女子スピードスケートの短距離で、いま日本でもっとも注目されている選手の一人が吉田雪乃選手です。
ワールドカップ500mでの優勝や表彰台が続き、ミラノ・コルティナ五輪でもメダル候補として名前が挙がっています。
そんな吉田選手を語るうえで気になるのが、
- 「今のコーチは誰なのか」
- 「高校時代からどんな指導者に支えられてきたのか」
- 「どこでどんな練習をしているのか」
といった「支える人」と「環境」の部分です。
この記事では、公式情報やニュースをもとに、吉田雪乃選手の
- 現在のメインコーチ
- 高校時代からの指導者・サポートスタッフ
- 練習拠点(ホームリンク)
- トレーニングの特徴
を整理していきます。
現在のメインコーチは「及川佑(おいかわ ゆうや)」
まず、いちばん気になる「今のコーチは誰?」というポイントから見ていきましょう。
ISU公式プロフィールに書かれているコーチ
国際スケート連盟(ISU)の公式プロフィールには、
吉田選手の「Coach(コーチ)」として Yuya Oikawa(及川佑) の名前がはっきりと記載されています。
つまり、国際的にも「吉田雪乃選手の専任コーチ」として認識されているのが、この及川佑さんです。
及川佑とはどんな人?
及川佑さんは、元スピードスケート男子500mの日本代表スプリンター。
トリノ・バンクーバー・ソチと、3大会連続で冬季五輪に出場したトップ選手でした。
主なポイントをざっくり挙げると…
- 北海道・池田町出身のスプリンター
- トリノ五輪500mで日本人最高の4位入賞
- ワールドカップでは100m種目のシーズン総合優勝を何度も獲得
- 2009年には男子500mで当時の日本記録(34秒27)を樹立した元日本記録保持者
スケート界では、「スタートがものすごく速いスプリンター」として知られています。
解説記事では、腰のひねりを使った独特の「トルネードスタート」が武器だった、と紹介されることもあります。
スプリンター同士だからこそわかる“速さ”の感覚
吉田選手の主戦場も500m・1000mの短距離です。
その短距離で、
- 自分も世界のトップスプリンターとして戦ってきた
- 実際に日本記録を出している
というコーチがついているのは、大きな強みと言えます。
スタートから100mあたりまでの加速部分は、0.01秒単位を争う世界。
そこを経験値の高いスプリンターが細かくチェックし、フォームや重心、スタート姿勢を見てくれるのは、短距離選手にとって心強い存在です。
実際、ミラノ五輪に向けた国内調整のニュースでは、八戸のリンクで 及川コーチと一緒にスタート練習をしている様子 が報じられています。
高校時代から支えてきた指導者たち
今のメインコーチだけでなく、「高校時代からの指導者」も、吉田選手の土台を作ってきた大切な存在です。
盛岡工業高校スケート部・植津悦典監督
吉田選手は岩手県の 盛岡工業高校 出身。高校時代には全国高校選手権500m優勝など、ジュニア世代のトップとして大活躍しています。
岩手のテレビ局の特集によると、吉田選手のトレーニングを今も支えているのが、
- 盛岡工業高校スケート部 監督・植津悦典(うえつ よしのり)さん
だと紹介されています。
ISUの選手プロフィールでも、
「キャリアで最も影響を受けた人」として、高校時代の体育教師でありスピードスケートの先生でもある Uetsu Yoshinori の名前が挙げられています。
つまり、植津監督は
- 高校時代に技術と基礎体力を育てた恩師
- シニアになってからも吉田選手の成長を近くで見続けている存在
と言えそうです。
フィジカル面を見ている「遠藤龍輝コーチ」
同じ特集記事では、吉田選手のトレーニングプランを組む存在として
- 遠藤龍輝コーチ
の名前も紹介されています。
遠藤コーチは、吉田選手について
「フィジカルはすごく強い。線が細い=フィジカルが弱い、ではない。
体の中心部分(体幹)をうまく使うからこそ、手足が細いのが彼女の特色」
とコメントしています。
一見すると華奢に見える体つきですが、
- 体幹(体の中心)が強い
- そこからしっかり力を伝えられる
という、スプリンターにとって理想的な身体の使い方ができている、と評価しているわけです。
コンディショニング担当の相原太一トレーナー
さらに同じ記事では、筋肉疲労の回復や体のケアを担当する
- スポーツトレーナー・相原太一さん
の存在も紹介されています。
相原トレーナーは練習中の吉田選手を見て、
「見た目はあまり前傾に見えないのに、実は前側の筋肉を使いすぎている」など、筋肉の使い方の微妙な違いを指摘していました。
つまり、吉田選手の周りには、
- 技術とメンタルを見てきた高校時代の恩師
- フィジカル全般を管理するコーチ
- 筋肉のバランスや疲労をチェックするトレーナー
といった、専門分野の違う指導者がチームとしてついている、という形になっています。
練習拠点はどこ?
