結論から言うと、ジルを撃ったのはトルメキア軍の兵士です。ただし「暗殺しに来た」わけではありません。病で寝たきりだったジルが、敵の襲撃に気づいて剣を手に立ち向かおうとしたところ、それを反撃の合図と受け取った兵士に撃たれてしまった――というのが映画で描かれている流れです。ちなみに原作の漫画では、ジルは銃で撃たれるのではなく、病気で息を引き取ります。同じ「ナウシカの父」でも、映画と漫画で最期がまったく違うんです。
ジルは、ナウシカが暮らす「風の谷」の族長です。
族長といっても、映画に出てくる時点ではすでに病気で体が弱っていて、ほとんどベッドから起き上がれません。
それでも風の谷のリーダーであることに変わりはなく、村の人たちからは頼りにされていました。
ナウシカにとっては、優しくて誇り高い、大切な父親です。
ジルがずっと寝込んでいたのには理由があります。
「腐海(ふかい)」と呼ばれる、毒の胞子を出す森の毒に長年さらされてきたことで、体が少しずつ石のように固まっていく病気にかかっていたのです。
治療法はなく、進行を止めることもできません。
実はナウシカの母親や、10人いた兄妹たちも同じ病気で命を落としています。
つまりジルは、いつ死んでもおかしくない状態のまま、族長としての役目を果たし続けていたわけです。
物語のカギを握るのが「巨神兵(きょしんへい)」という、太古の超兵器です。
トルメキアという大国は、この巨神兵を手に入れて軍事的な力を強めようとしていました。
その巨神兵が偶然、風の谷の近くに眠っていたことから、トルメキア軍は風の谷に攻め込み、占領してしまいます。
この襲撃は、風の谷そのものを狙ったというより、巨神兵という「お宝」のついでに谷を制圧した、という側面が大きいです。
ジルの死は、この占領作戦のなかで起きた出来事でした。
トルメキア軍は風の谷に上陸すると、あっという間に城を制圧していきます。
ジルはこのとき、自分の部屋で寝たきりの状態でした。
銃を持った兵士たちが部屋になだれ込んでくる足音や気配を感じ取ったジルは、とっさに枕元に置いてあった剣を手に取ります。
体はほとんど動かないはずなのに、それでも武器を握って立ち向かおうとした。
その姿を見た兵士は、抵抗されると判断し、発砲してしまいます。
寝たきりで、まともに戦える体でもないのに、なぜ剣を取ったのか。
ここは映画の中でセリフとしてはっきり説明されていない部分なので、正確な理由は分かりません。
ただ、族長として最後まで谷を守ろうとした、あるいは同じ部屋にいた「大ババ」という谷のご意見番の女性をかばおうとした、という見方が一般的です。
もう戦える体ではないと分かっていても、リーダーとして敵に屈しない姿勢を見せようとした、と考えるファンも多いです。
病気で体はボロボロなのに、最後まで剣を離さなかった。ジルという人の生き方が、この一場面にぎゅっと詰まっています。
結論としては、はじめから暗殺目的で来たわけではなさそうです。
トルメキア軍の目的は、あくまで風の谷と巨神兵を手に入れることでした。
族長であるジルを最初から殺害する指示があったとは描かれていません。
剣を構えたジルを見て、とっさに反応してしまった――という、いわば戦場での偶発的な出来事に近い形で命が奪われています。
とはいえ、武力で他人の土地に踏み込んでいる以上、その責任がなくなるわけではありません。
父の死を知ったナウシカは、怒りのあまり我を忘れ、居合わせたトルメキア兵たちを次々と斬ってしまいます。
普段は生き物を思いやる優しい性格のナウシカが、感情を抑えられなくなるほどのショックだったということです。
この暴走を止めたのが、旅の剣士ユパです。
ユパが体を張って止めなければ、ナウシカはさらに事態を悪化させていたかもしれません。
この場面は、ナウシカという主人公が「聖人」ではなく、人間らしい怒りや悲しみを持った人物であることを示す、物語の中でも重要なシーンになっています。
意外と知られていませんが、映画と原作の漫画版では、ジルの死に方がまったく異なります。
| 項目 | 映画版 | 原作漫画版 |
|---|---|---|
| 死因 | トルメキア兵による銃撃 | 腐海の毒による病気 |
| 死のタイミング | トルメキア軍の襲撃当日 | 物語が進んだ、ある程度後の時期 |
| 死に方の印象 | 突然で、悲劇的・衝撃的 | 徐々に弱っていき、看取られる形 |
映画は上映時間の都合もあり、物語をコンパクトにまとめる必要がありました。
そのため、トルメキア軍の侵略の理不尽さや戦争の悲劇性をより強く伝えるために、銃撃という展開に変更されたと考えられます。
一方の原作漫画は、映画よりもずっと長く壮大な物語で、ジルは病気の進行とともに、ナウシカの成長を見守りながら最期を迎えます。
この場面については、昔から見た人の間でちょっとした議論があります。
- 剣を持たなければ撃たれずに済んだのでは?という疑問
- 兵士は本当に殺す必要があったのか、という疑問
- 族長として抵抗する姿勢を見せる以外に方法はなかったのか、という疑問
これらについて、映画の中で明確な答えは示されていません。
だからこそ「もしジルが剣を取らなかったら」「もし兵士が発砲をためらっていたら」と、見る人それぞれが想像をふくらませる場面にもなっています。
正解がひとつに決まっていないぶん、何度観ても新しい見方ができる、という部分でもあります。
Q. ジルを撃った兵士の名前は分かっていますか?
A. 映画の中で、特定の兵士の名前が明かされることはありません。誰なのかは分からないままです。
Q. ジルは病気にならなければ、撃たれずに済んだのでしょうか?
A. 断定はできませんが、体が自由に動けば逃げる、あるいは違う対応を取れた可能性はあります。ただし、これはあくまで想像の範囲です。
Q. トルメキア軍は最初からジルを殺すつもりだったのですか?
A. 映画の描写を見る限り、最初から殺害を目的にしていたわけではなさそうです。あくまで剣を構えたジルへのとっさの反応として描かれています。
Q. 原作漫画ではジルはいつまで生きていますか?
A. 映画よりも後の時期まで生きており、病気の進行とともに徐々に弱っていく形で描かれています。詳しい巻数などは作品を直接確認することをおすすめします。
- ジルを撃ったのはトルメキア軍の兵士
- 寝たきりの体で剣を取り、抵抗の姿勢を見せたことがきっかけ
- 最初から暗殺目的で来たわけではなく、とっさの発砲だったと考えられる
- 原作漫画ではジルは銃撃ではなく病気で亡くなる
- 剣を取った理由や、撃つ必要があったのかという点は、はっきりとは描かれておらず、今も語り草になっている
ジルの死は、たった数分のシーンですが、戦争の理不尽さや、ひとりの父親の生き様がぎゅっと詰まった、物語の中でも忘れられない場面です。



