まずはサッと全体像から。
「東大法学部 → 中央省庁のキャリア官僚 → 福井県の副知事 → 福井県知事」という、
かなり王道の「エリート官僚から知事へ」という経歴の人です。
幼少期〜学生時代:岐阜生まれ、でもルーツは福井
- 杉本さんは岐阜県中津川市で生まれ育ちました。
- ただし、おじいさんは福井県旧西谷村(現在の大野市)の出身で、
家族のルーツとして福井とのつながりがありました。
学生時代について細かいエピソードは公的な資料にはあまり出ていませんが、
高校まで地元で過ごし、そのあと東京大学法学部に進学しています。
東大法学部は、「官僚」や「裁判官」「弁護士」を目指す人が多い学部です。
杉本さんもその流れで、卒業後は中央省庁(今でいう総務省)に入りました。
官僚時代:自治省・総務省で地方行政一筋
自治省に入省
- 1986年(昭和61年)
東京大学法学部を卒業し、自治省(現・総務省)に入省します。
自治省は、ざっくり言うと「全国の都道府県や市町村の制度・財政を扱う役所」です。
つまり、地方自治・地方財政のプロとしてキャリアをスタートしたわけですね。
各地を転々としながら「地域の財政」を担当
官僚時代は、いろいろな自治体や部署を渡り歩いています。例えば:
- 長野県総務部地方課
- 徳島市の財政部長(市のお金を預かる立場)
- 山形県の商業・文化・財政などを担当する課長 など
各地で「お金の流れ」や「地域の運営」に関わるポジションを経験していて、
地方自治・地方財政の現場をよく知る官僚というイメージです。
大臣秘書官として「政治の現場」も経験
その後、
- 自治大臣秘書官
- 総務大臣秘書官
といったポストを務めています。
「大臣秘書官」というのは、
大臣のスケジュール管理だけでなく、政策の調整や情報収集なども担う立場で、
政治と官僚の橋渡し役のような存在です。
福井との本格的な関わり:総務部長から副知事へ
福井県総務部長として県庁へ
- 2004年ごろ(平成16年)
福井県総務部長として、福井県庁に入ります。
総務部長は、県庁全体の人事や予算を扱う「県庁の要(かなめ)」のような役職です。
ここで福井県の行政運営を間近で見ながら、県庁職員と一緒に仕事をすることになります。
内閣参事官・総務省の課長職も歴任
その後いったん国に戻り、
- 内閣参事官(内閣官房)
- 総務省 自治税務局 市町村税課長
などを務めます。
このあたりの役職名は少し難しいですが、
ざっくり言えば「国の税制や地方税の仕組み」を考える立場です。
2013年:福井県副知事に就任
- 2013年(平成25年)
福井県副知事に就任。
副知事は、知事を支えるナンバー2のポジションで、
実務の多くを取り仕切る「県庁の司令塔」のような立場です。
その後、再び総務省に戻り、
- 消防庁 国民保護・防災部長
- 総務省 公務員部長(国家公務員全体の人事制度などを扱うポスト)
などを歴任し、2018年に総務省を退官します。
知事になったきっかけ:2019年の福井県知事選
2019年:初めての知事選で当選
- 2019年4月7日投開票の福井県知事選で初当選。
- 前の知事・西川一誠氏との「保守分裂選挙」として話題になりました。
党籍としては無所属ですが、
選挙では与党系の支援も受けながらの出馬でした。
2023年:2期目に再選
- 2023年4月9日の福井県知事選で再選し、2期目に入ります。
選挙の中で掲げていたスローガンや政策の柱は、
ざっくりまとめると次のようなものです。
- 北陸新幹線の延伸効果を最大限に活かすこと
- 子育て応援日本一「ふく育県(ふくいくけん)」を目指すこと
- 「チームふくい」で県民みんなで挑戦すること
- 災害・感染症への備えを強化すること
- 地域産業に新しい価値をつくること(デザインやDXなど)
キャッチコピーとしては、
「とんがろう ふくい」
「活力人口100万人」
など、「チャレンジ」「ワクワク」といった言葉をよく使っています。
知事として何をしてきた人?代表的なポイント
ここからは、知事としての「カラー」が分かりやすいポイントを、
できるだけやさしい言葉で整理します。
1. 「子育てしやすさ日本一」を前面に
福井県はもともと、「共働き率が高い」「子どもの学力・体力が高い」など
子育てや教育の面で評価が高い県として知られてきました。
杉本知事はこの強みをさらに伸ばそうとして、
「ふく育県(ふくいくけん)」=子育て先進県というコンセプトを打ち出しています。
具体的には:
- 県職員の男性育休取得率100%を達成(有休含む平均66日以上)
- 保育料・高校授業料の支援や無償化
- 中学生までの医療費無料化
- 全天候型の子どもの遊び場整備