メインは「YSアリーナ八戸」
ニュースやインタビューで繰り返し出てくるのが、青森県八戸市にある YSアリーナ八戸 です。
岩手のニュースでは、吉田選手が
- 「青森県八戸市のリンクを練習拠点としている」
- そのリンクで開かれた小学生大会に、オープン参加で出場した
と紹介されています。
別の記事では、
「八戸市の YSアリーナ八戸を練習の本拠地(ホームリンク)としている」という表現も使われています。
YSアリーナ八戸とはどんな施設?
YSアリーナ八戸は、
- 青森県八戸市に2019年9月オープンした屋内スピードスケート場
- 国際規格の400mダブルトラック(幅16m)を持つ、本格的なリンク
- 日本国内で3番目の屋内400mスピードスケートリンクで、国際大会も開催可能
という、世界レベルの環境です。
吉田選手は、この施設がオープンした2019年の頃から 「ホームリンク」として利用している と、岩手の特集で紹介されています。
屋内リンクなので、
- 天候に左右されにくい
- 気温や氷の状態が安定している
- 一年の長い期間、氷上練習がしやすい
というメリットがあり、トップスケーターにとって大変ありがたい環境です。
盛岡での練習・母校との合同練習も
一方で、吉田選手は岩手・盛岡市出身。
母校の 盛岡工業高校 のスケート部との合同練習を、盛岡市内で行っている様子もニュースで紹介されています。
- 普段は八戸でじっくり滑り込み
- 岩手・盛岡では母校の後輩たちと一緒に刺激を受け合う
という形で、「八戸」と「盛岡」をうまく行き来しながら練習を積んでいる イメージです。
さらに、所属先の 株式会社寿広 の応援ページを見ると、帯広での強化合宿など、シーズン中は各地のリンクや合宿にも積極的に参加していることがわかります。
吉田雪乃のトレーニングの特徴
では、こうした指導者と環境の中で、吉田選手はどんなトレーニングをしているのでしょうか。
① 体幹重視のフィジカルトレーニング
先ほどの遠藤コーチのコメントにあったとおり、吉田選手の大きな特徴は
- 「体幹を上手に使える」
- 「中心からの力を、手足の先まで効率よく伝えられる」
という点です。
これは、単純に「筋肉ムキムキ」になることとは違います。
- お腹や腰まわり(体幹)が安定している
- そこから氷に向かって、スムーズに力が伝わるフォームになっている
からこそ、
- 上半身はぶれずに
- 長いストライドで
- 低い姿勢を保ったまま
スピードに乗れるわけです。
スピードスケートの短距離では、
「パワー × 姿勢の安定」 が非常に重要なので、体幹重視のトレーニングは吉田選手の武器のひとつになっています。
② スタートと加速を徹底的に磨く
500mは、スタート直後から一気にトップスピードに持っていく種目です。
- スタートダッシュ
- 最初の100m
- 1コーナーに入るまでの加速
ここで少しでも出遅れると、取り返すのが難しくなります。
八戸での公開練習の記事では、ミラノ五輪前の調整レースとして、
「メダルが期待される500mで、及川佑コーチと並んで滑走した」 と伝えられています。
元スプリンターのコーチと一緒に滑ることで、
- スタートのタイミング
- 重心の位置
- 一歩目・二歩目の踏み込み
など、かなり細かい部分までチェックしていると考えられます。
③ Wattbike(ワットバイク)を使ったバイクトレーニング
吉田選手は、オフアイス(陸上)トレーニングとして、Wattbike(ワットバイク) という本格的なトレーニング用自転車も取り入れています。
あるフィットネス関連企業のInstagram投稿によると、
- 2025年4月から、吉田選手のワットバイクトレーニングをサポートしている
- 4月に盛岡の拠点で、吉田選手と実際に会って軽いトレーニングを行った
と紹介されています。
ワットバイクは、
- ペダルの回し方
- 左右のバランス
- 出力(パワー)
などを細かく数値で見られるトレーニング機器です。
これにより、
- 下半身のパワーアップ
- 心肺機能(持久力)の強化
- 左右差のチェック
などを、氷に乗らない日でもしっかり行うことができます。
④ 氷上+陸上を組み合わせた“年間通した体づくり”
シーズン中はもちろん氷上トレーニングが中心ですが、
所属先の応援ページを見ると、シーズンオフも
- 「練習漬けの毎日」「ハードなトレーニングを続けている」
