マイクロンがCrucial SSDから撤退…というニュース、びっくりしましたよね。
「え、これからSSDどうすればいいの?」「今使っているCrucialは壊れたら終わり?」と不安になって検索している人が多いはずです。
この記事では、
- そもそもMicron(マイクロン)とCrucialってどんな会社・ブランド?
- なにがどう“撤退”するのか?
- CrucialのSSDやメモリはいつまで買えるのか?
- 保証やサポートはどうなるのか?
- これからSSDやメモリを買う人はどう動くべきか?
を整理していきます。
マイクロンとCrucialってどんな存在?
まずは登場人物の整理から。
マイクロン(Micron Technology)とは?
Micron(マイクロン)は、アメリカの大手半導体メーカーで、メモリ(DRAM)やフラッシュメモリ、SSDを作っている会社です。
世界的には、Samsung・SK hynix と並ぶ「メモリ三巨頭」の一角というイメージの企業です。
いわゆる「部品メーカー」で、パソコンやサーバーの中で使われるメモリ・ストレージを大量に出荷しています。
Crucial(クルーシャル)とは?
Crucialは、そのマイクロンが展開してきた一般向け(コンシューマー向け)ブランドです。
- 自作PCユーザー向けのメモリ(RAM)
- SSD(内蔵SSD・外付けSSD)
- ゲーミング向けのメモリシリーズ など
「価格のわりに品質が安定していて、コスパの良い定番パーツ」として、日本の自作PCユーザーやライト層にも長年親しまれてきました。
AmazonでSSDやメモリを探すと、Crucialの製品が上位に出てきたのを覚えている人も多いと思います。
そのCrucialが“終わる”というのが、今回のニュースの中身です。
何が発表されたのか?撤退の中身を整理
公式発表のざっくり内容
2025年12月3日(現地時間)、マイクロンはCrucialブランドのコンシューマー事業から撤退すると発表しました。
ポイントを簡単に並べると:
- マイクロンはCrucialブランドの一般向けメモリ・SSDの販売を終了する
- 対象は、世界中の小売店・ネット通販・流通業者で売られているCrucial製品
- 一般向けチャネルへの出荷は2026年2月末まで継続
- その後、新たなCrucial製品はコンシューマー向けには出てこない
- 既存製品の保証・サポートは継続
という流れです。
「撤退=すぐに消える」ではない
ここが大事なポイントですが、「発表した瞬間に店頭から消える」わけではありません。
- メーカーからの出荷は2026年2月末まで続きます
- その後は、新たな出荷はなく、在庫限りという状態になります
つまり、2025年12月時点では「もう買えない!」という状況ではなく、これから1年ちょっとかけて、だんだん市場からフェードアウトしていくイメージです。
CrucialのSSDやメモリは「いつまで買える?」
では本題のひとつ、「いつまで買えるの?」です。
メーカー出荷の期限:2026年2月末まで
マイクロンは、Crucial製品を同社の2026会計年度第2四半期末(2026年2月)までコンシューマーチャネルへ出荷するとしています。
ここでいう「コンシューマーチャネル」というのは、
- 家電量販店
- パソコンショップ
- ネット通販(Amazon、楽天、各社オンラインストア)
- 卸売業者
など、一般ユーザーが普通に購入するルートのことです。
実際に店頭・ネットで見かけるのはいつ頃まで?
メーカー出荷が2026年2月末までということは、
- その後もしばらくは店頭や通販サイトの在庫が残る
- 人気モデルから順に在庫が減っていく
- 低容量モデルやニッチな型番は、意外と長く残る可能性もある
という形になるでしょう。
ただし、いつ在庫が切れるかは店舗ごとに違うので、
- 「この型番じゃなきゃ嫌だ!」というこだわりがある人
- 同じ型番でストレージを増設したい人
は、あまりのんびりしていると欲しい容量・型番だけ先に売り切れる可能性があります。
「今すぐ買わないと損」はちょっと違う
SNSなどでは、
「Crucialがなくなるから今のうちに買いだめだ!」
という声も出ていますが、
メーカー出荷が2026年2月末まで続くことを考えると、「今日明日ですぐ買わないと手に入らない」という状況ではありません。
落ち着いて、必要なタイミング・予算・他社製品との比較をしながら決めて大丈夫です。
保証はどうなる?今持っている人向けQ&A
今回のニュースで、いちばん不安になった人も多いポイントがここだと思います。
保証・サポートは続くと明言されている
マイクロンは、各種発表や報道の中で、
- Crucial製品の保証サービスとサポートは継続する
と明言しています。
つまり、今すでに持っているCrucialのSSD・メモリが、明日から突然「保証対象外」になることはありません。
Q1.もう使っているCrucial SSDは、今後もそのまま使って大丈夫?
→ はい、大丈夫です。
今回の撤退は「新しくコンシューマー向け製品を売らなくなる」という話であって、すでに販売・出荷された製品の品質が変わるわけではありません。
もちろん、SSDやメモリには寿命があるので、バックアップをしっかり取ることはどのメーカーでも共通して大切です。
Q2.壊れたらもう保証を受けられない?
→ 保証期間内なら、これまで通りサポートを受けられるとされています。
ただし、
- 保証申請の窓口
- 日本での代理店対応
- RMA(交換手続き)の流れ
などの実務的な部分は、今後少しずつ変わる可能性があります。
実際に故障対応が必要になったときは、最新の公式サイトの案内を確認するようにしましょう。
Q3.今から買っても保証はちゃんと受けられる?
