ニュースを見るたびに出てくる「たばこ税見直し」「タバコ値上げ」の文字。
吸っている人からすると、ほんとこうですよね。
「なんでタバコばっかり狙い撃ちなんだよ」
「健康のためとか言いつつ、結局カネ目当てだろ?」
「その前に税金の無駄遣いをどうにかしろよ!」
この記事では、そんなモヤモヤを整理するために、
を解説していきます。
そもそも「たばこ税」って何?どれくらい取られてるの?
まずは基本からいきましょう。
タバコには「5種類」の税金が乗っている
1箱の紙巻きタバコには、ざっくり言うと5種類の税金が乗っています。
- 国の税金
- たばこ税
- たばこ特別税
- 地方の税金
- 都道府県たばこ税
- 市町村たばこ税
- さらにその上に「消費税」
なので、タバコの箱を1つ買うだけで、
- 国
- 都道府県
- 市町村
に、まとめてお金を払っていることになります。
1箱のうち、どれくらいが「税金」なの?
財務省の資料によると、代表的な紙巻きたばこ1箱に含まれる税金は、販売価格の6割前後を占めます。
イメージでいうと、
- 1箱600円のタバコなら、約360円くらいが税金
- 残りが、メーカーの利益・原価・販売店の取り分など
つまり、「タバコを吸う」というより、
「ニコチン+税金を吸っている」
という状態です。
たばこ税はどれくらいの「お金」になっているのか
「タバコなんて少数派だし、税収なんて大したことないでしょ?」と思われがちですが、実はそうでもありません。
たばこ税収は「毎年 約2兆円」クラス
国と地方を合わせたタバコ関連の税収は、ここ最近はだいたい2兆円前後で推移しています。
- 国のたばこ税収
- 地方たばこ税収(都道府県・市町村)
を合計すると、
「日本全体で、毎年タバコからこれだけ税金を取っています」
という数字が、だいたい2兆円規模になるわけです。
喫煙者は減っているのに、税収はそれほど減っていないワケ
厚労省の調査では、日本の喫煙率はずっと下がり続けています。
それなのに、タバコ税収は「ガクッ」とは減っていません。
理由はシンプルで、
- 喫煙者が減る
→ その一方で、 - 税率(1本あたりの税金)を上げてきた
からです。
要するに、
「吸う人が減ったぶん、1人あたりからより多く取る」
というやり方で、タバコ税収をキープしてきた、ということです。
たばこ税「建前の理由」と「本当の理由」
では、たばこ税にはどんな理由があると説明されているのでしょうか。
建前①:健康への悪影響に対する「負担」
よく言われるのがこれです。
- タバコは健康に悪い
- その結果、医療費が増える
- だから、タバコを吸う人にも相応の負担をお願いする
世界保健機関(WHO)や多くの研究でも、喫煙が
- がん
- 心筋梗塞
- 脳卒中
- COPD(肺の病気)
などのリスクを高めると示されています。
その結果、
「国や保険制度が負担する医療費も増える → だから税金で回収」
というロジックです。
建前②:若者の喫煙を防ぐための「価格政策」
もうひとつ、よく出てくる説明がこちら。
- 価格を高くすることで、
- 若者が「気軽にタバコを始める」のを防ぐ
「1箱1000円なら、さすがに高校生や大学生は手を出しにくいよね」という発想ですね。
実際、海外の健康政策でも、「タバコの価格引き上げは、喫煙率を下げる有効な手段」とされています。
建前③:地方財政を支える「安定した財源」
たばこ税は、国だけでなく「地方(都道府県・市町村)」にとっても大事な収入源です。
- 人口が多く、喫煙者も多い自治体
- たくさんのタバコが売れる → 自治体の税収が増える
という構造になっています。
このお金は、
- 道路の整備
- 公園や公共施設の維持
- 子育て・福祉サービス
など、いろいろな用途に使われています(※建前上は「一般財源」なので用途は限定されません)。
ここまでが「建前の理由」。
では、「本当の理由」は何なのか?
