズです。

築造されたのは7世紀末から8世紀初頭ごろと考えられています。

誰が埋葬されているのかは、実はまだわかっていません。

当時の高官や貴族ではないかとみられていますが、これはあくまで推測で、確定した人物名は出ていません。

この小さな古墳の石室の中に、四神・十二支・天文図・日月という、ものすごく手の込んだ壁画がぎっしり描かれていたわけです。

なぜ「キトラ古墳だけ」がすごいと言われるの?

四神を描いた古墳は、実はキトラ古墳のほかにもあります。

有名なのが、同じ明日香村にある高松塚古墳です。

ところが高松塚古墳は、過去に盗掘の被害に遭い、南壁の朱雀の絵が失われてしまいました。

そのため、青龍・朱雀・白虎・玄武の4体がすべてそろった状態で残っているのは、国内ではキトラ古墳だけという、かなり貴重な存在になっています。

ちなみにキトラ古墳の壁画5面は、2019年(令和元年)に国宝に指定されています。

🔵 東を守る「青龍」

青龍は、東の方角を守る神獣です。

龍の姿をしていて、キトラ古墳では石室の東側の壁に描かれています。

中国の陰陽五行思想では、四神はそれぞれ季節とも結びついていて、青龍は春の象徴とされています。

東の空に見える星座を表しているともいわれ、方角・季節・星のすべてがセットになっている、けっこう欲張りな神獣です。

🔴 南を守る「朱雀」

朱雀は、南の方角を守る神獣です。

燃えるような赤い鳥の姿で描かれていて、キトラ古墳では南壁に配置されています。

季節でいうと夏の象徴とされ、南の空の星座を表すともいわれています。

先ほど触れたとおり、高松塚古墳ではこの朱雀だけが盗掘で失われてしまったため、キトラ古墳の朱雀は「現存する数少ない朱雀の姿」として、特に注目されています。

⚪ 西を守る「白虎」

白虎は、西の方角を守る神獣です。

白い虎の姿をしていて、キトラ古墳では西壁に描かれています。

季節は秋の象徴とされ、西の空の星座を表すといわれています。

白虎は奈良の薬師寺金堂の本尊台座にも描かれるなど、キトラ古墳以外の場所でもたびたび登場する、いわば四神の中でも顔が広いタイプです。

⚫ 北を守る「玄武」

玄武は、北の方角を守る神獣です。

亀と蛇が組み合わさったような、少し不思議な姿で描かれています。

季節は冬の象徴とされ、北の空の星座を表すといわれています。

玄武は古墳壁画としての現存例がとても少なく、キトラ古墳の玄武はその中でも特に姿がはっきり残っている、貴重な一体です。

四神まるわかり早見表
神獣方角季節石室での位置
青龍東壁
朱雀南壁
白虎西西壁
玄武北壁
四神の下にいる「十二支」たち

キトラ古墳の壁画には、四神だけでなく十二支の像も描かれています。

体は人間、頭が動物という「獣頭人身」のスタイルで、各壁に3体ずつ配置されています。

北壁の中央にいる「子(ね)」を起点に、時計回りに方角へ割り当てられています。

現時点で確認できているのは、子・丑・寅・午・戌・亥の6体です。

残りは劣化などの理由で確認が難しく、すべてがはっきり見えているわけではありません。

天井に広がる星空——天文図と日月

キトラ古墳の石室の天井には、天文図が描かれています。

赤道や黄道を示す円まで含んだ、本格的な中国式星図で、現存する世界最古級のものとされています。

さらに東側には金箔で太陽、西側には銀箔で月が描かれています。

四神が東西南北を守り、天井には宇宙そのものが広がっている、というかなり壮大な構成になっているわけです。

そもそも、なぜ四神を描いたの?

四神は、中国の陰陽五行思想にもとづく方位の神様です。

東西南北のそれぞれを4体の神獣が守ることで、その土地や場所を災いから守ると考えられてきました。

この考え方は「四神相応」と呼ばれ、東に川、南に開けた土地、西に大きな道、北に山がある場所が、四神に守られた最良の地とされてきました。

キトラ古墳の被葬者がなぜこの四神を選んで描かせたのか、その正確な理由まではわかっていません。

ただ、当時の日本が中国大陸の宇宙観や思想を積極的に取り入れていたことを示す、貴重な手がかりになっています。

🌟 四神まとめメモ

  • 青龍・朱雀・白虎・玄武は「東西南北を守る神獣」
  • キトラ古墳では4体すべてが現存する、国内唯一の例
  • それぞれ季節(春夏秋冬)とも結びついている
  • 四神の下には十二支像、天井には天文図と日月が描かれている
実際の壁画はどこで見られる?

キトラ古墳の壁画は、保存のためすでに石室から取り外されています。

現在は、明日香村にある「キトラ古墳壁画体験館 四神の館」という施設で、実物の展示や紹介が行われています。

壁画は劣化を防ぐため、常に公開されているわけではなく、期間を区切って公開されることが多いようです。

見に行きたい場合は、事前に公開スケジュールを確認しておくと安心です。

よくある質問

Q. 四神は誰が考えたものですか?

A. もともとは古代中国の陰陽五行思想から生まれた方位の神様で、日本発祥のものではありません。

Q. キトラ古墳と高松塚古墳、どちらが有名ですか?

A. 一般的な知名度では高松塚古墳のほうが先に有名になりましたが、四神が全部そろっているという点では、キトラ古墳のほうが学術的に貴重とされています。

Q. 被葬者は結局誰なんですか?

A. 現時点ではわかっていません。当時の高官や貴族ではないかとみられていますが、確定はしていません。

Q. 四神の壁画は今も古墳の中で見られますか?

A. いいえ。壁画はすでに取り外されていて、現在は近くの展示施設で公開されています。

まとめ

青龍・朱雀・白虎・玄武は、それぞれ東・南・西・北を守る神獣です。

キトラ古墳は、この4体すべてが現存する、国内で唯一の古墳壁画です。

四神の下には十二支像、天井には世界最古級の天文図と日月が描かれ、石室全体がひとつの宇宙観を表現しています。

被葬者や、四神を選んだ正確な理由など、まだわかっていないことも多く残っています。

それでも、1300年以上前の人たちが方角や星に込めた思いが、今も色鮮やかに残っているというのは、なんともロマンのある話です。

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