→ 発表では、出荷されたCrucial製品について保証・サポートを継続すると説明されています。
そのため、
- これから購入するCrucial SSD/メモリも、保証期間内であればサポート対象
- ただし、ブランドとしては縮小・終了に向かうので、「長期的に使いたい」「10年くらい安心して使いたい」という人は、他社も含めて検討すると精神的には安心かもしれません
なぜ撤退するの?AIブームとメモリ不足の話
「なんでわざわざ評判の良いCrucialをやめちゃうの?」と感じた人も多いと思います。
背景には、AIブームによるメモリ・ストレージ需要の激増があります。
AI向けメモリ(HBMなど)が大人気
最近のChatGPTのような生成AIや、大規模なAIモデルを動かすデータセンターでは、
- HBM(High Bandwidth Memory)
- サーバー向けの大容量DRAM
- エンタープライズ向けSSD
といった、超高性能なメモリ・ストレージが大量に必要になります。
マイクロンは、
「AIによるデータセンターの成長でメモリとストレージの需要が急増している」
「成長の速いセグメント(AI・データセンター)に資源を集中させるため、Crucialコンシューマー事業から撤退する」
と説明しています。
かんたんに言うと…
- AI向けの高性能メモリ・SSDに世界中から注文が殺到
- 生産能力には限りがある
- 利益が大きいAI向けにリソースを回したい
- 一般向けのCrucialブランドはビジネス的に優先度が下がる
という流れです。
いわば、
「コンビニ向けの小さいお弁当を作るより、
大口の企業から大量注文を受けて給食を作ったほうが儲かるし、今はそっちのニーズがすごい」
という状況に近いイメージです。
これからSSD・メモリを買う人はどうするべき?
では、実際にパソコンのパーツをこれから買う人はどう動けばよいのでしょうか。
ざっくり、次の3パターンに分けて考えてみます。
パターン①:今すぐSSDやメモリが必要な人
- すでに容量がパンパン
- 動作が重くて仕事に支障が出ている
- 新しく自作PCを組む予定が決まっている
こういう人は、「必要なときに必要なものを買う」が基本です。
- Crucialは少なくとも2026年2月までは出荷が続くので、今買っても問題ありません
- ただし「長く同じブランドで統一したい」なら、他社ブランドも含めて将来性を見て選ぶのもひとつの考え方です
Crucialの使い勝手や価格に満足しているなら、「最後のCrucialを記念に(?)買っておく」という選択肢も全然アリだと思います。
パターン②:そのうち増設したいけど急ぎではない人
- 「今すぐじゃないけど、1~2年以内にストレージを増やしたい」
- 「今はお金に余裕がないから、少し様子を見たい」
という人は、
- 価格の動き(値上がり・セール)を見ながら、数か月~1年くらいのスパンで検討
- Crucialにこだわりがなければ、他社ブランドの選択肢も広い
というスタンスでOKです。
AI向けの需要で、今後もメモリ・ストレージの価格は不安定になりやすいと言われています。
「底値を完璧に狙う」のはプロでも難しいので、
- 自分の予算
- 必要な容量
- 信頼できるブランドかどうか
この3つのバランスを見ながら、“納得できるタイミング”で買うのがおすすめです。
パターン③:今Crucialを使っていて、壊れたときが心配な人
この場合は、以下のように考えると少し安心できます。
- 今すぐ壊れるわけではない
→ 使い方や寿命によりますが、「ブランド撤退=寿命が縮む」ではありません。 - 保証期間内であれば、サポート継続が明言されている
- それでも不安なら…
- 重要なデータは必ずバックアップを取る
- 次に買うときの候補ブランドを、今のうちから少し調べておく
- セールなどでお得なSSDが出たら、バックアップ用や予備として1台確保しておく
というように、「準備をしておく」という方向で動くのがおすすめです。
Crucial終了でPCパーツ界はどう変わる?
最後に、少し先の話もしておきます。
影響①:自作PCユーザーにとっての「定番」が一つ減る
Crucialは、「とりあえずこれを選んでおけば大きな失敗はしない」という無難で信頼できる定番ブランドでした。
それがなくなることで、
- 他社ブランドのシェアが増える
- 「コスパ良し+信頼性」ポジションを他社が取り合う
という動きが出てくるはずです。
影響②:価格が上がる可能性も
AI向けのメモリ・ストレージ需要がかなり強く、
すでに「NAND(フラッシュメモリ)価格が2倍になった」という話も出ています。
Crucial撤退自体が直接の値上げ要因というより、
- AI向けシフト
- コンシューマー向けメモリメーカーが減る
という合わせ技で、
中長期的には価格が上がりやすい方向に働く可能性があります。
影響③:AIブームが、身近なパーツ選びにも影響する時代に
今回のCrucial撤退は、
「AIのせいで、一般ユーザー向けのパーツが手に入りにくくなる」
という、時代の変化を象徴する出来事でもあります。
ChatGPTのようなサービスを便利に使っている一方で、
その裏側で「PC用メモリやSSDの世界がどう変わっているか」にも、少しだけ意識を向けておくと、今後のパーツ選びに役立つはずです。
まとめ
最後に、この記事のポイントをもう一度整理します。
Crucialにお世話になってきた人にとっては、少しさみしいニュースです。
とはいえ、パソコンの世界は常に新しいブランド・新しい製品が出てきます。
大切なのは、
- 情報を知らないまま不安になるのではなく、現状を知ったうえで冷静に選ぶこと
- どのメーカーのSSD・メモリを使うにしても、バックアップをきちんと取ること
この2つです。