本当の理由①:取りやすいところから、取りやすい相手から取る
政治的な本音に近い部分を、もう少しストレートに言うと、
「タバコは“少数派の嗜好品”だから、増税しやすい」
という側面があります。
喫煙者は「少数派」になった
日本の喫煙率は、昔は男性の半分以上が吸っているような時代もありましたが、今は
- 男性でも約3人に1人程度
- 女性はもっと少ない
というレベルまで下がってきています。
つまり、
「タバコを吸わない人」が多数派
「タバコを吸う人」は少数派
になっているわけです。
多数派からすると、
- 「健康に悪いんだから、どんどん税金かければいい」
- 「タバコやめればいいだけでしょ?」
となりやすい。
だから、政治的には反対されにくい増税ターゲットになってしまいます。
消費税よりも「バッシングが少ない」
消費税を1%上げると、国民全員に影響が出ます。
食料品を買う人も、子どもも高齢者も、みんなです。
一方で、たばこ税を上げても、直接のダメージは喫煙者だけです。
非喫煙者からすると、
「自分にはあまり関係ないし、むしろ賛成」
となりやすい。
だからこそ、政治的には
- 消費税よりも
- たばこ税のほうが、「批判を受けにくい増税」になってしまうのです。
本当の理由②:国にとっては「クセになる税収」
もうひとつの本音は、
「一度タバコからお金を取り始めると、やめられなくなる」
ということです。
毎年2兆円前後が“クセになる”
さきほど触れたように、たばこ税収は国+地方で約2兆円規模。
このお金を急にゼロにすると、
- 歳入(国と自治体に入ってくるお金)が一気に減る
- どこかでその穴埋めをしなければならない
という事態になります。
そうなると政治家は、
- 他の税金を上げる
- 社会保障費を削る
- 国債(借金)を増やす
など、どれを選んでも「めちゃくちゃ叩かれる」選択を迫られます。
その結果、
「タバコからの税収は、簡単には手放せない」
という、“依存体質”になってしまうわけです。
喫煙者が減っても、税率を上げれば税収は維持できる
喫煙者は減っているのに税収が急に減らないのは、
- 一本あたりの税金を上げる
- 1箱の価格を引き上げる
ことでカバーしてきたからです。
つまり、
「人数は減っても、残った喫煙者からたくさん取る」
という構造です。
これ、冷静に考えるとかなりエグいですよね。
もし「たばこ税」がなくなったらどうなる?
では、思い切って考えてみましょう。
「たばこ税をゼロにしたらどうなるの?」
パターン①:そのまま値段が下がる(夢のような話)
たばこ税が完全になくなれば、理屈の上では、
- 1箱600円 → 税金分(約360円)が消える
- メーカー・販売店の取り分だけになるので、価格はガクッと下がる
ということになります。
喫煙者からすれば、
「最高じゃん!」
となりますが、現実的にはほぼありえません。
なぜなら、
- 国と地方は、毎年2兆円近い税収を失うから。
この穴はあまりにも大きすぎます。
パターン②:他の税金が上がる
もっとリアルなシナリオは、
- たばこ税を廃止
→ その代わりに - 消費税アップ
- 所得税の増税
- 住民税の引き上げ
などで穴埋めされるパターンです。
この場合、
- 喫煙者は「タバコ税」という形での負担は減る
- しかし、別の形で税金を払うことになる
ので、結局ラクにはなりません。
しかも、タバコを吸わない人も巻き込まれるので、
「なんでタバコの穴埋めに、非喫煙者まで負担させるんだ!」
という別の怒りポイントが生まれます。
パターン③:社会保障や公共サービスが削られる
もうひとつの可能性は、
- 増税はしない代わりに
- どこかの支出を削る
というパターンです。
例えば、
- 年金・医療・介護などの社会保障費
- 子育て支援
- インフラ整備(道路・橋・公共施設など)
いずれにせよ、「誰かの負担か、誰かのサービス」が削られることになります。
結論としては、
「たばこ税をゼロにする」のは、現実的にはほぼ不可能
→ 問題は、“どう使われているか”“ほかにムダはないのか”