と書かれており、年間を通して体づくりを行っていることがわかります。
具体的なメニューは公開されていませんが、スピードスケーターでは一般的に
- ウェイトトレーニング(スクワットなど)
- ジャンプ系トレ(プライオメトリクス)
- 体幹トレーニング
- ストレッチ&ケア
などを組み合わせていきます。
そこに吉田選手の場合は、
- 体幹を意識したフォーム作り
- Wattbikeによるデータ重視のバイクトレーニング
- コーチ陣による細かいフォームチェック
が加わっている、とイメージすると分かりやすいと思います。
⑤ 筋肉の「使い方」まで細かく修正
TBS系の特集では、トレーナーの相原さんが練習中の滑りを見て、
「見た目はそんなに前傾しているように見えないが、実は前側の筋肉を使いすぎている」
と、筋肉の使い方の”クセ”を指摘していました。
ここから分かるのは、
- 「どの筋肉をどれくらい使っているか」
- 「シーズン前半で調子が良かった時との違いは何か」
まで、かなり細かいレベルでチェックしている、ということです。
単に「たくさん練習する」「強くなる」だけではなく、
- いい時の感覚をデータや映像で残す
- 少し崩れたら、原因を分析して修正する
という、トップアスリートならではの“微調整の世界” に踏み込んでいると言えるでしょう。
環境面の特徴:YSアリーナ八戸での「いい環境で順調」な調整
ミラノ・コルティナ五輪前のニュースでは、
吉田選手が 「練習拠点のYSアリーナ八戸で、小学生大会にオープン参加」 し、オリンピック前最後の実戦を行ったと報じられました。
本人も
「子どもたちや温かい地元の方々に囲まれてトレーニングでき、いい環境で順調に調整できた」
と話しています。
ここから見えてくるのは、
- 世界レベルの屋内リンクで練習できる
- 地元の小中学生や地域の人たちに応援されながら調整できる
- 自分のペースで国内調整を進められる
という、技術面・環境面・メンタル面がそろった練習環境です。
特に、子どもたちの前で滑ることで、
- 「いい滑りを見せたい」というモチベーション
- 応援してもらえる喜び
- 地元に恩返ししたいという思い
など、メンタル面でのプラス効果も大きいはずです。
まとめ
ここまでの内容を、あらためて整理すると…
コーチ・指導者
- メインコーチは元五輪スプリンターの 及川佑
- 500mの元日本記録保持者で、スタートや短距離のスペシャリスト
- 高校時代からの恩師は、盛岡工業高校スケート部の 植津悦典監督
- ISU公式プロフィールでも「キャリアで最も影響を受けた人物」として名前が挙げられている
- フィジカル面を統括する 遠藤龍輝コーチ
- 体幹の強さや体の使い方を高く評価し、トレーニングプランを立てている
- 筋肉のケアやフォームを細かく見る 相原太一トレーナー
- 筋肉の使い方のズレを指摘し、ベストな状態に近づけていく
練習拠点・環境
- メインの練習拠点は青森県八戸市の YSアリーナ八戸
- 国際規格400mダブルトラックの屋内リンクで、国内3番目の本格スピードスケート場
- 2019年オープン時からホームリンクとして利用し、現在も本拠地として調整を行っている
- 岩手・盛岡では、母校の盛岡工業高校スケート部との合同練習なども実施
- 所属企業からのサポートで、帯広合宿やワットバイクトレーニングなど、年間を通じた強化も実施
トレーニングの特徴
- 体幹を軸にした全身の連動
- スタート&加速を徹底的に磨く短距離仕様の練習
- Wattbikeによるバイクトレーニングで脚力と心肺機能アップ
- トレーナーによる筋肉の使い方の微調整
- 世界水準のリンク+地元の温かい応援という、技術とメンタルが両立した環境
こうして見てみると、吉田雪乃選手は
「世界レベルの環境」と
「信頼できる指導者たち」
に囲まれながら、自分のスタイルを磨き上げてきたスプリンターだ、ということがよく分かります。
今後、ミラノ・コルティナ五輪や、さらにその先のシーズンでも、
「どのリンクで誰と練習しているのか」「どんなコーチが支えているのか」に注目しながら試合を見ると、レースの見え方がグッと変わってくるはずです。
※この記事は、ISU公式プロフィールやニュース記事など、公開されている情報をもとにまとめています。
選手本人やチームが公表していない細かい練習メニューやプライベートな部分については、推測では書かず、分かる範囲の内容に限定して整理しました。