- 訪問型シッターサービス「ふく育さん」など、子育て支援メニューの拡充
など、「子育てするなら福井がいい」と思ってもらうための制度を整えてきました。
2. 「幸福度ランキング日本一」をどう続けるか
福井県は、さまざまな調査で幸福度ランキング日本一と紹介されることが多く、
杉本知事もインタビューなどでよくこの点に触れています。
ただし、本人は
「数字としての幸福度は高いが、県民一人ひとりの“幸福実感”はまだ伸ばせる」
といった趣旨の発言もしていて、
最近は「ウェルビーイング(心の豊かさ)」の指標を導入し、
働き方や暮らし方の質を高める取り組みも進めています。
3. 北陸新幹線延伸を“100年に一度のチャンス”と捉える
2024年3月、北陸新幹線が金沢から福井・敦賀まで延伸しました。
杉本知事はこれを「100年に一度のチャンス」と表現し、
観光・まちづくり・産業のてこ入れに力を入れています。
- 恐竜博物館のリニューアル
- 一乗谷朝倉氏遺跡博物館の整備
- フルマラソン「ふくい桜マラソン」などのイベント
- 「福井といえば○○」を増やすブランド戦略
などを通じて、
「福井ってなんか面白そうだな」と思ってもらうことを狙っていると話しています。
4. 人口減少・東京一極集中への危機感
一方で、杉本知事は人口減少や東京一極集中への危機感も強く持っています。
- 「地方同士で人を取り合う“マイナスサムの戦い”になっている」
- 「地方から出生率の低い東京に若者が集まることで、日本全体の少子化が進んでいる」
といった問題意識を、インタビューや講演で繰り返し語っています。
そのうえで、
- 若者のUターン・Iターンの促進
- 地方での新しい働き方(テレワークなど)の提案
- 「活力人口100万人構想」
などを打ち出しているのが特徴です。
人柄が垣間見えるエピソード:趣味と座右の銘
趣味:パンづくりとウォーキング
公式プロフィールでも、趣味として
- ウォーキング
- パンづくり
が紹介されています。
知事インタビューなどでも、
「パンをこねるのは気分転換になる」といった話が出ることがあり、
まじめな官僚タイプでありつつ、ちょっと柔らかい一面も見えます。
座右の銘:「人に処すること藹然」
座右の銘として掲げている
「人に処すること藹然(あいぜん)」
は、中国の古典から来た言葉で、
「人に接するときは、いつも穏やかに、にこやかに」といったニュアンスがあります。
人付き合いでは“ガミガミ言うより、柔らかく向き合いたい”
というイメージを、自らの信条として打ち出していると言えます。
いまニュースになっている「セクハラ通報」と辞任報道について
この記事のタイトルは経歴紹介ですが、
2025年11月現在、杉本知事の名前がニュースに多く出ているのは、
県職員へのセクハラ通報問題がきっかけです。
事実関係として、報道されているのは次のような内容です。
この段階では、
- メッセージの具体的な内容
- 法的にセクハラと認定されるかどうか
などは、まだすべて公表されているわけではありません。
そのため、「経歴を持つ人物が、いまどんな問題に直面しているのか」という視点で、
最新の報道を追いかけることが大切になります。
なお、本記事では
「通報があった」「調査が進んでいる」「辞任の意向が報じられている」
といった事実ベースの部分だけを紹介しており、
行為の評価や断定はしていません。
まとめ
最後に、この記事の内容をコンパクトにまとめます。
- エリート官僚から知事になった人
- 岐阜県中津川市出身、東大法学部卒。
- 旧自治省・総務省で、地方財政・税制・防災・公務員制度などを担当。
- 福井県総務部長や副知事を経て、2019年に福井県知事に初当選、2023年に再選。
- 「子育て・幸福度・新幹線」をキーワードに県政を進めた
- 子育て支援策を強化し、「ふく育県」を掲げる。
- 幸福度ランキング日本一を「次の時代へつなぐ」ことを目標に、
働き方や暮らしの質の向上にも取り組む。 - 北陸新幹線延伸を「100年に一度のチャンス」と見て、
観光・まちづくり・ブランド戦略を進めてきた。
- 人柄としては「穏やか・チャレンジ好き」を打ち出してきた
- 座右の銘は「人に処すること藹然」。
- 趣味はパンづくりとウォーキング。
- 「とんがろう ふくい」「チームふくい」など、
前向きな言葉を好んで使う。
- 現在はセクハラ通報問題で辞任の意向が報じられている(2025年11月時点)
- 職員への不適切なテキストメッセージをめぐる通報があり、
外部弁護士による調査が行われている。 - その責任を取って辞任する意向を固めたと報道され、
緊急記者会見が予定されている。
- 職員への不適切なテキストメッセージをめぐる通報があり、


