晋平太は「日本語ラップの教科書みたいな人」と言ってもいいくらい、長くシーンのど真ん中にいるラッパーです。
でも、その裏側にはけっこう壮絶な生い立ちや、挫折だらけの道のりもあります。
この記事では、
- 晋平太ってどんな人?
- 子ども時代〜ラップに出会うまで
- バトルで日本一になるまでの経歴
- 代表曲・おすすめ曲
- バトル引退後の活動
- 人柄・エピソード
をまとめていきます。
晋平太ってどんなラッパー?
まずはサクッとプロフィールから。
- MCネーム:晋平太(しんぺいた)
- 本名:小林晋平(こばやし しんぺい)
- 生年月日:1983年1月10日
- 出身:東京都生まれ → 埼玉県狭山市育ち
- 身長:165cm前後
- 得意分野:フリースタイル(即興ラップ)、MCバトル
- 肩書き:ラッパー、YouTuber、ラップ講師
バトルシーンでは、
- 2005年:B-BOY PARK MC BATTLE優勝
- 2010年・2011年:ULTIMATE MC BATTLE(UMB)2連覇
- 2017年:テレビ番組『フリースタイルダンジョン』で史上初の完全制覇
という、とんでもない経歴の持ち主です。
一言で言うと、
「バトルで日本一を何度も取った、“頭のキレる即興ラッパー”」
というイメージですね。
壮絶な生い立ちと、ラップとの出会い
子ども時代:埼玉・狭山で育つ
晋平太は東京都で生まれ、6歳のころに埼玉県狭山市へ引っ越します。
小学校は狭山市立山王小学校。兄の影響で、最初はロックバンドをよく聴いていたそうです。
家族のことや詳しい家庭環境については、本人のトークやインタビューなどで「けっこう大変な家だった」といったニュアンスの話もあり、
「順風満帆な子ども時代」ではなかったことがうかがえます。
中学時代:友達から教わったヒップホップ
ターニングポイントは中学生のとき。クラスの友達がヒップホップのミックステープを貸してくれたり、日比谷野音のイベントに誘ってくれたことで、ラップと出会います。
- 「自分もこういうことができるかもしれない」
- 「ラップだったら、俺でも勝負できる」
と感じて、ノートに歌詞(リリック)を書き始めるようになります。
授業中にもこっそり書いていたというエピソードが残っています。
高校〜大学:人前でラップし始める
高校に入ると、いよいよ人前でラップを披露するようになります。
地元の友達とサイファー(輪になってラップする遊び)をしたり、クラブイベントでマイクを持ったりしながら、ラッパーとしての下地を作っていきました。
大学時代になると、本格的に音楽活動をスタート。ライブハウスやイベントにも積極的に出演し、2004年にはアルバム『SHOW ME LOVE』でデビューします。
MCバトルで「日本一」になった経歴
晋平太の名前を一気に広めたのは、やはりMCバトルです。
B-BOY PARK優勝
2005年、渋谷代々木公園で行われていた伝統的な大会
「B-BOY PARK MC BATTLE」で優勝。
当時、この大会で勝つことは、
「日本のフリースタイルラッパーのトップクラスに入った」
という証明のようなもので、ここで一気に「ヤバい若手ラッパー」として注目されます。
一度バトルから離れる→復帰
その後、一度MCバトルから距離を置き、音源制作やライブ中心の活動に移ります。
しかし2009年ごろから再びバトルシーンに戻ってきて、ここからが本当の快進撃。
ULTIMATE MC BATTLE(UMB)2連覇
日本最大規模のMCバトル大会「ULTIMATE MC BATTLE(UMB)」で、2010年・2011年の本戦に連続出場し、史上初の2連覇。
UMBで連覇したラッパーは今でも多くありません。
しかも晋平太は、UMBとB-BOY PARKの両方で優勝している“二冠王”。
「MCバトルを愛し、MCバトルに愛された男」
という表現がしっくりくる活躍ぶりです。
フリースタイルダンジョン「完全制覇」
そして、一般層にまで名前が知られるきっかけになったのが、テレビ朝日系の人気番組
『フリースタイルダンジョン』。
チャレンジャーがモンスター(強豪ラッパー)を次々と倒していくこの番組で、2017年、
史上初の完全制覇(ラスボス含めて全員撃破)を達成します。
このあたりから、
- 「ラップ詳しくないけど晋平太は知ってる」
- 「あの赤いキャップの人でしょ?」
と、一般の視聴者にも一気に名前が浸透していきました。
代表曲・おすすめ曲
バトルのイメージが強い晋平太ですが、音源(曲)もかなりガチです。
ここでは、リスナーに人気のある代表曲・おすすめ曲をいくつか紹介します。
※曲名は各ストリーミングサービスや配信サイトの情報をもとにしています。
「ボコボコのMIC」
- 収録:『ボコボコのMIC – EP』(2020年)
タイトル通り、バトルの現場感がビシビシ伝わってくる一曲。
言葉の切れ味、押韻の多さ、間の取り方…どれを取っても「これぞ晋平太」という内容です。
「バトルで暴れてきた自分」の象徴みたいな曲なので、
まず1曲聴くならこれ、という人も多いです。
「時代遅れ feat. 般若」
- 収録:アルバム『REVENGE』(2011年)
ラッパー般若とのコラボ曲。
タイトルは「時代遅れ」ですが、歌詞の中で語られるのは、
- 「周りがなんと言おうと自分のスタイルを貫く」
- 「古臭いと言われても、それが俺のかっこよさだ」
という、ブレない生き方について。
ギラギラしただけのラッパーではなく、
「自分の弱さや迷いも含めてラップしてきた人」だと伝わる一曲です。
「NO LOVE feat. R指定」
