安青錦の初優勝、本当にドラマがありましたね。
「大ノ里が休場しなかったら、優勝争いはどうなっていたんだろう?」と、モヤモヤしている人も多いと思います。
この記事では、
- 安青錦の初優勝はどんな内容だったのか
- 大ノ里の休場が、優勝争いにどう影響したのか
- 千秋楽の「もしもシナリオ」を、わかりやすく整理
- ケガの状態や今後の展望
を解説していきます。
まずは事実整理:誰がどんな成績だった?
九州場所の主役はこの3人
2025年11月の九州場所、優勝争いの主役はこの3人でした。
- 横綱・豊昇龍(とよしょうりゅう)
- 横綱・大の里(おおのさと)
- 関脇・安青錦(あおにしき)
14日目が終わった時点で、この3人はそろって「11勝3敗」。
千秋楽は、まさに“三つどもえ”の優勝争いでした。
ところが――
千秋楽の朝になって、大の里がまさかの「休場」を発表します。
大ノ里はなぜ休場?診断は「左肩鎖関節脱臼」
ケガのきっかけは13日目の安青錦戦
大の里は、13日目の安青錦戦で、左肩を痛めたとされています。
この一番は、土俵際ギリギリまで攻防が続く激しい取り組みで、大の里が寄り切りで勝ったものの、終わってみれば「肩を痛めた疑い」が残る内容でした。
翌・14日目の琴桜戦では、明らかに力が入っていない様子で、大の里はあっさりと黒星。
この時点で「相当悪いのでは…」と感じたファンも多かったはずです。
千秋楽の朝に休場決定
そして千秋楽の朝。
大の里は日本相撲協会に診断書を提出します。
- 診断名:左肩鎖関節脱臼
- 「1か月間の安静加療が必要」との内容
師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)も、
「無理はさせず休ませることにした」
とコメント。
横綱としては辛い決断ですが、腕が上がらない状態で土俵に上がれば、選手生命に関わるリスクもあります。
「出たい気持ち」と「長い相撲人生」を天びんにかけて、休場を選んだと言えるでしょう。
安青錦の初優勝はどう決まった?
本割:琴桜を倒して12勝3敗に
千秋楽、本割の組み合わせはこうでした。
- 豊昇龍:大の里戦の予定 → 大の里休場で“不戦勝”
- 安青錦:大関・琴桜と対戦
大の里の休場により、豊昇龍は相撲を取らずに「12勝3敗」に到達。
これで安青錦が負ければ、その時点で豊昇龍の優勝が決まる状況でした。
しかし、安青錦はプレッシャーのかかる一番で、琴桜を内無双で破り、自分も「12勝3敗」に。
これで、豊昇龍と安青錦の“優勝決定戦”にもつれ込みます。
優勝決定戦:豊昇龍を送り投げ!
優勝決定戦では、
- 横綱・豊昇龍
- 関脇・安青錦
というカードになりました。
ここで安青錦は、攻めてくる豊昇龍をうまくいなし、「送り投げ」で勝利。
結果として、
- 安青錦:12勝3敗(本割)+優勝決定戦勝利 → 初優勝
- 豊昇龍:12勝3敗(本割)+優勝決定戦敗退 → 準優勝
となりました。
記録面でのすごさ
安青錦の優勝は、記録面でも“エグい”レベルです。
- 初土俵から14場所での優勝 → 尊富士(10場所)に次ぐ史上2位のスピード記録
- 21歳8か月での初優勝 → 年6場所制以降で白鵬に次ぐ年少3位クラス
さらに、大関昇進も「ほぼ確実」と見られています。
大ノ里休場でどう変わった?優勝線の“ビフォー・アフター”
ここからが、この記事の本題です。
14日目終了時点の状況(大ノ里がまだいる世界)
14日目終了時点では、こうでした。
- 豊昇龍:11勝3敗
- 大の里:11勝3敗
- 安青錦:11勝3敗
そして千秋楽の対戦カード予定は、
- 豊昇龍 vs 大の里(横綱同士)
- 安青錦 vs 琴桜(関脇 vs 大関)
この状態なら、優勝の可能性は3人に残っていました。
大ノ里休場後の世界(実際に起きた現実)
しかし、大の里が休場したことで、状況は一気にシンプルになります。
- 豊昇龍:大の里不戦勝 → 自動的に12勝3敗
- 安青錦:琴桜に勝てば12勝3敗、負ければ11勝4敗
つまり大の里がいなくなった瞬間、
「優勝争いは豊昇龍と安青錦の二人に絞られた」
という形になりました。
安青錦が負けていれば、豊昇龍の優勝が“相撲を取らずに”決まっていたわけです。
大の里の休場がなければ、千秋楽は「三つ巴の最終決戦」。
しかし、現実には「二人の直接対決による優勝決定戦」という形に変わったのです。
千秋楽の「もしも」シナリオを整理してみる
「大の里が出ていたら、どうなっていたのか?」
ファンとして一番気になるポイントですよね。
あくまで“もしも”ですが、状況整理のためにシンプルに考えてみましょう。
仮定:大ノ里も出場していた場合の基本条件
前提として、千秋楽の対戦が予定通り行われたとします。
- 豊昇龍 vs 大の里
- 安青錦 vs 琴桜
このときのスタートラインは全員「11勝3敗」。