という方向に議論を持っていくべき、ということになります。
本当に先にやるべきは「増税」じゃなくて「無駄遣いの見直し」
「増税するより税金の無駄使いをなくせ!ふざけんな!」
タバコに限りませんが、日本の予算を見ていると、
など、「これ本当に必要?」と思ってしまう使い道が山ほどあります。
もちろん、中にはちゃんと意味のある事業もあるはずです。
でも、
- 事業の成果が検証されない
- 「前年と同じだから」「とりあえず使い切るために」続いているだけ
というものが少なくないのも事実です。
その状態で、「財源が足りないからタバコ増税です」「防衛費のためです」と言われても、
「いやいや、その前にムダを削れよ」と言いたくなるのは当然です。
タバコを吸う人にとっては、
- 健康リスク
- 周囲の目
- そして「税金」という追加ハンデ
まで背負わされているわけですから、
せめて「払った税金がちゃんと使われているか」は、厳しくチェックしたいところです。
私たちにできること①:タバコとの付き合い方を自分で選ぶ
ここまで読んで、
「結局、吸う側が損じゃん…」
と感じた人も多いと思います。
その通りです。だからこそ、
- 本数を減らす(節煙)
- タイミングを決めて禁煙に挑戦する
- 代替手段(パッチ・ガム・VAPEなど)をうまく使う
など、「自分でコントロールできる部分」にも目を向ける必要があります。
1日1箱が「年間いくら」か、改めて計算してみる
仮に、
- 1箱700円(近い将来のイメージとして)
- 1日1箱
だとすると、
700円 × 365日 = 255,500円/年
約25万円です。
- 10年で約255万円
- 20年なら約510万円
家1軒は無理でも、中古の軽自動車なら何台も買えるレベルです。
これに増税が重なれば、負担はさらに増えます。
タバコをやめる・やめないは本人の自由ですが、
「税金のためにここまで払う価値があるか?」
という視点で、一度冷静に見直してみるのもアリです。
私たちにできること②:「今度の選挙」を他人事にしない
そしてもうひとつ、絶対に忘れてはいけないのがここ。
「今度の選挙投票先はよくよく考えよう!」
税金の話は「政党ごとの方針」を見る
各政党・政治家は、
- 税金をどこから取るのか
- どこにどれだけ使うのか
について、だいたいの方針を出しています。
チェックしたいポイントは、
- 消費税・所得税・たばこ税などの扱い
- 社会保障(年金・医療・介護)の維持・見直し
- 防衛費や新しい政策(子育て支援など)の財源をどうするか
など。
「たばこだけを悪者にして増税していないか」
「無駄遣いの見直しより、増税を優先していないか」
という視点で見ると、
各政党・候補者の違いが、少しずつ見えてきます。
「税金のムダを減らす努力」を本気でやる気があるか
完璧な政治家・政党なんて存在しません。
でも、
- ムダな事業にメスを入れる気があるのか
- 「とりあえず新しい組織やキャンペーン作りました」で終わらせるタイプなのか
この差は、長い目で見てものすごく大きいです。
タバコを吸う人にとっても、吸わない人にとっても、
「税金がどう使われるか」は、人生レベルで効いてきます。
だからこそ、投票するときに
「この人/この政党に、自分のお金の一部を預けたいか?」
というシンプルな基準で考えてみると、
投票行動が少し変わってくるはずです。
まとめ:タバコ値上げの「本当の理由」を知ったうえで、どう動くか
最後に、この記事のポイントを整理します。
タバコを吸うかどうかは個人の自由です。
でも、税金は逃げられません。
だからこそ、
「タバコ増税、ふざけんな!」と怒るだけじゃなく、
「自分のお金を、どんな政治に託すのか」
を、一緒に考えていきたいところです。
1本吸うたびに、
- 自分の健康
- 自分の財布
- そして自分が暮らす社会のこと
を、ちょっとだけ思い出してみる。
その小さな意識の積み重ねが、
「おかしな増税」や「税金の無駄遣い」にブレーキをかける第一歩になるのかもしれません。