同じく『REVENGE』に収録されている、
人気ラッパーR指定との共演曲。
- R指定のトリッキーなフロウ
- 晋平太のストレートで押しの強いラップ
がぶつかり合う、ファンからの評価も高い楽曲です。
「GOOD LIFE」
- リリース:シングル「GOOD LIFE」(2023年)
タイトル通り、「良い人生ってなんだろう?」というテーマを、
これまでの経験を踏まえてラップした曲。
バトル全盛期のときよりも、
落ち着きと達観が混ざった言葉が印象的で、大人が聴くと刺さる内容になっています。
バトルを越えて:YouTuber・ラップ講師としての活動
バトルから一歩引いた後の晋平太
2019年頃には、長年続けてきたMCバトルからは一歩引き、
活動拠点を東京都東村山市に移したと言われています。
バトルは「勝つか負けるか」の世界。
精神的にも肉体的にもかなり消耗します。
そこから少し距離を取り、
- 音源制作
- ライブ
- 講演・ワークショップ
- YouTube
など、自分のペースでできる活動にシフトしていきました。
YouTubeチャンネル「Yo! 晋平太だぜ Raps」
YouTubeでは、
- ラップバトルの解説
- フリースタイルのコツ
- 音楽やカルチャーの話
- 企画もの・コラボ動画
など、エンタメ×ラップ解説のスタイルで人気を集めています。
動画で見るとよく分かりますが、
本人はかなり話し上手で、ツッコミも自虐もできる“エンターテイナー気質”。
「こわいラッパー」というより「話していて楽しそうなお兄ちゃん」感が強いです。
学校や自治体でのラップ授業
もう一つ大きな柱になっているのが、ラップの授業・ワークショップ。
- 内閣府、自治体、企業と連携してラップ講座を開催
- 子どもや若者向けに「自己表現としてのラップ」を教える
- 自身の母校でラップ授業を行ったこともある
ラップを通じて、
「言葉で自分を表現すること」
「自分の気持ちを人に伝えること」
の大切さを伝える活動をしているのが、今の晋平太です。
晋平太の人柄:どんなキャラクター?
「頭の回転が速い、でもどこか不器用」
バトルでの様子やインタビューを見ると、
とにかく頭の回転が速くて、言葉の引き出しが多い人というのが分かります。
一方で、かなり真面目で不器用な一面もあり、
- 「勝たなきゃいけない」というプレッシャーでメンタルを削られる
- 自分の理想と現実のギャップに苦しむ
といった話も、本人がよくしています。
だからこそ、
「ただの“強いラッパー”じゃなくて、
迷いながらも戦ってきた普通の人間」
として共感されている部分も大きいです。
地元・狭山への愛情
インタビューや企画記事では、
地元・埼玉県狭山市や東村山での話がよく出てきます。
- 地元の公園でラップを披露する
- 商店街や駅周辺を歩きながら、思い出を語る
など、
「売れた俺を見ろ」というよりは、
「この街で育ったからこそ、今の自分がある」
というスタンスが強い印象です。
「バトルサイボーグ」から「言葉の先生」へ
かつては「バトルサイボーグ」と呼ばれるほど、
勝つために自分を削って戦っていた時期もあると語っています。
そんな過去を経て、今は
- 子どもたちに自己肯定感を届ける
- 言葉の力で人を応援する
という方向に重心が移っているのが、とても象徴的です。
「ラップで自分を救った人が、
今度はラップで誰かを救おうとしている」
そんな物語を感じさせる人柄だと思います。
「晋平太」というラッパーをもっと楽しむために
ここまで、
- 生い立ち
- 経歴
- 代表曲
- 現在の活動
- 人柄
をざっくりまとめてきました。
最後に、「これから晋平太を知る人」に向けて、
ざっくりした楽しみ方ガイドを書いておきます。
まずはバトル動画で「言葉のキレ」を体感する
- UMB 2010・2011の決勝
- フリースタイルダンジョンの完全制覇回
あたりをYouTubeで見ると、
- 何段にも重なった韻
- 相手の言葉をすぐ返す頭の回転
- 観客を一気に巻き込むフロウ
が一気に伝わってきます。
「テクニックってこういうことなんだな」と直感で分かるはずです。
次にアルバムや代表曲で「人間味」を知る
バトルだけだと「怖そう」「尖ってそう」と感じる人もいるかもしれませんが、
音源を聴くと、かなり繊細で優しい視点もたくさん出てきます。
- 『REVENGE』
- 「時代遅れ feat. 般若」
- 「GOOD LIFE」
あたりから聴いてみると、
「この人、ただのバトルマシーンじゃないな」と分かるはずです。
YouTubeやインタビューで「素の顔」に触れる
YouTubeチャンネルや各種インタビュー記事では、
おちゃらけた一面や、真剣な悩み、音楽論なども見られます。
- 「MCバトルを愛し、MCバトルに愛された男」
- 「バトルサイボーグだった頃」
- 「これから何をしていきたいか」
そんな話を知ると、
曲の聴こえ方や、バトルの一言一言が、また違って聞こえてきます。
まとめ
最後に、この記事の内容をギュッとまとめます。
「強いラッパー」で終わらず、
そこから“人の背中を押す存在”にシフトしているのが、今の晋平太です。
- バトルのかっこよさを味わいたい人
- 言葉で自分の気持ちを表現したい人
- ちょっと人生につかれた大人
どんな人が見ても、
どこか心にひっかかるものをくれるラッパーだと思います。
この記事をきっかけに、
ぜひ一曲でもいいので、実際のラップを聴いてみてください。きっと、画面の中でマイクを握る「晋平太」という人が、少し身近に感じられるはずです。