ここから考えられる主なパターンを、ざっくり4つに分けてみます。
パターン1:豊昇龍○ + 安青錦× + 大の里○
- 豊昇龍:12勝3敗
- 大の里:12勝3敗
- 安青錦:11勝4敗
→ この場合、「豊昇龍 vs 大の里」の優勝決定戦。
→ 安青錦はここで優勝戦線から脱落。
パターン2:豊昇龍× + 安青錦○ + 大の里○
- 大の里:12勝3敗(豊昇龍に勝ち)
- 安青錦:12勝3敗(琴桜に勝ち)
- 豊昇龍:11勝4敗
→ この場合、「大の里 vs 安青錦」の優勝決定戦。
パターン3:豊昇龍○ + 安青錦○ + 大の里×(豊昇龍に敗戦)
- 豊昇龍:12勝3敗
- 安青錦:12勝3敗
- 大の里:11勝4敗
→ これは、現実に近い形。
→ 「豊昇龍 vs 安青錦」の優勝決定戦(実際に起きたのと同じカード)。
パターン4:全員×の大荒れパターン
- 豊昇龍×(大の里に敗戦)
- 安青錦×(琴桜に敗戦)
この場合、
- 大の里:12勝3敗
- 豊昇龍:11勝4敗
- 安青錦:11勝4敗
→ 大の里の単独優勝。
この4パターンを見ると、
- 大の里が優勝できるパターン:2つ(パターン2・4)
- 豊昇龍が優勝できるパターン:2つ(パターン1・3)
- 安青錦が優勝できるパターン:1つ(パターン3のその先:決定戦勝利)
というイメージになります。
もちろん、実際には立ち合いの当たり方、体調、メンタルなどで勝敗は大きく変わります。
「どの力士が一番有利だった」と言い切るのは難しいですが、
大の里が出ていれば、“三人の誰が優勝してもおかしくない”乱戦だった
と言ってよさそうです。
「不戦勝」と「ケガのリアル」――公平性はどう考える?
一部のファンの中には、
「豊昇龍の不戦勝はラッキーすぎた」
「大の里が出ていれば結果は違ったはず」
と感じる人もいると思います。
ただ、相撲は「15日間、健康な身体で取り切った人が強い」という世界でもあります。
- ケガをしないことも含めて“実力”
- 無理を押して出て、選手生命を縮めるリスク
- 横綱としての責任と、長期的なキャリアのバランス
このあたりを考えると、
「大の里は悔しいが、妥当な決断をした」
「その結果として安青錦と豊昇龍の一騎打ちになり、安青錦がつかみ取った優勝」
と整理するのが、一番落ち着いた見方かもしれません。
安青錦と大ノ里、それぞれの“これから”
安青錦:大関昇進ほぼ確実、次のテーマは「横綱レース」
安青錦は、この九州場所の優勝によって、
- 直近3場所で34勝に到達し、大関昇進ラインをクリア
- 年齢的にも21歳と若く、将来の横綱候補として注目度が一気に上昇
今後のテーマは、
- 大関としてどれだけ安定した成績を残せるか
- 豊昇龍・大の里という“二大横綱”にどう立ち向かうか
というポイントになっていきます。
ウクライナ出身の力士が賜杯を抱えた姿は、相撲界にとっても象徴的な出来事でした。
大ノ里:ケガからの復活が、今後の相撲人生を左右する
一方の大の里は、
- 診断:左肩鎖関節脱臼
- 1か月の安静が必要とされるケガ
肩は、相撲にとって“命”とも言える部位です。
- 差し手が入らない
- 押す力が出ない
- かばっていると、他の場所も痛める
といった悪循環にハマる可能性もあります。
だからこそ、ここでしっかり直して戻ってくることが何より大事。
横綱としてのプライドはもちろんあるでしょうが、
「今は一度立ち止まり、長く強い横綱でいるための時間」
と捉えてほしいところです。
ファン目線で見る「この優勝の意味」
今回の九州場所は、
- 横綱2人+関脇1人が、千秋楽まで優勝争いを演じた
- 横綱のケガによる休場で、一気に“物語の流れ”が変わった
- その中で、新星・安青錦が初優勝をつかみ取った
という、非常にドラマチックな場所になりました。
もし大の里が出ていれば、
- 3人による優勝決定戦の可能性
- 横綱同士の直接対決で決着
- “新横綱 vs 新関脇”の構図のまま、誰が一歩抜け出すか
といった、また違うクライマックスも見られたかもしれません。
でも、実際に起きた現実は、
「横綱の不在をチャンスに変えた安青錦の初優勝」
であり、
「大の里がいない土俵で、安青錦が一気にスターの階段を駆け上がった」
とも言えます。
まとめ
最後に、ポイントをギュッとまとめます。
千秋楽の「もしも」を考えるのも、相撲ファンの楽しみ方の一つです。
でも、それ以上にワクワクするのは、
「これから何場所も続いていくであろう、豊昇龍・大の里・安青錦のライバル物語」
ではないでしょうか。
- 大の里はケガからどう復活するのか
- 安青錦はどこまでスター街道を駆け上がるのか
- 豊昇龍は“横綱の格”をどう示し続けるのか
今回の九州場所は、その長い物語の“第一章”に過ぎないのかもしれません。
これから先の本場所でも、3人の力士の一番一番を、じっくり楽しんでいきましょう。


